2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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ビル・ゲイツ氏:ありがとうございます。みなさんこんばんは。グラサ・マシェル氏、デラレイ教授。そしてマメロディの家族、友人、各高官。
ネルソン・マンデラの名を冠した講演ができるなんて、これ以上の名誉はありません。“共生”という今年の講義のテーマにもとても興味深く思っております。
“共生”とはまさにピッタリな言葉です。なぜならネルソン・マンデラの人生そのものだからです。彼が戦ったシステムはその反対側にありました。人々を分離し、表面上の違いが人類の共通性より重要というものです。
今日も南アフリカの人々は共生のためにおおいに闘争していますが、理想にこの上なく近づきつつあります。なぜならネルソン・マンデラやその他の人々が南アフリカの誓いを信じているからです。
(会場拍手)
ネルソン・マンデラがロビン島に送られた時、私は9歳でした。学校で彼を習った私は夜のいつものアパルトヘイトのニュースを思い出していました。
私が初めて彼と話したのは1994年で、南アフリカの選挙のファンドを助けてほしいということでした。私は当時マイクロソフトを経営しソフトウェアに従事していましたが、彼を慕い、またこの選挙は歴史的になるとわかっていたので、助けることにしました。
私の南アフリカへの初めての旅は1年前の1993年で、妻のメリンダと東アフリカへの旅行の時でした。
景色もきれいで人もフレンドリー、しかし貧困はというと、私たちが初めて目の当たりにしたときでもあるのですが、不快なものでした。そして、やる気にさせました。
アフリカの一部は貧困だというのはわかっていましたが、そんな抽象化は不正に変わります。私たちは事実を無視できませんでした。メリンダと私は、慈善活動に富を分け与えるだろうことをわかっていましたが、明らかな不公平を目にし、いかに早く行動し始めるかについて考えました。
この緊急の感覚が、マイクロソフト代表として初めてヨハネスブルグを訪れる1977年の旅に拍車をかけました。
ほとんどの時間をビジネスミーティングで街の裕福なエリアで過ごしましたが、マイクロソフトがコンピュータを寄付しているソウェトにも行きました。
今とは違い、当時のソウェト訪問は、いかに自分の暮らしてきた快適な世界の外を知る必要があるかを教えてくれました。
コミュニティセンターに入ると、電気が無いことに気がつきました。私が寄付したコンピュータを起動するために、彼らは延長コードを組み立てディーゼル発電機に接続していました。発電機が重要なものだということにすぐ気づきました。
このテクノロジーのギャップの重大さと同時に、これだけがすべてではないことも知りました。コンピュータは人を助けることができ、またそれがこの大陸の生活の進化にもなるということでした。しかしコンピュータだけでは病気を治したり子供を助けられません。また、コンピューターがつかなければ、それらはままなりません。
その後メリンダと私は基金を始めました。なぜなら待つ時間のコストはもう明らかだったからです。
私たちのアイデアはシンプルです。どこの誰であろうと、健康で生産的な生活を送るべきというものです。
この問題の学習と、人々がチャンスを掴むための助けの最大化について15年考えてきました。
ネルソン・マンデラを個人的に知ったのは、基金のため定期的にアフリカを訪れ出したときでした。私たちの基金の初仕事はエイズについてでした。ネルソン・マンデラはアドバイザーであり、インスピレーションの元でもありました。
私たちが話した1つに、エイズのスティグマがありました。2005年に彼の子供がエイズで亡くなったことははっきり覚えています。彼の子供の死の原因について黙っているのではなく、ネルソン・マンデラは公表しました。なぜなら病気を止めるには、恐れと恥に打ち勝つことが必要だと彼は知っていたからです。
ネルソン・マンデラの遺志を思い出すことは重要であり、そうできる機会を私はすばらしく思います。
彼は未来について考えていました。人が未来をよくできると信じていました。これからの話ではそこに着目したいと思います。
南アフリカはどう変わるか? アフリカはどう変わるか? 世界はどう変わるか? そのために私たちはどうすべきか?
2000年に国連に採用されたミレニアム・ディベロップメント・ゴールズ(MDGs)は基金を設立しました。それは過去15年でアフリカを含む世界に大幅な進歩を達成させたものです。
最近それと変わったサステナブル・ディベロップメント・ゴールズは、みなが望む世界を作るため、より野心的なターゲットを設定しました。
進歩について話す時、私はいつも子供の生存から話します。なぜなら子供の生存は社会の価値の基本的な指標だからです。
1990年より、サブサハラアフリカでの子供の生存率は54パーセントまで向上しました。25年前に比べ、死ぬ子供が毎年百万人少ないということです。10のアフリカの国が野心的なMDGsを達成し、3分の2まで子供の死亡率を減少させました。
それと同時に、貧困と栄養不足の指標は下がりました。過去数年で経済成長こそ伸び悩んだものの、多くのアフリカ国家は10年前に比べ大きな力を持つようになりました。これは真の進歩です。
しかしこれだけがアフリカの物語のすべてではありません。まず、進歩は均等ではありません。南アフリカではよく知られたことだと思います。
去年のネルソン・マンデラ記念講義では、フランスの経済学者トーマス・ピケティが、南アフリカでの収入の不平等についてこう言いました。「世界のたいていの場所より高い」。
一般的に、アフリカ諸国はほかの大陸より不平等率が高いです。順調なGDP成長率に関わらず、ほかの国が参入していません。不平等は、国内、そして国と国との間に存在しています。進歩がすべての人に行き届くまで、共生の誓約は曖昧なままです。
アフリカの進歩が目覚ましいとしても、まだ多くの指標で他国を下回っています。サブサハラアフリカでは、12人に1人の子供が5歳までに死にます。25年前に比べると大きな進歩ですが、アフリカの子供は世界の子供の平均より12倍死にやすいのです。
貧困率と栄養不足率が、人口増加のスピードに追いついていないため、貧困と栄養不足の人数は1990年より増加しています。
さらに、進歩はもろいものです。大陸最大の経済国である南アフリカとナイジェリアは、深刻な経済問題に直面しています。新たな脅威も注目を呼びます。エボラ危機は多くの国家のヘルスシステムの脆弱性を露呈しました。気候変動は多くの国の農場経営者が感じています。
サステナブル・ディベロップメント・ゴールズの野心的な目標について簡潔に述べると、アフリカはもっと多く、早く行動し、みなの利益を確保しなければならないのです。簡単ではありませんが、可能ではあります。
過去15年の成功と失敗はさまざまな事例と教訓を生み、今ではそれに倣うことができます。科学とテクノロジーの大きな進歩は発展においての解決策の拡大となっています。さらにそこには、アフリカの人たちの工夫もあります。
ネルソン・マンデラが何度も立ち返ったトピックの1つに、若さの力があります。彼は自分の言っていることを理解していました。なぜなら、アフリカ国家コングレスユースリーグのメンバーとしてのキャリアを彼は20代の頃にスタートさせたからです。
若者の抑圧を強調することが、なぜ変化が必要かを説明する強力な方法だと後に彼は気づきました。若者にはチャンスが与えられるべきだという普遍的なアピールがそこにはあるのです。
若者についてのネルソン・マンデラの意見に私も賛成です。それがこの大陸に希望を持つ理由でもあります。人口的には、アフリカはもっとも若い大陸です。その若い力は特別なダイナミズムの源となります。
次の35年で、20億人の赤ちゃんがアフリカに誕生します。2050年には、全世界の40パーセントの子供はこの大陸に存在することになるのです。
経済学者は経済的な人口統計の配当を議論します。より多くの労働者と、それより少ない被扶養者により、強力な経済成長ができます。1970と1980年代の東南アジアでの急速な経済成長は、働く多くの若者に部分的に牽引されました。
しかし私にとっては、若者の重要なポイントは、その考え方です。イノベーションの扱い方において、年寄りよりも彼ら若者のほうが上です。なぜなら彼らは過去の限界にとらわれていないからです。
19歳でマイクロソフトをスタートさせた時、コンピュータサイエンスはまだ若い分野でした。コンピュータになにができてなにをすべきかという古い考えにはとらわれていませんでした。次の大きな夢を描き、アイデアとツールのため自分の周りの世界を開拓しました。
マイクロソフトだけではありません。スティーブ・ジョブズはアップルを始めた時21歳でした。マーク・ザッカーバーグがフェイスブックを立ち上げたのは19歳。
アフリカの企業家はスタートアップブームを牽引し、シリコンサバンナ、ヨハネスブルグ、ケープタウン、ラゴス、ナイロビにまで渡ります。それらは若者たちの時代です。彼らが立ち上げた何千ものビジネスは、すでに大陸で毎日の生活を変えています。
今回、こういったイノベーターの数人に会います。コンピュータプログラミングを教えるべくケニア最初のソフトウェアコーディング学校を創設した21歳や、リサイクルプラスチックのショッピングバッグから学校カバンを生産する南アフリカの23歳の社会起業家です。通学時に見えやすく子供を守るだけではなく、ソーラーパネル搭載で帰宅時に道を照らし、家庭での学習が可能です。
(会場拍手)
増え続けるアフリカの人口とイノベーションの才能をかけ合わせれば、十分なリターンが期待できます。これはアフリカすべての若者にチャンスを与えられるかにかかっています。
ネルソン・マンデラは言いました。「貧困は自然なものではなく人が作り出したものであるから、人類の行動によって根絶し打ち勝つことができる」。
行動を起こさなければいけない人類は私たちです。そして今、決断しなければならない。なぜならこの希有な時は続かないからです。若者の前の障害を取り除き、すべての可能性をつかみ取るために。
若者が病気で栄養不足なら、肉体と脳は完全には成長しません。教育がなければ、思考は眠ったままです。経済的機会に恵まれなければ、ゴールの達成は不可能です。
正しいものに投資し、アフリカの若者の基本的なニーズがケアされたならば、彼らは未来を変えるのに必要なリソースを手に入れるのです。
この大陸の人生はいまだかつてないほど早い。人々を分かつ不平等は、まさに共生ともいえる幅広い進歩により消えつつあります。
(会場拍手)
メリンダと私が15年前に基金を始めたとき、自分たちに問いかけました。最大のインパクトがある領域はなにか。ヘルスケアへの投資が重要なのは明らかでした。健康でないと、ほかのことに集中できない。しかしヘルスが向上すると、人生は確実によりよくなる。
過去15年で、私たちの基金は90億ドル以上を寄付しました。そして今も投資に力を入れています。次の5年で、私たちはさらに50億ドル投資します。
(会場拍手)
このお金の一部は感染症を防ぐための薬やワクチンの発見と開発にあてられます。もっともニーズがある人への解決策として、大陸をまたぐ国同士のグローバルパートナーシップにも投資しています。
すばらしいパートナーたちと働けて私たちは幸運です。ともに、とてつもない進歩を目にしてきました。
例えば、アフリカ全土で2年ポリオは発生していません。
(会場拍手)
地球上からポリオを根絶することすら可能です。
2つの悲惨な病気、肺炎と下痢から子供を守る最新のワクチンは、アフリカ中の子供に届いています。裕福な国の子供と同じ状況です。
強力なコミュニティベースのヘルスケアシステムに投資する国、マラウイ、エチオピア、ルワンダは子供の死亡率減少で大きな進歩を達成しています。よりよい治療と予防によって、マラリアの感染と死亡は大きく減りました。
ワガドゥグーパートナーシップなどの努力は何百万人もの西アフリカの女性が避妊具へアクセスする助けになっています。そして家族の世話が楽になります。
(会場拍手)
HIVやエイズも進展の目覚ましい領域です。複雑であり、まだチャレンジすべきことはありますが。数日後、ダーバンのエイズ会議で話します。2000年に、アフリカの数千人しか抗レトロウイルスを受け取っていませんでした。今では1,200万人以上が治療を受け、その4分の1以上が南アフリカに住んでいます。
(会場拍手)
この達成は相当なもので、何百万の命が救われました。しかし新たな感染率はいまだ高いままです。サブサハラアフリカでは24歳以下の2,000人以上が、毎日感染しています。1990年より、HIVで死ぬ若者の数は4倍になりました。
私たちはしっかり診断する必要があり、治療中の人のためにも治療を研究する人を見つけなければならないのです。
HIVと同時に、結核も多い病気です。南アフリカではそれらの併発もいまだ悲惨なままです。テストと治療のアクセスを簡単し、使いやすくする必要があります。
コンドーム、医療割礼、経口抗HIVウイルス薬といった今ある対処法以上のものが必要なのです。そして新しく、より優れた解決策が必要です。月1回でいい薬や、効果的なワクチンなどです。
新たなツール・治療のためのアクションを起こさない限り、サブサハラアフリカのHIVに関しては、困難を15年巻き戻すだけでしょう。人口増加もあり、今の私たちの行動はまだ十分ではありません。もっとやらなければなりません。
栄養はアフリカの喫緊の課題でもあります。大陸の3分の1の子供は栄養不足に苦しみ、成長を縮め、肉体と認識の可能性を奪います。さらに数百万人が微量栄養素不足に苦しんでいます。このインパクトは生涯続くものであり、アフリカの若者のすべてに関係します。
アフリカ開発銀行のプレジデント、アキンウミ・アデシナは最善の言い方をしました。アフリカの経済発展への最高の貢献は物理的インフラではなく、曖昧な領域のインフラで、人間の脳の力です。そういったインフラを作る最善の方法は、適切な栄養です。栄養不足を排除しない限り、そこにある可能性にたどり着くことはできません。
子供にとっては、母乳がとても重要です。一定のビタミンやミネラルが子供には欠かせません。
栄養をサポートする方法は沢山あります。栄養強化された料理油、ビタミンAを強化した砂糖、鉄分、亜鉛、ビタミンBが豊富な小麦粉や砂糖です。
もっともすばらしい進歩の1つが、作物の育成です。自然に栄養が行き届くためです。
例えば思春期の子供が鉄分強化のパールミレットを食べた際、鉄分不足は6倍減少する見込みがあります。カップ半分のバイオ強化オレンジスイートポテトで、1日に赤ちゃんが必要なビタミンAの量に達します。
微量栄養素不足の被害は大きいですが、それに対処するコストは大きくありません。ナイジェリアとウガンダの最近の統計では、発育不足への投資1ドル分で、職場での17ドルのリターンがあるとされています。
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