2024.10.01
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(会場の参加者に「大島薫の生い立ちの流れ」が書かれた年表が配られる)
井戸隆明氏(以下、井戸):本とか薫ちゃんとの話とかを元に、生い立ちの流れを作って。四角で囲ってる空白がある思うんですけど、そこは何かあるだろうと思って僕が作ってるので、この空白に。
枚数があると思うのでもし無かったらロフトの人にコピーしてもらって、全員に行き渡るように回してもらうとして。こういう年表をつくりました。
大島薫(以下、大島):配っている間にかなり時間が。
井戸:でも最初のほうは特に取り立ててっていうわけではなく、書籍の冒頭は生い立ちについての章で100ページぐらいあるんですね。
大島:そうそう。だから本を読んだ方が、ちょっとわかり難いなっていうところがあったと思うんですよね。どれぐらいのページで年代が進んでいくのかっていうのが。
井戸:本の中では一番大きいパートで、すごい薫ちゃんのことがよくわかるし、僕も編集しててこれぐらいの分量がないと、大島薫っていうものがどうできるかっていうのは、わかりにくいかなと思って、冒頭でこれだけのページ数を割いたんですけど。
ここにいる人はみんな、ほぼ知っていると思うんですけど、1989年6月7日ブラジルに生まれる。
大島:そうですね。若いですから。0歳表記なんですね。
井戸:ブラジル……全然わからないですけど。ちょっと産まれた場所とか。
大島:これはサンパウロのリベルダージっていう所に生まれました。
井戸:都市?
大島:サンパウロは市ですね。その区ですね。市の中の1つの区。日系人がすごい多い地域で、昔は日系人街って呼ばれた場所です。リベルダージは、これは豆知識ですけど、昔、奴隷制がブラジルにはあったので、奴隷制があった時に、ここから奴隷達が解放されるんだよっていう意味を込めて、自由っていうのをリベルダデって言うんで、その名前をつけた。
井戸:リベルダデじゃなくて、リベルダージって書くの?
大島:呼び出がいろいろあるんですよ。リベルダージって言ったり、リベルダデって言ったり。
井戸:ちなみにポルトガル語は今でも喋れるの?
大島:ちょっとだけ。
井戸:日常会話とかはできるの?
大島:そんな感じですね。っていうと、何か喋ってよとか言われるんですよね。何か喋ってよって言われて喋っても、お前わかんないだろうっていう話で。
井戸:ベージュ、ベージュ。
大島:ベージュね。昔、僕が小っちゃい時に、ベージュをやれって親からよく言われて。ベージュってキスのことなんですけど。それをやれって言われて、ホームビデオ? 僕は小さい時しか見たことないですけど、そう言われるといつも投げキッスをしてる子供でした。
井戸:そういうのが自分っていう、ボクらしくない意識があったんですか?
大島:違う! それは完全に親から言われてやってたんです。
井戸:それを見てノリノリでやってたの?
大島:結構。恥ずかしがりな子だったみたいで、やった後すごい照れてました。
井戸:そういうのを見たんだ、映像では。
大島:映像ではね。でも、その映像がどこにあるのかわからないんですよね。VHSだったんですけど。
井戸:今回本を作るにあたって薫ちゃんがブラジルから、写真を取り寄せてくれるっていうことで、頑張って。
大島:そうですね。親になんとかいろいろ言って、色をつけて。
井戸:親にどう言ったの?
大島:なんか、昔の写真とかみたいなぁって言って。
井戸:それは日本語で? そもそも両親は日系で、ブラジル生まれの。
大島:ブラジル育ちですね。
井戸:でも日本語もできると。
大島:まぁちょっとだけ。
井戸:でもポルトガル語のほうがやっぱり自然に。
大島:そうですね。僕のほうは逆に日本語喋れるけど、ポルトガル語はちょっとっていうので会話は結構難しいですね。でもまあクロストークみたいな、向こうがポルトガル語で言ったのを僕が聞いて日本語で返すみたいな。
井戸:そういうのはね、この本の生い立ちのパートを読んだら、2歳の時、両親と大阪に行って出稼ぎに行って、1回一時帰国するけど高校卒業までは両親と一緒に大阪に住んでて。さらっとした流れではあるけど、結構両親とのコミュニケーションは苦労してたわけもあると。
大島:そうですね。まず感覚がちょっと違いますからね。向こうで育ってきてて。男は男らしくみたいなのがすごい強い親ですね。以外に日本もそうかもしれないですけど、でも結構すごかった。
井戸:古い考え方? キリスト教の影響があるとか。
大島:ですかね。なんかすごいそういうのがありましたね。
井戸:本当は日本で育って、インターネット文化とかも直面した薫ちゃんとはかなり開きがあった?
大島:そうですね。もちろん日本の番組とか見てたら、いろいろな人がでてくるじゃないですか。チャラチャラした若者みたいなものも。両親はすごい顔して見てましたけどね。
井戸:薫ちゃんに借りた写真とか見てたら、すごい古い時代の写真に思えて。
大島:ファッションがね、一昔前ですからね。うちのくらしは。
井戸:薫ちゃんは、もちろん俺よりも年下だし、自分の子供の時のがそんなにあるわけじゃないけど、見た時より20年ぐらい古いような感じに見えた。
大島:それはブラジルはあまりおしゃれに興味の無い人が多いので。暑いから別に何か着込めるわけでもないし、男性はみんなTシャツ短パンみたいだし。そんな感じなので日本にきてたぶん初めてジャケットを着たんじゃないかなっていうレベルです。うちの父親とか。
井戸:父親としては出稼ぎというのがメインだったから、本当にそこのために日本に来てからっていうのもあるでしょうし。
大島:そうですね。でも観光には結構連れてってもらいましたけどね。
井戸:そうなんだ。日本の中で?
大島:日本の中で。そういうのはいろいろなものを見せてあげようっていうのがあった。それはたぶんブラジルの日系人だったから余計にそれがあったんだと思うんですよ。
日系人の家庭では、ブラジルから移民で来た代の僕のおじいちゃんとかおばあちゃんの世代って、すごい話を聞いてて、ブラジルに行ったらすごい稼げるって行って、でも全然ひどい荒れ地を渡されて、「ここで畑を耕せ」みたいな生活を強いられて、ものすごい貧乏したんですね。
だから日系人家庭の中では子供の教育に力を入れようというのがあって、だから習いごととかさせたりとか、勉強とかもっと頑張ってできるように塾に通わせたりとかあって、そういうのを受けて育った両親だからそういうのが結構あったかもしれない。
井戸:割とエリートのお父さん?
大島:うん、お父さんはそうですね。お母さんはあまり賢くなかったですけど。
井戸:そろそろだいぶ(年表の紙が参加者に)行き渡ったかなと思うんで。年表を追っていきたいなと思うんですけど。 2歳の時に大阪に出稼ぎのために移住するとなって。
大島:これってね、本の中では期間が短くて省いたんですけど、本当は1回だけ千葉に住んでるですよね。一瞬。
井戸:最初に?
大島:そう最初に。一瞬千葉に住んで、その後すぐに引っ越したんです。それも1ヶ月いたかいないかぐらいの。
井戸:その辺の記憶はあるの?
大島:ほとんどないです。たぶんどこかのドームの前で写真を撮った記憶があるって、その写真は残ってるんで。千葉って何かドームありましたっけ? 千葉ロッテ? じゃあそこの前で撮ったんだ。マリンスタジアム。
井戸:みんな知恵を結集して、謎を解いていく。そこからもうすぐ大阪に移ったんだ? 何か理由があったの?
大島:別に普通にそこに働き口があったんでしょうね。
井戸:仕事ありきっていうことですね。それで日本に住みながらもブラジルに一時帰国。これは本の中にも書いている経緯で。
大島:そうですね。本当は両親はここで僕をブラジルに連れて帰って、そのまま住みたかったんですよ。
井戸:ある程度お金が貯まったっていうことだ。
大島:そうそうそう。でも僕がだだをこねて、日本に帰りたいって言ったから、しょうがないから帰るかって言って。
井戸:ここの1995年が結構大きな転機だね。
大島:もしブラジルに住んでいたら。
井戸:もう薫ちゃんは割と日本にそこまで思い入れがなくて帰るってなるか、両親が強固でもう連れて帰るってなったら、今の姿はなかった。
大島:そうですね。向こうで、ゴンザレスナントカ薫とかっていう名前で活動してたかも知れませんね(笑)。
(会場笑)
井戸:IT革命の年ですね1995年っていったら。
大島:そうなんですか。この時期がそうなんだ。
井戸:大きい年です。この時期は。それで結果的には一時帰国になるのね。
大島:そうですね。それで帰ってきて。
井戸:本読んでくれたらわかるちょっとしたエピソードね。今の薫ちゃんにつながるような。
大島:読んで無い人は後でっていう感じですね。
井戸:そうですね。翌年小学校に入学。八木君にいじめられる。
大島:知らない人からしたら、よくわからない話ですよね。
井戸:薫さんのブログにも出てたよね。ニックネームで。
大島:名前を変えて書いてますね。サエっていう名前で書いて。本当はその八木の話で。この前大阪のイベントで。
井戸:ちょっと説明した方がいいんじゃない? それ。
大島:僕は小学校の時からずーっと付き合いのある男友達で、当然の時は男の格好だったのでそのまま中学高校と男の格好で付き合ってきて。大人になってからお互い仕事があるし、ちょっと疎遠になってたんですけど、その間に僕はこんな感じになりつつあって。
それで八木とは電話で話すぐらいの感じだったのが、ある日八木がとうとうネットで僕の全裸の写真を見つけるという。
井戸:大阪で八木君とも一緒に飲んだりしたけど、無修正を見たとか言ってたよね。同級生で、しかも小学校時代は薫ちゃんをいじめてた人でしょ。
大島:そうですよ。もうすげえいじめられましたからね。
井戸:それで親友になったんですね。
大島:まぁ後々ですよ。
井戸:すごいなぁと思って。我々が薫ちゃんを撮影する前後ぐらいにブログとか見てて、その親友の話が出た時に、なんとなくネタっぽいなと思ってて、そういう人って本当にいるのかな。まぁ、ちょっとは脚色してるのかなと思ってて。
大島:でもそんなに脚色はしてなかったですね。だから本当の話なんですよ。ブログに書いている話とかは。
井戸:何回かこのイベントでも言ってると思うけど、本を書く過程でも薫ちゃんの存在感・実在感がなくて、すごい作られているような感じがして。生々しさに欠けるというか。本を書いてもらう時はそこを意識して、何回も直してもらったりとかして。
大島:焼酎の水割りを。
井戸:チャージ?
大島:まぁでも喉をね。
井戸:そういう感じで、リアリティーが俺は身近にいて感じられない人だなと思ったんで。八木君という存在にこの間大阪で会ってって、想像したら自分自身を八木君の立場に置き換えると、同級生で、悪友みたいに若い頃いじめたりしてて、後で仲良くなった親友がいたとして、それが女装してAVとかに出て、無修正でこんな世界中にさらされながら、射精する前に「世界中の人に見られちゃう」っていう。
大島:ちょっと(笑)。言いたいだけじゃないですか。僕のそのセリフを言いたいだけじゃないですか。
井戸:最初それが衝撃だった。「それを見てどう思うの?」と八木君にすごい詰め寄って、結構ひょうひょうとしてるんだよね八木君が。
大島:そうですね。バンドとかやってた子ではあるんですけど、本音を言うと、その子は引きこもり体質の部分があって、オタクな部分とかが結構あって。表に出るタイプではないんですけど。
井戸:普通っぽいいい男っていう感じで、若いし。
大島:でもバンドの夢を追っかけてやってて、僕がちょうど大島薫として活動をして軌道に乗り始めた頃、ちょうど八木君がバンドを諦めたりなんかして、いろいろとお互い変化が。
井戸:やりとりとかも、そういうのをやってたの?
大島:もちろんもちろん。メールとかで。
井戸:なるほど。その出会いが小学校で、この時は今と違うけど、いじめられるっていう関係で付き合った。
大島:そうですね。
井戸:小学校の時はエピソードとかなかったから、一気に中学校入学まで飛ぶんだけど12歳。ここが大きな、ネットの世界でエロに流れていく。
大島:そうですね。ちょうどWindows XPが入ってきたりとかして。個人サイトも増えて来る時代だったので。この時もう出てたのかな。
井戸:家族共用はしてなかったけど両親働いてるから、自分1人でできるようになって、学校資料というフォルダーでエロ画像とか管理してたわけでしょ。
大島:そうそう。隠しフォルダーにしてね。
井戸:ここが第1の空欄でもあるんですけど。薫ちゃんにもみんなが持ち帰れるように、空欄にはまるような本に書いてないエピソードを何か聞きたいなと思って、今日これを作ってきて。ふたなりとか、そういう画像にはまったのは。あと女装に目覚めた片鱗もここだったね。この中学生の頃。
大島:そうですね。目覚めた? うーん、自分は女装はしてないですけどね。
井戸:服もらったりしたのは、中学生でしょ。
大島:16歳でした。中学校3年。
井戸:じゃあここには入ってこない。
大島:手前ですね。
井戸:もっとあるんじゃないかなぁそれは。
大島:どうかなぁ。ひたすらエロい画像を集めてただけなので。
井戸:行動は他にないんですか。
大島:だからその時に僕は、中学校1年生ぐらいでやっとオナニーを覚えたんですよ。
井戸:中学1年で? まぁそれは標準だよね。
(会場笑)
大島:皆さん、「オナニーを覚える」って書いてください。
井戸:よかったら皆さん空欄に書いて持って帰ってくださいね。
大島:まぁ、正しいオナニーを覚えたのがこの頃で。
井戸:どう正しいの?
大島:ネットだったかな、最初は。それまではお尻でやってたんですよ。オナニーを。
井戸:そうそう、ブログにも書いてあるやつだ。
大島:そうそう。皆さん、ロフトは食事が美味しいですから、食事を食べながら聞いていただきたい。小学校4年生ぐらいかな? その時に道端でエロ本を拾って、初めて生のエロを見て、あーこれが女の人の体なんだみたいな。よくある定番の反応して。
そういうのを見てたんですけど。その時に悶々とする気持ちはあったんですね。小学生ながらに。
井戸:覚えてるんだそういうの。
大島:もちろん。僕もたぶん5歳ぐらいの時から悶々とはしてましたからね。
井戸:ブラジルから帰ってきてからも?
大島:いや、じゃあ4歳ぐらい。
井戸:4歳ぐらい?
大島:もっと前ぐらいから、ずっと悶々としたんで。実際それを見て、それもより募るわけじゃないですか。よりエロに対する思いが。でも処理の方法がわからないから。どうやってしたらいいかわからない。誰にも教えてもらってないし。それで男って処理ができないんだなぁと思って。
そうしたら本の中の写真のグラビアに、「人妻のオナニー」って書いてあって。人妻がオナニーをしてるわけですよ。自分のあそこに指とか入れながら。それを見た時に、「あれ? これ1人でしてるなぁ」と思って。オナニーって1人で慰めることを言うんだっていうのを知ったんですよ。
井戸:そこまでたどり着いた。
大島:たどり着いたんですよ。悶々としつつ。じゃあ、これは男でもできないかなぁと思って。なんか穴っぽいものに何かを入れたら、オナニーができるんじゃないかって、女性のオナニーを見たからね。
井戸:あまり友達がいなかったの?
(会場笑)
井戸:僕らはその時期は、友達同士でオナニーについては結構話してたんで。
大島:そんなことないでしょ。だって小学校の時とかも、ちょっとお尻とかって会話の中で出てきたら、青木(本名)って言うんですけど、うわー青木エローっとか言われるんですよ。恥ずかしいじゃないですか。違うってぇーっていうやつ。
井戸:そういういじられ方をするんだ。大阪のちょっと文化的に劣ったところなのかな。
(会場笑)
大島:(笑)なんでエロについて語り合える場所なんですか。おかしいでしょ。
井戸:早熟とかいうじゃん、そういうの.
大島:最初にエロ話をしようとしたやつがいて、バカにしたやつがいたんでしょうね。そこからもう。
井戸:そういうノリになっちゃった。
大島:ノリになっちゃったんですね。
井戸:関西はノリの文化だから。
大島:何かあります? 関西に対して。
井戸:どちらかというと僕は岡山の出身なんで、関西に近いですけど。
大島:ちょっと田舎のほうはね、することがないから、すぐHな話題するから。
井戸:僕らは中学校の中学1年の時だったら、休み時間に男子トイレで女の子と性器の見せ合いっこをしてましたよ。田舎ってそういう感じだと思ってもらっていいです。
大島:(笑)。それ井戸さんだけでしょ。
井戸:そんなそこで露骨にセックスにいったりとか、そんな激しいことにはならず。文化的でピュアなもんなんです。性器ってどんな形してんの? みたいな。
大島:性器を見せ合うって、文化的じゃないですよ。
井戸:だって純粋な好奇心だし。それはいいんだけど。まぁ話に戻って。
大島:それで家に帰って指を入れてみようと思って、でも指が汚れたらなんかアレだなと思って。ばれちゃうなと思って。そのとき僕は男性はみんなお尻でしてると思っていたわけですから。
井戸:思い込んだってこと?
大島:そうそう。汚れてたら、お前昨日なんかしたな、みたいになっちゃうんで。
井戸:きれいにしようと思わないの(笑)。友達いなかったの。
(会場笑)
大島:いやいや、そういうことじゃない。聞いたら、めちゃいじられるから。ただでさえいじめられてるのに。
井戸:恥ずかしかったんだ、それ学校で言うの。
大島:そうそう。だからその時流行ったゲームボーイの背面の電池を外して。
井戸:あれも実話なんだね。
大島:そうそう。ちょっと舐めてぬらして、電池って甘いなぁと思いながら(笑)。
井戸:甘いんだ。
大島:そう。それでグッと入れて、ゲームボーイからゲイボーイに。
(会場笑)
井戸:それ何回も言ってるでしょ(笑)。
大島:改革が起きたんですね。それでそんなに気持ちが良く無かったんですよ。ただオナニーを自分はしてるぞっていう……。
井戸:自己陶酔みたいな。
大島:そうそう。それだけでもなんか、テンション上がっちゃって満足しちゃったんですね。
井戸:その時ゲームボーイは何を利用してたの。
大島:ポケモンとか。ポケットモンスター。
井戸:ポケモンね。
大島:自分のポケットモンスターをいじることなく。
井戸:ハハハ(笑)。高校まではそれがリミットぐらい。
大島:そうですね。
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