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整形した女は幸せになっているのか(全6記事)

女性の整形はモテるためじゃない--体験者の声でわかった本当の目的とは

『キャバ嬢の社会学』の著者・北条かや氏がデビュー2作目となる『整形した女は幸せになっているのか』の刊行を記念して下北沢B&Bにてトークイベントを開催。著者の北条かや氏とともに星海社の編集者・今井雄紀氏と平林緑萌氏が登壇し、新刊の内容や企画の裏側を語ります。本パートでは、整形をするのは異性にモテたいからではないという女性心理について、意見を交わしました。(『整形した女は幸せになっているのか』刊行記念イベントより)

同い年の女の子からの一言にとても救われた

北条かや氏(以下、北条):最近テレビに出させていただくことが増えて、昨年地方の局なんかに行ったりして、画面に写るじゃないですか。その時に、鹿児島テレビの同い年のディレクターの女性の方が。

今井雄紀氏(以下、今井):メイクの時にですか? 

北条:メイクを自前でしていったんですけど、北条さんってカメラ写りがいいですねって言われたんですよ。その一言に、すごく救われて。なぜいいんですかって聞いちゃったんです、思わず。そしたら、偶然にも顔が左右対称らしいんですよ。

普通の人ってちょっと歪んでたりとかするらしいんですけれども、私の場合は、祖父母の顔とか、母親父親の顔を見ても、左右対称な人が多い。家系的にたまたま左右対称であることが、テレビにおいてはプラスに作用するらしいんですね。

それを同い年の女子から言っていただいたことで、すごく救われて、リカちゃん人形じゃなくても、もうよかったというか、リカちゃん人形も左右対称なんですけれども、そこですごく救われた気がしましたね。

それが整形外科医でもいいと思うんですけれども、その当時コンプレックスに悩んでいた時に、外科医の方にインタビューした時に、私の顔って多分ブスだって自意識があるので、どこを直したらいいですかって聞いたんですね。

そしたら、私は目が小さくてメイクで大きくしているような精神性の人間なので、目頭切開をしたいって言ったんですね。あと、顎が出ているのがコンプレックスで。結構、中学生時代から、「顎、顎」って言って顎の先をつかまれて、ひっぱられるみたいなことをされていたので、顎が出ていることがコンプレックスだったんですよ。

その高梨先生という、中村うさぎさんの主治医の方に、治したらいいところを聞いたところ、顎はむしろ、顎が長いというのは美人の証拠なので治さないほうがいいとおっしゃいました。「綾瀬はるかとか出てんじゃん、顎」とか、そういう話し方をされる方なんですけども、「綾瀬はるかみたいなのが理想だから、顎、みんなわざわざ整形で出すんだよ」って。言われて、この顎は削らなくてもいいんだというふうに言われて。「むしろあなたの顔で変えたほうがいいのは、扁平なほっぺただよ」って言われたんですね。ほっぺたがこう出ていると美人の証拠になるらしいので。

平林緑萌氏(以下、平林):あまり気にしないんで、わかんないです。

北条:そうなんですよね。

自分の顔の良いところに気づこう

平林:でも、綾瀬はるかは確かに顎は出ている。デビューした時から、顎は気になってて、それで多分目立つんですよね。

今井:頭に残る?

北条:そうなんですよね。私の場合、目頭切開もしたいとまで言ったんですけれども、あなたの今のちょっと童顔に見える部分が目頭切開をすると、目と目の距離が近い方って大人っぽく見える、目が離れていると永作博美さん系の童顔になると。それに老けたくないんであれば、目頭切開をお勧めしないと言われまして。

そういうふうに自分の顔にコンプレックスがある人間が、全然手術を受けるつもりなくても、美容外科医の方に、美人の黄金率を知った方にヒアリングだけ、カウンセリングだと無料なので行くと、案外と自分の顔ってこういういい点があったのかとか、テレビの方に言われた言葉で救われたりとかっていうこともあったので、ビジネスブスというお話に関しても、今また別の答えができるかなと、感覚ができるかなと思ったりします。

今井:なるほど。燃えた時はそうやって言うとね、また燃えますかね?

北条:そうですね。何て言ったらいいのか、ちょっとあんまりわからないんですけれども。

今井:無視しておくのが一番いいと思いますけどね。

北条:そうですか。

整形するのは異性にモテるためじゃない?

今井:じゃあ、次参ろうか?

質問者:顔が変わると、モテだしたり、かわいくなったねって言われたり、周りの反応が変わると思うんですけど、整形した方って周りの反応が変わった時に、世界が変わった、うれしいって思うのか、それとも「どうせ私の顔じゃないけどね」っていう冷めた気持ちでいるのか、どういう気持ちでいるのか、整形した方のお話とか何かあればお聞かせ願いたいんですが。

北条:非常に興味深いテーマですよね。特に女性だけに今インタビューをしたので、女性に限ったお話ではあるんですけれども、顔が変わったことでモテだして、うれしいなって思うんですよ。

でも、ある女性は、モテるとモテるでまた面倒くさいことが起こると。自分の好きじゃない異性からもモテて、ストーカー気味になられたりして困ったりする例もある。

私はただ単にかわいくなりたかっただけであり、「かわいいカテゴリー」という言葉をその子は使ったんですけれども、私は異性にモテたかったんじゃないんだと、かわいいカテゴリーに入って、ちょっとちやほやされるだけでよかったんだと、そういうところに気づいたっていう方もいらっしゃいましたし。

あとは「異性の反応どうですか?」って私からむしろ聞くんですよ。悪いインタビュアーのくせなんですけど、自分の誘導尋問みたいにして、「異性からモテるようになったんじゃないですか?」みたいなちょっと意地悪な質問をさせていただいたんですけれども、今井さんもご同席されていたのであれだと思うですけど、皆さん全然「え? 別に」みたいな感じでしたよね?

今井:そうですね。

北条:「整形されて、お顔変わられてどうでした?」って聞くと、やったーって思ったんですよ、達成感があって、ヤンキーの皆さんが入れ墨入れた時の……。

今井:それは、共感する人いますか?

平林:ヤンキーの皆さん、ここにいらっしゃらないんじゃないですかね?

北条:そうですよね。通過儀礼を終えた後の。

今井:あと、何か資格取ったみたいなね。

北条:そうですね。

今井:漢検受かったみたいな。

北条:あとは、単純に異性モテというよりは、メイクがしやすくなってうれしいとか、自分志向なんです。皆さん自分志向で整形は結構、経過報告ブログみたいな感じで、ここで整形してきたんで、全部載せますみたいなブログって結構あるんですよ。アメブロが多いんですけれども、それを何十も読みまして、読むと異性の話ってあんまり出てこないんですよね。

「今日かわいいねって言われた。うれしい!」みたいな、そのぐらいのことはあるんですけども、みなさんやっぱり自分の目を一番大事にされている。異性モテはあんまり関係ないんですよ。そこが非常におもしろいところだなと思いました。

平林:じゃあ、むしろ異性にモテるっていう視点で書かれているのは、整形が出てくるようなフィクションのほうが多いって感じなんですかね?

北条:そうですね。

平林:実際はあんまり異性は関係なし。

北条:モテるようになった、などの変化を明確に感じたという女性もいるんですけれども、そこにあまり重要性を感じていないというか。むしろ自分でお化粧しやすくなってことのほうがうれしいと言うんですね。美容整形は、要は自分の幸福のためで、自己満足のためということで行われているのかなと思う所以です。

今井:よろしいですか?

質問者:はい、ありがとうございました。

ファッションへの興味とギャップの関係性

今井:1回、Twitterのやつ拾いましょうか?

平林:Twitterね、うちの妻に関する質問が来てる。これ、拾った方がいいですか?

今井:一応、説明すると「質問です。earthの宮崎あおいさんの広告にケッって思うファッションに興味のない女性というのはそれなりにいると思うんですが、これは興味ない方だと思います。興味ない女性の中でも奥さんを特殊だと思われるのはなぜなのでしょうか?」

平林:ちなみにうちの嫁は、ファッションに興味がないわけではないんですよ。

北条:何系のお洋服を纏ってらっしゃるんですか?

平林:すいません、何系っていうのが僕は知識がなくて難しいんですよ。

北条:例えば、スカートははかないですとか?

平林:はかないこともない。

北条:ロングスカートは?

平林:はかないです。

北条:ミニスカートではなく?

平林:ミニっていうか、何っていうんですかね。

今井:ワンピース?

平林:的なものを楽して着てる時もあるけど、ジーパンとか、タイツとここら辺までのスカートとか合わせたりしてることのほうが多いかな。

北条:スカートの下にレギンスをはいてしまう。

平林:そうそう。はいてしまうっていうか……楽をしている。

北条:そうですね。

平林:楽でしょ? だって。

北条:そうみたいですね。

平林:そう思いますよ。それは、いい。

北条:レギンスをはかれず、スカートをはく時はレギンスが必須という感じの?

平林:必須でもないですね。その時々ですけど、何系って言ったらいいのかよくわからないんですよね。ファッション誌とか一切買わないんで。

北条:奥様が?

平林:わからないんですよ、どういう雑誌見てるかも。なんで特殊なのか、わからないんですよ。

北条:特殊だからこそ、お好きだっていうこともあると思うんですけど。

平林:わかんないです。ただ、ちゃんとしてる時、ごく少数のちゃんとしてる時と、大部分のだらしない普段、そういうのを知ってるから特殊だと思うのかもしれないですね。

北条:ギャップがありすぎる?

平林:ギャップがあるように思うのかもしれない。みんなそうなのかもしれない、もしかしたら。みんな実はギャップがあるのかもしれない。それを僕に対して見せるのか、見せないのかっていう違いなのかもしれないですね。

北条:外向きの?

平林:だから、そういう意味では、すごく安心されている、あるいはどうでもいいと思われている、かもしれないですね。あんまりおもしろい答えにならなかった、すいません。

根底にあるのは、コンプレックスを解決したいという思い

今井:平林家の事情もありましたが、もうひとつ、これは北条さんにも質問があって、整形する女性と自分は別だと思いますか? それとも同じだと思いますか?

北条:同じだと思います。やっぱり外見にこだわってしまう以上、同じだと思いますし、整形する女性にもいろんなモチベーションがあって、もしかしたら男性を見返したいみたいな、自分を振った彼氏を見返したいみたいな女性もいるかもしれないですし。どうしてもキャビンアテンダントになりたいので二重だけやるとか、いろんな動機があると思うんですね。

その中で、私の場合は、ボトックスをうさぎさんの真似をしてやってみた時から、体が浄化されていく感じが心地よかったんですよ。大手美容チェーンの取材をしたんですけれども、なぜそこに行ったかというと、そこで施術を受けたという女性が多かったからなんですけれども、そこに行くと非常にクリーンなイメージで、ゆったりとしたソファーがあって、とにかく整形で流れる血とかのイメージはもちろん全くないわけですね。その中で、今度やろうかなと思って、脱毛ですかね。

今井:ですかねって。

北条:すいません。美容外科がいったいどんなものなのかなと思ってインタビュー受けて、もう行きつけなんですよって言ってる子がいたので、その行きつけの病院に行ってみたんですね。そしたら、チラシいただいて脱毛が安いよってなっていまして、エステの脱毛って今非常に価格下落が激しくて、もうワンコインでワキ脱毛とか。

平林:ありますよね。

北条:そうなんですよ。

今井:大学生のうちはタダみたいな。

平林:電車の中にすごい出てますよね?

北条:そうなんですよ。それも興味があったんですけれども、医療脱毛とエステの脱毛だとやっぱり医療のほうが力が強いので、エステで15回かかるところを簡単に6回で医療では済むと。それは、レーザーの照射を看護師がやるので。

今井:強いのが使えると。

北条:はい。そういう話なんかも聞いたりもして。そうすると、ワキの脱毛とか、いろいろ全身の、何て言うんですかね。リカちゃん人形の話に戻るんですけれども、そういうふうにできるんだって思ってしまうんですよね。それで早速、予約を入れてしまったんですよ。

結構、芸能人の方とかだとワキはみんなやってるとか言うんですけれども、本当に世界は変わるよって、他の結構年上のお姉様方の知り合いにも聞くと、皆さん結構学生時代にエステに通われて、ひざ下の脱毛とかはされたっていう経験がある方にお話を聞くと、世界が変わるからと、つるつるになるっていうのはすごいことなんだと。

自分の中で整形する女性たちと同じだと思うのは、ちょっと違うかもしれないんですけれども、自分の中には汗とか毛とか、そういう人間臭いものを消去していきたいという欲望が自分にはあるんだなということに、この本を書いて気づきました。

平林:そういうものをちょっと汚いとか、そういうふうに思ってしまう。余計な物とか、いらない物と思ってしまうってことですよね?

北条:そうですね。部屋は散らかってても平気なのに、何でだろうって自分でも思うんですけど。身体に関しては、汗をかくのも嫌ですし。

平林:それは、楽になるよりも嫌だっていうほうが強いんですかね?

北条:多分、身体嫌悪の部分があって、おそらくリカちゃん人形のようなものを理想としてしまっているがゆえに、汗を止められる技術があるのであればとか、ボトックスなんかも注射をワキにすると汗が止まるというので、興味はあるというような段階ですね。

今井:では、自分の場合は、目とか顎とか鼻ではないけれども、同様に身体のコンプレックスを医療で解消したいという思いは変わらないから。

北条:そうです。理想がやっぱり、ゴスロリやってたこともあって、人形なんですよね。なので、もし人形っていうのは永遠の少女性なので、もし今後アンチエイジングで頬がたるんできたりすると、もしかしたら自分の中にそういう引っ張り上げたいという欲望が芽生えてくるかもしれないというのは感じました。

女性は明確な目的があって整形するのか

今井:なるほど。じゃあまたちょっと会場からいきましょう。

質問者:整形される方っていうのは、どこを整形したいとか、どういうふうになりたいみたいなものをどれぐらい具体化されてるのかなっていうのが、ちょっとお聞きしたくて。例えば、僕とか髪を切りに行った時に「どうしたいですか?」って言われても、何とも言えないんです。

平林:わかります。

質問者:なんか、いい感じにしてくださいって。

北条:いい感じにしてください?

質問者:いい感じにしてくださいって言うとなめられそうで、何となく襟足がとかそうやって言うんですけど。

北条:なるほど。結構男性の皆さん頷いてらっしゃいますね。

平林:長くもなく、短くもなくみたいな。

男性1:整形される方っていうのは、目を直したいという潜在的なコンプレックスを、あるいはリカちゃんになりたいとかいう理想をもってらっしゃる方が多いのか。それとも、なんか自分が好きじゃないとかいう感じで来られる方が多いのか? その辺がちょっと気になります。

今井:一応、質問を繰り返すと、整形したい女性っていうのは、具体的に目標がある、こういう顔になりたいっていうのがあるのか? それとも何となく自分のコンプレックスを解消したいと思っているのか?

北条:そうですね、両方混じりあっているケースもあるかと思うんですけれども、本の中で特にこれだなと思って強調したのが、女性は事前にアイプチをしていたという方が非常に多いんですね。

なので、アイプチのラインで整形したいっていうふうに来る子がまず多いんですよ。高校から大学に入るタイミングで、韓国でもそうなんですけれども、目をまず何とかしたいという方が非常に多くて、その次が鼻かな?

たしか先月の『子悪魔ageha』で自分の整形したいパーツどこですか? っていうアンケートがギャルたちにあったんですけれども、1位が鼻で、2位が目だったんですよ。何でかなと思ったら、もう目は整形してるからかなって思ったんですけども、鼻と目ですね。

鼻はやっぱり日本人はどうしても平均的に低いので、メイクが決まらない、結構女性誌を見ていると、鼻にノーズシャドーというのを入れて高く見せるというメイク技術があるんですけれども、それを整形で叶えたいという女性が鼻をやりたいと。

平林:鼻が低いっていうのは昔からそうみたいですね。うちの母親が1950年ぐらいの生まれなんですけど、小さい頃に、小学校とかで鼻が高くなるって言って、女の子の間で洗濯バサミで鼻を挟むのが流行ったって言ってましたね。

北条:そういうのいまだに、通販グッズとかでも。

平林:そんな昔からなんだと思って。鼻なんて高くなるわけないのにって。

北条:白人コンプレックスの一環だと思うんですけれども。なので、整形する女性は、もうここだと決めて訪れる場合が多いです。鼻とか、あと最初は結構埋没法が多いので、埋没法で目を二重にして、次は大きくなって目に合わせて、ちょっと鼻が低いと感じられると、次は鼻を高くする。

ちょっと唇が寂しいなってなると、ここにちょっとヒアルロン酸というものを注射しますと、ボテッとした板野友美さんみたいな唇になるので、次は唇をしてくださいと。次、シミを消したいというのも整形に入るので、このシミだけ消したいんですと言って訪れる方もいます。結構、目標というか、明確にゴールが見えてる方が多いと思いますね。

質問者:ありがとうございます。

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