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ハワード大学 卒業式 2014 ショーン・コムズ(全1記事)

「バカバカしい夢ほど信じてほしい」ショーン・コムズが過ちを恐れないことの大切さを説く

音楽プロデューサーとしてヒップホップからポップミュージックまでヒット曲を生み出した、パフ・ダディことショーン・コムズ氏が、2014年度ハワード大学の卒業式に登壇。卒業生に自分の力を信じることの大切さを説き、「過ちなくして成功はない」と伝えました。

この場所に立てることを誇りに思う

ショーン・コムズ氏(以下、コムズ):私の人生のなかでもっともすばらしい瞬間です。

もしこれが達成できたら、一人ひとりをじっくり見つめてやろうと思ってました。こんな風に(笑)。

(会場笑)

今こうしてここにいることを噛み締めるためにね(笑)。今、この瞬間を感じさせてください。ハワード大学のほかにどこを卒業すればいいのやら。

(会場拍手)

ジーザスにも感謝を捧げたい。ありがとう、ジーザス! ありがとう!

(会場拍手)

私が今ここに立てるまでサポートしてくれたみなさんにも感謝します。ハワード大学のファミリー、そして友人のサポートにも感謝します。すべての関係者のみなさんにも感謝します。心から。

1964年の卒業生にも伝えておくべきことがあります。50周年おめでとうございます!

(会場拍手)

今夜は盛り上げていきましょう。なんてったって私はディディ(コムズ氏のMCネーム)ですから。

(会場笑)

1964年はすごかったらしいですね。あなたたちは恵まれています。インターンのプレジデントに会ったのですが、今ではパーマネント・プレジデントでした。

(会場拍手)

インターンってなんか好きじゃないんですよね。わかります? 煉獄に埋もれたかのようなね。彼と座って話したのですが、彼は最も前向きで聡明な同世代の人間でした。フレドリック博士。これを実現してくださりありがとうございます。そのほかの受賞者へ。同じ場所に立てることを誇りに思います。

大学時代に母の偉大さを知った

そしてなにより2014年の卒業生のみなさん。あなたたちの記念すべき日に、登壇する機会を与えてくださり感謝しています。学生、学部、卒業生のみなさん、あなた方は私のソーシャルメディアの呼びかけに答えてくれた。誇りに思ってもらうスピーチをするためには助けが必要でした。私の感謝を知ってほしかった。

3回も名前を変えた教え子を認めてくれるのはハワード大学のファミリーくらいです(笑)。

(会場笑)

そして今回は4回目。その名も「コムズ博士」です(笑)。

(会場拍手)

お偉いさんが「卒業スピーチこんなはずじゃないのに」って感じで見てますね(笑)。これぞまさに「チェンジ」ですね。わかります?(笑)。彼らにも同じく感謝申し上げます。

今でも初登校の日を覚えてます。丘を上り、コーラスを通り過ぎ、ヤードにたどり着きました。そう、あのヤードです。圧倒されました。

私はニューヨーク出身で、外をあまり知らなかったので本当にびっくりしました。ハワード大学の女性がもっとも賢く美人! ハッシュタグは「Be clear(ハッキリさせよう)」。ハッキリさせておきたいのですが、1年生の時に私がコーラス部にいたのは、彼女たちのせいですよ。

(会場笑)

追い出されるまでいました。

(会場笑)

しかし本日、私たちは、祝うためにここにいます。彼女たちの魅力は、彼女たちの努力によるものだということも言っておきたい。

(会場拍手)

ハワード大学で私の人生は変わりました。2日目のあの日に、自分の生き方を変える出来事がありました。生半可なことは言いたくありません。

私はハーレムの母子家庭で育ち、3歳の時に父は亡くなりました。母はいつも「父は交通事故で死んだ」と言っていましたが、私は違和感を感じていました。なのでこの大学の図書館で、すべての新聞をリサーチをすることにしたのです。父の名前、死亡日時をタイプすると表示されたニュースを読み、麻薬取引の抗争により殺害されたことがわかりました。

その時、その図書館で、子を守る母の偉大さを知ったのです。

(会場拍手)

「自分の力を信じていますか?」

それと同時に、母に誇りに思ってもらえるような人生を歩もうと決意したのです。父の事業化としてのマインドを引き継ぐことも決意しました。今、この場で父を感じます。自分を信じ、たくさん働くという精神は母より授かったと思っています。母は4つの仕事をしていました。私と妹を養うため、そして私がハワード大学で学ぶために。

あえてこの場で時間を割いて言いたい。「お母さん、愛してます。あなたなしではここにはいられなかった。やってくれたことすべてに感謝しています」そしてこの場のすべてのお母さんへも感謝申し上げたい。「お母さん、ありがとう」

(会場拍手)

私の家族も各地からやってきてくれました。ちゃんと見えてますよ(笑)。

そしてハワード大学も私の家族であり、第2の故郷でもあります。住む場所がなかった時に居候させてくれたのはハワード大学の友です。

(会場拍手)

食べるものがない時も助けてくれました。Uptown Recordsで働くという、人生を賭けた選択をした時に助けてくれたのは、ハワード大学の教授たちでした。学部や教授たちに感謝申し上げたい。

こういったサポート、そして愛をちゃんと理解しないといけない。それでこそハワード大学です。私たちはお互いについて考える家族です。ハワード大学が変えたのは私の人生だけではなく、内面やスピリチュアルな部分でさえあります。

ここにいたのはたった2年でしたが、それでも人生で最高の2年間でした。

(会場拍手)

1つ質問させてください。「自分にどれだけ力があるか知ってますか?」。

今日というこの日は、みなさんのためにあるのです。それぞれの人生は違うかもしれない。母子家庭、父子家庭、アフリカやカリブからの学生、家族で初めての大学生もいるかもしれない。家や食事がない時だってあったかもしれない。さまざまな苦労があったでしょう。

でも、あなたたちは成し遂げたのです。そういう決断を下すことができたのです。あえてもう一度聞きたい。「自分の力を信じていますか?」。

(会場拍手)

世界を変えるのはあなたです。誰にも言えなかったようなバカバカしい夢ほど信じてほしい。夢を見るのではなく、実現してほしい。

たった8週間でフルマラソンに挑戦

10年前に抱いた私のクレイジーな夢について話しましょう。

公立学校システムのためのチャリティとして、ニューヨークシティマラソンを走ることに決めました。200万ドル集金しました。オプラ(オプラ・ウィンフリー)も寄付を志願しました。しかしそこにはルールがあり、私は彼女のタイムより早く完走する必要がありました。26.2マイル(42.195キロ)です。トレッドミルですら1マイル走ります?

(会場笑)

26.2マイル完走するための推奨トレーニング期間は6ヵ月。でも私に残されたのはたった8週間。誰もが不可能だと思いましたし、クレイジーなプランだと考えました。でも私にはそういう言葉が一切聞こえませんでした。「自分の決断を実現させる」それだけでした。

そして当日、私は完走する気満々でした。人をかき分け、意気揚々と最前列に並びました。「自分で前に出ないと、誰も出してくれない」のです。

(会場拍手)

そうして最前列に行くと、左右にはケニア人のブラザーやシスターたち。

(会場笑)

彼らに自信満々にこう言ってやりました。「フィニッシュの様子見といてやるからな」と。

(会場笑)

そして銃声とともにスタートし、私は短距離走ばりに走り出しました。ケニア人についていくためにね。

(会場笑)

4分の1マイル程で、ケニアの彼らは、すでにずっとずっとそのまた先の先の先を走っていました。そして10マイルのポールに到達した時、なぜ6ヵ月もトレーニングするかということを学びました(笑)。

(会場笑)

ケニア人はとっくにゴールしてました。私の体内からは塩分が抜け、走ることはおろか、歩くことさえできませんでした。地面に膝をつき、「タクシー呼ぼうかな」。そう考えたのもつかの間、私の周りをニュースのカメラが取り囲んでいました。「ケニアのブラザーたちがゴールする一方でパフィ(当時のコムズ氏のMCネーム)は死ぬのか?」という感じ。

(会場笑)

「おっとパフィ、トラブルか」という声も聞こえてきました。

(会場笑)

でもそこで跪くのか、立ち上がるのか、止まるのか、走るのか、決める必要がありました。スニーカーには血が滲んでいました。本当に。でも私は走ると決め、20マイル走れました。

過ちなくして成功はない

私が生まれたハーレムを走った時、住人が応援してくれるのを見ました。DJが音楽をかけ、「行けディディ!」という風に。ハーレムのファミリーのおかげで走れたのです。ハワード大学のファミリーのおかげで今ここにいられるみたいに。

(会場拍手)

そうしてマラソンを走り終え、死にかけ、足の感覚もおかしくなってましたが、なんとか走り終えました。そしてオプラのタイムを越えました。「人生は短距離走ではなく、マラソン」というありきたりな名言がありますが、準備さえさせてもらえないマラソンもあります。私の場合は8週間しかありませんでしたが、ニューヨークの子供たちのチャンスには換えられませんでした。

でもあなたたちは準備ができている。ハワード大学の学位を得て……。そう、「ハワード大学の学位」を得たのです。「ハワード大学の学位」を。

(会場拍手)

世界最高の黒人系学校を卒業しただけでなく、地球最高の大学を卒業したのです。ハッキリさせようではありませんか。ハッシュタグ「Be clear」。

(会場拍手)

自分の力を信じるのです。思ったより時間がかかる夢もあります。ここに来るまでに4年、5年、6年かかった人もいるでしょう。私は26年かかりました。サインに気を配る必要もあれば、じっと待つ必要もある。

前に進み続け、挑み続ける。間違いとわかっていても、時にはそうすべきです。私が人生で学んだ最大の教訓は、「過ちなくして成功はない」ということです。

(会場拍手)

「過ちなくして成功はない」。

自分にとっての大きな成功は、大きな失敗からきていることもあります。90年初頭、友人たちがハワード大学を卒業したころ、私は最初の仕事で解雇されました。私は本当に恐れていました。学位はなく、彼女は妊娠8ヶ月、支払いきれない家も購入していました。寝室で1人、「これからどうする」と自問していました。そして考えました。そのまま座って失敗で終わるか、その闇から抜ける選択をするか。

暗闇のなかでは、どうしても光が差し込むのを待ってしまう。暗闇の中では不安でも、ただ待っているわけにはいかないのです。その暗闇から抜け出す唯一の方法は、前へ進み、恐怖に直面することなのです。そして自分自身が光となるのです。

私はいまだかつてないほどに自分を信じる必要がありました。今でも恐怖を感じます。誰もがみんな、未完成なのです。あなたたちもいずれ闇のなかで立ち止まり、「これからどうするのか」と自問することになるでしょう。その時、自分の力を思い出してほしいのです。そしてあなたたちをいつも見守るハワード大学のことを。

「私たちがどれだけパワフルか知ってますか?」あなたたちの世代には、いまだかつてなかったほどに世界を変える力があるのです。若い政治家、若い事業家、現代のリーダーたちはより多様です。文化が混ざり合い、性別のバリアも越えている。あなたたちには、第2のオプラ、オバマ、P.Diddyになんかなってほしくない。自分自身になってほしいのです。

(会場拍手)

卒業生に贈る3つの言葉

2014年卒業生、そしてここにいるすべてのみなさん。私たちがどれだけパワフルか知ってますか? アーメンが聞きたい。

会場:アーメン

コムズ:私が幼い頃、好きなおじがいました。彼の名は「アンクル・シュリンプ」。彼は私に忘れられないことを教えてくれました。今日はそれをみなさんに教えたいと思います。彼は言いました。「目を閉じて夢見ることを恐れるな、そして目を開けてちゃんと見ろ」と。

夢と現実の距離というのは、誰しも恐れるものです。私のマラソンのように、立ち止まってしまう。唯一の解決策は、「その夢を達成するためになにをすべきかということについて現実的になる」ということ。自分に正直にならなくてはいけない。成功するためには、なにをしなければならないか。

けっして簡単ではなく、外に飛び出してつかみ取らなければならない。誰も助けないし、レスキューもナショナルガードもそこにはいません。自分で出ていってつかみ取るしかないのです。前進する唯一の方法は、「その夢がどうにかしてほしい」と決めることです。人一倍働こうが、早寝早起きしようが、自分を疑い、笑い、憎んだ人間を凌駕する。

(会場拍手)

2014年卒業生、あなたにやってほしいのはこういうことです。恐れず、ハッキリと今、決断してほしいのです。挫折したときにこそ、自分の力を思い出してほしい。そしてまた立ち上がるのです。今、決断しましょう。闇に捕われた時、自分の力を思い出すということを。自分自身が、光なのです。

思い出してほしい。母や父だけでなく、兄弟姉妹やおじやおば、いとこ……。みんな、家族なのです。後ろでみなさんを見守っているのです。

(会場拍手)

私たちはパワフル。あなたたちもパワフル。あなたたちが作り出すクリエイティブな世界で生きるのが楽しみでしかたありません。

(会場拍手)

私に拍手じゃなくて、自分たちにしてください。あなたたちが実現するクレイジーな夢を早く見たいです。あなたたちが世界を変えるのを。

あなたたちに覚えておいてほしい3つのこと。1つめ。「判断を下すのを絶対に恐れない」。間違えることを恐れずにハッキリするのです。

2つめ、「自分の力を信じる」。自分で自分を感じて、信じないといけないのです。自分は飛べる、私はユニコーン! あなたはユニコーン! 私たちはユニコーン!

(会場笑)

本当にいまだかつてないくらいすごい世代なんですから。

(会場拍手)

最後に3つめ、「止められない、止まらない」

(会場拍手)

障害に直面した時、ちょっとでも止まりたくなった時は、私を思い出してほしい。「I thought I told you that we won't stop uh-uh」(自身の楽曲からの引用)。

2014年度卒業生。ありがとう、そしておめでとう。あなたたちの旅は今始まった。レッツゴー!

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