2024.10.10
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ラトガース大学 卒業式 2016 バラク・オバマ(全1記事)
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Rutgersのみなさんこんにちは。今日はありがとうございます。この仕事やっててよかったなと思うときは、名誉学位をもらう時なんですね。家族は誰もすごいと思ってくれませんが(笑)。
(会場笑)
娘にも「給料上がるの?」と言われる始末です(笑)。
(会場笑)
委員会のみなさんも、今日は250周年記念に参加していただきありがとうございます。しかしなにより、2016年卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。
(会場拍手)
今日ここに来た理由は、単純に、Pork rollとTaylor hamの戦いに決着をつけるためです。
(会場笑)
まあウソですけどね(笑)。
(会場笑)
私がわざわざそれに決着をつけなくてもよさそうですしね。卒業スピーチに毎年呼ばれますが、3年かかって口説いてきたのはラトガース大学くらいですね。
(会場笑)
メール、手紙、Twitter、YouTube、生徒委員会長のおばあちゃんのノートもありましたね(笑)。
(会場笑)
私はおばあちゃんには弱いんです(笑)。
(会場笑)
9番出口からOld Raritanのそばで、今アメリカ植民地時代の9つの大学の1つにいます。大学のフットボールゲーム初の勝者ですね。
(会場拍手)
Big Ten(大学スポーツのカンファレンス)の最新のメンバーであり、あぶらっこいサンドイッチで有名な場所です。
(会場笑)
チーズステーキの上にモッツァレラスティックとチキンフィンガー。ミシェル(ミシェル・オバマ氏)は好きでしょうね(笑)。
(会場笑)
それでもあなたたちはまだ生きてる。Olde Queensの夜の後でもね。
(会場笑)
なにはともあれ、あなたたちはやりとげたのです。ラトガースを現在の高みに押し上げた、赤の騎士の一員になれたのです。250年前に便フランクリンの息子がクイーンズ大学を設立し、そこからラトガースはアメリカ最高峰の研究施設へと進化を遂げていったのです。
(会場拍手)
今では3Dプリンターが揃い、オフィスビル全体を太陽光で補うような場所です。そして今ではもっとも多様性のある学生がここにはいます。南アジアの学生と哲学を語り、バスでニュージャージーのラテンの女子生徒と話し、9.11後のGI billで通学するベテランとプロジェクトを進行するような場所です。ここにアメリカがあります。
(会場拍手)
ただしそんなアメリカの進歩は決して簡単なものではありませんでした。まっすぐではなくジグザグで、2歩進んで1歩下がるような道のりです。大学生活っぽくも聞こえますね、とにかく私はそんな感じでしたが。
(会場笑)
しかしそういったことも、人類の歴史と比較したら仕方ないことなのかもしれません。そもそもこの大学のほうがアメリカより歴史がありますから。
苦難な道のりかもしれませんが、進歩こそがアメリカの証でもあります。キング牧師は言いました。「モラルの弧は長く、そして正義へと続く」。
(会場拍手)
私は、それは自由、平等、己の繁栄にも通じると思います。そしてそれは自分の選択にかかっています。大きな変化が起こり、目移りしそうな状況ではとくに。
2016年卒業生たち。あなたたちは新たな千年の始まりのなかにいます。テロに大恐慌も目の当たりにしました。働き方やコミュニケーションが大きく変わる時代にいます。変化のペースはなお加速し、そこにはすばらしさだけではなく危険もあります。
幸運にも、あなたたちは、明るい未来のために必要なすべてをかねそなえている。恐怖や分離ではなく、協力と改革と希望に向かって決断してほしいのです。
(会場拍手)
私はあなたたちのことを自信に思っています。あなたたちは私の世代より賢いし、多分字も上手い。綴りチェック機能なんて昔はなかったですからね。
(会場笑)
あなたたちのほうが多様性に富んでいるし、環境に敏感だし、健康的な懐疑力もある。私たちを導く力が備わっているのです。あなたたちがやることですから、私はとやかく言いません。見る目もフレッシュで、私たちみたいに頭も固くない。しかしそんなあなたたちが世界を牛耳るにあたって、アドバイスがいくつかあります。
その1。「昔はよかった」を鵜呑みにしない。
(会場拍手)
確かにこの国の歴史はすばらしい。先人の苦労のおかげで今があります。不確かな変化のなかでは、うまくいった過去を思い出したがるものです。昔世界が望むすべてがあったようなアメリカにね。
でも私はそうは思わない。
「昔はよかった」は実はそこまでよかったわけではない。確かに成長が加速したりしたときもありましたが。第二次世界大戦後や冷戦といった出来事もありましたが、そういったことはまばらに起こります。ただ、確かに言えることというのは、アメリカ、そして世界は、50年前、30年前、8年前より確実によくなったということです。
(会場拍手)
女性や有色人種がアメリカの生活から隔離されていた50年代は遠い話ではありあません。私が卒業したのが1983年ですから。
私が卒業してからは、犯罪率、10代の妊娠、貧困率、すべて下がりました。大学教育を受けたアメリカ人は増え、寿命も延びました。黒人やラテン系の、ビジネスや政治における存在感も増しました。時間はかかりましたが、女性と男性の賃金も等しくなりました。
(会場拍手)
あなたたちのような卒業生が市場に加わり、2007年より確実に状況はよくなりました。保険の金融セキュリティを理解し、クリーンエネルギーの生産も2倍です。高校中退も減り、赤字も3分の2まで減らしました。同性婚もです。
(会場拍手)
アメリカ、そして世界はよりよくなっています。ポリオは劇的に減り、胎児の死亡率も減りました。
(会場拍手)
こういったことはうぬぼれたくていっているのではありません。こうした継続的な変化がアメリカを作ってきたのです。そしてそれをするのは、未来を恐れないあなたたちのような若者です。
2つ目はそれに関係するのですが、現代の世界はもっと繋がっているということです。
(会場拍手)
大統領としての仕事はアメリカを繁栄させることですが、市民はコミュニティが優先です。ジカやエボラといった脅威にも壁はありません。
巨大企業や金持ちの課税逃れをやめさせたいなら、そうさせる金融政策を補強させるような企業を持つべきです。自分を助けるためには、まず他人を助けるのです。
武力が必要な時もあります。しかし1パーセントがすべての負荷を負えるわけではありません。エンゲージメントとは、国力すべてを使い、世界にチャレンジのシェアを繋げていくのです。
貿易について考えてみましょう。多くの人が、仕事が輸出されてしまったりと、グローバリゼーションの発展の仕方を心配しています。しかし貿易をやめることが答えではないのです。というかそれは不可能です。
適正な貿易が必要です。人権なども適切な基準になるよう交渉し、不公平な関税をかけないようにする。それは結果としてアメリカの賃金をあげるのです。
壁を作っても経済は発展しないのです。イスラム教を差別するといったことも、私たちの価値観に反するだけでなく、私たち自身の人格の否定でもあります。
壁を築くといったことはアメリカとは一致しませんし、世界中からやってきたダイナミズムによる成長とは真逆のことです。アメリカのアメリカたる所以をなぜやめなければならないのか。
(会場拍手)
そして3つ目。事実、証拠、理由、論理、科学の理解。これらはいいことです。政策を作成する人間に欠かせない要素です。人として磨いて行くべき要素です。ビル・モイヤーズらを尊敬するはこれです。最近の政治討論では反知性的なものがありますが。
2016年卒業生のみなさん。政治と人生においては、無知は美徳ではありません。話す内容を理解していないというのは、よくないことです。それでも時々戸惑いますが。
フランクリン、マディソン、ハミルトン、ジェファソンといった彼らは啓蒙の祖です。迷信から退き、実践を信じました。そういった考えがエジソンやジョージワシントン、ライト兄弟を育て、アメリカを築いてきました。
今ではポケットのiPhoneですぐに歴史を知ることができますが、情報の洪水が真実を導くとは言えません。ある意味無知を加速させもします。また、世に出ると、常識のないガリ勉にも会います。
(会場笑)
優しさ、共感力、誠実さ、ハードワークは、テクニックやノウハウより重要なことがあります。もし上司が事実を重要視せず、間違い続け、本物のエリートが顧みられない時、それは問題です。
(会場拍手)
医者には医学の知識を求めるし、パイロットには能力を求める。なのに日常では、すでにやった人はいらないとなる。
(会場笑)
科学の否定です。気候に関するディベートはまさにそうですね。「そういえば地球あったかくないね」とかね。世界の科学者の気候のコンセンサスを作るオフィシャルがあります。気候変動は事実であり証拠です。パリでやったような努力をちゃんとしなければ、破滅の危機もあるのでしょう。
知識を備えたディベートをするかどうかはあなた次第です。冬に雪のボールを見せて地球温暖化を否定しようとした上院議員がいましたが、小学5年生の理科の先生が見たらD判定だったでしょう。
(会場笑)
冷静な分析やデータがパッションや心情より重要という意味ではありません。しかし国がしっかり機能することによって、そういった人間のもっとも気高い部分が活きるのです。そのためにも事実や証拠の理解は必須なのです。そうしてまともなことを話すリーダーを支持するのです。
ポイントはあと2つ、では4つ目。民主主義を信じる。今はいい感じですが。
(会場笑)
ここにくるまでは大変な道のりでした。児童労働や環境改善、こういったことは一夜にして起こるわけではありません。長きにわたる支援や結束の果て、そして政治プロセスを意識したアメリカ国民たちにより実現したことなのです。
(会場拍手)
この国をよくしたいなら、当事者として参加しなければいけない。今までにない経済力だけでなく、不平等も生みました。上位10パーセントの収入が、アメリカ全体の半分の収入となっています。過去ではCEOの収入は一般労働者の20、30倍でしたが、今では300倍となっている。
今ではそのトレンドを変えようとしています。最低賃金を上げ、インフラを整え、児童の早期教育に投資しています。課税逃れにも対処しています。そういったことの改善により、ハードワークが報われる社会を再建し、みんなに有効な経済を築くことができます。
(会場拍手)
しかしそれをいまだに実現できない理由、それは、私がそれを提案していなかったからです。事実や証拠が伝わらなかったから、そして多くの若者が投票しなかったからです。2014年は第二次世界大戦以来最低の投票率となりました。若者の5人に1人も来なかった。国会を決め、国の行く先を決めるのにです。
政治で動く大きなお金は確かに問題です。しかしシステムもそこまでおかしいわけではない。政治家は選ばれることを気にしているし、あなたは自分に関係のある代表を選べばいい。それだけです。
投票しない理由として、即座に変化が見えないというのがあります。効果が出始めるためには時間がかかります。それまでの道のりの様々なステージで妥協も必要になります。小さな部分で負けたり、協力したり、でもそういったことが民主主義なのです。だからあなたたちが参加する必要があるのです、フルタイムの市民として。
また、政治への参加は、賛成以外の声を聞かないということにもなります。しかし反対意見という気づきを無視することは、民主主義とは思いません。反対意見のある人は、つれてきて話を聞き、厳しい質問もしてみるのです。擁護の余地も与える。
(会場拍手)
もし悪いアイデアなら、悪いと証明し、ディベートするのです。理由と論理を駆使するのです。そうすることによって、自分のスタンスを補強でき、知らなかったことも学べます。信じているものは人によって違うことも理解できます。どのみちあなたは勝っていますし、その時点で民主主義という存在は勝っていますから。
最後に1つ。長い道のりを覚悟して下さい。妨げになることだってあります。馬鹿な人間にも会うでしょう。だからこそやり続けるのです。私はいつも娘たちにこう言っています。
「完璧じゃないかもしれない、すごいというわけでもないかもしれない。でも、いいことではある」
進歩はこんな時に起こります。だから希望を諦めない。皮肉や批判は簡単です。理想があちらから現れるまで待つなんてことは時間の無駄です。
もし、変化を生めないと不安を感じたなら、卒業生たちを見習ってください。Yasmin Ramadanのように。今では警察とも連携するイスラムのパブリック・リレーション・カウンシル設立に関わっています。Madison Littleはカンボジアやウガンダやオーストラリアの仲間とエイズの問題に取り組んでいます。彼は「社会問題を解決する希望は仲間がくれる」と言っています。
あなたたちのことですよ。さらなる自由とチャンスと正義にむかっているのです。2016年卒業生のみなさん、国の運命を決めるのはあなたたちです。動き出しましょう。これからの250年もよりよくなるように。ありがとう。
(会場拍手)
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