2024.10.10
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ヴァッサー大学 卒業式 2010 リサ・クドロー(全1記事)
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リサ・クドロー氏:ヒル学長、私を 招いてくださってどうもありがとう。それに2010年度の卒業生の皆さんも、抗議運動を起こさないでくれてありがとう。真剣に言ってるのよ。
皆さんに何を伝えたらいいのか悩んでいたの。可能性がくたさんあるんだもの。だから何人かに聞いてみたのよ。何人かと言うのは、ちょうど通りがかった2人のことなんだけどね。皆さん全員には聞けなかったわ。
一度にたくさんの人とコミュニケーションを取れるようなSNSのようなものはないものね。冗談よ。そういうものってあるものね。インターネットと呼ばれるものよ。実は2人以上の人から聞いたんだけど、皆さんは私が卒業した後の経験を知りたいのよね。
だって20代って皆さんの人生の中で、大人な自分というものをもっと良く知るようになって、そして自信喪失にどう対処するのかを模索する時期だもの。
じゃあ私の話に戻るわね。ちょうど25年前、皆さんが座っているその場に私もいたわ。信じられない? 嬉しいわ。そう、あれは25年前だったわ。信じられないけれどね。マリオ・クオモ州知事がスピーカーだったの。私は一晩中起きていたから、意識が朦朧としていたわ。
そう、あそこの彼のようにね。よく覚えていないけれど、マリオ・クオモ州知事が私たちに話してくれたことで1つだけ覚えているの。それは人生におけるとても重要な4年の間に、とても意義のある経験をした皆さんにとっても受け入れられる考えだと思うわ。
「もし皆さんがやりたいと思うのであれば、前へ進んで、それを実行できるんだよ」。皆さんはそういう行動をしたかしら? 皆さんがどういう風に感じたのかはわからないけれど、私は25年前そうしたわ。何かを感じることはなかったの。何にもね。
私はこう思ったわ。OK、私はきっとここにいる人たちのほとんどのことは忘れてしまうだろうし、この4年間で起こったことも記憶から薄れていくんだわ。だって、時の流れってそういうものでしょ、ってね。
それで私はまたうたた寝を始めたの。そうね、私は少し、冷めてるのよ。だから思ったの。「でも待って。彼を見てなかったわ。ステファン。ダンスがうまい彼よ。もう彼に会うことはないわ。彼を覚えておかなきゃ」ってね。
彼は別に仲のいい友達ではなかったし、キャンパスで会うただの男の子に過ぎなかったわ。挨拶をすると彼は「なんてこった。7枚もレポートがあるって? 3つの試験も? しかもそれがたった4日間で!?」って言ったわ。
私が「何てことなの!」とこたえたの。そのあと「本当だよね」「そうよね」「じゃあね」「バイバイ」って感じだったわ。私が唯一寂しがったのが、ダンスが上手くて、働き者のクールなステファンに会えなくなる事だなんて、少し変な感じがしたわ。でも間違いではなかったのよ。私はやろうとしていた事をしたんだから。
私は東海岸のすばらしい学校に行って、とてもおもしろくて好奇心の強い人たちと会って、少ないけれど素敵な友達も作って、高レベルの教授たちから最高の教育をしてもらったわ。私はそういう高い水準のものと出会って、自分自身の中に取り込んで、できれば未来へ連れて行きたいと思ったの。
私は過去を振り返るような気分じゃなかったし、後で恋しがるかもしれないことを悲しむ気分でもなかったわ。すでに前を見て歩き出す準備ができていたの。きっと皆さんの多くがそうであるようにね。皆さんのうちのどのくらいの人が、神経精神薬理学の領域の研究で輝かしいキャリアをスタートさせることに興奮しているのかしら。
私もそうだったわ。家に帰るのに興奮していたの。頭痛のスペシャリストである父と一緒に働くことになっていたのよ。えぇ、頭痛って言ったの。もう引退したけれど、私の父は世界的にも有名な頭痛のスペシャリストで、たくさんの研究をしたわ。私はすぐに父と半球優位と頭痛のタイプに関する研究に取り掛かったわ。
詳細についてはお話しないけど、希望があるなら話すわよ!
重要な事は、私は本を出版できるように頑張っていたってことね。そしてどこでもいいから私を受け入れてくれるとても素晴らしい大学の大学院に入ろうと思っていたわ。卒業して6カ月、私はその計画を捨て、女優になることに決めたの。そして、『フレンズ』のドラマの出演者になって、今ここにいる。何かご質問は?
生物学専攻からどうやって女優になったかって? 私がもっともよく聞かれる質問よ。私は子供のころ、女優になりたかったの。でも高校で生物学をとった時、ハマっちゃったのよ。私が学んだ生物学論は最高の創造物だったわ。だから私は自分の情熱を生物学に注ぎ込んだの。
高校では演技とは無縁だったし、この大学でもそれは変わらなかったわね。演じたことなんてなかったわ。ちゃんと演劇を観たことなんてなかったと思う。この大学の4年生で春休みで家にいた時、LAをドライブしていて、ラジオで流れるホームコメディの宣伝広告を耳にしたのよ。
それはドラマの中に出てくる最高のジョークを演じていたんだけれど、私は今でも自分の頭の中で聞こえたことを覚えているわ。「何てこと、これっておもしろくないわ。ジョークを強めすぎよ。即興でやるの。リサ、あなたにその時が来た時には、即興でやるのを忘れないで。……どうして私が即興ジョークを覚える必要があるの? 私には必要ないわ」私はそれを忘れ去ることにしたの。
私は卒業して、父と頭痛クリニックでともに研究を楽しんでいたのに、何度も同じことが繰り返し起こるのよ。ホームコメディを観ていて、また頭の中で聞こえるの。「そうじゃないのよ。ホームコメディの女の子がやるみたいなことをやるんじゃないの」。
それはずっと続いて、女優になるという考えを楽しんだわ。それからその考えを正当化しようとしたの。「いい? あなたは22歳よ。住宅ローンはないわ。夫も子供もね。責任もないわ。演じることをやるべきよ。今よ。ごめんなさいね。でもやらなきゃいけないの」1985年の11月までに、私は演技の道を進むことを宣言したの。
両親も家族もびっくりしたわ。そしてこれが一番最初でもっとも大事なことなんだけれど、私は最高のサポーターを得たのよ。私の両親と家族は興奮していたわ。興奮よ。本当のことを言えば、この大学の友人たちはショックを受けていたわね。でもサポートしてくれたわ。
私はといえば、怖がっていたわね。それがうまくいくと思っていなかったからじゃないわ。私はおかしな話だけれど自信があったの。だから理由はないんだけれど、衝動に負けそうなくらいの選択だったと感じなかったからなの。
私は何が私をここまで駆り立てるのか考えなかった。神の導きだとか判断の誤りだとか健全かどうかっていうのを考えたりしなかったの。私はただ自分の中の声に耳を傾けただけ。それが私を犯罪に導かないかどうかってことをね。
私は女優について真剣に考えていたわけではないから、自分が選んだキャリアに悩んだりもしたわ。私が唯一参照したのは女優たちをトークショーで見ることだった。
彼女たちは言うの。「お願い。お願いだから惑星を救って。そのためにあなたの事をずっと愛するわ。ずっとよ」。だから私は思ったの「私はもし彼女たちの1人になったとしたら、どうやって自分自身を保てるのかしら。私、女優にはなりたくない」ってね。
それって問題よね。だって何かを追求する時、自分自身っていうのは越えるべきもっとも高いハードルになるんだもの。あなたが謝罪するようならば、何も追いかけることもできないし、没頭することもできないわ。私がしばらくそういう状態だったの。目立つことが難しい場所のとても競争率が激しい領域で、自分が大勢のうちの1人だという事実にはあきらめも必要なんだって学んだわ。
皆さんは働いて、そして自分が誰かということと、何をもたらすかということを示さなくてはならないの。ただそこに留まって、働き続けるのよ。私はこの不確かな道を乗り越える道具を集めていたの。後からその道が岩だらけになった時のためにね。今となっては、いいことだったわ。
初めての即興劇の授業で出会ったすごく才能のある人と友達になって、親しくなったの。コナン・オブライアンはとても頭の回転の早い人で、どのシーンにもとても集中していたわ。彼の書く作品は比類ないもので、誰もが彼の才能はずば抜けているとわかっていたの。
私は彼の作品やパフォーマンスの高い基準に影響を受けたいと思っていたわ。そして、彼がその職業に就くのは知っていたし、私は彼を笑わせたわ。だから私も今の職業に就いたの。私は女優への道の途中にいるわ。
即興劇やスケッチコメディの劇場である、LAのグラウンドリングスで授業をとっている間、初めてのオーディションを受けて、役を得られたの。レディーズルームと呼ばれるイークイティウェイバー劇場での端役のオーディションだったわ。約7分間のお芝居の中で、これからお見せするようなマイナーなキャラが入ってきたり出ていったりするような感じよ。
ちょっとオーディションの様子をやってみるわね。
ロミー:私、人前で即興劇やるの嫌いなのよね。
ミッシェル:あら、私もよ!
レディーズルームはロングラン公演されて、ロミーとミッシェルは観客に好かれて、彼女たちのテレビ番組もできたわ。私はパイロット版のミッシェルの役にキャスティングされたの。私は自分の成功がこんなにも早く訪れるなんてと驚いていたわ。
でもそのパイロットはさほど良くなくて、受け入れられなかったわ。私は出発点に戻り、初めて思ったの。「ああ。私って運がないんだ!」ってね。それから立ち直って「でも、上がる時もあるし下がる時もあるわよ。それを乗り越えなきゃだめ。それにコナンは私のことおもしろいって言ってくれたし」って思い始めたの。
その後の8年間、私の決心も集中力もいつでも壁にぶつかったわ。キャスティングディレクターが私の顔を見ながら、怖いって言うの。アージェントは「それは難しいな。どうしたらいいのかわからないよ。彼らが欲しいのはテレビで映えるゴージャスな役者だ。ここは君がいるべき場所じゃないのかもしれないね」って言ってきたわ。
そして私はついに、グラウンドリングスの主要なグループの誰もが欲しがる役を手に入れたのよ。そこのディレクターは私の演技が好きではなかったけどね。「プロデューサーたちがショーを見に来てね、君のスケッチコメディが好きだと言うんだ。信じられるかい? すごい人たちが君を選んだんだよ。理解できないよ」。
ローン・マイケルズがショーに来て、『サタデーナイトライブ』の新しいキャストを探していたんだけど、私と、キャシー・グリフィン、ジュリア・スウィーニーの中からジュリアを選んだの。私は落胆したわ。ディレクターは私に、「もちろんジュリアを選ぶさ。ほかの誰を選ぶって言うんだい?」って言ったわ。
当たり前だけれど、このことは私を奈落の底に落としたわ。そして進もうとしているこの道が私に合っているのかどうかと疑い始めたの。私は正しい道を進もうとしてる? ここにいるべきなの? きっと私はずっと演技のできる女優にはなれないし、時間を無駄にしてきているのかもって思ったわ。
そして私は決めたわ。間違っているかもしれない、でもいいじゃない。コナン・オブライアンのような友達は私が書いて演じるスケッチコメディが好きだってことにこだわっていたわ。キャシー・グリフィンやジュリア・スウィーニー、私の知りあいで尊敬しているライターがそうだった。
彼らは間違っていないわ。私はここにいて、コナンは絶対間違っていない! それが私が自分自身に語ったことで、うまくいったわ。私は進み続けたの。
それから、全てが変わったわ。私は永遠に続くと思ったし、すごくうまく書けていると思っていたレギュラーショーで役を得たの。ジム・バロウズが監督をして、それが大きかったわ。彼は『チアーズ』や『タクシー』を監督、プロデュースして、全部が良かった。
私はセットに入って演技をした。ゲスト出演の役はもうほかにはなかったわ。だって1週間そこにいるだけなんだもの。心配だった。「最高のショーで大好きな演技をした」って思ったわ。リハーサルの2日後、私はクビになった。
『そりゃないぜ!? フレイジャー』という誰もがヒットするとわかっていたショーからクビになったの。次の日、私の最大の支援者が彼のショー、Late Night with Conan O’Brienの仕事をするためにニューヨークに移らなければならなかったわ。だから私の親友は遠くに行ってしまったの。
今回ばかりは、「私は女優に向いていないんじゃないか」って思わずにはいられなかった。恥ずかしかったわ。ジム・バロウとプロデューサーが私をクビにしたの。彼らはいい人だったけれど「演技だけの話ってわけじゃないんだ。でも君を変更しなきゃいけないんだよ」「わかったわ。気にしないで」。
私がオーディションでうまくできるようにどれだけ苦労したか彼らにはわからないの? 女優になるっていうことをあきらめて受け入れろってことなの? そんなこと私にはできない! 私はたくさん泣いたわ。
それから私は友人の俳優、リチャード・キングから電話をもらったの。私と彼は『あなたにムチュー』にゲスト出演して、それぞれポール・レイザーとヘレン・ハントを演じた時に知り合ったの。
彼は言ったわ。「君に何があったのか知ってるよ。君がどうやって朝起きたのかさえ知らないけど、君はどうやってベッドから出て、服を着て、ドアから出て、顔を見せてくれるんだい?」って。私は笑ったわ。バカげてるでしょ。私は朝起きて、アパートを出て、自分が思っていたよりもずっと落ち着いていたわ。
『レディーズルーム』を書いて、後に映画『ロミーとミッシェルの場合』をプロデュースしたロビン・シフからもらった最高の言葉は、「信じられないと思うけど、ドアが閉まっている時、ほかのドアは開いているものよ。本当にそういうものなの」だったわ。
えぇ、知っているわ。その格言は聞いたことがある。彼女は正しかったのよ。それを信じたことはなかったけれど、忘れたこともなかったわ。
数ヵ月後、お金をほとんど使いきっていた時、『あなたにムチュー』のプロデューサーであるダニー・ジェイコブソンがショーに私をキャスティングしたがっているとエージェントから電話があったわ。でもエージェントは私に、その役は名前もないような小さな役だからパスするように勧めてきたの。
それはウェイトレスの役だったんだけれど、1時間前にセットに入ってもその役が全然見えてこなかったわ。「気にしないの。誰もあなたをこんな風には扱わないわ」って自分に言い聞かせたわ。もちろん、気にしていたんだけどね。それが何であれ、おもしろく演じてみせる。よく聞き、それに応えて、おもしろくしてみせるわ。
2日目までに、ダニー・ジェイコブソンは「シーズン中の最低でもあと5話くらい、あなたが出演するパートを作りたいんだけど、いいかな?」と聞いてきたわ。私は「大丈夫よ」と伝えたの。
何人かの人は、私が『あなたにムチュー』のウエイトレス役と同じくらいおもしろいと思っていたわ。そのうちの1人は才能あるライターのジェフリー・クラリックだったわ。ジェフリーの彼氏のデイビッド・クレインは私に彼の新しいショーの台本を読んでみないかと勧めてきたの。それは、20代のニューヨークに住む6人がカフェでしゃべっているっていう設定だったわ。
いくつものオーディションの後、私は『Friends Like US』と呼ばれるショーのパイロットのキャストの2番手になったわ。このショーは後にタイトルを変えて、『フレンズ』になったの。ジム・バロウズはこのパイロットと『フレンズ』の最初の10話を監督していたわ。
ある日、6人でジミーと話していて、それぞれ自分が話をダメにした時の話をしていたの。ジミーは私の話をほかの5人にしたわ。「彼女は最悪だね。『そりゃないぜ!? フレイジャー』をクビになったんだ。君はこの役にふさわしくないんだって言われたんだよね」。
それから彼が言ったの。「君がそのショーに出演しなかったのはいいことだったと思うよ」彼は正しかったわ。私が『サタデーナイトライブ』の役がもらえなかったことも、『ロミーとミッシェルの場合』のパイロットがうまくいかなかったことも、それにそれ以外の落ち込むようなことが起こったことも全部、私がこの道を歩み続けるように導いてくれたんだもの。
私が『そりゃないぜ!? フレイジャー』をクビになった後、バースデーパーティーに行って、失うものが何もないような気がしていた時に、私と不釣り合いな男性にナンパされたの。私たちはデートをして、この木曜日で私とマイケルは結婚して15年になるわ。
そうよ、それが最高の功績ね。それに私たちはもうすぐ息子の12歳の誕生日を祝うことになっているわ。ありがとう神様! 私をクビにしてくれて。きっとすべての事には理由があるのよ。私はそう思うわ。
25年前に皆さんが今いる場所に座っていた時、私は自分がどれだけこの大学を恋しがらないだろうと考えていたの。それは私が冷酷なせいじゃないわよ。私の仕事のパートナーであり親友のダン・ブカティンスキーは87年の卒業生なの。大学生だった時には彼の事は知らなかった。皆さんが自分の困難な要求を共有できる創造的なパートナーを必要としているなら、この大学の卒業生がいいわ。
いつでも自分の中で育ててきた、そういう困難な要求を持ち続けてきたから、このヴァッサー大学はいつでも私に寄り添っていてくれたわ。私は何が良いことかって知っていたし、それが私がやったことでこれからもいい仕事をしようとし続けると思う。
例え、ネットワーク障害で私の番組が放送されなくても、いい仕事だっていうのはわかっているし、誇りに思うわ。もし人々が私を憐れみの目で見て、「あなたのWebドラマがあるの? あぁ」って言おうとも、いい仕事をしたってわかっているし、誇りに思うわ。
BBCの歴史ドキュメンタリー番組をNBCで? 本当に? アメリカの視聴者向けに? そういうの好まれないと思うけど。そうよ。だっていい番組になるもの。
私がこの大学を卒業するのが寂しくなかった理由はほかにあると思うの。評議委員会で年に3回は戻るだろうと知っていたからね。私は誰も知っている人がいなかったし、初めての委員会だったから、評議委員会に招かれた時は緊張したわ。
そこで私は85年の卒業生に会ったの。弁護士のスティーブ・ハンキンズ、あのダンスのうまいMugマネージャーのステファンだったのよ。彼にまた会えて本当に良かったわ。
皆さんがどんな希望を持とうと、それが叶うことを心から願っているわ。今日はありがとう。
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