2024.10.10
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ジャクソン州立大学 卒業式 2016 ミシェル・オバマ(全1記事)
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みなさん、こんにちは! ワクワクするわね!
(会場歓声)
すごい! みんな元気?
(会場歓声)
わかったわ、もう私のことは十分。今日はあなたたちの日だもの。
はじめに、マイヤーズ博士に先ほどのすばらしい紹介と、もっと重要なことですが、この優秀な大学におけるご指導に感謝したいと思います。また、ヤーバー市長、トンプソン下院議員、そして今日私たちと共にここにいる公選職員のみなさんと国会議員のみなさんにも感謝を捧げたいと思います。
そして、ペリー氏や理事のみなさん、ブレイン博士、ローズ牧師、そしてもちろん、ジャクソン州立大学の教職員やスタッフのみなさんにも。ここで少し時間を取って、あなたたちが今日という日を迎えるのを後押ししてくれた人たちに大きな拍手を送りましょう。
(会場拍手)
すばらしいおもてなしをありがとう。ここ以外のどこにも行きたくない気分だわ。ちょっと時差ぼけ気味だけど、私は今、あなたたちを祝福するためにここにいる。
(会場歓声)
うれしいわ。今日美しい音楽を届けてくれた交響楽団と聖歌隊の方たちにもお礼を言いたいわ。みなさん最高よ。
そしてもちろん、話を進める前に、あなたたちを今日まで支えてくれたスタンドにいる人たちに拍手を送らなくてはね。お母さんやお父さん、兄弟、姉妹、祖父母、いとこ、友人、そして隣人のみなさんに拍手を送りましょう。拍手を!
(会場拍手)
そして最後に、あら、なんて器量のいい人たちなのかしら、ジョンソン州立大学2016年度卒業生のみなさんへお祝いを言いたいと思います。
あなたたちは祝福に値するわ。この日を迎えるためにどれだけ一生懸命勉強したのか知っていますからね。夜遅くまで勉強して、論文を書いたり書きなおしたり、試験をたくさん受けたり。大変よね。
でも過去数年間、いくつか楽しいこともあったって聞いたわよ。ギブズ・グリーン・プラザでたむろしたり、ホースシューのホット・スポット・フライデーに行ってみたりね。
(会場歓声)
あんまり興奮しすぎないで。ママとパパがスタンドにいるわよ。
(会場笑)
ホームカミングやタイガーフェストのために準備をしたり、国内でもトップクラスのマーチングバンド、ソニック・ブーム・オブ・ザ・サウスと盛り上がったり。
ひっくるめて、あなたたちはみんな「優秀な16年度卒業生」ね。自分たちのことをそう呼んでいると聞いたわ。
(会場歓声)
そして、あなたたちはこの大学から、歴史に名高く受け継がれてきたものにまさに今加わろうとしています。総勢たった20人の生徒しかいない、ほんの小さなバプテスト派の神学校として始まった大学からね。たった20人だったの。でも今日では、全国、そしてこの州の、ちょうどこのスタジアム(会場となっているスタジアム)まで達する遺産を持つ大学です。
今日はそこから話を始めたいと思います。この名高いスタジアムと、それがこの国の歴史に占める位置についてね。
さて、このスタジアムが建てられた1950年、ここは国内屈指の立派なスタジアムで、すぐにミシシッピの誇りとなりました。
でもこの美しい総合スタジアムの物語には、負の側面があります。長年にわたって、ここは人種差別を強固に、かつ明確に賞賛する印でした。なぜなら、黒人差別法により、このスタジアムのゲートを通ることが許されるのは白人のチームとファンだけだとされていたからです。
1962年のミシシッピ大学のフットボールの試合の際に、このスタジアムは実質的に黒人差別法賛成派の集会の場所となりました。ファンが南軍旗を振り、「ネバー・ノー・ネバー」という歌を歌いながら、自分たちの大学にアフリカ系アメリカ人が入学することを抗議したのです。
ハーフタイムまでに、彼らは州知事に話をするように説得しました。知事はほんの3つの文を言いました。「私はミシシッピを愛しています。ミシシッピの人たちと、私たちの慣習を愛しています。私たちの伝統を愛し、そして尊敬しています」とね。群衆は熱狂しました。彼がどういうつもりで言ったのかはっきりとわかっていたからです。
その試合は、この国の全土に火をつけ、たびたびここミシシッピで激しく燃え上がった、公民権のための戦いの1つの小さな瞬間でした。ミシシッピは、エメット・ティルという14歳の少年が殴られて殺された州です。NAACP(全米黒人地位向上協会)の指導者、メドガー・エヴァーズが暗殺された州です。留置所がフリーダムライダーたちでいっぱいになった州です。あなたたちのキャンパスで銃声が鳴り響き、若者たちを殺し、寮の一室を今日でも見られる銃痕で汚した州です。
このような背景にも関わらず、1967年10月のある日、このスタジアムで実に驚くべきことが起きました。長年にわたり、ミシシッピ州が人種差別を廃止するように求める法的そして政治的な圧力は高まっていました。そしてその年の秋、州はついに、黒人の2チームが初めてこのスタジアムで試合をすることを発表したのです。そのチームとは、グランブリング州立大学と、そうです、あなた方ジャクソン州立大学のタイガースです。
(会場拍手)
さあ、ちょっと考えてみて。この2チームとそのファンが感じていたプレッシャーは想像できません。ずいぶん長いこと、この競技場は白人だけの、ミシシッピの誇りでした。しかしその試合では、黒人のファンがこのスタンドを埋め尽くすのです。黒人の監督がこのサイドラインを歩くのです。黒人の選手がこの競技場で汗をかき、血を流すのです。
世間はどのように反応するでしょうか? 人種差別の勢力が抗議の暴動を起こしたり、もっと悪いことが起こるのでしょうか? 当時のある選手が言ったところによると、これは引用ですが、「とても険悪な事態になる可能性は間違いなくあった」のです。
ですから、当時のジャクソン州立大学の監督、ペイジ監督は、自分のチームをどのように心構えをさせようか必死に考えました。彼は選手たちを座らせ、2つの目的に集中しろと伝えました。1つ目。グランブリング州立大学に勝つことですね、もちろん。全国トップレベルのチームです。2つ目。争いを超越し、よい手本を示そうと言ったのです。なぜなら州全体が、アメリカ中が見ているからです。
そのため選手たちは、自分たちの靴が磨かれ、紐がきちんと結ばれているか確認しました。彼らは誤ってロッカールームでなにかを壊したり、タオルを持ったまま外に出て行かないようにかなり気を配りました。
なぜなら、例の選手が言ったように、これも彼の言葉ですが「私たちはみんな、自分たちの家族、故郷、コミュニティの見本になりたかった。次の黒人のチームが使えるように、スタジアムを可能な限り大事に使いたかった」からです。そうして彼らはロッカールームを出て、全力でプレーしました。
そしてジャクソン州立大学はその試合に勝ちました。グランブリング州立大学がそのシーズンで負けたのは、この試合が唯一でした。でももっと重要なことに、世間は黒人がこのスタジアムに足を踏み入れるとなにが起こるのかを目撃したのです。
なにを見たかって? 人々がフットボールの試合を楽しんでいるのを見たのです。このスタジアムで以前に開催されたほかの試合と同様の技術やスポーツマン精神を見たのです。
ですから、単にスポーツマン精神を示し、発揮することで、選手や監督やファンは、この国の歴史を作った偉人たちの長い列に加わりました。校舎やデパート、軽食用カウンター、そしてほかのあらゆるところで、この国を常に前へ進めてきた、長い年月をかけて有効性が証明された方法を使った人たちの列です。
彼らは、彼らの抑圧を要求していた人たちのレベルまで身を落とすことはありませんでした。ちょうどその反対のことをしたのです。彼らは立ち上がり、狭量さに対して、気高さと高潔さと優秀さで戦ったのです。
これがキング牧師の「山頂」への定番の道です。私たちの前の無数の男女が通った道です。犬や警棒や消火ホースに祈りや希望、断固とした決意で勇敢に立ち向かった、有名な公民権運動の指導者や一般人たちが通った道です。
なぜなら、キング牧師が教えてくれたように、「闇は闇を追い払うことはできない。光だけがそれを可能にする。憎しみは憎しみで追い払うことはできない。愛だけがそれを可能にする」からです。
卒業生のみなさん、私は今日、この人生に対する考え方は、歴史の本で読めばいいだけのものではないということを伝えるためにここにいます。これは毎日をどのように生きるかという指針なのです。
なぜそれを知っているかって? この取り組み方の力を間近に、個人的に見てきたからです。高潔さや優秀さという言葉を聞くと、私は夫(バラク・オバマ大統領)のことを思い浮かべます。
(会場歓声)
自分がえこひいきしていることは自覚しているわ。彼のことをかわいいと思っているしね。
(会場歓声)
でもこの道をバラクと共に歩んできて、争いを克服するとはどういうことか、地平線を見るとはどういうことか、次の世代のために状況を改善しようと人生を捧げるとはどういうことかをよく見てきました。いかなる瞬間にどんなに醜いことが起こっていたとしても、バラクがいつも最後まで諦めないのを見てきました。
(会場拍手)
彼が毎晩遅くまで起きていて、読んだり書いたり、大統領が下さなくてはいけない不可能と思えるような決断に取り組むのを見てきました。私は彼の、あらゆる背景を持つ人々を参加させるための不断の努力に鼓舞されてきました。自分の意見と異なる人たちの話を丁寧に聞いて、共通の課題を解決するために人をまとめているのです。
そして毎週、彼が全国から送られてくる手紙を読むのを見てきました。そして実は、バラクは返事を書いているんです。彼らこそが自分が仕えている人たちだと知っているからです。
私は彼が、極限状態にいる、しばしば発言力を持たない人々を助けることに専念するのを見てきました。シカゴでコミュニティ・オーガナイザーだった日々から、今日のホワイトハウスでの時間まで、それが彼の人生の仕事なのです。
そして私たちはみんな、その共感、準備、道徳的指針、厳格な労働倫理が過去7年間の非常に大きな進歩に繋がったということを知っていますね。新たな大恐慌の瀬戸際だったのが、企業が1,400万以上の新しい仕事を創出するまでになりました。失業率は半分になりました。赤字は3分の2まで下がりました。
高校卒業率はもっとも高い記録となっています。現在、これまでより2,000万人以上多くの人が健康保険に入っています。そしてこの国の人たちは、ようやく愛する人と結婚することができるようになったのです。
国際舞台では、私たちの軍隊の大部分は今、自国に帰ってきています。そして私たちの国は、気候変動に関して現実から目をそらしてはいません。ええ、私たちは気候変動を食い止めるために先頭に立っているのです。
もっと続けることもできますよ。これがこの大統領のもとで私たちが見てきた進歩なのです。それこそが、8年前にみんなが「これが可能だったらいいのに」と願った変革です。
それにも関わらず、あまりにも頻繁に、私たちはこの変革を認めたり祝ったりするのではなく、軋轢や論争に注目する傾向があります。
私たちは、行動を阻止する人、裁判官を阻止する人、移民を阻止する人、最低賃金の引き上げを阻止する人に絶え間ない注意を払っています。ただ阻止する人たちにです。
私たちはフツフツと煮え立つ怒りや憎悪に、悪意に満ちた不和を生じさせる言葉を使って互いに叫んでいる人々に、圧倒されてしまっているのです。そして、その言葉が個人攻撃として夫に注がれることも、数えきれないほどあります。
彼がアメリカを愛していないといった告発です。上下両院合同会議の前で嘘つきと呼ばれた時です。出生証明書と神への信仰に関する絶え間ない質問です。
政治とは常に荒っぽいものだということは知っています。また、議論を起こすような討論の最中に、善意のある人たちが熱くなってしまうこともあるということも知っています。
24時間絶え間なくニュースが流れている現状、Facebookのフィードが自分とまったく同じように考える人の声に限定されており、もっぱら自分が聞きたいことだけを知らせるテレビやラジオの番組にチャンネルを合わせるこの時代では、私たちの意見の相違がより個人的で激しいものになったのは驚くべきことではありません。私たちがあまりにも頻繁に、自分とは違う意見を卑しめたり却下したりするのは驚くべきことではないのです。
でもこの国を常にかき乱してきた昔からの論点について認めなかったら、私たちは自分を偽っていることになるでしょう。多くの人が気づかないように隠してしまいたいと思うような問題です。そのような難題は現在もまだ私たちと共にあります。それは否定できません。
しかし、卒業生のみなさん。このような不安定な時でさえ、この時代の間に見てきた変革のことを知らないふりをするのは不公平になります。
肌の色のために大学やホテルから締め出されたり、バスの最前席に座っていることで逮捕されたり、隔離されたトイレや水飲み場を使うように強制されたりすることはもはやありません。投票が許される前に憲法を暗唱したり、瓶に入ったジェリービーンズの数を正確に言い当てるような選挙権のためのテストをされることもありません。ですから、私たちはここアメリカで進歩をし続けています。
でも私たちは、過去の闇が完全に消えたわけではないということも知っています。私たちが成し遂げたあらゆる進歩にも関わらず、あなたたちの多くが暗い部分を毎日目にしていることを知っています。
それは、あなたがどこかを運転している際に、とくに理由もないのに停車する時かもしれません。それは、あなたが店に入って買物をする際に、人々がとくに厳しく目を光らせてくる時かもしれません。それは、あなたが歩道を歩いている際に、あなたがやって来るのを見た人が通りを横断する時かもしれません。
それは、あなたが住む地域の期日前投票所がたまたま閉まっていたり、投票するために必要な身分証明書に関する法律が次々に可決される時かもしれません。それは、法律にも関わらず、現在でもまだ変わることなく隔離されている不平等な多くの学校かもしれません。
もしくは、現在もあまりにも多くの人に対して、厳密に平等な裁判を提供していない刑事司法制度かもしれません。もしくは、過去の痛ましい遺産を乗り越えるのに今なおあがいている地域かもしれません。
ほかのことが言えたらよかったのですが、卒業生のみなさん、問題はこのような争点にあなたが直面するかどうかではないのです。問題は、そうなった時にどうやって反応するかなのです。あなたはお手上げと諦め、進歩は決して訪れないのだと言うでしょうか? 怒って攻撃に出るでしょうか? 内向的になり、絶望と落胆にただ屈するでしょうか?
それとも、深呼吸をして背筋を伸ばし、顔を上げ、バラク・オバマが常にしてきたことをするでしょうか? 彼はこう言っています。「低レベルなことをされたら、私は立派なことをする」と。
(会場拍手)
それがバラクと私が選択したことです。それにより、私たちは長年にわたって正気を保ち続けたのです。私たちは単純に、頭や心や魂に闇の存在を許さないのです。そのかわり、私たちは信仰を選びます。自分自身への、そして勤勉の力への信仰です。圧倒的な愛で毎日私たちを力づけてくれる神への信仰です。それが私たちの選択です。
(会場拍手)
私たちは愛を選びます。子供への愛、彼らによりよい世界を残すという約束です。私たちに実に多くの祝福や強みを与えてくれた国への愛です。国民のみなさんに対する愛です。子供を養うために一生懸命働く親、私たちの安全を保つためにすべてを危険にさらす軍服を着た男女、厳しい環境のなかでも夢を信じるのを決してやめない若者たち。あなたたちの多くのような若者たちです。
それが私たちが選んでいることです。そして私たちは優秀であることを選びます。すべてのたわごとを追い払い、私たちが行うことすべてで優秀であろうと努力しています。手抜きはしません。近道もしません。愚痴も言いません。毎回120パーセントの力を出します。なぜなら、優秀さは信じない人や憎む人に与えることができるもっとも有力な答えだからです。
(会場拍手)
それはまた、あなたが自分にできるもっとも有力なことでもあります。なぜなら、努力し、苦労し、自分自身を新たな高みへと駆り立てる過程、これが神に与えられた才能を伸ばす方法だからです。これが自分をより強く賢くし、ほかの人のためによりよい影響をもたらすことができるようになる方法だからです。
ですから、これらがバラクと私が選んだことです。なぜなら、この国の歴史を知っているからです。私たちは、常に難題や障害があるということを知っています。でも同時に、今日通り組んでいることは、数十年前に人々が直面した暴力、差別、憎悪に比べたらたいしたことではないということも知っています。
そして、今が不安定な時代のように感じられたとしても、公共の場で聞かれる争いの種になるような物言いに当然ながらぞっとしたとしても、今でも貧困や大量投獄や銃による暴力の問題と取り組んでいることに悲嘆にくれたとしても、このような問題が少しでも日の目を見ているということ自体が著しい進歩なのです。
全国の大多数のアメリカ人が憎悪の言葉に対して激しく反対しているというのは、著しい進歩です。これらの対話が黒人のコミュニティだけではなく、すべてのコミュニティで、全国レベルでされているというのは著しい進歩です。
ですから、卒業生のみなさん。この瞬間は間違いなく、変革のための歴史的なチャンスを与えているのです。そしてあなたたちの世代こそ、歴史上のほかのどんな世代よりも、このチャンスを掴むのに必要な手段と機会を十分に手にしているのです。
統計的なデータのことを考えてもらいたいと思います。今日、より多くのアフリカ系アメリカ人が大学を卒業し、職場で成功し、指導的な立場を引き受け、未来に対してより楽観的だと語っています。ところで、私もその楽観主義を共有しているわ。
ですから問題は、あなた方が、自分の能力と特権を変革を起こすために積極的に使う準備ができているかということです。あなた方が今日、その立派な角帽とガウンを着てこのスタジアムにいられるように激しく戦い、多くを犠牲にしてきた先人たちの遺産を尊重するのかということです。もしその遺産がなにかわからないとしたら、ある短い話をさせてください。
数ヵ月前、私はワシントン出身の10代の女の子たちと面会しました。そしてそのなかの1人が、「キング牧師なら今日起こっているもろもろの出来事についてなんと言うと思いますか?」と私に聞きました。私は、「その質問には誰も答えることができないわ。でも、キング牧師は簡単な質問で返すでしょうね」と言いました。「『あなたは投票しましたか?』とね」。
(会場拍手)
あなた方は投票しましたか? 私はその若い女性に言ったのです。メドガー・エヴァーズやほかの多くの人々が選挙権のために戦い、命を捧げた後で、今日ほとんどすべての選挙でアフリカ系アメリカ人の若者の半数以上が実質的に自ら公民権を奪っていることに、キング牧師は大きな懸念を抱くだろうと。
2014年の中間選挙では、アフリカ系アメリカ人の若者の投票率は20パーセント以下でした。若者の5人に1人以下しか投票しなかったのです。そしてここミシシッピでは、投票率は確実にそれよりも低かったのです。
キング牧師は、アメリカにおける進歩へのもっとも確実な道の1つは、投票用紙記入所を通っているということを理解していました。それがこの国でこれまでに達成してきたありとあらゆる進歩へのカギなのです。差別との戦いから医療保険制度改革案の可決までね。すべては投票用紙から始まるのです。
ですから、卒業生のみなさん。私たちのコミュニティを今なお苦しめている問題に対処するための方策を立てようとする際には、「投票の力は本物で、永続するのだ」ということを覚えていてほしいと思います。InstagramやTwitter上でたくさんハッシュタグをつけたとしても、もしあなたが選挙人名簿に登録されていなかったら、もしあなたが不在者投票をしなかったら、ソーシャルメディアの運動はSnapchatよりも早く消えてしまうでしょう。
(会場拍手)
もし私たちが基本的権利である選挙権を行使しなかったら、今まで戦ってきた進歩の多くは間違いなく危機に瀕するでしょう。議会は今までどおり行き詰まったままでしょう。州会議事堂は選挙権を後退させ、差別を法律に書き加え続けるでしょう。
私たちはそれをちょうどここミシシッピで目撃しています。2週間前にね。進歩がどれだけ早く音を立てて退行しうるか。少数派の人たちを、彼らがどんな人で、誰を愛しているかによって選り分け、社会的に周縁に追いやることがどんなに簡単か。
ですから私たちは、同胞みんなと協力しなくてはいけないのです。ストレート、ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの人たちと。そして、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒、ヒンドゥー教徒、移民、ネイティブアメリカンたちと。なぜなら、公民権への行進はアフリカ系アメリカ人のものだけではないからです。それはすべてのアメリカ人のためのものなのです。
それは、私たちの子供や孫のために物事をより公正に、より平等に、より自由にするということなのです。これがあなたたち全員に書き記すチャンスが与えられている物語です。それがこの歴史的な大学があなたたちに与えてくれた教育なのです。
ですから卒業生のみなさん、これが私からあなた方への今日の課題です。未来に名を残すことで、私たちの過去の遺産に敬意を表してほしいのです。
卒業生のみなさん、私はあなた方に、自分が信じる職業を選んでもらいたいと思います。ただお金を儲けるだけではなく、人のために実際によい変化をもたらすなにかです。そしてまだ戦っている人たちに手を伸ばし、一緒に引き寄せるためにできることをなんでもやってもらいたいのです。
卒業生のみなさん、私はあなたたちが行うことすべてにおいて一流であってほしいと思います。一流の上司になってください。一流の社員になってください。一流の親に、指導者に、教会のメンバーに、隣人になってください。一流になるのです。
そして卒業生のみなさん、くだらない侮辱や狭量な人と直面した時には、胸を張って、高潔さと思慮深さを持って対応することを願い、祈ります。なぜなら、卑劣なことをして世の中で成功する人は誰もいないからです。
そして最後に、卒業生のみなさん。今から数十年後、私が今日立っているこの場所に誰かが立って、その年の卒業生にあなたたちのことを話すのだということを覚えていてもらいたいと思います。ですから私たちは、あなた方が語り継ぐのにふさわしい人生を送ることを期待しているんです。正義への道を歩き続け、夢を叶えるために努力するよう次の世代を鼓舞する人生です。
なぜって、あなたたちがそれを、そしてもっと多くのことをすることができると知っているからです。だから私はここにいるのです。あなたたちがこの日を迎えられたことを、大いに努力し奮闘してきたことを、本当に誇りに思います。
もしあなたがここまで私たちを導いてくれた人たちの例にしっかりと従ったならば、もしあなたが信仰と愛を選ぶならば、もしあなたが常に高潔さと優秀さのために懸命に努力するならば、そうしたら、あなたが成し遂げられないことなんてなにもないのです。
私は心の底から言っているんですよ。私がここにいるのは、私が特別だからではありません。私はあなたたちだったのです。私がここにいられるなら、あなたたちだってできるはずです。
(会場拍手)
そしてもし自分が持ちうる影響力を疑うことがあるならば、この大学の歴史を思い出してほしいと思います。あなたが一員となったこの偉大な大学についてです。あの小さな神学校が、今ご覧のような著名な大学になったのです。全国でも有数の大きさと活気を誇るHBCU(歴史的黒人大学)になったのです。これがあなたたちの母校なんです。
(会場歓声)
自然科学や工業技術、芸術、教育、そしてほかのさまざまな分野を邁進していますね。みなさん、これがあなたたちが受け継いだものなのです。先ほど話をした、このスタジアムにおける人種差別廃止を促進した、あのジャクソン州立大学フットボール部の監督、彼のフルネームはロッド・ペイジと言いますが、彼は我が国初のアフリカ系アメリカ人の教育長官になりました。
(会場拍手)
そして、スタンドで「ネバー・ノー・ネバー」を歌いながら人種差別のために結集していた大衆は、50年後に、「Yes, We can」と宣言してアフリカ系アメリカ人の大統領を再度選んだのです。
(会場拍手)
卒業生のみなさん、それが私たちの国で可能なことなのです。それが、あなたたちのように情熱を持った、勇敢で有能な若い人たちが立ち上がり、先頭に立った時に歴史が選ぶ方角なのです。
あなた方にはその力があります。ここからでも感じられますよ。そしてここジャクソン州立大学で言われるように、世界は準備したほうがいいですね。なぜなら、あなたたちが今そこへ出て行くのだから。
(会場拍手)
みなさんのことが大好きよ。すばらしい1日を過ごせますように。あなた方の成功をいつも祈っています。みなさんに神のご加護がありますように。前途に幸あれ。みなさんのことを誇りに思っています。
(会場拍手)
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