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東京パフェ学~パフェ評論家、斧屋とその姉、能町みね子のパフェトーク(全6記事)

パフェ評論家はおいしいパフェを作れるか? 「水野晴郎がシベ超を作った感じ」と言われた、その味は

パフェ評論のパイオニア・斧屋氏が初の著書『東京パフェ学』を出版。その発売を記念したイベントがお台場・東京カルチャーカルチャーで開催されました。トークのゲストは、自称漫画家の能町みね子氏。実は意外な繋がりのある両者が、書籍の内容に添って東京近郊にあるおすすめパフェを紹介していきます。このパートでは、斧屋氏が考案したイベント当日限定のオリジナルパフェの講評会を行ないました。会場内がざわつく、謎の食感の正体とは。後半では会場から寄せられたさまざまな疑問をなんでもパフェで解決していきます。

パフェ評論家の、パフェ情報の探し方

横山シンスケ氏(以下、横山):前半やった感じ、能町さん、どうでしたか? 不思議な感じで1時間やっていましたけど。

能町みね子氏(以下、能町):ま、こんな感じになるだろうなって思った感じになりました。

横山:先生はどうですか?。

斧屋氏(以下、斧屋):途中から息切れしましたね、残念ながら。

能町:フルーツパフェにテンション上げ過ぎたね。

斧屋:フルーツだと、「うおー」ってなるんですけど、だんだんその元気が。

能町:息切れ気味だもんね。

斧屋:息切れしてきました。そろそろパフェが食いたいです。

横山:そうですよね。ちょっと質問が来たんですけど、情報はどこで探してるか教えてほしいっていうのがすごく多かったんです。今SNSとかありますけど、どこで情報を手に入れていますか?

斧屋:何ていうか、特別なことは全くしていなくて、パフェとかスイーツ系のブログをやられている方がいっぱいいますから、そういうのも読みますし、あとは普通にネット上で「パフェ」で検索してみたりもします。

あとはこの間北陸に行ったんですけど、その場合はTwitterが結構便利ですね。地名とパフェとかで検索すると結構出てくるので。

横山:「栃木 パフェ」とかで出てくるんですか?

斧屋:そんな感じ。そうしたら富山県の高岡がやたらパフェがあるっていうことがわかって。あとは違う話題になっちゃうけど、どう判断するかっていうか、どのパフェを食べるかの判断をどうしてるかは、だいたい見た目で、当たりか外れかほぼわかるので、それで選んでます。

東京パフェ学

パフェの中のさくらんぼの種をどうするか問題

横山:さすが評論家! さくらんぼの種をどうするのか問題っていうのも質問でありました。

斧屋:種っていうのは、まさにノイズでございますが、前にベリーパーラーさんのさくらんぼのパフェが、とっても良いことがありまして、種置きの小皿を添付してくれるんですね。

ここがまず1つポイントが高くて、フルーツっていろいろ残骸が出ちゃうじゃないですか。皮が出たり。だから、それを置くものを出してくれるだけでもすごく嬉しい。

下のグラス受けにメロンの皮とか乗せても結構汚くなっちゃうから、それ以外にちゃんと置き場を用意してくれるのはいいですね。ベリーパーラーさんで出していた時は、種が入った丸々一個のさくらんぼが一つあるんですけど、あとは全部種を抜いてました。種が一個一個入っていると、やっぱり流れるように食べられないですから。

能町:店側も工夫しろっていうこと?

斧屋:そこが一つと、でも、食べる側も何か工夫した方がいいのかもしれないですけどね。スイカの種とかすごい難しくて、もう絶対取りきれないですから。

自分が考えているのは、スイカの種取るためだけのピックのようなものを付けてもらって、エンターテインメント性を出すとか、そういうふうにしていくしかないんじゃのかなと思います。

斧屋氏考案のオリジナルパフェ登場

(斧屋考案のオリジナルパフェが到着)

能町:来ましたね。見た目はすごい綺麗。

斧屋:見た目はいいのになー。

横山:これはスライドから行きますか?

斧屋:いや、ちょっと食べますね。いただきます。

能町:いきなりライチの種のノイズが入ったんですけど。

(会場笑)

斧屋:なかなか種取るの、難しかったですかね。レシピでは種取ってほしかったんですけど、それはオペレーションの問題で難しかったですね。

横山:今日、厨房が忙しすぎて、もう口きいてくれないので。

斧屋:いろいろ申し訳ないことをしました。

横山:とにかく作るのが大変なことがわかりました。じゃあ今日のパフェの解説を、斧屋先生よろしくお願いします。

斧屋:ま、ああなるとは思っていたんですけどね。Twitterでも「まあ、アレがね」っていう感想が。

横山:今回のテーマを言うと、まず、一回妄想パフェを作ろうと。本気になるといくらでも本気になっちゃうので、これをちょっとやってみたかったっていうのを。

斧屋:もうレシピ出しちゃいますか?

能町:ちょっとその前に1回感想を。一応下まで食べましたけど、思ったほどひどくはない。もっとひどいかと思った。

なぜこんなパフェを作ったのか?

斧屋:えっとですね。カールだと書いている方がいましたけど、カールじゃなくてうまい棒です。

会場:あ〜。

横山:謎解きゲームの解説みたいだな(笑)。

能町:カールだと思っていた人もいたんですよね?

斧屋:カールかうまい棒か、みたいな感じになっていて、これがまあ、ヤバイと。

横山:まず、何故こうしたかを1個1個説明してくださいよ。

斧屋:好きなフルーツは入れたくて、とりあえずフルーツだと。ライチは、もっとパフェに入っていてほしいんですよ。自分的には。すごく自分も好きだし、みずみずしいし。種をしっかり取って上手く並べれば、結構使えるフルーツだと思っています。

で、バニラアイスは普通に入れて、ライチとクコの実で台湾系の雰囲気を出しつつ、ホイップクリームがあって、表層はこれでいいかと。

で、とにかくコーンフレークは使わないようにする。そこでじゃあ、何か歯ごたえがあるものをっていう話なんですけど、オリオンのミニサワーってわかりますかね? ちゃんと入っていますよね? 駄菓子屋の、30円ぐらいのオリオンのミニサワーっていうやつがあるんですけど。

これは自分が好きでよく行く、町田の中野屋さんっていうお店があるんですけど、そこでリモーネのパフェを出していて、その中に、実は「ヨーグレット」が砕かれて入ってるっていう技があるんですけど、それをほぼパクりました。

要は、歯ごたえはあるけど残らないラムネみたいなものは、結構いい使い方ができるんじゃないだろうかと。

横山:オリオン自体は駄菓子としてはすごく有名ですからね。

斧屋:で、うまい棒の方は、ある意味うまい棒を入れたかったっていう気持ちが先行してしまった部分がありますから、そこは非常にご迷惑をおかけしたなというふうには思っています。

(会場笑)

横山:みんながざわつくぐらい迷惑だったっていうことじゃないですかね。

斧屋:でも、この思い出だけを胸に帰ってはほしくないですけどね。

ノイズだらけのパフェのお味はいかに……

能町:やっぱりうまい棒は合わない…。

(会場笑)

斧屋:やっぱりね。自分の家で作った時も、もわっと来るなと思ってたんです。

能町:その時点でもうそうだったんだ? あと、オリオンのラムネは残る。すごい残る。

斧屋:残る!? もうちょっと砕いた方がよかったかな。

能町:本当にノイズですね、これは。

(会場笑)

横山:本物のノイズ。

能町:ライチの種から始まり、ノイズだらけですね。

斧屋:こういうパフェだと、駄目ですね。

横山:あ〜言っちゃった。

能町:駄目じゃん。お金取っているのにさ。でも他のところは、アイスとかは当たり前だけど美味しい。

斧屋:アイスが美味しいって言われたらおしまいな気がしますよ!

能町:そこでリセットするしかないよね。

横山:要は1回夢をね。試作しながらドンってやるしかないっていうことになって、半分洒落って言ったらおかしいですけど、妄想を現実化してみたらどうなるっていうことでやっていますけど。

斧屋:いや〜これはちょっと怖いですね、あとあと。

横山:美味しさっていうよりは妄想。

斧屋:そうですね。下にフルーツポンチっていうのは結構珍しくって。溶けちゃうから、なかなか難しいチョイスなんです。

例えば「サンフルール」っていうフルーツパーラーさんのパフェも、下がフルーツポンチになっていて、上が少しずつ溶けているものと、そのフルーツポンチのシロップを最後に飲むっていう、すごく美味しいパフェがあるんです。

やっぱり一番下が美味しくないとパフェは駄目だろうっていうことで、フルーツパフェならフルーツポンチっていうことで入れてみました。

オリジナルパフェの感想をひと言で言うと

能町:これ、うまい棒を使うとしても、めんたい味ではなかったんじゃないかな?

横山:それは実はずっと僕らスタッフは話していて、スタッフに「なんとか違う味に変えられませんか」って言われたんだけど、このまま突っ切ることになって。「チーズ味とかに変えたらいけたかな」って厨房のみんなが言ってて。

能町:みんな言ってたんですね(笑)。

斧屋:これは間違えましたね。ちょっと食べていいですか?

能町:何故めんたい味を選んだの?

斧屋:何種類か買ったんですけど、その中で一番インパクトはあったんです。でもこれは間違えましたね。

横山:じゃ、めんたい味が大好きだったってわけじゃないんだ。

斧屋:でも好きですよ。好きは好きなんです。

能町:そうは言っても私食べ切りましたけどね。

斧屋:これは、オリオンのラムネ、固過ぎましたね。

能町:そうなの。ガリってくるんだよね。

斧屋:もっと柔らかい感じで食えるかなと思ったら、これは残念ながらノイズですなー……。

能町:貝を食べていて、石が来た感じ。

(会場笑)

斧屋:いや、その食感に本当に近いな。……これは、まずいなぁ。

横山:あんたがまずいって言うなよ(笑)。

能町:まずいは駄目でしょ。まずいは言ったら駄目。

斧屋:このあとみなさん、美味しいパフェをどこかで食べて帰ったらいいと思いますよ?

横山:逆切れかよ(笑)。

第2のオリジナルパフェのアイデア

横山:もう1個、試作に達してないけどアイデアがあったのが、これですね。

能町:結構、うまそう。

斧屋:これはチョコレートパフェで、上にトッピングができるように、アポロとメレンゲを小皿に入れて出して、自分で撒いてみようというエンターテインメント性を出しつつ、中層に「ガリガリ君」を細かく砕いたチョコアイスを仕込んで、シャーベット状な感じを出しつつ、真ん中は普通のチョコアイスで、ブルボンのルマンドを細かく砕いたものを。

能町:これは正解じゃない!?

斧屋:ルマンドは良かったんだろうってことなんですけど。

能町:ルマンドはいけるでしょ。

斧屋:フィアンティーヌと同じような食感をたぶん出せるだろうと。

能町:だってパイだもんね。

斧屋:そうです。だからこっちの方がもしかしたら、まだましだったかもしれないです。

能町:でも、冒険度は足りないかもね。

斧屋:そうなの! やっぱりチャレンジしたいですよね……。

能町:チャレンジした結果、みんなに失敗をおっかぶせる感じになっているんですけどね。

斧屋:これは恐縮ですね〜。

横山:でもこれは今度作ってみたいですね。ルマンドとガリガリ君が入った時点で、鉄板な感じしますよね。

能町:でも、本当にチョコしかないんですね。フルーツとかは一切なくて。

斧屋:そうですね。

能町:何かピスタチオぐらい撒いたらいいんじゃないですか?

斧屋:……ちょっと今、うまい棒を食べた結果、どういう表情をしていいかがわからない。これはあかんな……。

能町:うまい棒は相当ひどいかと思ったら、思ったほどじゃなかった。どっちかっていうとオリオンの方が歯に来た。

斧屋:いや、オリオンは計算違いだ。オリオンは上手くいくと思っていたんで。

能町:なるほどね。

斧屋:だから、本当に美味しいパフェって、作るの難しいってことなんだよ。

横山:スタッフに聞いたら、とにかく時間かかるんですよ。だから、そういうのもやってみてわかるんですけど。

能町:本当にご迷惑をおかけしました。厨房のみなさんも。

横山:大丈夫です。じゃあ先生そろそろスライドの方に戻って、大丈夫ですか?

斧屋:はい。どうぞ。

沖縄料理屋の塩ちんすこうパフェ

横山:じゃ、どんどん質問の方を受けようと思います。みなさんに書いていただいたアンケートには「あなたが食べたパフェで美味しかったもの」という項目を入れたんですけど、沖縄で塩ちんすこうパフェっていうのがあるっていう。

能町:ちょっと今、変な顔するのは何ですか?

斧屋:やっぱりオリオンが駄目だった……。オリオンはさらに砕いたほうがよかったですね。まさかこんなに小さいのがノイズになるなんて……。

横山:すげえストイックな…(笑)。

能町:やっぱり評論家として、自分が許せないんだね。

斧屋:これはちょっと意外です。うまい棒がけなされるのは構わないとしても、オリオンで責められると、ちょっと傷付くかな。

(会場笑)

横山:そこ?

能町:結構メンタル来ているよね。

斧屋:ちょっとメンタル来るな〜。ヤバイな〜。

横山:じゃあ、◯◯さんってどこにいますか? 塩ちんすこうパフェっていうのが気になります。

会場:西武新宿駅のすぐ近くに、沖縄料理屋さんの居酒屋があるんですけど、そこに塩ちんすこうパフェっていうのがあって、上にちんすこうが2本刺さっている。

能町:刺さっているんだ。

横山:でもすごく美味しい?

会場:すごく美味しいです。

横山:頷いている方が多いですね。

会場:ちんすこうの塩の感じとか、すごいマッチして。

能町:塩ちんすこうこそ、砕いて中に入れたら美味しそうなイメージあるけどね。上に刺さってるんだ。

斧屋:とりあえず食べてみたいかな。

横山:そこは、斧屋先生はまだ行ってない?

斧屋:そうですね。

横山:なるほど。ありがとうございました。

職場のおじさんの口臭が臭いのはどうすれば?

横山:あとは「今悩んでいることがあれば、何でもパフェで解決します」っていう狂った質問をしたんですけど、「職場のおじさんの口臭が臭いんですけど、どうすればいいですか?」っていう質問が来てます。これをパフェで答えます。

斧屋:これは、香るパフェを食えばいいって話になると思うんですけど。

能町:そうですね。ミントパフェとかないんですか?

斧屋:どうなんだろう。お酒のパフェは結構あるんだけど、ミントパフェっていうのはあまり。ミントを主体にはなかなかできないから。

能町:お酒が香ると逆効果になりそうですしね。

斧屋:銀座の和蘭豆っていうところの「大人のコーヒーパフェ」だったかな。すごいお酒が香るパフェがありますけど。

能町:それを上司の口に、無理やり突っ込むと。

斧屋:っていうのも、いいんじゃないですかね。

能町:いいですね。

斧屋:解決ですね!

(会場笑)

サンデーとパフェはどう違うのか?

横山:こんなざっくりな解決なんですね。あとは、「ガストの、今出ている苺パフェがすごく好きです」という意見が。ファミレス界隈がすごく多いですけど。

斧屋:ファミレスは気軽に食べられますからね。ファミレスだと、もちろんロイホが一番っていうのは自分の中であるんですけど。あとデニーズも結構美味しいかなと自分的には思っています。

能町:デニーズの「DEVIL’Sブラウニーサンデー」かな。あれいいんじゃないですか? 微妙?

斧屋:そもそもそれはサンデーっていう。

横山:じゃあ、ここでサンデー問題を。

斧屋:サンデーとパフェの違いっていうのは、正直どうでもいいことなんですけど、なんでどうでもいいかっていうと、全然区別がないからです。ファミレスに問い合わせてみても、ファミレス毎に答えが違うんですよ。

能町:問い合わせたんだ……。

斧屋:2軒ほど問い合わせたんですけど、それも非常に曖昧で、「何となくです」っぽい返事が来たりする。普通サンデーって背が低いイメージがあると思うんですけど、器が大きい方をサンデーにしているところもあれば、そうじゃないところもある。

一般的にはサンデーとパフェって器の形状で区別できるんじゃないかっていうイメージがあるかもしれないんですけど、ファミレスによっては全然逆で、背の高い方をサンデーにして、背の低い方をパフェって言ったりするところがある。

あと中身で決めちゃうところもあって、アイスが多い方をサンデーにして、フルーツが多いとパフェにしたり、いろいろするんですけど、厳密な区別はないんです。

ネーミング的には、もちろんサンデーはアメリカ発祥で、パフェは一応パルフェっていうフランス語から来ているけど、それが「パフェ」ってなったのは日本かな……って感じなので。でもごっちゃになっちゃってますね、今。

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