2024.10.01
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マサチューセッツ工科大学 卒業式 2016 マット・デイモン(全1記事)
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マット・デイモン氏:レイフ学長、ありがとうございます。2016年卒業生のみなさん、ありがとうございます。
この栄誉ある日を、みなさんのご友人と教授、ご両親と共に分かち合えるというのは光栄なことです。しかしながら、正直なところを言いますと、この栄誉は自分が勝ち取った栄誉ではありません。
今まで卒業式のスピーチを述べたノーベル賞受賞者や国連事務総長、世界銀行総裁、アメリカ合衆国大統領というリストを見れば、アニメの馬の声を演じた男を誰が受け入れようかとも思います。
なんのアニメの馬かと疑問に思った人もいるでしょうが、みなさんが見て育った『きれいな涙 スピリット』という映画(注:馬が主人公なのに一度も人間の言葉を話さない)です。でも間違いなく、私の最高のパフォーマンスでした。アニメの馬としては、です。
(会場笑)
私は大学の学位を持っていません。ハーバード大学に行っていたことをご存知かもしれませんが、ハーバードを卒業すらできませんでした。それに近いところまでいきましたが、映画で役をもらい始めたこともあり、自分の取得していた課程をすべて終了できなかったのです。
でも私は卒業のキャップとガウンをもらい、父と母と兄と一緒に自分の同期生のなかを歩きました。一度も実際の学位を手にしなかったわけなので、偽の卒業だったと言われるかもしれませんね。
ですから、学長の奥様から連絡があり、MITの卒業式のスピーチに招いてくださったことでどれだけ興奮したかご想像いただけると思います。卒業式のスピーカーが家に学位を持って帰ることができないのは、どれだけ申し訳ないことなのかもご想像いただけるでしょう。
私の人生のなかで、自分の故郷において偽の卒業生となったのはこれで二度目です。私の母親と私の父親をもう一度ここに連れて来ましたし、私の妻と4人の子供たちを連れて来ました。子供たちよ、これが二度目の偽の卒業です。誇りに思ってほしい。
ここに来ている私の母は大学教授をしているので、彼女はMITの学位の重要性をわかっていますし、ハーバードやイエールのような安全な学校ならまだしも、MITの学位を私が決して手に入れられないこともわかっています。
私は事務所を持ったこともなく、やりたいことをやってきただけです。私はこの大学に入ることはできませんでしたが、この近所で育ちました。この堂々としたこの場所の陰で育ったのです。
私の兄のカイルや友人のベン・アフレック……彼はすばらしくいい人ですが、評価されすぎた感がありますね。
(会場笑)
我々はこのセントラル・スクエアで育ち、この街とこの偉大な施設は不安定な融合であるように見えました。というのは、MITというのは一種の男性で、非常に大きくて強い印象を持ち、非人間的な権力だったのです。これが私の大部分のこの地域の少年少女たちの反応でした。
ベンと私は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の映画の場面をここで撮影しました。いくつかの映画の場面は、私の兄のカイルに実際に起こったことを元にしています。
兄はMITで知った物理学者を訪ね、この長い廊下を歩きました。兄はアーティストなので、ホールに並ぶ黒板を見て、チョークを手に取り、信じられないくらい精巧なフェイクの方程式を書きました。それがまったくクールで、完全にふざけたものだったので、数ヵ月間誰もそれを消しませんでした。
(会場笑)
本当の話ですよ(笑)。
カイルが戻ってきたとき、こう言いました。「聞いてくれよ。あいつらは、ホールを駆け抜けて黒板を見に行くんだ。あまりに頭がいいから、全部なげうってでもこの問題を解決する必要があったんだよ」。
(会場笑)
それを聞いて、絶対にこの大学には入れないと思いました。
でも、後に我々は映画をここで制作しました。ですからこのキャンパスを見過ごすことはできませんでした。
私はMITの学校新聞に実際に掲載されていた『グッドウィルハンティング/旅立ち』のレビューから、いくつかの文章を読んでみたいと思います。もし、見ていなかったなら、惜しむべきロビン・ウィリアムと出演している場面なのですが、文章をここに引用します。
「『グッド・ウィル・ハンティング』は、エンターテイメントとして非常におもしろいが、MITを舞台にした映画はそうあるべきだ」。
(会場笑)
もっとあります。レビュアーは結末にこう書いています。「実際のキャラクターの成長が窓を飛び出し、ウィルとショーンが話し、お互いの問題を解決し、抱き合って泣く。泣いて抱き合った後、映画は終わるが、このような気分のよいうぬぼれだけでは、甘い気持ちで酔うことはできなかった」。
これには傷つきましたが、MITで泣くということもないので、心配しないでください(笑)。
私はここでは非常に幸福ですし、子供のころから尊敬しています。ボストンにMITがあるということは幸運なことで、非常にすばらしい学校であるということもわかっています。世界中からきたみなさんのような人々の注意を引いたということは、幸運なのです。
みなさんはこれらの建物のなかで非常にすばらしいスタッフと勉強していて、内容を理解したのなら、頭が揺さぶられるような理論やパラダイムシフトを経験したことがあると思います。
私の頭のなかにも1つあります。それをお話しましょう。シミュレーション仮説です。おそらくみなさんのほとんどが聞いたことがあるか、あるいはマックス・テグマーク(注:物理学者。MITの教授)の初心者向けではない授業で習ったことがあるでしょう。
シミュレーション仮説は、オックスフォード大学のニック・ボストロムという哲学者が提唱しました。宇宙のなかにある、我々の世界も含む何兆という世界のなかで、非常に発達した知性が存在していて、それが全世界をシュミレーションしているという可能性の話です。
私が理解した基本的な考えというのは、「我々よりはるかに知性の発達した文明が作った、巨大コンピューターのゲームのように壮大なシミュレーションが運用されている世界で、我々は生きているのか」というものです。これは、私たちの誰も知りません。多くの物理学者や多くの宇宙学者が支配できない領域です。
私は数週間前、ヘイデン・プラネタリウムの館長であるニール・ドグラース・タイソンが司会をしている、オンラインの議論を見ました。
大部分のパネリストの人びとは、これに対し決定的な答えを出せませんでした。タイソンはこの可能性の確立は五分五分であると述べていました。私は科学的なことはわかりませんが、この確率の数値に興味を持ちました。もし、世界がすべてシミュレーションであったなら、これはばかげた考えですが、つまり複数のシミュレーションがあったとするなら、なぜドナルド・トランプが共和党の大統領候補になる世界に私たちはいるのでしょうか。
(会場笑)
それは別の可能性に取り換えることができるのでしょうか。
テグマーク教授はすばらしい回答を示しました。「外に出て本当に興味があることをしなさい。そうすればシミュレーターがあなたを排除することはないでしょう」と。では、それがシミュレーションでなければ、なんなのでしょうか。いずれにせよ、私の答えは同じことです。なにかをするということが、その結果に影響を与えるのです。
MITのみなさん、本当に興味のあること、重要なこと、画期的なことを行うのです。というのは、実際のものであれ、想像上のものであれ、世界というものには、我々を必要とするなんらかの問題があって、そしてその問題にすべてを注力して、解決する必要があるのです。
ですから、みなさんは前に進み、世界の最悪なビュッフェのなかから、なにかしらの問題を取ってきてください。
経済格差、難民危機や気象変動や流行病、人種差別主義、恐怖にかられた脳の過剰労働。
ここアメリカやオーストリアのような場所では、第二次世界大戦以後初めて極右候補者があわや大統領選挙に勝ってしまうかもしれないという事態も起こっています。これは非常識な考えですが、英国にとって一番いいのは、ヨーロッパを切り離して海に向かって漕ぎ出すことです。
加えて、アメリカの政治システムは失敗しています。それは、議員が短期的にしかものを考えず、長期的になにかに従事することができないよう、2年おきの選挙のサイクルを採用したからです。メディアというのは、スキャンダルを煽り、彼らのパンツを下げようとしています。みなさんは要らない製品で折り合いをつけさせられています。そして、銀行のシステムというのは大衆の貯金を盗んでいます。
これは本当のことです。私は、政治家の事務所を運営しているのではありませんが、私が思うに、銀行員たちは歴史上最大の強盗をもたらしました。それは窃盗であり、それは詐欺です。ハンプトンズのほかの人が買った家を手にいれ、彼らの住宅ローンは水に沈ませました。彼らはお金を持っても我々の尊敬は得られないでしょう。これらは、自分で路上に出て行って見てそして考えたことです。
現世か来世かはわかりませんが、もし正義というものがあなたの前に訪れるとしたら、彼女の名前はエリザベス・ウォーレンでしょう。銀行の余談は、大きな問題の枝葉にすぎません。
みなさんがこの騒がしい世界の問題に対して一歩を足を踏み入れる前に、ビル・クリントン氏が私に10年前に教えてくれた、1つのアドバイスを贈りたいとおもいます。これはアドバイスというより、直接的な注文に思えるものです。
彼が言ったことは、「自分が見た問題に向き合い、そこに尽力すること」です。彼がそれを言った時には、文字通り自分の体を私に向けていました。これは、単純だけれども同時に、知恵を要します。ですから、私もみなさんに問題に向き合ってほしいと今日伝えたいのです。
自分の目で見て、相手の目を見て、自分自身について内省して、なにを行うか決めるのです。私の経験では、実際に足を運んで、実際に目で見ることに代わるものはありません。これは、洞察の力を借りることを必要とします。
私が10代の頃、母は「ボストンの外の世界を見ることは大事」と言っていました。それはフレイミングハムに行くということではありません。
彼女は私たちを、極端に貧しい生活を近くで見ることができるグアテマラのような地域に連れて行きました。これは、私の認識の枠組みすべてを変えました。同じ衝動から兄を2006年にザンビアに連れて行きました。ボノ(ロックバンドU2のフロントマン)が設立した、貧困や予防不可能な病気などと戦う組織のキャンペーンの一部として、発展途上国の小さなコミュニティーを旅しました。
私はそこで少女と出会いました。きれいな水を手に入れられる場所まで一緒に歩きました。彼女はちょうど学校から家に帰るところでしたが、私は彼女がきれいな水を手に入れるために学校に行くのだと知りました。もし水が近くで手に入るのなら、何マイルも歩く必要もなく、一日じゅう家族のために水を運ぶ必要はなくなります。
世界中で、多くの少女や女性たちが同じことをしています。私は彼女に「育った村に留まりたいか」と尋ねると、「ラサカにいって看護師になりたい」と言いました。きれいな水という基本的なことがこの子供にチャンスと夢を与えるのです。そして水や衛生状態についてよく知ることで、このような極端な貧困は解決できるのではないかと思いました。すべての地域共同体の経済や国々が現実には1杯の水次第なのです。
ただ、ある人たちはこんなことを考えるでしょう。「水に関する問題は、極貧と戦う努力の割にはセクシーでもクールでもない」と。でもこの問題は非常に大きく複雑で、私の心にひっかかりました。世界に出ていき、この少女のような人々と出会ったことで、「Water.org」という活動をすばらしいエンジニアであるゲイリー・ホワイトと一緒に始めることになりました。
ゲイリーと私は、こういった世界の問題の将来性について、私たちが疑問を提示することによって注目させることができると考えています。6.6億人の人々は、実際にプライベートな空間で安全できれいな水を飲むことはできません。トイレはプライベートで清潔な場所でもありません。
そして、それよりも多くの人々が携帯電話を持ちながらトイレに行くということが、私たちに「なにかしなければ」と決断させるのです。
外の世界では、さまざまな困難な問題に直面するでしょうが、また、なにものにも代えがたい喜びもあり、それはみなさん自身を大きく変えるでしょう。2009年の難民危機では、ニューヨーク・タイムスのこんな記事に目を引かれました。「人々はジンバブエの国境を越えてメッシナという南アフリカの小さな小さな都市に流れ着いた」というものです。
私は南アフリカで仕事をしたとき、メッシナに行って、なにが起こっているのか確かめようと思いました。リンポポ川を横切り危険な旅をした女性たちと話をすることができました。片側には山賊がいて、川のなかにはワニ、そして川のもう片側にも山賊がいました。女性たちは山賊によって暴行されていました。
また、旅行の最後に、非常にポジティブで楽しげな1人の女性と出会いました。南アフリカへの政治亡命を保証する書類が授与されたためです。陽気な会話の最中に、私は勇気を出して聞いてみました。「この南アフリカへの旅であなたは襲われたのに、どうして気にならないのか」と。彼女は笑いながら答えました。「そう、私は暴行されたけど、今はこの書類を持っている。あのならず者たちは私の尊厳を奪うことはできなかったの」。
人類はみなさんをハッとさせ、しばしば多くのことを教えてくれますが、みなさんはそこに関わっていかなければなりません。
私は単にそこに行ったという経験をしたにすぎません。それは困難な場合も多く、もちろん問題も山積みです。重要なのは、MITの外にはまだまだたくさんの問題がありますが、そこにはまた美しさもあるということです。
みなさんがその両方を見てくれることを望んでいます。丸くなった高潔な少年にならずに、そして死角を持つことのないように、物事をありのままに認識し、より大きな視野をもって把握することです。
私はこの近所で生まれ育ちました。とても多文化的なこの界隈です。そのころの私は、みなさんがご覧になっている中年の白人の映画俳優である今の私よりはいくぶんか未熟でした。
私が世界を見る時、自分の盲点がどこにあるのかはわかりませんが、世界をありのままに見てそれに関わっていくことは、自分の盲点を理解する最初の手段だと思いました。自分自身のことを理解することで、どんな問題を解決するのかを知ることができ、それが目標になるのです。
みなさんには、2、3の事柄を心に留めてほしいと思います。
まず、時にはみなさんは失敗をするでしょう。それはよいことです。成功の間、私はずっと幸運に恵まれていただけです。ですが、オーディションほど自分を形作ってくれたものはありませんでした。
ベンと私はかつて若い俳優向けのオーディションに通っていました。バスに乗り、ニューヨークで演技を行うために出番を待ち、1つのシーンのために心から泣いて、そしてこう言われるのです。「OK, thanks(オーケー、ありがとう)」。つまりこれはゲームオーバーだという意味です。私たちはオーディションに落ちることを「“OK, thanks”になる」とよく言ったものでした。これらの経験は自分の鎧になりました。
みなさんはこう考えるかもしれません。「ありがとうマット。確かに失敗はいいことだ。高校では教わらなかった話を聞かせてくれて本当にありがとうよ」。
MITの卒業生にとって一番の危険はなんだか知ってますか? 「OK, thanks」になることが危険なのではありません。本当に危険なのは、みなさんの卒業生のガウンをふくらませた煙です。いかにみなさんが異常に賢いかということに関するものです。
確かにみなさんは十分賢いですが、みなさんに投げかけられた誇大広告を信じないでほしいのです。みなさんはすべての答えを持っているわけでもないですし、持ってはいけないのです。よくないアイデアをほかの人と分かち合うようにするのです。私の場合、エドガー・プドワーカーという名のキャラクターを演じた時、それは悪いアイデアでした。
ですが、偉大な哲学者であるベン・アフレックにかつて言われました。「いいアイデアがどれだけいいものかで僕を判断してほしい。悪いアイデアがどれだけ悪いかではなく」。
みなさんは自分の鎧を身につけなくてはいけないし、底抜けのバカに見える準備もしなくてはいけません。答えを持っていないことは恥ずかしいことではなく、よい機会なのです。質問するのを怖がることはありません。私は偽の二度目の卒業生ですが、最初の卒業よりはものを知るようになりました。
2番目に、みなさんには聞くことを忘れないでほしいと思います。世界は、いいにせよ悪いにせよみなさんのアイデアを求めていますが、今日という日は、受信側から送信側に変わる日というわけではありません。一旦みなさんの教育は区切りがつきましたが、教育そのものは決して終わることがありません。
仕事以外の分野でさえ、自分自身に挑戦し続ける道はあるのです。ちょうど私がやっているように、オンライン講座を受講することなどです。私は哲学を受講していますが、19歳の頃よりも難しいと感じています。MITの公開講座や、Wait But WhyやTED.comに行くことができるでしょう。トランプ大学という存在すらあるのですから。
(会場笑)
私はそこで教えられているようなたくましい考えは持ち合わせていませんが。どんなことをするにせよ、人々がみなさんと反対の意見を持っていようと聞き続けることです。
先月オバマ大統領がハワード大学の卒業式スピーチで言ったことが非常に好きです。「民主主義はたとえ自分が100パーセント正義だとしても、常に妥協を必要とする」と彼は言っていました。私はこれを聞いて、「長い間、幸福な結婚生活を続けている男はそうなんだ」と思いました。
(会場笑)
これはファーストレディが間違っているということでもなく、けっして私の妻が間違っているということでもありません。ちょうど、彼女が4人の子供がいるというのに、救助犬をほしがっていますが、これは優れた決定です。
3番目にお伝えしたいのは、すべての問題をハイテクで解決しようとしないことです。テクノロジーは確かにわかりやすいし明白です。ですが、本当にそうでしょうか?
もし進んだ技術を開発し、提供すれば、どんな支援もできると思うかもしれません。イノベーションを起こすことができると思うかもしれません。MITの卒業生がWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)や核濃縮技術のイノベーションを起こしたように。なるほどみなさんがこれを誇らしく思うのは理解できます。
しかし、実際のところ、科学はすべての問題を解決できるというわけでもないのです。もう一度、水の問題に戻りましょう。
例えば、汚くて疫病を引き起こす水に対して、人々は常に迅速で科学的な判断を試みがちです。フィルターや薬剤をコップに入れて解決できるのではないかと。しかしながら、特効薬はありません。
問題はあまりにも複雑で、科学というものは、本当に役割の1つに過ぎないのです。たとえ水の浄化技術が信じられないくらいに進歩したとしても、企業や大学はまだゲームに参加しているにすぎません。
スーザン・マーコット教授がD-ラボで水と衛生問題に注目してくれているのはうれしいことです。しかしながら、彼女も科学だけがこの問題を解決できるのではないということに同意しています。公共政策や財務モデルにも同様に革新が起こる必要があるのです。
このような考えを背景に、私たちの方法論である「Water Credit」(注:マット・デイモンとゲイリー・ホワイトによって2009年に設立された非営利団体)があります。
「Water Credit」は、貧しい人々はすでに水のために支払っていて我々の解決方法に同様に参加したいのだという、ゲイリー・ホワイトの洞察を元にしています。「Water Credit」が人々をマイクロファイナンスの組織化につなぎ、地域や家庭のなかに水道やトイレを建設することを可能にするのです。この方法論は400万人以上の人々を助けています。これは最初の1歩にすぎません。
このローンは、99パーセント以上の返金です。先ほど話した銀行がどれだけ酷いかおわかりでしょう。これはまだセクシーではないと思いますが、でも間違いなく自分が参加したなかではもっともクールなことです。
締め括りに、みなさんに尋ねたいことがあります。「あなたはどんな問題を解決したいですか?」。
どのような答えであれ、簡単なものではないでしょう。時には、みなさんの仕事はヒットするかもしれないし、あるいは行き詰まるかもしれない。あるいは、ほんの少ししか進まないように思われるかもしれません。しばしば、マイケル・ダグラスのように白いスパンコールの軍服を着用して恋愛を演じることもあるかもしれません。私の仕事ではあり得ますね。
(会場笑)
みなさんの仕事は今日から始まります。そして真面目な話、みなさんはどれほど幸運なことか。みなさんがここにいる確率というのはどれだけあるでしょう。
地球の45億年の歴史のなかで、今まで生き、死んだ1,000億人のなかで、70億人というのがここにいる我々なのです。まさにみなさんが生きている時代は、段階的に消滅する潜在的なほんの一瞬です。この1つの時代では、ほんの一握りの人々がそのほかの人々よりも多大な影響を与えます。科学と技術はすべての問題に答えることはできませんが、どの問題においても欠くことはできません。
2016年MITの卒業生のみなさんはここにいる確率はどれほどのものでしょうか。何兆という、いつか存在する可能性のある人間たちがいます。その運命の大部分は、みなさんが行う選択やみなさんのアイデア、みなさんの頑固さや忍耐、みなさんの意思や尽力にかかっているのです。
もし、これが映画なら、ハリウッドの事務所で笑われることでしょう。そしてジョゼフ・キャンベルなら、少し賭けの数を抑えるように言うかもしれません。
しかし、不可能です。これは事実であり、フィクションではないのです。この不確実性は、実際に起こっているもので、今日の賭けはこれまで語られたどの物語以上のものです。みなさんがここにいて、みなさんがみなさんであることは、みなさんだけでなく我々にとってどれだけ幸運でしょうか。
みなさんが、自分自身で選んだ問題に向き合うことを願っています。そうしなければなりません。またみなさんが尽力してそれを解決することを願っています。2016年卒業生のみなさん、それがみなさんの人生です。みなさんがプレイヤーとなるゲームは今はじまったばかりです。
どうもありがとうございます。おめでとうございます。
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