2024.10.10
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日本の復活の鍵 "with"の力とはカレーうどん!?【藤野英人×渋澤健 ②】(全1記事)
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ナレーション:渋澤栄一と言えば『論語と算盤』。特に注目は「と」。すなわち、「with」の力だと言います。
藤野英人氏(以下、藤野):渋澤さんは渋澤栄一さんについてたくさんコメントもされていて、本も書かれているじゃないですか。特に中心的な考えの『論語と算盤』があって、最近はSDGsの本も出されていますが、今、特に注目している分野はありますか?
渋澤健氏(以下、渋澤):1つの時代の流れで、僕は2020年くらいから新しい時代が始まると言っていて、時代のリズムが続いているじゃないですか。明治維新から、だいたい30年サイクルで、破壊・繁栄・破壊・繁栄と来ている。で、我々は2020年まで破壊の30年にいたんじゃないかと。
2020年から新しい時代に入るというのは、我々が草食投資隊を始めた頃から漠然と思っていたんですけど、なんか僕の中では(実際に)そうなってきていて。2019年に平成が終わって、令和が始まりましたよね。
藤野:確かに。
渋澤:時代を見てみると、昭和時代はピラミッド型社会で、平成時代はひょうたん型社会。令和は逆ピラミッドになりましたよね。
藤野:そうですね。
渋澤:ということは、過去の延長線上では未来を描けないし、繁栄も描けない。だから、新しい価値観で、新しい時代を作らなきゃいけないというのは見えているじゃないですか。
藤野:明白ですよね。
渋澤:そしたら、コロナが来て、働き方もそうだし、我々が当たり前だと思っていたことがいろいろ変わりましたよね。
藤野:そうですね。
渋澤:と思ったら、ウクライナで戦争が始まった。(かつて世界では)ブロック経済がありましたよね。その後、グローバル化した経済がありました。そして、またブロック経済が始まるわけじゃないですか。
藤野:そうですね。
渋澤:やはり時代の節目に立っていると考えた時に、今までやってきたことの延長線上だと、我々の見える未来は逆ピラミッド型しかないんで。
藤野:うん、確かに。
渋澤:我々がこれから目指さなきゃいけないのは、新しい価値を作らなきゃいけないと思うんですよ。
昭和時代はメイドインジャパン。日本で作って、先進国に輸出しましょうと。あまりにも成功したのでバッシングが始まって、平成時代はメイドバイジャパン。あなたの国で作ります。
非常に合理的なモデルチェンジだったと思うんですけど、平成はバッシングで始まったけど、終わる頃にはパッシングされちゃって。
藤野:そうですね。
渋澤:ということを考えた時に、これからの時代に我々が目指すべきモデルは、メイドインジャパンだけではなく、メイドバイジャパンだけではなく、メイドウィズジャパンだと思うんですね。
藤野:うん。ウィズね。
渋澤:「日本と一緒に、新しい価値、豊かな生活を作りましょう」ということだと思うので。日本国内だけで考えると、人口が減りますと。その中でやることはたくさんあるし、それも重要だけど。どう考えても、岸田さんがおっしゃっている成長と分配の好循環というのを日本国内だけやると、どんどん小さくなりますよね。
だけど、日本から世界に、支援や投資、消費などをすれば、それが世界の成長につながり、特に若い世代が多い新興国や途上国から配当なり、いろんなかたちで日本に戻ってくる。この好循環を作る必要があると思っていて。だから、メイドウィズジャパン。
渋澤:『論語と算盤』の「と」は「and」と表現できるけど、「と」は「with」でもあるんですよね。論語with算盤。
藤野:なるほど。
渋澤:算盤with論語みたいなのと同じように、日本with世界。これができるかできないかが、今の私の関心ごとです。
藤野:なるほど。渋澤栄一さんは「and」と「or」の概念はあったけど、健さんは「with」で行くと(笑)。
渋澤:(笑)。
藤野:でも「with」、いいですよね。かっこいい。
渋澤:「と」の力というのは、一見関係なさそうな、論語と算盤を合わせること。簡単にはできないけど、前にできなかった組み合わせでできるということは、新しいクリエーションができるというイメージを持っていて。
「いや、渋澤栄一さんだからそれができるでしょう」という話があるのかもしれないけど、僕は日本人はそもそもそういう感性を持っていると思っていて。なぜなら、たぶん藤野さんも好きで、私も大好きなカレーうどんをイメージしていただければ。
藤野:カレーうどん。カレーとうどん。
渋澤:インドからたぶんイギリスに渡って日本に来たカレーとうどんを見て、日本人は同じお鍋に入れ、そこにお出汁も足したんですよ。これがポイントだと思う(笑)。
藤野:そうですよね。
渋澤:で、おいしいじゃないですか。これが「と」の力だと思うんですよね。
藤野:ここにカレーうどんのなんか写真を載せたりとかして(笑)。
渋澤:(笑)。ちょっとお腹が空いてきたでしょ(笑)。
藤野:いやいやいや、まさか(笑)。
渋澤:こういう話を地方ですると、時々、送ってくださるんですよ(笑)。
藤野:渋澤さんはこの間、アフリカに行きましたよね? それもやはり「with」の考えの1つですかね?
渋澤:そうですね。アフリカに関心を持ったのは、いくつかの側面があるんだけど、コモンズを立ち上げて、我々が長期投資を始めたぐらいのタイミングで、2050年の世界の人口を見たんですね。人口上位10位から日本が消えていて、10位以内にナイジェリア、コンゴ、エチオピアが入っていたんですよ。
藤野:へえ。
渋澤:「ええ〜」と思って。それで調べてみたら、「えっ、何、ナイジェリアってもう2億人もいるの?」って(笑)。アフリカ全土だと、今14億人か。だから、インドや中国と匹敵するくらいの人々がアフリカに暮らしているんですよ。
それが、日本は2050年には1億人くらいになるっていう。アフリカは24〜25億人になるって言われているんですね。倍増です。なぜなら、アフリカの年齢の中央値って20歳(はたち)なんですよ、中央値がZ世代なんですよね(笑)。
藤野:なるほど。
渋澤:この超ピラミッド社会のアフリカ、逆ピラミッドの日本を、withすればちょうど良い関係じゃないかと思ったんです。
藤野:確かに、確かに、確かに。
渋澤:10年ちょっとくらい前にそう思ったことが1つと、アフリカは誰もやっていなかったんですよ。ブルーオーシャンだなと思って(笑)。
藤野:確かに確かに(笑)。
渋澤:なんにもアフリカのことを知らなかったのに、首を突っ込み始めていて。
藤野:この間、別のアフリカ通の人に「アフリカどうですか?」と聞いたらめっちゃ怒られて。なんでかって言うと、「『アフリカ良いですか?』と言うのは、『東アジア良いですか?』と言うのと一緒のことで、国別に語らないとダメだよ」と。「ナイジェリアもチュニジアもコンゴも、南アフリカもエジプトも、全部違うから」と言われて。
渋澤:そのとおり。54ヶ国あるから。
藤野:そういう面で見ると、アフリカって、ヨーロッパに近い北アフリカと、真ん中のアフリカと、南アフリカとあって。あついのは真ん中だと言われましたね。
渋澤:あついっていうのは?
藤野:物理的に熱いじゃなくて、これから期待できるのほうです(笑)。
渋澤:アフリカで経済規模が大きいのはナイジェリアとエジプトと南アフリカなんですね。アフリカの経済のかなりをそこで占めていて。あと、イギリス圏とフランス圏、一部ポルトガル圏とあって、そこも全然違うし。奥が深くておもしろいです。で、何事もすぐにはうまくいかないところだなと思っていて(笑)。
藤野:そうですね。でも、それは草食投資隊としてどうなんですか?(笑)
渋澤:同じ、同じ、同じ。いつもエッジのところに行っちゃうんですよね(笑)。
藤野:(笑)。
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