2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Shakira's Speech(全1記事)
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オックスフォード大学並びにオックスフォード・ユニオンの皆様、本日はありがとうございます。今日このようにお話できる機会を頂いて、本当に光栄に思っています。
実を言いますと、「私の話を聞きに来られるなんて、どうしてなの?」と少し不思議な気がしています。今日は歌ありませんし、お尻も今日は振らないんですよ。
(会場笑)
どうしてコロンビアのバランキージャ出身の一女性が、ニュートンやチャーチル首相が立ったこの同じステージに立つことになったのでしょうか。もちろん私はマザー・テレサのような人間でもありません。でも、とにかくこうして今ここに立っています。
それで考えたのですが、何といっても、私はアーティストなので、アーティストの観点からお話すればいいのではないかと思いました。我々アーティストは想像力を頼りに仕事をしています。
ここに来ることが決まった時、私は過去を振り返ると同時に、未来を想像してみました。想像力から新しい考えが生まれ、世界の姿も変わっていくのです。私は50年後に世界がどうなっているかを早送りして考えてみました。
何が起こっているのか。我々はどんな人間になっているのか。どのような困難を乗り越えられるようになっているのか。みんなどのように生きているのか。
私にはこの未来に1つの夢を持っています。皆様にそれをお話したいと思います。そうですね、文明を車に例えれば、何百万年もの間、時速30キロぐらいで走っていたのが、この過去100年ぐらいで、光速みたいな速さで走り出したのです。
どうしてそんなに加速できたのでしょう。この速度を今後も保つにはどうすればいいでしょうか。その答えはただ1つ、「教育の民主化」です。
それによって世の中はもっともっと良くなると、私は強く信じています。誰でも教育を受けられるようになれば、我々の英知がますます結集され、あなた方のような学生がこのような場所に集まることで、知性と知恵のネットワークが作られます。
そして、最高のアイデアを共有し、お互い刺激しあって、学び合い、情報を交換し合い、世界を発展させ続ける巨大なシンクタンクを作れるのではないでしょうか。そうすれば、共通の問題の解決策を見つけることもできるでしょう。すばらしいことではないでしょうか。
我々は、たったこの100年でものすごく進化しました。それは数多くの技術革新のおかげです。これから10年、20年、50年先にどのように進化するのでしょうか。世界も今では本当に小さくなってしまいました。どこへ行ってもまるで近所に来ているみたいな気がします。
これからの変化を作っていくのは皆さんです。だからお聞きしたいのですが、現在では不可能と考えられていることのうち、一体どれくらいが将来は当たり前になっているでしょうか。
人はどれくらい生きるのでしょうか。社会の構造はどうなっているのでしょうか。まだ夫婦が基盤となっているのでしょうか。今と同じような政治機構を持った社会で暮らしているのでしょうか。
確かに、これまで大きな変化があり、これからも大きく変化するでしょうが、教育の普及に関しては、残念なことに、変化のスピードはあまりにも遅すぎるのです。現在の変化の速度では、100年たっても教育がすべての子どもに行き渡ることはありません。
まして5年ではとうてい不可能です。この状況はなんとかしなければいけません。特に、世界には今の数倍の人を養うだけの資源があるのですから、方法はあるはずなのです。子供たちは飢えなくていいはずなのです。
ラテンアメリカでさえ、全人口を養う資源の3倍を持っているのです。これらの子供たちを待たせることはできません。100年も待たせることはできません。
白血病やエイズの子供がいれば、薬や画期的なワクチン使って救ってやれるようにならなければなりません。地球温暖化の問題でも、みんなが力を合わせて解決策を見つけ出す。そういう世界にならなければなりません。
大きな嵐が来るたびに心配しなくて済むようにならなければなりません。食料の新たな分配方法を見つけて、子供がお腹をすかしたまま寝なくていいようにしなくてはならないのです。
これらの問題を解決する鍵は何か、私にはわかっています。それは教育しかないのです。なぜそう確信できるかと言いますと、実際に見てきたからです。
私はコロンビアで生まれ育ちました。内戦、内紛、社会紛争、不平等の国です。開発途上国です。そこでは教育は贅沢であり、本来持つべき生まれながらの権利ではありません。
子供は教育をせがみます。親はなんとか必死に子供に教育を与えようとしますが、貧乏に生まれると、死ぬまで貧乏で暮らすよう運命付けられているのです。
教育の機会が与えられないために何百万人もの人が貧困のサイクルに陥っていますが、幸いなことに、それを打ち破るための戦略があるのです。
私は、18歳になると同時に、コロンビアで自分の基金を立ち上げることを決心しました。それ以来、子供達には質の良い教育と栄養を、親達には職業訓練を与えてきました。我々は学校を建てました。それらは、暴力で追われた家族、すべてを失ってしまった家族のためのコミュニティーセンターとしても使われています。
子供達を学校に繋ぎ止める方法、親をずっと子供の教育に関わっていくようにさせる方法も見つけました。学校で栄養のある食事を提供することで、辞めていく生徒も減り、生徒の栄養失調もすっかりなくなりました。
人々が極端な貧困や紛争に直面している地域で、教育の総合的モデルができあがれば、子供の心が変わるだけでなく、家族やコミュニティー全体も変わっていくのです。そのことを我々は見てきましたし、うまくいくことがわかっています。私を信じてください、必ずうまくいきます。
ところで、1つはっきりとさせておきたいことがあります。これは慈善活動ではないのです。これは人間の可能性への投資なのです。もちろん、倫理的、道徳的な観点からも、ある成果は達成されます。
しかし、経済的観点から見ても、全人類に巨大な利益がもたらされるのです。教育をみんなに普及させることは、世界の安全と経済成長の鍵なのです。
誰でも安全な国に住みたいと思いますが、弱い国は、どうしても凶悪な過激派の温床となってしまうことが多いのです。そういう国でも、より多くの子供を学校に通わせれば、不安定のリスクが劇的に減少し、より安定した民主的政治体制を築く土台が作れるのです。
極端な貧困状態で学校も行かずに暮らす子供は、教育を受けている子供と比べて10倍も戦闘的グループに勧誘されやすいとされています。
例えば、コロンビアのわれわれの学校場合、生徒の中にきっと麻薬密売やゲリラに加わると思われていた子供達がいました。ところが、その子供達は、今私がこうして話している間も、みなさんと同じように大学に通い、もうすぐ卒業しようとしているのです。ですから、教育は世界中で平和と安定をプロモートするのです。
1人の子供が1年間の小学校教育を受けるだけで、大人になってから受け取る賃金は10パーセントから20パーセント増えるのです。幼少期の発育プログラムに1ドル投資すれば、その子供は将来17倍にしてそれを返してくれるのです。
教育はそのように経済成長を促進してくれるのです。2060年の若者達に、「われわれはそのようなことをしてきましたよ」と言えたらいいなあと思います。
世界平和の使節団としてわれわれは、3万人の兵士ではなく、3万人の教育者をアフガニスタンに送りました。「教育が世界制覇より大切だと考えられるようになった」と思ってもらえることを望みます。
なぜなら、教育のみがわれわれの進化を加速してくれるからです。われわれは今まであまりにも長い間子供達の才能を引き出さず放置してきました。
子供達に投資し、彼らの才能を引き出すことで、いつの日か、彼らがわれわれの病気を治してくれ、われわれを火星に連れて行ってくれたりするのです。そして、地上に平和を確保してくれるのです。
哲学者のジョン・ロックは、確か、みなさんの先輩だったと思いますが、こう言っています。「世の中を知ることこそが自分を守ることになる、そして早く知れば知るほどよい」。
そうなんです、みなさん、早ければ早い方がいいのです。ぐずぐずしている暇はありません。運転席に座っているのは、みなさんです。みなさんの足がアクセルに乗っかっているのです。ぜひ、踏み込んででください。
ありがとうございました。名誉に感謝します。
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