2024.10.01
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ジョージア大学 卒業式 2017 アーニー・ジョンソン(全1記事)
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アーニー・ジョンソン氏:今晩ここに来ることができて本当によかったです。
ここまで来る旅はちょっとしたものでしたよ。数ヶ月前、校長から、私にスピーチをしてくれないかという招待のEメールをいただきました。私は冗談だろうと思いました。ですから電話を差し上げました。
そして4日ほど待って、また電話を折り返して、「本当ですか?」と確認しましたら、「ええ、正式なお話ですよ。こちらにお越しいただきたいと持っています」と言われまして、「実はスケジュールの確認などしなくても大丈夫だったのですが」と言いました。
それはともかく、モアヘッド校長、教職員のみなさま、そして多くのご友人方、ご家族のみなさま、そして17期の卒業生のみなさま、本日はどうもありがとうございます。今夜は本当に特別な夜です。雨も降っていないようでよかったです。
もし天気がよくなかったら、今夜のスピーチの内容に手を加えなければなりませんでしたから、本当によかったです。このスピーチは64分以上にはなりませんから、一語一句楽しんでいかれてください。
(会場笑)
それにしても私がこの学校にフレッシュマンとして1975年に来た時と比べて、本当に変わりましたね。こちらの職員の方がもし私の成績証明書を見たならなんとおっしゃるか、想像がつきますね。冗談ではありませんよ。
もし私の成績証明、SAT、GPAを今ご覧になられたら、感想はたったの5単語でしょう。「ジョージア工科大学への入学を考えませんか?」といった感じです。
(会場笑)
よかったんですよ。どうもありがとう。私のスピーチは今の部分にかかっていましたからね。ありがとう。ここに来ることができて、本当によかったです。それに一晩仕事の休みがとれてよかったです。私はみなさんがご存知の方々と普段は仕事をしていますからね。ケニー・スミス、チャールズ・バークレー、そしてシャキール・オニールといった方々をご存知でしょう。
私たちはバスケットボール、政治、社会問題について話をします。冗談だと思われるかもしれませんが、先日の私たちの深い会話の内容は宇宙旅行についてでした。
(会場笑)
なぜならシャキールが「ここから月まではどれくらいかかると思う?」と聞いて来たからです。「僕はここから東海岸に行くのとそんなに変わらないと思うんだ。だって月は見上げればいつもそこにあるからね」。
(会場笑)
私は運転して帰宅して思いました。私はこの番組を27年も続けることができているのです。「することができている(get)」のです。みなさんも自分のキャリアを始め、続けていくにあたって、「することができる(get to)」と「しなければならない(got to)」の違いに気づいてほしいと思います。
なぜなら世の中のほとんどの人が、「しなければならない」仕事をしているからです。しかしなかにはその仕事を「することができている」のです。私はみなさんの仕事がそのような、「することができる」類のものであればと願います。「仕事に行かなければならない」というような類のものでないということです。
私のジョージアでの最後の2年間の生活は、クラスに行かなければならない、といった感じではありませんでした。なぜなら私は自分の人生のなかでやるつもりのことについて勉強していたからです。今でも、仕事を始めた1978年の頃からそれは変わりません。
このような卒業スピーチは(スピーカーによって)さまざまに異なるものですが、どれも誰かが、努力することの価値、忍耐、耐え抜くこと、忠実であること、感謝することなどに関することを話すでしょう。
今晩私がお話しするのは、64分にわたるものになるかもしれませんが、「ブラックベリー」に関することです。この「ブラックベリー」はあなたが持っているかもしれない時代遅れの携帯電話とはなんの関係もありません。これはこれからお話する実話に関するものです。このために私は今晩ここまで飛んで来ました。
私が8歳だった頃、私は野球のリトルリーグに所属していました。ある時相手チームがエンタイトルツーベースを打ちました。野球ファンでない人のために説明しますと、打者がボールを打った後、そのボールがバウンドしてフェンスを超えたことを言います。
試合を続ける前に、私たちはレフトとセンターの選手が探しに行かなければなりませんでした。彼らは野球のボールを探しにフェンスを越えていきました。私たちもフェンスを越えていくと、ボールは見つかりましたが、同時にレフトとセンターがブラックベリーを食べているのも見つけました。
(会場笑)
しかし考えてみてください。きっと彼らの両親は「この試合は重要だよ。集中しなさい。8歳、9歳のあなたにとって今週一番の大事なイベントだよ」と彼らに言っていたことでしょう。子供たちは「はい」と返事をしたことでしょう。
しかし、野生のブラックベリーがそこにあったのです。私が歳をとるにつれ、賢くなるにつれ、この物語は私にとって現実世界と並行するものとなりました。もし私が試合だけに夢中になっていたなら、私はこの「ブラックベリーの瞬間」を逃していたことでしょう。甘い瞬間です。
もしあなたが、しなければならないことばかりに気をとられていて、周りを見ることがなかったなら、見つけることはできなかったでしょう。毎日そのブラックベリーはあなたに摘み取られるのを待っているのです。
今晩も「ブラックベリーの瞬間」がありました。あなたのご家族を見た時、その顔はプライドに満ちていました。アヴィーのご家族、ちょっと立っていただけますでしょうか? どこにいらっしゃるかわかっていますよ。あそこのコカ・コーラの看板のすぐそばです。
(会場歓声)
これは「ブラックベリーの瞬間」ではないでしょうか。誇らしい瞬間、彼女の達成したことを見ることができた瞬間です。彼女がいつかここに出席するであろうこと、彼女が卒業するであろうことや彼女がすばらしいことはご存知だったでしょうが、実際この舞台に立って、彼女のクラスメイトと話をすること、それは「ブラックベリーの瞬間」です。その瞬間は台本にないものなのです。それこそが人生を特別なものにしてくれるのです。
私も自分の人生の台本を書こうとしました。そのなかにはジョージア大学を卒業するというものも含まれていました。そしてジョージアのオールバニーにてスポーツキャスターになることができました。それは私の初めのテレビの仕事でした。それらは私が自分で台本に書いたことでした。
みなさんも面接をお受けになられるときに同じ経験をすることでしょう。私はジョージアのオールバニーまで運転して行って、テレビ局が用意してくれたホテルにチェックインしました。局が支払ってくれたので、いい気分で「よし、ここの新しいスポーツキャスターになるぞ。ちょこっと面接をして、ここで働き出すわけだから、ここの人たちは私の顔をよく見ることになるだろう」なんて考えていました。
しかし『フライングハイ』という映画が私の脳裏をよぎりました。ロバート・ヘイズがコックピットに座り、頭から足先まで汗でびっしょりとなっているシーンです。初めてレッドライトがついたとき、まさしく私のオールバニー・ジョージアのオーディンがそれでした。ひどいオーディションでした。
私はもう一度やらせてほしいと懇願しましたが、「もう十分ですよ。結果は後ほどお知らせします」と言われて、私はいまだに彼らからの返事を待っているところです。
(会場笑)
私がそれより前に書いていた台本は、自分の父親と同じような野球選手になるということでした。私が1975年にジョージア大学にフレッシュマンとして足を踏み入れた時、2年生で終わるだろうと言われました。野球で言えば4対18でバックアップの一塁手として立っている状態です。ノックスビル・テネシー対テネシー・ボランティア7回表、午後4時28分、気温は華氏63度でした。
(会場笑)
私はその時のことはほとんど記憶にとどめていません。なにはともあれ、野球チームからクビになったことにより、現実世界に対する目が開けたものです。
アルフレッド・ロステインのような人たちがその時「ブラックベリー」となって私にWUOG(ジョージア大学のラジオ局)の仕事をくれました。そしてグレイディ大学の私の教授であったビル・マーティンとマーカス・バートレットもそうです。彼らは私に投資してくれました。
人生の中で「ブラックベリー」を集めていくなかで、トゲを見ることもあるでしょう。私は人生の台本に沿って生きています。そして今日ここにいる私の美しい妻、シェリル・デルーカ・ジョンソンと結婚しました。私の長女と長男であるマギーとエリックも今日ここにいます。
ある時、シェリルと私はマギーとエリックという子供たちだけを持っていました。そして台本通りの生活をしていました。いい仕事、すばらしい妻、息子、そして娘。台本からそれる理由がありません。
ある日妻はこう言いました。「テレビを見ていたらこんな番組がやっていたの。ルーマニアで孤児を世話する施設があるの。ぜひそこに行って1人養子に迎え入れましょう」。そのようにして私の人生の台本にない部分のストーリーが始まったのです。
そしてそのストーリーは、私がそこから逃げ出すのではなく、それをしっかりと受け止められるようにしてくれたのです。なぜなら私の妻は1991年、ブカレストに出向き、そこで看護婦に連れられた3歳の男の子に出会いました。彼は歩くことも、話すこともできず、ただ声を上げるだけでした。彼は発達が遅れていたのです。
看護婦はその子を私の妻に渡して「この子を連れて帰らないほうがいいですよ。彼はダメな子です」と言いました。しかし私の妻はブカレストから私に電話をしてきて言いました。「今日私が会った子は、私たちが手に負える以上の子かもしれないけど、私の残りの人生、あの金髪の子がどうしているだろうかと考えることなくして過ごすことは不可能に思えるの」。私は言いました。「連れて帰ってきなさいよ」。その子がマイケル・ジョンソンです。
彼のブラックベリーとトゲといえば、その孤児を家に連れてきてから1年後、彼は筋肉萎縮症であると診断されました。この病を直す方法はありません。筋肉が成長することはなく、ただ弱くなっていき、筋肉がなくなっていくのです。ほとんどの子供たちは10代を過ぎて生きていくことができないのです。
そのような状況に面した時、「ブラックベリー」はどこだ、と問うかもしれません。どこにあるのか、教えて差し上げましょう。ティーンになったマイケル・ジョンソンは車椅子ですが、ある高校のバスケットボールのコーチであるフィル・ボリアーが彼に近づいてこう言いました。「マイケルはコミュニケーションが取れないにもかかわらず、“僕も愛してる”という3つの単語を言ってくれるのが私は本当に好きなんだ。私のチームに彼を招いて、私の選手に、最大の努力と、他人を思う心を教えてあげてほしいのだ」。
それと同時にこのすばらしい男、フィル・ボリアーは自身の高校の生徒に「愛してる」という手話を教えたのです。そしてその人差し指を相手に向ければ、「私も愛しているよ」という意味になります。
ですからこの子は、ダメな子であるという評価とは裏腹に、この高校をすっかり変貌させたのです。3年後、4年生のシニアナイトで選手みんなは彼らの名前、選手番号、そしてミルクリークのロゴの入ったブランケットを授与された時、マイケルは車椅子に乗ってバスケットコートの中央へ出て行き、シェリルと私はその後ろに続きました。
みんなは歓声をあげ、私が生徒の席の方を見ると、彼らはみんなこのようにしていました(「愛している」の手話)。
「ダメな子」なんて真に受けてはなりません。これこそが「ブラックベリーの瞬間」です。もしも状況が不可能に思えるようでも、その瞬間はあるのです。
今私が毎朝やる習慣があります。奇跡とも言える28歳になった彼のベッドルームに入ると、その瞬間を毎日味わうことができるのです。
もし今から何年か後に、誰も聞きたくないようなニュースを耳にしたなら、あなたの「ブラックベリー」はどこにあるでしょうか?
「ジョンさん、やっぱりあなたはガンです」とお医者さんに言われたなら、あなたの「ブラックベリー」はどこにあるでしょうか? 「ブラックベリー」とは、コミュニティのみんなが時間をとって「あなたのことを思っていますよ」「あなたが耐えられるように祈っています」というメールを送ってくれたなら、それこそが「ブラックベリー」です。
「ブラックベリー」はあなたの反対側からやってくるのです。次に誰かが化学療法を受けるときに、「私が助けになろう」と言うのはあなたの責任になるのです。
私たちは今、誰も所属したくないようなクラブに所属している状態ですが、私はあなたの支えになりたいのです、といった具合にです。そこに「ブラックベリー」があるのです。
もっと大きなスケールで考えて見てください。あなたがどんな職業についたにせよ、私たちはこの惑星の隣人なのです。あなたのおっしゃった通りです。(前のスピーカーを指して)親切こそがすべてです。できる限りこの惑星を小さくすると言うことです。ソーシャルメディアを使って人々との間に溝を作ったりせずに、お互いが一緒に支え合うと言うことです。
それは対立し合うということではありません。他の人を骨抜きにするために攻撃し合うということではありません。そういうことではないのです。これは私があなたを助けるということなのです。あなたが隣にいる人を見て、その人を支えるということなのです。
ここにいる、ビジネスを専攻していたみなさんにはこの問題の答えがわかるでしょう。リッツカールトンホテルのスローガンはなんだったでしょうか? レディースアンドジェントルマンが、レディースアンドジェントルマンに対してサービスをする、というものです。私たちみんなができることです。声のない人のために、声を上げることができるのです。忘れ去られた人のために行動を起こすこともできるのです。虐げられた人を元気づけることができるのです。それに励みましょう。
私は一生懸命働くということに全力を注ぎます。これは世代を超えて共通することの1つです。これに代わることはありません。あなたが全力を注ぎ、成功するとき、謙遜さを示してください。感謝を示してください。慎みを示してください。そして仕えるのです。自分が必要とすることの先を見据えてください。
そしてほかの人の必要や目標に向かって助けを差し伸べるのです。私たちは実際、仕事についてたくさん話をしますが、そのほかにたくさんの生活に関わることがあるのです。そしてそこにはたくさんのブラックベリーがあるのです。
ですから、時速90マイルで走ることはしないでください。落ち着いて、ゆっくりと景色を楽しんでください。そうすれば自分のブラックベリーを見つけることができるでしょう。そしてそれをほかの人にも分け与えることができるでしょう。
私は自分の人生が終わりに近づいているときに絶対に口にしない言葉を知っています。「もっと仕事のオフィスで時間を過ごすべきだった」という言葉です。私は最後にみなさんのために書いた言葉で締めくくりたいと思います。なぜなら私はターナーにいたときに詩を書いていたからです。聴衆の中にいらっしゃる本当の詩人の方には申し訳なく思います。これは本当の詩ではないからです。
(会場笑)
なにを言い出すのかと頭を抱えていらっしゃる方がいるでしょう。(ドクター・スースの『きみの行く道』の本を抱えて)みなさんはこの本をご存じでしょう?
2001年、私はNBAのドラフトをしていました。指名される選手の中にノートルダム大学のトロイ・マーフィーという名前の選手がいました。彼のバイオグラフィーのなかに、彼のお気に入りの本が『きみの行く道』であると書いてあったので、私は読んでみるべきだと思い、この本を手にとりました。そしたらすっかり気に入ってしまいました。
私は地球上できっとこの本を購入した最後の人かもしれません。私はこの本について聞いたことがなかったのです。この本は奥深いです。私は今晩あなた方に向けてオリジナルのバージョンを書いてまいりました。ですから先に本当の詩人のみなさまに謝罪するとともにドクター・スースに感謝をしておかなければなりません。それではお読みします。
(以下、詩の朗読)
おお、君が行く場所、君が行ったことのある場所。どこに行くのか、なぜ、どのように、いつ行くのかわからないかもしれません。しかし私はこれだけは知っています。あなたが成功してきたこと、目標に向かってきたこと、希望を高く掲げてきたこと、そしてストレスも。
あなたはそのような日々を振り返り、懐かしく思うでしょう。
フレッシュマンの時にパーク・ホール行きのバスだと思って乗り込んだバスで、思いがけずジヨージア・スクエア・モールについてしまったあの時、自分がバカだと感じたかもしれません。
(会場笑)
一晩中徹夜で狂ったように勉強した日々。本の字が歪んで霞んで見えました。友達はみなバーボンを飲んでいることがあなたを不安にさせました。
あなたは彼らを犬のようであるとみなしたでしょう。レクチャーを通して多くを教えてくれた教授たち。ある日その日々を振り返って、「アテネでのすばらしい日々は瞬きのように一瞬で過ぎ去ってしまったな」と思うことでしょう。なぜなら今大学生活が終了し、未来が待っている状況にいるからです。
あなたはついに労働力の只中に入るのです。これは本当に興奮することですもあり、恐ろしくもあります。これは本当に恐ろしいことかもしれません。計画を持ってください。ゴールを持ってください。A地点からBへ、Cへ、Dへどのように行くことができるのか知るための地図を持ってください。一生懸命働いて道を作ってください。ブラックベリーを味わうのです。あなたの心がそう言う時には、筋書きから逸れてください。
おお、あなたが参加する産業界の有名人たちとのミーティング。あなた方のなかには実業家やもしくは無能な者、CEOやCFO、そしてVPSになるでしょう。日々多くの人に出会うでしょう。テキストメッセージを通して出会う人もいるでしょう。ビジネスについて話す時間もあるでしょうが、その時間が終わったなら、突然でもいいので友情を育んでみてください。
それから重要な仕事の選択から配偶者の選択など、自分の運命を作っていくのです。もう心に決めた配偶者がいるかもしれませんし、探しているところかもしれません。いずれにせよ、仕事のせいでホームクッキングができないと言うようなことがないようにしてください。
(会場笑)
あなたがそのような方向に進むなら、自分の子供を育てることになるでしょう。子供たちに多くのことを期待してください。ただ、完全さを期待しないでください。なぜなら彼らは両親と同様に失敗をするからです。
どうすればいいか知っている母や父は存在しません。旅の途中で直面する問題があります。お医者さんの一言で自分の世界全体が揺らぐかもしれません。しかし私はそのような時のためのいい方法を見つけました。信仰と愛と希望があれば、それはすぐに元どおりになるのです。
深く見てみれば目的を見つけることができるでしょう。隠すことができない情熱を見つけるのです。他の人のために機会を用いるのです。自分の視野を広げるのです。
時には自分の予定を縮小する必要が生じるかもしれません。今夜の出航と共に作られるこの記念。この人生にスウィングするのです。公園の外まで飛ばしてください。あなた方の偉業は本やブログで拝見することができるでしょう。17期クラスのみなさん。あなた方は大した者です。
ありがとうございます。
(会場拍手)
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