2024.10.10
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Michelle Obama's Full Speech at Tuskegee University(全1記事)
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ミシェル・オバマ大統領夫人(以下、ミシェル夫人):皆様、ありがとうございます。卒業生の方々はお座りください。本日その席に座るために、皆さんはこれまで頑張ってこられました。
ジョンソン学長、ご紹介ありがとうございます。そして今回、名誉学位を授与してくださり、誠に感謝しております。私は本日授与されましたこの学位を、とても誇りに思います。本当にありがとうございます。
ウィリアム少将、セウェル議員、ザッカリー議員、カラウナ議員、そしてタスキーギ大学の全ての理事の方々、教員の方々に敬意を表したいと思います。このように温かく迎えてくださいました、皆様の素晴らしいホスピタリティーに深く感謝いたします。本日ここに招かれたことを光栄に思います。
まず私のスピーチを始める前に、エリック・マークスジュニア氏をご存知の方々に追悼の意を表したいと思います。彼は若く才能があり、将来有望な航空宇宙産業のエンジニアでした。これからタスキーギ大の偉大な先輩方と同じ道を歩み始めようとした矢先、突然、彼は遥か遠くに行ってしまいました。私たちはこれからも彼のご家族、ご友人、そして彼の生きたこのコミュニティーと共に、決して彼のことを忘れることはないでしょう。
そして、聖歌隊のメンバーにも讃辞を送りたいと思います。あなた方は本当にお上手ですね! 大変素晴らしかったです。美しい歌でした。ご両親、ご兄弟、ご友人、その他ここまで卒業生たちに愛情を注いでこられた会場にいる全ての方々と共に、賛辞を送ります。そう、今日はあなた方の日です! あなた方のための日なのです!
母の日を目前に控えた本日、ここいらっしゃるすべてのお母様方に申し上げます。お母様方! これはまだ花やカード等、母の日のプレゼントを買っていない人たちへの公共のお知らせだと思ってください。私は今あなた方のお手伝いをしようとしているのです。でも、ひとつだけ「母親を喜ばせる」というルールは守って下さい。よろしいですか?
最後に、ここにいるほとんどすべての方々、つまりタスキーギ大学2015年度卒業生の皆様、本当におめでとうございます。タスキーギ大、万歳!!
観衆:万歳!!
ミシェル夫人:いいですね、とても楽しいです! 1日中やっても飽きないですね! 私はあなた方を誇りに思います。あなたたちは今日、本当に輝いています! 本当によくやり遂げたと思います!
皆さんは勉強し、学び、そして時には少し楽しむために全米からここに集まって来ました。1年生の頃からアダムホールやヤングホールで過ごし、夜はコープに食べ物を探しに行きましたね。ちゃんと調べたんですよ。
時にはゴールデン・タイガースの試合を日陰で見るために、早起きして席取りもしましたね。ええ、見てましたよ。ホワイトハウスはさまざまな調査手段を持っていますからね。
そして、運動をしようが、聖歌隊で歌おうが、バンドで演奏しようが、男子学生の友愛会、女子学生の友愛会に入ろうが、今日からは皆さんは同じ大学を出たという仲間、すなわち同志として共に社会を生きていくのです。
あなた方はご両親やお爺様、お婆様、伯父様、叔母様、そして近年郵便切手にもなった偉大な建築家であり、本校の運営にも携わっていらっしゃるロバート・ロビンソン・タイラー氏のような諸先輩方を見習い、その後に続くことになります。
あなた方は、セルマでのブラッディー・サンデー事件で、催涙ガスや警官のこん棒での攻撃にも堪え抜いたボイントン・ロビンソン氏のような人になっていくのです。タスキーギ大学の逸話は、このように枚挙にいとまがありません。
この街に来た者は、男性も女性も皆自身の未来をつかみ取り、アフリカ系アメリカ人、そしてすべてのアメリカ人のための壮大な歴史物語の横糸に織り込まれてきたのです。
今日はまず、タスキーギの歴史について振り返りたいと思います。それは軍がタスキーギに黒人パイロットのための飛行場と養成所を作ったところから始まります。
当時、黒人兵士はいろいろな障害に直面していました。黒人の脳は白人より小さいという学説を声高に唱える者もいました。公式の軍の報告でも、黒人兵士は「子供っぽい」とか「無能な」、「常識がなく、不誠実」などと述べられており、ある記述には「食事を与えると忠実で従順になる」とまで書かれていました。
このプログラムに選ばれていた航空兵は、その多くが学位やパイロットの資格をすでに取得しておりました。しかし、かなり高学歴であるにも関わらず、実際には見下されていました。訓練中、部屋掃除や庭掃除などの使用人がするような単純作業しか与えられないことが多々ありました。教官からは言葉の暴力で苦しめられることも頻繁にありました。
基地から街に出ると、白人の警官に「小僧」呼ばわりされ、何かにつけて違反を指摘され罰金を科せられました。そして黒人の兵士が海外に派遣された後も、白人兵士は黒人兵士が挨拶しても無視しました。
その頃の若い黒人兵士が、どんな仕打ちを受けたか想像してみて下さい。彼らは当時最も複雑でハイテクな兵器を操る訓練を受け、15センチぐらいしか腕を開くことのできない狭い操縦席に身を沈め、時速数百マイルの速さで飛行するのです。しかし、一旦空から帰ってくると、あたかも存在する価値がないかのような扱いを受けるのです。
その航空兵たちが自身の経験を明らかにし、彼らを告発することは可能でした。でも黒人兵らは差別や疑惑を明らかにするよりも、それらに耐えて我がアメリカ軍の中でも素晴らしく理想的な部隊になる道を選んだのです。
もし黒人兵士が白人と一緒に戦い、一緒に空を飛べるなら、きっと同じテーブルで食事をとれるようにもなるのだと、航空兵たちは世界に知らしめることにしたのです。きっと彼らの子供たちも、白人の子供たちと一緒に学校に通えるようになると信じて。
黒人航空兵たちは、常に国のために、そして全ての黒人のこれからを切り拓いていくために戦っていることをよく理解していました。黒人航空兵が空を飛ぶということ自体が彼ら自身と、ひいてはすべてのアフリカ系アメリカ人の自由の象徴だったのです。
初期のパイロットの1人であるチャールズ・デェバウ氏によると、離陸とは「決して失敗することのない奇跡」だそうです。彼はこう語っています。「凸凹が真っ直ぐになって……空に飛んでいって、無の世界に入っていくと……そこには自由がある」と。
そしてチャールズ氏が上空にいる時、時々ここからそう遠くない綿畑に作業に出ている黒人たちが見えるのです。数十年前には、同じ畑で彼らの祖先が奴隷として働いていたのです。彼は確信していました。この空が彼らとその子供たちが将来、望みや夢が持てるようにしてくれるということを。
タスキーギにはさまざまなアフリカ系アメリカ人の「決して失敗することのない奇跡」があります。継続的な努力が我が同胞たちに、我々の行く道にある障害を越えた自由を与えてくれるのです。
この大学の物語の横糸を考えてみて下さい。1800年代後半、大学は新しい寮を必要としていました。しかし、それを建てる金銭的余裕がありませんでした。そこで、ブッカー・T・ワシントン氏が、自身の小さな時計を質に入れて窯を買い、学生たちが素手で寮のためのレンガを作りました。そして他の建物も一緒に建てました。
数年後、ジョージ・ワシントン・カーヴァー氏が初めてここに研究のためやってきた時、実験室はありませんでした。そこで、彼はゴミの山を掘り起こし、古いボトルやティーカップやフルーツ瓶を集めて、彼の最初の実験に使いました。
何世代にも渡りタスキーギの学生たちは、田舎町で起こったリンチ事件への恐怖、ジム・クロウでの屈辱、市民権運動時代に起きた混乱に対し、常に同じような根性や回復力を見せてきました。 そして彼らは全国のコミュニティーで、科学者となり、技術者となり、そして看護師、教師となって他の人々にも力を与えたのです。
この学校の歴史は完璧ではないですが、タスキーギでの物語を明らかにすることは、すべてのアフリカ系アメリカ人に希望と幸福を与えるのです。
そして今こそ、卒業生の皆さん、あなた方の番です。私は、あなた方が自分で決めた道を、誇りを持って進むべきだと伝えたいのです。あなた方が高揚感を持って、次のステップに進んでくれることを望みます。
一方で、あなた方がこれまでの歴史や先達に思いを馳せ、同時に幾ばくかのプレッシャーを感じでいるであろうことも分かります。偉大な先輩方を意識してのプレッシャー、人々の期待にこたえなくてはならないというプレッシャーです。
でも、私もそのプレッシャーを理解することができます。なぜなら、私もそれを体験しているからです。卒業生の皆さん、今日この場にいる私は、決して最初から完成された大統領夫人としてスタートしたわけではないのです。私の人生にも沢山の凸凹があったのです。
私の主人が大統領選挙を始めた頃、人々はさまざまな種類の質問をしてきました。「どんな大統領夫人になるつもりなの?」「どんな問題を担当するの?」「ローラ・ブッシュみたいになるの? それとも、ヒラリー・クリントンやナンシー・レーガンのようになるの?」
もっとも実際は、すべての大統領候補者の奥さんが同じようなことを聞かれるのです。いわゆる選挙の過程の一部です。しかし私には、初のアフリカ系アメリカ人の大統領夫人になる可能性があったため、違う種類の質問や注目が向けられました。そして、交わされる会話は、しばしば恐怖や誤解に繋がっていきました。
「私は声が大きすぎるのかしら? 怒り過ぎかしら? 男勝りすぎるのかしら?」それとも「私は優しすぎたり、母親色が強すぎて、キャリアウーマンには向いていないのかしら?」など、いろいろと悩みました。
私が初めて雑誌の表紙になった時のことです。それは、巨大なアフロヘアーの私がマシンガンを持っているイラストでした。そう、いわゆる諷刺画でした。もしこの風刺画を正直に受け止めていたら、私は怖気づいていたかもしれません。けれど、この風刺画を見て以来、私は他の人たちがどのように私を見ているのかを意識するようになりました。
初めての州選挙での勝利の後、祝賀会のステージ上で私と主人がお互いの拳を当てて喜んでいる姿を指して、「テロリストのようだ」と揶揄されたことを覚えている人もいるかもしれません。
何年にも渡り、彼らは私のことを何かとおもしろく表現してくれました。ある人は、私を「格好つけ」だと言い、またある人は主人の「色のついた取り巻き」だと表現していました。ケーブルテレビに至っては、「オバマの肝っ玉母ちゃん」と茶目っ気たっぷりに呼んでくれたこともあります。
そして、もちろん、主人のバラクはその屈辱と軽蔑に堪え続けています。今でも、彼の国籍について質問してくる人たちもいます。
これらは私に酷くダメージを与えました。その頃は眠れない夜がよくありましたし、他人が私をどのように見ているのか、常に心配していました。私が、主人の大統領選の勝利のチャンスを壊しているのではないかと考えたり、娘たちが私について言われていることを聞いたらどう思うだろうかと、恐怖を感じることもありました。
でも、次第に、正気でいたいのであれば、そして勝手にあれこれ私のことを定義させたくないのであれば、神がすべての物事を準備してくれていると信じるべきだと思うようになりました。周囲の雑音を無視して、自分に正直になるべきなのです。そうすることで、すべてはうまくいくのです。
私は人生のこの旅を通じて、自分の信念に集中し、それ以外のことはブロックすることを学んだのです。私自身にごく基本的な質問をするのです。「私は誰? 本当に私は誰? 私は何を気にしているの?」と。
そして、その答えは自分より先に生きた女性たちから得ることができます。女性は、そう、母親なのです。私は娘たちを世界で一番愛しています。自分自身の人生よりもです。それはアイビーリーグ出身の教養ある弁護士から聞きたい言葉ではないでしょうが、それが本当の私なのです。私にとって、母親であり家庭のボスであることは、常に一番大切な仕事なのです。
私には、この素晴らしい人生で大きな変化を起こすために全力をつくしたいという気持ちが常にあります。ですから、自分にとって個人的な繋がりがある問題を取り上げています。例えば、健康な子供を育てる家庭のお手伝いや、私がキャンペーンで会った軍関係者の家族に敬意を払ったり、若者に教育の価値と大学を卒業することの重要性を訴えています。
時には、もっと大胆になってもよいのでは、と私の選択を批判する方々もいます。でも、これが私の選択であり、私の問題なのです。私は、自分が最も信頼できる方法でそれら諸問題に取り組んでいくことを決めました。そう、それは、現実的かつ戦略的、そして楽しく、希望が持て、周りに元気を与えるような方法です。
私は、この方法を常に念頭に置いて行動しています。以前は国会の議会で働いていましたし、取締役の方々、軍の上層部やハリウッドの重役たちにスピーチもしてきました。
その一方で、一般家庭の子供や家族に溶け込める努力もしています。その際、私は独創的で形にとらわれない方法を採りました。子供たちとホワイトハウスの芝に植物を植えたり、フラフープをしたり……、テレビのママさんダンスもしました。カエルのカーミットと、軍関係者の子供たちのお祝いをしたこともあります。大学の調印日に、全米の卒業生に大学のロゴ入りTシャツを着るように企画したりもしました。
1日の終わりに自分自身に真摯に向き合うことで、人生というものは実はものすごく自由なものだと実感します。なぜなら、何が起こったとしても、自身の中の平穏さえ保てていれば、罵詈雑言、誹謗中傷の類はすべて雑音に聞こえてくるからです。
それらによって私が定義されることはありません。それらに私という人間の根本を変える力はありません。そしてそれらによって私が押さえつけられることもないのです。自分の信念や価値をしっかり持っている限り、そして自身の道徳に従って進んで行く限り、他人に影響されずに自分をしっかり持って生きていくことができるのです。
卒業生のみなさん、これがあなた方にしてもらいたいことなのです。自身の中の最も現実的で、誠実でかつ本音でもある部分に向き合ってください。基本的な質問をいつも自分自身に対し問いかけるのです。
例えば、「自分はどんな風になりたいのか?」「何があなたを元気づけるのか?」「何を周りにしてあげることができるのか?」などです。それから深呼吸をしてください。そして自分を信じ、己の進むべき道を定め、この世に自身が生きた印を刻むのです。
あなたは法学部に行かなくてはと、考えているのかもしれません。でも、あなたの本当にしたいことは、小さな子供たちを教えることなのかもしれません。また、ご両親はあなたに、卒業後実家に帰ってきてもらいたいと思っているかもしれません。一方で、あなたは世界を旅したい衝動に駆られているのかもしれません。
私は皆さんに、どのような考え方にも耳を傾けてみてほしいのです。あなた方が、理性と心、常にその両方を携えて行動してくれることを望みます。
例え、どの道を選んだとしても、他の誰でもなく自分自身で選んだ道だということを肝に銘じてください。なぜなら、これから先の道のりはそう平坦ではないからです。特に私たちアフリカ系アメリカ人にとっては。つまり、人種に関する問題はとても根が深く、完全に払拭するのはとても困難なのです。
これらから先、あなた方の身にも先に述べた黒人航空兵のような出来事が降りかかるかもしれません。つまり、人々があなたのことを無視したり、またあなたのほんの一部分しか見てくれない、と感じることがあるかもしれません。
世の中は、常にあなたのことを今日のように賛美してくれるわけではありません。他人はあなた方がどれほど努力し、この日のために多くのことを犠牲にしてきたことを知らないのです。
学位を取得するためにどれほどの時間を費やしてきたのか、仕事を掛け持ちして授業料を払い、自宅に帰るとお婆様の世話をし、校内の資金集めやフードバンクのボランティアのために自分の時間を使ったり……。他人は、あなた方のそんな部分を知らないのです。
代わりに、他人はあなた方がどんな人であるのかを勝手に想像し、彼らの限定された世界観で判断するのです。そして私の主人と私はそれがどんなにイライラすることなのかを知っています。これまで人生で幾度となく、そのような心ない行為に傷つけられてきました。
あたかも自分たちの安全が脅かされているかのように、こちらに恐怖の目を向けながら道路を渡る人々、デパートで私たちに気付かないふりをする店員、公式なイベントの場で私たちのことを「救い」だと勘違いしている人々……。そして、私たちの知性と誠実さと愛国心に疑いの目を向けてくる人々によって。
これらの小さな屈辱は、全国の皆さんが日々向き合っているものに比べたら、ごく小さなものでしょう。あなたを立ち止まらせたり、後ろ向きにしたりする懸念は、常に日々の生活に付きまとってきます。
自分のアフリカ系の名前のせいで仕事を得るチャンスを逃したのではないかと心配してみたり、「決して平等でない」平等をうたった学校に自身の子供を通わせるジレンマに苦しめられたりと、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。我々がどんなによりよい人間、親、市民になろうと頑張っても、ある種の人々にとっては全く意味のないことなのです。
そしてそんな感情のすべてが、自分にとって重荷になっていくのです。孤独を感じるかもしれません。自分の人生なんてどうなってもよいと思うかもしれません。まさに昔、タスキーギの卒業生のラルフ・エリソン氏が書いていたことそのものです。
過去数年を振り返ってみると、これらの感情が事実であることが分かります。何十年にも及ぶ、無数の戦いのせいであまりにも多くの人々がストレスを感じ、疎外感を感じているのです。このような感情はボルティモアやファーガソンは言うに及ばす、アメリカ中に広がりつつあるのです。
ですが、卒業生の皆さん。私はそのような感情は、物事を諦めたり逃げたりする理由にはならないと断言します。言い訳にはならないのです。そうしたことを、希望を失う言い訳にしてはなりません。絶望や怒りの気持ちに屈すれば、私たちの負けなのです。
聞いてください。歴史は私たちに、よりよい物語や勝ち抜くための設計図を与えてくれるのです。歴史は教えてくれます。沈んだ気持ちから抜け出そうとする時、私たちはそのストレスを勉強に向ければよいことを、そして、一致団結すればよいことを。
それはコミュニティーを作り上げていくことにも繋がっていくのです。私たちは、根深い問題に対しても一緒に取り組むことができます。団結するのです。それにより私たちは、行く手に立ちはだかるあらゆる問題を乗り越えていくことが可能になるのです 。
まずできることは、投票に行く事です。たまにではありません。また、主人や誰かお気に入りの人に投票にする時だけでもありません。どんな状況でも必ず投票してください。なぜなら、投票こそが真実だからです。
もし何かコミュニティーで発言したいなら、本当に自分の運命を自身でコントロールする力がほしいのなら、あなた方も一緒に行動するべきなのです。一緒に参加すべきなのです。投票すべきなのです。投票! 投票! 投票! それこそが、私たちが前進する方法なのです。そうすることで私たち自身が、そして私たちの国が発展していくのです。
それはここタスキーギで、いつも起こっていることです。素手でレンガを作った生徒たちのことを考えてみて下さい。彼らがいたから、このキャンパスで他の生徒が学ぶことができるようになったのです。ゴミの山から研究所を作り出した優秀な科学者のことを考えてみて下さい。彼は、家族を食べさせてくれている小作人たちを助けたかったのです。
厳しい差別の中で這い上がってきた空軍兵士たちは、アフリカ系アメリカ人がどれくらい高く舞い上がれるかを世界に見せつけたかったのです。そして、それこそが今日私たちが困難なことに直面したときに呼び起こすべき気概なのです。
あなた方は、アメリカ合衆国の大統領になって貧困や教育や機会均等の欠如などの諸問題に取り組む必要はありません。卒業生の皆さん、今日から若い人たちのお手本となり正しい道を示してあげてください。
今日から学童保育で勉強を見てあげるボランティアをしたり、炊き出しの手伝いをすることができるのです。また、これから入学して勉強したいという若者に、奨学金申込書の書き方を教えてあげることができるのです。そしてあなた方の先輩たちのように、次の世代のための基盤を作り上げてください。
先ほどお話しましたパイロットのチャールズ・ディボウ氏。彼は偉業を達成しても、決して立ち止まることはありませんでした。彼は軍を去った後、大学を卒業しました。そして高校の英語の先生になり、大学の講師になったのです。彼は、教育を通して他の人々を助けました。彼は軍の制服を脱いでからもずっと、例の2つの義務を果たし続けたのです。
卒業生の皆さん、それが我々に必要なことなのです。私たちは、タスキーギの力を今日の困難な問題にぶつけていく必要があります。私は、あなた方にこれだけは知っておいてもらいたいのです。それは、あなた方は実行するために必要なものをすべて持っているということ、すべてがあなた方の中にあるのです。
達成するのに何年かかるかは分かりません。また、緊張したり不安になったりするかもしれません。ただ、成功するのに必要なものは全部、あなた方に備わっているということを知っておいてほしいのです。
あなた方はこの神聖なキャンパスで、必要な知識や技能は既に身に着けました。さらに、これからもずっと応援してくれる家族がいます。そしてなにより、あなた方自身です。あなた方には、今日という日を迎えさせた強い心、根性、賢さが備わっているのです。
もし、周りの雑音に打ち勝つことができたなら……、もし、自分が何者でどこから来たのを確信できるのならば……、そしてもし、すべてを神がうまく用意してくれていると信じ切ることができるのならば、国中の人々のためになる素晴らしい役割が、あなた方に与えられるでしょう。
何年か経って、チャールズ・デェバウ氏が飛行機で離陸して行った時に感じたのと同じような自由を、あなた方も感じるのです。凸凹がなくなるのです。「決して失敗することのない奇跡」の過程に入れるのです。そしてあなた方は空中を自在に飛び回り、自由になるのです。
卒業生の皆さんに神のご加護がありますように。あなた方がどれだけ高く舞い上がって行くのか、とても楽しみです。皆さんのことを愛しています。そして誇りに思います。ご静聴ありがとうございました。
(会場拍手)
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