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トルコ共和国(全6記事)

クルド人とトルコ人の関係がよくわかる『トルコのもう一つの顔』

海外旅行の人気国、トルコについて、どんなことをご存知でしょうか? 世界各国の歴史をゆる〜い雰囲気でお伝えするPodcast番組「世界一周!チラ見の世界史」が今回取り上げるのはトルコ共和国。このパートでは、トルコにおけるイスラム教について語ります。イスタンブールなどでは、街中でビールを飲んだりするのも全然平気で、意外とゆるい感じになっているそうです。また、クルド人問題にも触れ、トルコ人とクルド人の関係性がわかる『トルコのもう一つの顔』がオススメ書籍として挙げられました。

トルコは外でビールを飲んでも全然大丈夫

アキ先生:今(2013年)、すごくがんばっているのが、日本の大成建設と協力して、アジアとヨーロッパの間にあるボスポラス海峡の地下。トンネルを掘って地下鉄を作ろうとか。

やすやす君:青函トンネルみたいなもんだね。

アキ先生:そうですね。だけど、ここの部分は遺跡がたくさん発掘されてしまうので、工事がかなり遅れています。

おおたに君:掘ると何か出てきちゃうの?

アキ先生:出てきちゃうんですよ。これはトルコ人の職人だけじゃダメだということで、けっこう日本からも職人さんが来ているんですよ。

おおたに君:工事の? それとも遺跡発掘の?

アキ先生:そうですね。地下のトンネルを掘る工事というのが非常に難しいので、やはり日本の職人さんが来てやらないとだめだろうということで、けっこう職人さんが外でビールとかを飲んでいますね。

おおたに君:飲んでいいんだ(笑)。

アキ先生:大丈夫です、全然(笑)。トルコはビールを飲んでも大丈夫です。ただ、話が前後してしまってもうしわけないんですが、今回暴動があったじゃないですか。そのトルコのゲジ公園の暴動のなかで、10時以降のお酒の販売は禁止するということを今の政党が言い出したんですよ。それも「そんなことはやめろ」という感じで、けっこう市民の人たちは怒っていますね。

やすやす君:今はそれくらい自由になっているということなんでしょうね。

断食はけっこう守られている

アキ先生:そうですね。私はマレーシアに住んでいた経験もあるんですけど、マレーシアに比べてゆるやかなイスラムという印象を、私は受けていますね。

やすやす君:イスタンブールでは。

アキ先生:はい。

やすやす君:最初、僕が行った時は、まだビールを買うと黒い袋に入れてもらっていましたね。「透明な袋に入れて外を歩くのはいかんよ」と。たとえば日本で言うなら、薬局で買うようなものは外から見えないように包んでくれるじゃないですか。そんな感じで、当時は黒いビニール袋に入れてもらって帰っていましたね。今はちょっとわからないのですが。

アキ先生:そうなんですね。

やすやす君:外では大っぴらには飲めなかった覚えがありますよ。

アキ先生:今、けっこう飲んでいますね。

おおたに君:同じイスラム圏でもUAEとかと全然違うんですね。

アキ先生:違いますね。ただ、私も「トルコは比較的ソフトなイスラムだからいいや」と思って、断食中にバスで旅行をしたことがあるんですね。その時にもう一人の日本人の友人と一緒にバスで旅行をしていたのですが、バスの中で飲食をしていたんですよ(笑)。

おおたに君:断食中に(笑)。

やすやす君:どうなりましたか?

アキ先生:けっこう白い目で見られましたね(笑)。

やすやす君:それはそうだと思いますよ(笑)。だめですよ。

アキ先生:断食に関してはきちんと守っているのかなと思いました。

やすやす君:守っていない方もたくさんいると思いますよ? おなかがすいて食べるということもあるとは思いますよ。隠れてやっているお店も多いですし。イスタンブールだったら開いているお店も多いんでしょうけど。ただ、イスタンブール出身じゃない方もいらっしゃいますからね。田舎のほうから出た方とかね。なるべく現地の文化は尊重できるといいですね。

イスタンブールのラマダンの風景

アキ先生:そうですね。今、ちょうど断食の時期なんですけど。

やすやす君:先日、始まりましたね。

アキ先生:始まって、今の第一党のAKP、公正発展党がやっている取り組みとしては、断食は日が昇ってから沈むまでの時間なんですよ。その日が沈む時、夕方頃、広場でところどころ配給を行なっているんですね。

やすやす君:そうですね。ふるまい飯がありますね。

アキ先生:そうなんですよ。それでこれは現地の人から昨日聞いた情報なんですけど、今さまに暴動が起こっているところで、いろいろと戦いながらも、警察に対してのご飯とかはしっかりと用意されているといっていましたね。暴動がありながらも、隣では丸テーブルで給食を食べているといっていましたよ。

やすやす君:そうなんですね。イスラム教色が強いんだったら、一応それは、よりやるんじゃないですかね。

アキ先生:そうですね。

やすやす君:たしかラマダンがあるのは、おなかが空いている人の気持ちをみんなでわかろうという趣旨でやっているんですよね。

アキ先生:そうですね。

やすやす君:だから、イスラム色が強ければ強いほど、暴動とそことは「別の話だよね」ということになるんですかね。

アキ先生:そうかもしれませんね。なので、このラマダンの時期は朝4時半くらいにコーランが鳴るんですけど、この時期は朝日が昇る前にご飯を食べておかないとまずいよということで、太鼓を叩きながら起こしに来るんですよ。リズムにのって太鼓をどんどこ叩いて、街を闊歩する人とかがいるんですよ。

やすやす君:日が昇る前にね。

アキ先生:4時半くらい来て。

やすやす君:「朝飯だよー!」という感じですね。

アキ先生:だから、私はホテルなどに泊まっている時に、その太鼓が必ず通るんですよね。でも4時半くらいに1回起こされても夢の中で、何がなんだかわからないじゃないですか。いつも朝起きて、「ああ、今日も太鼓の人を見れなかったな」と思うんです(笑)。でも、一度だけ太鼓の人をみました。赤いスタジャンを着て太鼓を叩いていましたね。

やすやす君:まあ、親切ですね(笑)。

アキ先生:そうやってお給料をもらっている人たちなんですよね。あとは、モスクから流れてくるコーランがあるじゃないですか。

やすやす君:アザーンですね。

アキ先生:あれもライブで歌っている人がいて、それもちゃんとお給料をもらっていて。たしか月給制でしたね。

やすやす君:そうでしょうね(笑)。

BRICsの次に経済成長が期待されている国

アキ先生:なので、そういう感じで、1923年のセーブル条約からここまできて、あと10年ほどということで。

やすやす君:そうですね。一気に開発が進んでいくのかもしれないですね。

アキ先生:そうですね。今、VISTA(Vietnam, Indonesia, South Africa, Turkey and Argentina)の中にも含まれていまして。。

やすやす君:トルコはTですね。あとベトナムとかですよね。

アキ先生:そうです。ベトナム、インドネシア、サウスアフリカ、トルコ、アルゼンチンですかね。

やすやす君:BRICsの次にくるといわれているやつですね。

アキ先生:そうです。そこにも含まれていますから、トルコはこれからもおもしろい国ではあると思います。

やすやす君:内政の問題をちゃんと片付ければ、一気に伸びるかもしれないですね。

アキ先生:そうですね。

やすやす君:トルコってクルド人の問題もあるじゃないですか。

アキ先生:そうなんですよ。クルド人の問題が非常にあって。クルド人は国を持たない最大の民族といわれている人たちですよね。

やすやす君:そうですね。クルド人はかなり広範囲に広がって何千万人と住んでいるといわれているんだけども、トルコはクルド人の存在を認めていないんですよね、たしか。

アキ先生:そうですね。1990年代はクルド人労働党という党があって、そことの対立がけっこう激しかったんですよ。これはペーカーカーといわれている人たちなんですけれども。なのであまり東の方、比較的クルド人が多く住む地域。あそこにはあまり行かないようにといわれていましたね。

やすやす君:そうでしょうね。クルド人にはパスポートも発行されない。身分証も発行されないという時代があったそうですから。

「サイクス・ピコ協定」ってなんだっけ?

アキ先生:そうですね。やっぱり第一世界大戦でオスマン帝国が破れて、サイクス・ピコ協定というがあって。

おおたに君:聞いたことがあるな。

アキ先生:あ、聞いたことがありますか(笑)。

おおたに君:いやいや。この間自分で話したような気がする(笑)。

アキ先生:私も、おおたにさんが話したような(笑)。

やすやす君:それは初めて聞きましたけど、どういう?

おおたに君:やすやす君が授業を聞いていないということだね(笑)。

やすやす君:それはどこで話しました?

おおたに君:シリアかな。

やすやす君:初めて聞いた。

おおたに君:初めて聞いた?

まき君:私も聞きましたよ、サイクス・ピコ協定(笑)。

おおたに君:やっぱり中間テストで問題を出しましょうかね(笑)。

アキ先生:出しましょう!

やすやす君:じゃあ、まきちゃん、それ解説してみてよ。

まき君:えー!

やすやす君:聞いてたというのなら解説してよ。

まき君:そもそもサイクス・ピコ協定って、あれはいつでしたっけ?

アキ先生:第一次世界大戦の時ですね。

まき君:あれでしたっけ?

アキ先生:オスマン帝国が破れて、そのあとなんですよ。それでサイクス・ピコ協定に基づいて、クルド人にどうされたかということを今からお話しようかなと思っています。

やすやす君:今からまきちゃんが答えてくれますので(笑)。

まき君:えー! なんか名前だけ聞いたことがあるなって(笑)。

やすやす君:アキ先生、お願いします(笑)。

アキ先生:クルド人のことに関していいますと、フランスとイギリスによって引かれた国境線があるわけですよ。それによってクルド人はトルコとイラク、イラン、シリア、アルメニアに分断されたんですね。それによって分けられちゃったんです。

やすやす君:あ、そうか。これは元々オスマントルコというでっかい国だったんだけども。

アキ先生:そうです、そうです。

実はイスタンブールにはクルド人が多い

やすやす君:線を引いて国をつくっちゃったから国境で分断されてしまった。

アキ先生:はい。クルド人は分断されてしまったんですね。クルド人は東のほうにたくさんいるとはいわれているんですけど、実はイスタンブール市に一番多く住んでいる。

やすやす君:出稼ぎとかですかね。

アキ先生:そうですね。出稼ぎでけっこう来ていて、アタチュルクさんをすごく信仰している人たちは、昔はこんなに被っている、イスラム教の女性では顔に被っている人がいますよね。

やすやす君:髪の毛を隠すとか、そういうことですね。

アキ先生:あの人たちのことをトルコ語ではカパルというんですけど、カパルの人たちが非常に増えたといっていますね。

やすやす君:最近では。

アキ先生:はい。政権が、AKPが第一党になってからは、被っている人たちが東からけっこう押し寄せたというふうにいっていますね。

やすやす君:そのへんの民族的な対立もあってデモというのもあるんですかね。急にイスタンブールにクルド人が押し寄せてきているということに反発するイスタンブールっ子たちという背景も、もしかしたらあるのかな。

ギリシャ色が強いイズミール

アキ先生:それも若干あると思います。たとえば、イズミールは行かれましたか?

やすやす君:はい。行きました。

アキ先生:イズミールって、けっこうギリシャ人が多く住む街といわれているんですよ。

やすやす君:そうですね。西海岸にありますね。

アキ先生:はい。

やすやす君:イズミールは大きな街です。

アキ先生:そうですね。エーゲ海沿いの大きな街なんですけれども、そこはやはりギリシャ人とかが多くて、アタチュルクを信仰する。アタチュルクの活躍していた時、第一党が共和人民党でCHP(発音はジェーヘーペー)といわれる党なんですけど、イズミールの付近はそこの党員がけっこうおおいんですよね。アタチュルクによってトルコ共和国ができてからは、この共和人民党が第一党としてずっと、日本でいう自民党として活躍していたんですけど、今は別の党、共和人民党ではなくてイスラム教の強いAKPが組織しているんですよね。

やすやす君:そういうことですね。

アキ先生:イズミールのほうのCHP(発音はジェーヘーペー)が強いところには、エルドアン首相もあまり入ってこられないといわれています。

やすやす君:そうなんだ。それだけ対立が深いということなんだね。

アキ先生:そうですね。まったく違いますね。街の様子も、どちらかというとイズミールのほうが仕事はしやすいですね。

やすやす君:日本人にとっては?

アキ先生:日本人にとっては仕事がしやすいです。あまり遅れてくる人とかもいなかったですね(笑)。

やすやす君:仕事をする上では、そこも重要ですよね。

アキ先生:そうですね。はい。結構、時間キチキチきてて。

やすやす君:やっぱりギリシャ色が強い、という。

アキ先生:そうですね。ギリシャ色が強いですね。あまりイスラムを信仰していないんですよ。ギリシャ色が強いというか、イスラムを信仰していなくて、「断食なんてやらないよ」という感じの人たちが多かったです。

おすすめ書籍『トルコのもう一つの顔』

アキ先生:実はちょっと調べていると、アタチュルクはユダヤ人だったということが残っていますね。元々アタチュルクが生まれたところは、ギリシャのテッサロニキなんですよ。

やすやす君:ギリシャ生まれなんですね。

アキ先生:そうですね。オスマン帝国時代に、やはりあそこの土地もオスマンのものでしたから。わりとイスタンブールから近いほうではあるんですけど、そこで生まれた人なんですね。もしかしたら、アタチュルクは子供時代に「イスラムの教育を受けていてもしかたがない」と思ったのかもしれません。それで学校も行かなくなっちゃうんですね。

やすやす君:そうか。いつか変えていかなければいけないなという危機感みたいなものがあったのかもしれませんね。

アキ先生:そうですね。

やすやす君:クルド人とトルコ人との関係は、おすすめの本がありまして、『トルコのもう一つの顔』というタイトルの、言語学を通してトルコ人とクルド人の関係を詳細に調べた本があるんですけども。小島さんという方がフィールドワークされていて、「いかに昔のトルコの政権が排他的であり、権勢が強かったか」ということがよくわかる本ですので、トルコに興味がある方はぜひ読んでほしいなと思います。

トルコのもう一つの顔 (中公新書)

トルコで原発を建てるなら

アキ先生:そうですね。これは余談なんですけど、原発予定地はどこかご存知ですか? 安倍さんがトルコに行きましたよね。それで原発を建てようということになったんですけど、その予定地がシノップというところです。

やすやす君:シノップ。「俺がトルコの中で原発を建てるなら」だよ。どこかに作っていいよといわれたら、大震災の例もあるじゃん? なので地震の多いところはやめておきたいでしょ。

アキ先生:そうですね。

やすやす君:トルコってこのへんでは地震大国の一つでもあるよね。

アキ先生:そうですね。

やすやす君:だいたい北のほうで地震が起きているイメージがあるから、南で、もし壊れたら海水を注入したいから、海沿いかな。

アキ先生:そうですね。いいところをついていますね。

やすやす君:で、やっぱりトルコ人よりクルド人の住んでいるところのほうが建てやすい気がするから、アダナの辺。建てるんだったら(笑)。

アキ先生:なるほど。やすやすさんが首相になったら。

やすやす君:アダナケバブで有名なアダナ。

アキ先生:あそこらへんも仕事をするには厳しい土地だと聞きますね(笑)。

やすやす君:激熱の街ということで、アダナは気温が高いことで有名ですね。

アキ先生:そうですね。でもアダナではなくてですね(笑)。

やすやす君:だと思いますよ、はい(笑)。

アキ先生:黒海がありますね。

やすやす君:北側じゃん!

アキ先生:そうなんですよ。シノップというところで、真ん中の、黒海の一番とんがっているところがあるんですよ。

やすやす君:あー! シノップ! ここはいったことはないですけれども、シノップ行きのバスはすごく見ましたね。

アキ先生:見ましたか?

やすやす君:この辺をバスで通るとシノップって必ず通る街でもあるんですよ。

アキ先生:はい。そのシノップに建設予定ということらしいですね。

やすやす君:海沿いは海沿いだったね。

アキ先生:はい。海沿いは合っています(笑)。

やすやす君:でも、この辺地震は起きないのかね? どうなんだろう。

アキ先生:どうでしょうね。イスタンブールの大きな地震と。

やすやす君:アンカラがありますよね。

アキ先生:アンカラありますね。あとヴァン湖とか行かれました?

やすやす君:行きました。

アキ先生:最近はヴァンでも大きな地震が起きましたよね。

やすやす君:そうだったっけ!?

アキ先生:そうですよ。ヴァンでも起きましたから。

やすやす君:そんな内陸でか。うーん。

アキ先生:シノップの方で原発を建てようという動きが、今あります。

やすやす君:この辺の黒海沿いの道は気持ちがいいんですよ。僕、トラブゾンからアンカラに行ったんですけど、バスは海沿いを走るんですよ。さっき言ったシノップとかサムスンとか走っていくんですが、ここは黒海がきれいなんですよね。

アキ先生:そうですよね。いいですよね!

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