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【出版記念セミナー】お金とプロティアン~稼ぎ方の心得~(全4記事)

お金の話をできなくさせる「収入=その人の価値」の思い込み 「主人公は自分」で考える、これからの稼ぎ方の心得

一般社団法人プロティアン・キャリア協会主催で行われた『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』(KADOKAWA)出版記念イベントの模様をお届けします。テーマは「お金とプロティアン~稼ぎ方の心得~」。最終回の本記事では、「お金」に対する向き合い方について語られました。

自分の中の「当たり前」が時代遅れになっていることも

和泉昭子氏(以下、和泉):ちょっとぜんぜん違う話をしていいですか?

田中研之輔氏(以下、田中):どうぞ。

和泉:今日見ていたテレビで、昭和のレトロみたいなやつをやっていて。男の人にはぜんぜんわからないかもしれないですけど、ホットカーラーというものがあって、カーラーを温めて髪の毛に巻くんです(笑)。

田中:うんうん、こう巻くやつね。

和泉:うん、そうそう。今はそんなことをしなくて、アイロンでやるんだけど。うちにもあるんだけど、出ていたアナウンサーが、「うちの奥さんはまだそれで巻いている」と言っていて、「これって昭和の遺物だったんですね」みたいな話だったんです。

田中:(笑)。

和泉:今日は若い方がいっぱい参加されていて、なんかこういう例はピンとこなくて、レトロだと思うかもしれないんですけど、それでもやはり10年、20年生きてくると、自分の中では当たり前だと思っているものが、すでに時代遅れだったりすることってあるじゃないですか。

田中:そうね。

和泉:だからそういう目で、自分の周りにあるものをみんな手放していって、先生の言うように空間を手に入れるのでもいいと思うんですけど。私は2022年に大きな家具をいっぱい捨てて、白い壁と空間ができて、とても豊かな気持ちになりましたね。

お金が“主人公”である状態は望ましくない

和泉:それこそ空間の使い方も時間の使い方もそれによって変わったから、やはり持っている資産、私は今日、金融資産を中心にしてしゃべっちゃいましたけど、先生のお話を聞いていて、本当に自分の内側のアセットを磨く意味でも、まず目の前、周りにあるものを大事なのか大事じゃないのかとより分けていくこともいいかもしれないなと思いましたね。

田中:そうでしょう。

最近テレビでよくある、「金庫を開けます」みたいな番組があるじゃないですか。

和泉:はい、はい。

田中:お宝、蔵から何かの金庫を開けますみたいな。みんな好きだと思うんだけど、あれ、すごくおもしろいなと思っていて。なんでかと言ったら、あそこに歴史が閉じこもっているからおもしろいんですよね。

開けるのか開けないのかといったら、プロが来るから絶対開くんだけど。開いた時に「お金があるかな?」というふうに思ってしまいがちだけど、やはり「歴史」があるじゃない。手紙だったり何なりという。

和泉:そうですね。

田中:あれって1つのメタファーだなと思っていて。お金は我々の歴史でもあるんだけど、やはりプロティアンで考えるのは、主人公は我々じゃなきゃダメだと思うんですよ。つまりお金が主人公じゃダメだと思うの。

でも、給料日を前にして萎縮して。それはお金がないという意味じゃなくて、精神的にという意味ね。我慢をして、引き出すのもなんとかと言って。それって主従関係のどちらかと言ったら、やはりお金のほうが上になっていると思うの。お金が我々の日常を支配してくると思うんですよ。これは絶対に社会人として望ましい状態じゃないと思う。

それは昔はできなかったと思う。例えば手取りが20万円、25万円なら、都内に住めば、若い子たちでも10万円弱ぐらいの家賃だとすると半分取られる。家賃ならば30パーぐらいに抑えなあかんのに、それ以上、50パー出しちゃってるじゃんみたいな話になるから。

「お金のことを言うと卑しい」という文化がある

田中:でも、今の時代は和泉さんの言葉にあったように、副業だっていいし、運用だっていいし、いろんなレバレッジがかけられるから、それに関しては政府の言うリスキリングだよね。

だからマネーリスキリングといって、もっといろんなチャレンジをして、新しい知識を和泉さんから学ぶとか、みんなから学ぶとか、ネットから学ぶとか、なにかやるといいですよね。みんなお金に関して臆病じゃない? そんなことない?

和泉:うーん、臆病なのもあるし、今まではお金の話をこうやって開けっぴろげに話しにくかったかも。たぶん、今日チャットでぜんぜん質問が来ないのもそうだと思うけど。

田中:(笑)。これ、新しいよね。おもしろいなと思って。なんか言いづらいよね。

和泉:そうそう。「お金のことを言うと卑しい」という文化がたぶんあったし。あと心理学のセミナーとかでよくやるんだけど、「みなさん、自分の年収を言ってください」と言った途端に「え?」と必ずなるんですね。

田中:うん、確かに。

和泉:それである女性が、その人はすごく稼いでいる人で、やはり「え?」と言って、「稼いでいるんだからいいじゃない」と言ったら、「いや、そうすると周りの人が引くでしょ?」と言ったんですよ(笑)。

田中:真相がわかってきた。

和泉:それっておかしいんですよ。収入の多寡とその人の価値はイコールじゃないのに、どこかでイコールみたいに思っちゃってるから、その話をしたらいけないと思っている。そうじゃなくて、お金は道具でしかないので。ただ、道具をマネージできないというのはちょっともう、いまや格好悪いねというくらいですかね。

お金に支配される=お金をコントロールできていない

田中:同じことを考えます。本当にそう思う。だから、お金に支配されるというのはお金をコントロールできていないということだからね。僕なんかも、ど稼ぎしてどんどん寄付してやろうとか。「寄付」という言葉じゃないですね。僕の場合はインベスト。あまり知らない人・団体に、1,000万円、2,000万円寄付するという価値観はないんですよね。

アメリカなんかにいると、あの人たちがすごいのは、例えばバークレーにいたら、バークレーのビルディングなんかは全部人の名前だものね。バローズホールにはバローズさんがいるとか。要はあれがお金を稼いだ後の、ある種の名誉?

なんでみんなビルに投資するかと言ったら、やはりそこに歴史を閉じ込めるんですよね。だから、ある意味もう一回そこに稼いだお金という歴史が戻っていく。ただし、お金の使い方としてはなんかいいよね。だから今で言うと、地域に払うやつがあるじゃないですか。地元にお金を払うとお土産をもらえるじゃないですか。

和泉:はいはい。そのエリアだけで通用するお金?

田中:とか。ふるさと納税。

和泉:ふるさと納税。

田中:ありがとうございます。ふるさと納税とかみんなやっているんでしょ? だから私の場合だったら、よく言うのはPL型とBS型で、プロティアンはやはりBSモデルなの。つまり自己投資をして、それのリターンもある種の資産として考える。

PLモデルというのは、要は稼いだ分と支出の量で見るんだけど。バランスシート(BS)の場合だったら、タイムラグが多少なりとも出てくるから、けっこうそこがプロティアン的には魅力的なんじゃないかなと。

今できることに投資する、生きたお金の使い方

田中:つまり、「前を厚くする」という和泉さんのアドバイスに基づくならば、今できることにベットしていったらいいと思う。

ただし、じゃあ手元資金が1,000万円あるとしたら、それに対して1,000万円のベットはみんなできないから、200万円までベットできるとか、100万円だったら20万円までベットできるとか。月で言うならば2万円かけられるといったら、この2万円をやはり、会社を経営するように戦略的に投資したほうがいいと思うんだよね。自分のリターンに対して。

だから私の場合だったら、みんなやっていると思うけど、ChatGPTの有料版、20ドル。はい、やるよね。そこで何が起きるかわからないけどやってみる。そういう生きたお金の使い方は、すごく私自身も意識はしている。あっという間に最後になっちゃったけど。

じゃあ私はそういうふうに考えていますけど、最後に和泉さんから、「お金とプロティアン」で今回新著が出たということで、みなさん向けに。ただ、オーディエンスの年齢幅や、収入構造はばらばらというのは前提なんだけど、「今日からこんなことができるよ」というアドバイスをいただいてクロージングにしましょう。

『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』(KADOKAWA)

和泉:わかりました。

自分にとってのビジネス資産となる「タケノコ」は何か

和泉:まず質問で、カズヒロさんから。「お二人はお金は大切ですか?」。あと、みなさんがふるさと納税を教えてくれたんだけど(笑)。お金は大事です。

ちょっと違う意味かもしれないし、最近「FIRE」とか流行っているから、早く引退して自由になるという。そういう意味じゃなくて、今先生がおっしゃっていた投資もそうなんですけども、いかに自分がフィナンシャル的に自由になるかという大きいところですよね。

だから、何千万円も何億円も若いうちに手にして早くリタイアしようという話では、ぜんぜんプロティアンだしないんですけど、やはりある程度心に余裕があって、生活の心配をしないでいいということは自分を自由にするので、ぜひやってみてほしいなと思うのと。

「じゃあ何からやるの?」というので、今は私は、私の範囲でいくとiDeCoとかNISAとかなので、ちょっと2024年に向けて準備されたほうがいいんじゃないのかなと思っているんだけど。

その前に、みなさんがぜひしたらいいんじゃないかなと思うことを言うと、先生のヒントばっかり言って申し訳ないんだけど、私が今日一番驚いたのは「タケノコかあ」ということなんだけど(笑)。

田中:(笑)。

和泉:私自身も、自分が何に詳しいのかとか、どっちかと言うと特徴がなくって、「自分はいまひとつとんがったものがないな」とずっと悩んできているタイプなんですよ。それが「タケノコでよかったんだ」とさっき思って、それを探すのがいいかなと思いました。

「それってお金のことじゃない」と思われるかもしれないけど、今ってやはり、それこそ日常的に何か発信しているだけでお金が入ってくる時代になったので。

田中:そうなったよね。

和泉:世の中的な平均値はChatGPTがやってくれちゃうから、いかに自分が端っこで稼げるかということなのかなと今思っているので、一緒に始めませんか? まずは、「自分にとってのタケノコは何か」ということを、私も考えたいと思いました。

田中:ありがとうございました。ぜひみなさん、和泉さんの本を。私は熟読しましたので、読んでみてください。

和泉:なんかちょっと恥ずかしい...…。

お金は道具で、人間が主役の考え方を大切に

田中:最後にまとめると、やはり、1つ和泉さんと私で共通了解できるんじゃないかということで言うと、まず眠っている資産。家の中とか不動産の中とか、眠っている資産はどんどん回したほうがいいですよ。動かしたほうがいい。

眠っているもう1つの見えない資産。これをビジネス資本といいます。みなさんの中には、タケノコに詳しいとか、生きてきた歴史の中の資産、資本があるから、これを可視化させる。それでまずはミニマムで少し回していく。すると少しプロティアンライフ、豊かな人生になるかなと思います。和泉さん、どうもありがとうございました。事務局に戻します。栗原さん、お願いします。

和泉:ありがとうございました。

栗原和也氏(以下、栗原):お二方、ありがとうございます。本当に興味深いお話で、特にマネーをただのマネーで捉えずに、やはりそこに主従関係があって、人間が主役だと。ここは非常に重要なポイントだなと私も本当に実感しております。しっかりと発信していきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

田中:ありがとうございます。

和泉:ありがとうございます。

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