2024.10.10
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Stanford Graduate School of Business Earvin "Magic" Johnson: Understand Your Customers and Over-Deliver(全3記事)
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アーヴィン“マジック”ジョンソン氏:再び、「期待以上のものを提供する」ことについて話しましょう。もし私がスコーンを店に置いたままにしていたら、客単価は高くならなかったでしょう。私はデザートを変えて、通常のスターバックスの店舗で流れていたローレンス・ウェルクの音楽をやめていました。
(会場笑)
かわりに、プリンスやモータウンの音楽、アース・ウインド&ファイアーなど、都市部のマイノリティが共感するような曲を流したのです。あなたが私の店に来て、何か買って、快適に座っているとしましょう。音楽も心地いいし、大好きな飲み物が自分の隣にある。あなたは、再び何か買うぐらい長く店に居続けるでしょう。
マイノリティの人たちは、お気に入りの場所を見つけたらそこに通い続けます。お気に入りのレストラン、お気に入りのハンバーガー屋というような感じでね。それがなんであれ、そこが常連の場所になります。私たちの期待を上まわるサービスを提供してくれる場所だからです。だからこそ、期待以上のことをしなくてはいけないのです。
また、自分の顧客層とふれあい続けることも大切です。「これは好きですか?」「じゃああれは?」と質問をするのです。私たちは顧客層に合ったことをするために、常に顧客と触れ合っています。それが成功の秘訣の一つです。
司会者:多様な視点を持つことがどれほど大切だったかということですよね。最近、シリコンバレーやIT産業一般における多様性の欠如に注目が集まっています。このことは、投資や提携先を決定する上で何か影響を与えていますか? また、ご自身の組織のトップになられた今、多様な才能を採用し、雇用することについてどうお考えですか?
ジョンソン:最初の質問ですが、シリコンバレーでアフリカ系アメリカ人のエンジニアがたった1パーセント、ラテンアメリカ系アメリカ人が3パーセントしかいないことを考えると、 あまりにも低すぎる数字だと思います。
これは言い訳にも使われていますね。「マイノリティのエンジニアがいないんです」ってね。なるほどね。でも、弁護士や会計士や人事部など、資格のあるマイノリティを雇える分野が他にもありますよね。マイノリティはエンジニアにだけなりたいわけじゃない。マイノリティも、グーグルやフェイスブック、その他の多くのIT企業で働いてみたいと思っていますよ。
多様性は上から始まるものです。だから私はスタンフォード大学が大好きなんです。私たちマイノリティは、分配が欲しいわけではない。ただ機会が欲しいのです。2人のコーチを見てください。彼らはただ機会を欲して、期待された以上の仕事をしています。それが全てなんです。ただ機会を与えて欲しいのです。
実際のアメリカ社会を反映するような雇用が理想的だとすると、次の20年でアメリカの半分、もしかしたら半分以上は、マイノリティが占めることになります。そのことを最初に理解し、今からマイノリティを雇う会社こそが、従業員としてのマイノリティだけでなく、消費者としてのマイノリティにどう対応していけばいいのか理解することができるのです。
私にとってそれは簡単なことです。私は頭の切れる若者を雇いたい。実は、スタンフォード出身の人が私の会社で働いてくれています。立って。さあライアン、さあ。
(会場拍手)
ライアンの何がすごいかお伝えしましょう。ライアンは数年前このキャンパスにいて、私の会社でインターンシップをしていました。それはスパークスの買収を考えていた頃のことでした。
私たちはライアンにスパークスとの取引に関わってもらいました。ライアンは数字を分析し、私に「スパークスに払う金額を考えると、いい取引でしょう」と言いました。もし彼がスパークスとの取引はしないほうがいいと言ったなら、私は取引をしなかったでしょう。
私たちの会社には、ライアンのような若く賢い人たちが働いています。スタンフォードは若くて素晴らしく賢い人たちをたくさん送り出しています。そうそう、ここにお集まりの女性のみなさん、ライアンは独身ですよ(笑)。
(会場笑・拍手)
拍手始めちゃった。
ライアンが取引を分析して、私にわかりやすく説明してくれたとき、私は彼を雇いたいと思いました。私の会社で働くには、人の扱い方を心得ている必要があるからです。利口なだけじゃ駄目なんですね。また、私は会社の代表として外に出て行けるような人が欲しいのです。ライアンはその意味でも素晴らしい仕事をしています。
私にとってブランドというのはとても大切なんですね。だからブランドを守ろうとしているんです。私は他のものは全て手にしました。持続可能性、成長性、そういったものは今全てあるんです。でもそれら全てを破滅させてしまうもの、それが腐敗したブランド、弱いブランドです。
私は会社のブランドを守るために、ライアンのような人を雇うのです。ブランドを守るだけでなく、同時に成長させることができるような人です。
私たちは持続可能性の一環としてドジャースを買収しました。また、最近140億ドルでアイオワ州のエクイトラストという保険会社を買収しました。アイオワ州に本部があるのですが、本部はイリノイ州に移すつもりです。エクイトラストは非常に好調な業績をあげています。今後もさらに拡大させていきますよ。
だから考えてみれば、今私は欲しいもの全てが手に入っているんです。最初、私は敬意を払ってもらうために戦いました。私が最初に会議室に入って行ったとき、私はまだバスケットボール選手として見られていて、誰も私を重んじていませんでしたから。
でもスターバックスとの取引が全てを変えました。私は投資収益率を上げました。私は既に有名だったハワードのブランドを、さらにまた上のレベルへと引き上げたのです。
史上初のこともやりましたよ。ジェイ・レノがテレビの生放送でスターバックスのカップを持って、「一杯のコーヒーになんでこんなに高い金を払わせるんだ」と言ったのです。私たちはみんな笑っていましたが、ハワード・ショーはかなりうれしがっていましたよ。「わあ、私はザ・トゥナイト・ショーに無料で出れたんだ!」ってね。
(会場笑)
そうなんですよ。私たちはスターバックスのブランドを無料で育てることができたんです。しかも、収益を伸ばすこともできました。この提携で私は欲しかったもの全てを手に入れることができたのです。
次に、私は都市部のファンドとしては随一の不動産会社を営みました。最初は3億ドル、次は6億ドル、そして3回目に10億ドルを投資しました。そして私たちは、ユーカイパ・ジョンソンというバークルの会社と同じぐらいの価値のある株式ファンドを手にしました。
私たちは約5億ドルを調達しました。それで私は約20のラジオ局やソウル・トレインのブランドを買収したんですね。
不動産ファンドに関して言えば、私たちはまだテキサス州のオースティンにあるWやワシントンにあるヒルトンなどを保有しています。ロサンゼルスのダウンタウンにあるトランスアメリカ・ビルディング、あれも以前持っていました。そういった不動産に投資していたんですね。
バスケットボールのコートであの小さなボールをドリブルしていたところから不動産ファンドや株式ファンドを持ち、グッゲンハイムと仕事ができるようになるとは、本当に素晴らしく特別なことです。
ついにマーク・ウォルターが私に言いましたよ。「もうこれ以上資金を調達しなくたっていい」と。「大体2,000億ドルぐらい管理してるから、こっち来て見てみなよ」「オッケー」ってね。
(会場笑)
ここでちょっとした小話をしたいと思います。あなたたちの何人かは失望を経験するからです。ちょっと立ち上がってもいいですかね? いいですか?
ここはスタンフォードで、みなさん賢いですからね。この中の誰かのために働く日が来るかもしれません。学部長、ちょっと動いてもいいですか? よし。ずっと座ってるのは苦手なんです。
若者たち。私が最初に資金を調達しようとしたとき、私はここからちょっと行ったところにあるカルパースを訪れました。私は4回退けられましたよ。最後に委員会が拒否したとき、彼らは言いました。「なんで他のマイノリティは資金調達に来てあなたが話しているようなことをしないのですか」。
私はその質問に答えることができませんでした。私がカルパースを訪れたのは、マイノリティが多く住む都市部の地域のために約5000万ドルを投資してもらうためでした。それは当時、前代未聞のことでした。
そのあと、最後に私が行ったとき、5回目に、彼らはついに、「5,000万ドルお渡ししますよ」と言ったのです。またあの言葉に戻りますよ。もしあなたが5000万ドルで期待されている以上のことをやったら、さらに1億ドルを得ることができるでしょう。
私は2200万ドルでショッピングセンターを買いました。当初、店舗入居率は40%でした。私は入居率を100%にしました。そして4800万ドルで転売したのです。サクラメントに2600万ドルを持って帰って、「どうぞ」と言いました。そうしたら何が起こったと思いますか? 彼らは私を実業家として尊敬し始めたのです。
みなさんの多くが、私のように5回拒否されるでしょう。あなたは何度でも立ち上がってまた挑戦するでしょうか。それとも、下を向いて失望し、立ち上がらず、二度と挑戦しないでしょうか。
私は、自分には素晴らしい事業計画があると思ったし、いい戦略があると思っていました。私はそれにかけたのです。だから私は何度もサクラメントに足を運んだ。そしてついに了承を得て、全てが上手くいったのです。
だから覚えておいてください。拒絶されることもあるでしょう。あなたの事業計画が気に入らない人もいるはずです。それでもいいんです。そうなったら計画を変えて、それに合わせればいいんです。でも、もし自分の事業計画を信じるのなら、諦めないことです。そして、もし下調べをして情報収集もして、自分の事業が成功する可能性が高いと思ったなら、進み続けるんだ。
あなたがなれるもの、そしてあなたという人を、決して他人に決めさせないでください。人は私のことを、「マジックはただのポイントガードだろ」と言いました。違うよ。
(会場笑)
私はそれ以上だった。今、私はそれを毎日証明しています。
つい最近、ジャック・ドーシーが、「マジック、Squareの役員会に参加しないか」と言ってきました。私は四方八方の役員会を断ってきたのですが、ついにジャック・ドーシーという人、そして彼がつくったもののことを信頼したので、「オッケー」と言いました。でももし私が自分を証明していなかったら、ジャック・ドーシーが私にSquareの役員になるように誘いに来ることはなかったでしょう。
さあ、戻ろうか。
(会場笑)
司会者:ありがとう。
ジョンソン:これがスタンフォード流だよね。
(会場笑)
司会者:学びを通じた経験ですね。
(会場拍手)
ジョンソン:もう1つ私の教訓をお教えしましょう。若者たち、これは書き留めて。
常に適応するようにすること。
(会場笑)
あとは、調整すること。
(会場笑)
本気ですよ。市場は変わっていくので、常に適応して調整していかなくてはいけないんです。私たちはまさにそれを行いました。不動産ファンドでは、いくつかマンションを建てました。そのときの市場は、覚えていますか、銀行はもう貸出ししてくれないし、みんな困っていたんです。
でも私たちは素早く、「あれ、ちょっと待てよ、これって賃貸物件にすぐに変えられるぞ」と言ったのです。それで何が起こったでしょう。最終的な収益には影響がなかったのです。私たちはなお成功しました。なぜなら私たちは、「なるほど、このままでは失敗する。誰もローンを組めないんだから」と賢く考えたからです。「でも賃貸物件にすることができるし、そうしたら成功するだろう」ってね。
何かあっても、素早く巧みにこう言うことが大切です。「自分は今日の市場で起こっていることに適応もできるし調整もできる。市場が変わっても成功するために自分の事業を変えることができる」
司会者:回復力が大切だということですよね。質問に移る前に、もう少し個人的なことについてお伺いしたいと思います。健康問題に関してです。
あなたはバスケットボール選手としてスーパースターの頂点にいた頃にHIVにかかりましたね。そして一夜にしてHIVを代表する顔となりました。当時HIVは同性愛者や白人の病気だと思われていました。HIVにかからなかったら関わっていなかったかもしれない人たちのリーダーとなったわけですが、その経験についてお話いただけますか。
ジョンソン:わかりました。最初は辛かったです。まず、病院に来るよう電話がありました。私たちはユタにいたので、ユタから家まで飛んで帰って。試合に出られなかったのが辛かったです。一体何が起こっているのかわからなかったんですね。
病院に行って医師にHIVに感染していると言われたときは、ただただ呆然としました。床に突っ伏すほどショックだったんです。医師が言った言葉を受け止めるまでに何時間もかかりました。ショッキングなことに、私はつい最近結婚したばかりで、妻は妊娠していたんです。だから私は、自分がHIVに感染していると伝えるために家に帰らなくてはいけませんでした。
そのとき、私は自分のことよりも妻と赤ん坊のことを考えていました。私はずっと、自分は全て正しいことをしてきたと思っていました。試合に全てをかけてきたし、最大限の努力をしてきた。それも今、全てドカーンです。HIVのことがわかった。
私はミシンガン州立大学のキャンパスで会った女性と結婚しました。ずっと親友と結婚したいと思っていたんです。家に向かって運転するのと同時に、こういうこと全てが頭の中を駆け巡りました。これから人生で最も厳しい挑戦と直面しなくてはいけないのです。マイケルやラリーよりも厳しかったです。
(会場笑)
うん(笑)。今は笑って話せるからよかったよ。
玄関を開けると、妻は何かがおかしいとすぐにわかったようでした。私は彼女を座らせ、HIVに感染していることを話し始めました。妻は赤ちゃんのように泣きました。何が辛いってね、若者たち、自分の過ちは自分を傷つけるだけではなく、自分を愛してくれる人まで傷つけてしまうんだ。そういう人たちも自分の間違いによって影響を受けてしまうんだよ。
妻はただ素晴らしい妻で友人であっただけなのに、私は彼女をリスクに晒し、厳しい立場に置いてしまったのです。2人で話し合って私が彼女を慰めようとしていたとき、私はこう言いました。「僕のもとを去りたいなら、そうしていいんだよ」
そしたら妻は、私の頭をものすごく強く叩いたんです。
(会場笑)
そしてこう言いました。「一緒に立ち向かうのよ」って。
このときはじめて、もしかしたら自分は生きられるかもしれないと思いました。もしクッキーが私のもとを去っていたとしたら、私はここにいなかったでしょう。私には彼女という支援体制が必要だったのです。
大変なときには、最も苦しい瞬間を支えてくれる愛する人が必要なのです。クッキーが私のそばで支えてくれたことは幸運でした。数週間後、私たちに最高のニュースが舞い込みました。医師が検査した結果、クッキーも赤ちゃんも感染していなかったのです。それから24年間、私はHIVの顔として活動をしています。
司会者:ご自身の感染について公表し、多くの人にエイズのことを知ってもらうように勧めたのは奥様だったのですか?
ジョンソン:いい質問ですね。実に素晴らしい質問です。クッキーの状態がわかったあと、私たちは公表すべきかどうか迷っていました。そのときに、エリザベス・グレイシャーというエイズの女性と知り合い、人生が完全に変わったのです。
当時死に瀕していた彼女は、私にこう言いました。「アーヴィン、この病気の顔になって。患者には顔が必要なの。病気には顔が必要なの。あなたは顔として理想的だわ。お願いだから公表して。そうすることで世界が救われるわ」
彼女はまた、もうすぐいい薬ができると言いました。彼女の言った通りでした。当時はアジドチミジンという1つの薬しかなかったのです。私は彼女との出会いに感謝しています。
私は「顔」になり、HIVに感染している人を助けるために様々な取り組みをし、また、人々を教育することを彼女と約束しました。エリザベスにも彼女の名前が付けられた素晴らしい財団があり、意義深い仕事をしていました。クッキーと私は彼女と出会って、公表することを決めたのです。
数字で見てみると、現在アメリカでは100万人以上がHIVに感染しています。しかも8人に1人は自分が感染していることすら知らないのです。感染しているとは知らずに過ごしている人がたくさんいるのです。
HIVはマイノリティのコミュニティにも多大な影響を与えています。数字で見ると、特に黒人で顕著です。HIVに感染している男性の55パーセント、女性の45パーセントが黒人なのです。だから検査に行くことはとても大切なんです。結果を受け取りに行くこともね。
今では、自宅で検査を受けることもできます。薬も一種類だけでなく、30種類もあります。だから私は今も生きていられるんです。薬も前よりずっとよくなりました。飲みやすくなりました。
マイノリティの間では今でも、HIVの感染を知ることが恐れられています。このことは私たちのコミュニティに深刻な損害をもたらしています。だから私は、HIV感染者への差別とも闘っています。
いろんなところへ行って、人々を教育しています。これが私の人生です。私は自分のしていることが大好きです。外に出て行って、HIVやエイズのことについて話して、人を助けることが好きです。それが私なんです。
私がブッシュ大統領の、父親のほうですが、エイズ委員会に参加したとき、私はボストンのホスピスに行きました。そこには30床のベッドがありました。入ってみると、そこにはたった一つの部屋に1人の患者しかいませんでした。私は、「他の29室は何か問題があるんですか」と聞きました。
部屋に入るには、手続きが必要だったのです。部屋が必要な人でも手続きが必要なんですよ。手続きが終わるまでには1年から2年かかるんです。私はその日に委員会を辞めました。こんなのは間違っていると思いました。部屋に入れずに路上にいる人もいるのに、長い手続きをさせるなんて。
だから私はその日に辞めて、マジック・ジョンソン財団を設立しました。私たちは様々なエイズ支援団体に約1500万ドルを提供してきました。また、4万人以上のマイノリティの検査を行いました。これが私が毎日していることです。自分の仕事が大好きです。
HIVとエイズに関してだけではありません。私たちは全米の120人の大学生に奨学金を授与しています。多くのマイノリティは自分でパソコンを購入して自宅で使うことができないため、私たちは16ヶ所のテクノロジー・センターを作りました。誰もがパソコンを使うことができるようにです。私たちは毎日、こういったことを行っています。
また、最近私は「マジック・ジョンソン・ブリッジスケープ・アカデミー」を設立しました。マイノリティが多く住む都市部の現在の問題は、非常に多くの中途退学者がいることなんです。だから私たちは、子どもたちが路上から離れて高卒の資格を取ることができるセンターを建てています。すでに400人の生徒が卒業しましたよ。しかも、多くの生徒は今大学にいるんです。拍手しましょう。
(会場拍手)
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