2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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――あのデビューでいうと、先程言ったデビューさえすればもう大爆発するんだって言われて。でもすごく失礼な言い方なんですけど、実はデビューしてから最初のほうってそんなに小室哲哉さんのプロデュースの中で、売れてないですよね。100万枚は、売れていなかった。
結構、そういう意味では「あれ? ちょっと違うな」みたいなことはありました?
マーク・パンサー氏(以下、マーク):それは言われるんですよ。小室さんが1番のショックを受けていると思うんだけど、100万枚いってないから。でも僕は96万枚じゃん、これが7万枚だったら「どうなってんの?」ってなるけど、96万枚じゃん。
――(笑)。はい。
マーク:2枚目も100万枚いかない。でも98万枚じゃん。3枚目も確か96万枚かなんかなんですよね。でも僕はさっきも言ったと思うんだけど、数字とかチャートとかっていうよりも、その場のおもしろさを追求するタイプだから、全然100万枚と96万枚と僕は一緒だったんですよね。
すごいじゃん、みんな何でそんなに変な顔しているの? 喜ぼうよみたいな。喜ばない時期は、それもおもしろかったな、勉強の一種になるんだなみたいな。僕は一緒に見えているんだけれど、他の人にはこの4万枚の差が一緒に見えてないんだね、みたいな。
――そういう意味でも、楽曲もちょっと他の小室哲哉さんのプロデュースとはちょっと違う、いわゆるこだわりがあるというか、独自性がある。
マーク:だから先をいっちゃっているんですよ。
――先をいっていましたよね。
――だからそれで、大ヒットに行くまでに時間がかかったっていうのは、そこは大変だったろうなと思っていたんです。というのが、ちょっと1個思っていたんですけども。でもマークさんのお話ですと……。
マーク:大ヒットなんですよ。だって96万枚なんだもん。
――ま、そうなんですよね。考えると。
マーク:96万枚なんだもん。だって他は浜田さんなんだもん、『HEY!HEY!HEY!』なんだもん。200万枚に行くに決まってんじゃないですか。篠原涼子なんだもん、可愛いんだもん、最高なんだもん、みんな知っているんだもん、いくに決まってんじゃん。それも「いとしさと」あれ、なんの曲だったっけな? 有名なやつ。
――ストリートファイターですよ。
マーク:ストリートファイター。すごかったんだもん。『Feel Like dance』何の主題歌だったんだっけな。
――ドラマかなんかですよね。
マーク:かな。『Joy to the love』はglobeが歌う、あれはフォード。
――車のCMですよね。
マーク:トヨタで『SWEET PAIN』、TDKの。
――はい。TDKでしたね。
マーク:それほど……。すごい企業だけれど。
――すごい企業ですね。
マーク:すごい企業だけど、小室哲哉としては小室ファミリーとしては、普通すぎるじゃんて感じの中の、2人は新人?
――そうなんですよね。
マーク:誰も知らないぐらい。「TRFにそっくりじゃんこのグループ」と言われちゃうぐらいの中で、でもTRFと全く違うじゃん。この自由さと音の新しさで96万枚、売れてなくはないですよ。
――そうなんですよね。
マーク:化けもんですよ。
――実際の話でいうと。僕は、なんか『Joy to the love』なんて、あの曲をこのチャートに載せるんだっていうのが。
マーク:『Joy to the love』もJungleじゃないけれど、ドラム&ベースでやって。なんだこれみたいな。
――ドラムベース以前に歌詞の世界感にしてもそうだし、メロディーの作り方にしても当時のあのスパッーといっている時に考えられない。
マーク:考えられないですよ。それがそこに行くんですもん。
マーク:あとはもう毎日が忙しすぎちゃって、毎日がすごすぎて、僕には100万枚がどうのこうのって考える時間も余裕もなく、毎日が本当にジェットコースターのように過ぎていっちゃう日々で。
今から考えると、もうちょっと楽しんどけば良かったなと考えてるぐらい。あっという間に過ぎて寝るのが、もうやっと寝れるっていうような毎日で。それが「JR SKI SKI」のCMで爆発するんですよね。
――なるほど。
マーク:『DEPARTURES』。
――ですね。『DEPARTURES』ですよね、そこで。その『DEPARTURES』あれが200万超えたんですか?
マーク:250万枚ですよね。
――『DEPARTURES』は、一気にドーンといくわけじゃないですか、数字的にいうと。変わりました? そういう意味では。
マーク:いや、何も変わらないですよ。僕の中ではすべて一緒で。『DEPARTURES』も江角(江角マキコ)と竹野内(竹野内豊)だったかなCMが。
――そうですね。
マーク:JR SKI SKIで、江角マキコというのも、もうメンノン時代からの友達だから。
――おー! なるほど。
マーク:竹野内くんなんて、もうチェックメイトとかの時代からの。反町くんと竹野内くんというのは、メンノンとかの時代の後輩って言ったら変だけれど、モデル友達じゃないですか。その時は、ドラマで有名で「来たー!」みたいな。やっぱりそういう勉強になるんですよ。
これとこれが組むと、こんだけの我慢があって、こうでこうだからみたいなのが、自然に頭の中に体に刻み込まれていくんですよね。そのglobe学校じゃないけど、小室哲哉学校じゃないけれど、先生に教わっている全てが。
マーク:おもしろい具合に見えてくるんですよね。『DEPARTURES』なんて、だってあんなにうちら売れているのに、ロスに呼ばれてオカマしかいないような、3流のホテルに泊められるんですよ。
――ほう(笑)。
マーク:ラマダホテルだったかな。当時ロスの。
――PVとかで?
マーク:いやいやレコーディングの時で。小室さんは、ベネンシアのスイートなんですよ。
――はい(笑)。あ、でも2人は。
マーク:俺とKEIKOは、汚いなんだこれみたいな場所。
――そうだったんですね。
マーク:オカマしかいないような、俺のドアの下に夜中になると名刺がいっぱい隙間に入れられるんですよ。
――(笑)。それは、あれですか、オカマさんが……。
マーク:そうそう、入れてくる。
――コールミーという感じで。
マーク:恐ろしい所で。そんな中でKEIKOもリラックスできるわけないし、それで頼むんですよ俺が。小室さんに「KEIKOだけでもベネンシアに呼んであげて、部屋取ってあげて」と。そこからちょっとずつリラックスしていって。
――それもう『DEPARTURES』出ている時ですか?
マーク:出ていない。『DEPARTURES』のレコーディングの時。
――ああ、『DEPARTURES』のレコーディングの時。なるほど。
マーク:『DEPARTURES』のレコーディングの初日もKEIKOが風邪を引いちゃって。体調管理なんてできるわけないじゃないですか。リラックスできないんだから。風邪引いちゃって泣いて、もう最悪で。KEIKOを呼んで、スタジオの1番奥の部屋借りて、そこにろうそくズラーと並べて、お香かなんか焚いて、リラックスさせて。
ずっと手を握りながら、「もう何も緊張する必要なんてないんだから、風邪引いていたっておまえの声は誰よりも素晴らしい声だし、はっきり言ってYUKIさんだろうが、誰であろうが全員より君の中にはブルースというものがあって、だから選ばれて、だから今すごいわけだから、鳥が普通に朝起きて歌うように歌えばいいんだよ」というようなこと言って歌いに行かせて。
スタジオで曲とCMを小室さんが一緒に流した時に全員涙流してるのがすごかったですよね。
――それは、すごく鮮明に覚えていますか?
マーク:ピッタリ全ての波長が合うっていうのは、こういうことなんだなという。小室さんだから売れるとかそういうんじゃなくて、波長がもうCMから曲からKEIKOの歌声から、あらゆるものがピーンと波長が合う瞬間というのは、すごいんですよ。
――それは、もうやっぱり先程言った、小室学校じゃないですけど。
マーク:それが数字に反映されるんですよ。250万枚いって。そこからアルバムを作るんですよ、その『DEPARTURE』4曲入っているアルバムが出ると、そのアルバムが450万枚とか500万枚近くいって歴史に残る。初めてそれだけ売れたCDになるんですけれど、でもそれは、波長がピーンとあった後だから当たり前かなって。
――それで、その後ずっとヒットが続いていって全国周りますよね。スタジアム制覇。
マーク:セカンドアルバムですよね。『FACES PLACES』。
――ですね。またあれも僕の中では衝撃的なアルバムだったんですけど、楽曲もかなりおもしろくて。
マーク:その時は、もうロス住んじゃっているんですよ。
――あ、そうなんですね。
マーク:ファーストのように小室さんが9割ではなく、もうセカンドになるとプロデュースby globeていうことになっちゃうんですよ。だからロック色がすごく強くなり、生バンドも入ってくるんですよ。
――かなりギターも入っていますよね。
マーク:その意見が、通るようになってくるんですよ。その自分の好きなロックていう部分だったりとか、KEIKOもロックにはまっていったりとかする部分が。おもしろいぐらいそこに入っていってロック色のすっごい強いアルバムになるんですよね。
――確かに、それまでの電子のピコピコという感じから、いっきに変わった感じはありますよね。
マーク:デジロックっぽい。だからそれも先へ先へ、先を先を見越してやっているんだと思うんですけれど。
――あと、すごく長い楽曲だったりとか、かなり実験的なこといっぱいやっていますよね。
マーク:いっぱいやっていましたね。
――完成したアルバムで、それもまた大ヒットですよね。今度ツアーですね。
マーク:ツアー、こけら落としで全部6万人ぐらいのドームツアーをして。4ドームとして。
――そうなんですよね。僕その時福岡ドームに行っているんですけど、あれはもう僕は後ろのほうだったんで、すっごい小っちゃいところで、ドームでその時初めてお会いして、なんですよ。
マーク:遠くからのほうがキレイだったのかもしれないですよ。全体図が。
――絵的には、すごかったですね。
マーク:すごいですもんね。
――ライブ中とかタバコ吸って、あの時のかっこよさは半端なかったですね。
マーク:タバコ吸っちゃうんですよね。吸っちゃダメなのに。
――あれがすごくかっこよくて。旅行の時、マークさんとかあの絵は僕の中で今でも忘れられないし、今でもあの曲だけはずっと聴いていますね。
マーク:ジッポの音を入れたり、そういうのもレコーディングの時に全て意見が通るんですよ。
――それまでは、結構こうしたいなって言っていても、うーんという感じ?
マーク:こうしたいなっていうのもあんまり出てこないじゃないですか、必死過ぎちゃって。だから、セカンドでは余裕が出てくるんでしょうね。
――おもしろかったですね、セカンド。
マーク:僕も1番好きなのが、セカンドかもしれないですね。
――そこからずっとglobeで活動していって、他に印象的な出来事ってありますか?
マーク:何なんでしょうね。もう海外に暮らす毎日。当時彼女とかもいるんだけれど、絶対に会えなかったりとか、globeというものが自分のプライベートを全てぶち壊すんですよ。
どっちが大切なんだって普通人間なら考えるんだけれど、それすら考えさせてくれない時間の速さっていうのが。今から考えると、果たしてあれで良かったのかなっていうのは……。
――あるんですか。
マーク:あるんじゃないのかと思うんですよね。みんなは、すっごく喜んでる。僕もすっげー金が入って、当時はビルまで買ってビルの地下には、サウナもありジムもあり、ビルの屋上には露天風呂まで作っちゃうような。
――そんなビル持ってたんですか!?
マーク:すげーもん作って。335もありポルシェもあり、ランボルギーニもあり、全ての車が揃っていて。
――欲しいものは、なんでも買える?
マーク:欲しい物は全部あって。でも本物の僕っていうのは、アンティークカーが好きで、マスタングの65に乗りたいんですけれどというと、全て断られて。だから本物の自分を全部潰されてしまうのが、globeの時期だったんですよ。
マーク:だから、あらゆるものを持ち、あらゆるもので幸せなんだけれど、本物の自分がいなかったから今から考えるとあの10何年というのは、どうなんだろう。
――というのがある?
マーク:というのがありますよね。あの10何年は長野にも来てないし、あの10何年は親友にも会っていないし。あの10何年は彼女にも親にも会っていないですよ。だからすごい半面、自然な自分っていうのは、どこにもいなかったような。
――誰かに作られたというわけでもなく、作り上げられたマーク・パンサーという表現でよいですか?
マーク:じゃないですか。そこに唯一出せるのが、きっとそのラップの歌詞であったり、ロックが好きだからロックっていうものが出ていたりとか、その中にあるちょっとしたいろんな細かいところに自分を出していたんじゃないのかな。
それがきっと他のグループや他の音楽と、ちょっと違うスパイスとなっていたんじゃないのかな、と今から思うとそうなんじゃないのかなとは思うんですけどね。確かにglobeの時代は、もうすごかったですよ。話せないことなんていっぱいある。
――そういうことですよね。
マーク:死ぬほどある。もう、だから誰よりもどの世界の人間よりもあらゆる事を経験しているんじゃないのかなって。この間45歳になって、ふっと自分の45年を振り返ってみると、この45年というのは、いいことから悪いことから、愛から悪まで全て誰よりもいろんなものを経験しているんじゃないのかなって思うんですよね。
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