2024.10.10
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北条かや氏(以下、北条):私、ホステスの研究をしたときに、40代ぐらいのホステスさんとお会いしたときに非常にびっくりしたのは、異形に近いぐらい整形をされてる方だったんですよ。目が二重が明らかに切開した感じで、鼻もプロテーゼを入れられてるなという。
今井雄紀氏(以下、今井):ちょっと大変な叶姉妹みたいな。
平林緑萌氏(以下、平林):叶姉妹もだいぶ大変だよ(笑)。
北条:お着物を着られてて「この間、100万円で着物買っちゃったのよ」なんてお話ししてて、そういうママを見て、男性たちは「きれいだね~」って言ってるんですよ。でもこちらから見れば、異形にしか見えない。そういう女性って、もしかすると他人の顔だし、どうなっても他人の評価なんかどうでもいい、っていう方向にいくタイプかなと思ったんです。
異形であっても、別に私の顔じゃなくて、もともと他人が評価する顔。それは他人の評価なんてどうでもいいということで、逆説的に、あえてそっちのほうが主体的に見えるような瞬間があって。
時々、ギャル雑誌の読者モデルさんでも整形を繰り返して、ちょっと異形っぽくなっちゃってる方もいらっしゃる。でも、そういう方って、本当の意味で主体的なんじゃないかな、なんて思うんですよ。
平林:そうすると、整形を繰り返していく人と、全く努力をせずに自分の顔、最高ってなってるナルシストの人たちとは、言ってしまえば、社会との関係性が切れてるみたいなところでいうと、近いところにいるんですかね。
北条:そうですね。社会との関係をあえて切ることで、自分を確立しているような人が。
平林:それによって、面倒くさいところを切っちゃうことによって幸せになるみたいな。
北条:そうですね。整形に関する小説なんかも読みましたら、やっぱり異形に走る人が出てきて。そういう人の発言を見たり、実際に異形みたいになっている女性を拝見しますと、自分の顔なんだけれども、どっかで切り離して、他人からの評価を全く気にせずに。
平林:もう、ヒョウ柄のおばちゃんみたいなもんですね。自分が好きだから。
北条:ヒョウになっちゃうみたいな感じですかね(笑)。すみません、最近あんまりヒョウ柄のおばちゃんとの交流がないもので。
平林:関西だと、結構いますけどね。
北条:ただ多くの方は、他人に明け渡した自分の顔に、どうしてもこだわってしまうと思うんですよ。自分の顔が他人からどう見えているか気にするということは、気にしないのが異形系の方で、気にされるのが私も含めた多くの女性、男性だと思うんですね。
気にする人は、他人のものだからこそ、ちゃんと磨き上げないといけないし迷惑をかけちゃいけないということで、ファッションも含めてですけれども、ちゃんとしなきゃ、清潔感とか、男性も含めて、それはあると思ってます。そちらのほうが多数派かなと思います。
平林:でも、ちょっと皮肉だなと思いながら読んでたんですけど。男って、特にファッションとかに対する敏感さがなかったり、そういう現在進行形のものがわからなくなっていくと、そうやって努力してる女性のことを、みんな一緒とか言うんですよね、簡単に。見分けがつかないとか。
北条:量産型女子大生みたいな。
平林:みたいなことを言うんですよね。そこもすごいギャップがあるなと思いながら読んでいて。じゃあ、おまえはめちゃくちゃ個性的な、それこそ社会と切れちゃったような女性のほうがいいのかって言われたら、そんなこともないと思うんですよ。どんだけ勝手なんだみたいな。でも、自分にもそういうところがあるんで。今井君はどう。どういう女性がタイプ?
今井:外見の話ですか。
平林:ファッションとか気にする? ファッションとかメイク。というか、何を見てる? 女性の。
北条:お二方から聞きたいですね。私は普段、周りにあまり男性がおらず……。
平林:すみません、周りには男性しかいないんですけど。だから、女性と会う機会が少ないんだけど、何を気にする? 僕は髪型とかすごく気になる。
今井:僕は、メイクとファッションが気になりますね。
北条:やっぱりリア充だからですか(笑)。リア充っぽい空気感があるじゃないですか。
今井:そういうわけじゃないんですけど。僕はある程度、ファッションに気を使ってるっていうことと社会性が相関してると思ってるんですよね。だから、変な話ですけど、全く気を使ってない人とは、もしおしゃべりするにしても、こっちがちょっと頑張らないといけないのかなという気になったり。あるいは何か我慢しなくちゃいけないのかなっていう気になったりっていう感じは受けるので。
平林:そうすると、頑張り過ぎている子も一緒ということになるよね。
今井:そうそう。
平林:いや、でも優等生的だわ、その答えは(笑)。今の今井の答えは、優等生的過ぎると思うんですけど、どうですか。ちょっと当たり障りなさすぎる。もうちょっと、本当の自分をさらけ出していこうって話(笑)。
平林:僕は髪の長い女性とか苦手なんですよ。スカートとか女性らしいファッションみたいのが苦手で。なんでかわからないんですけど、自分と遠い気がしちゃう。この子は無理だろうみたいな。自分はこの子を攻略できない。多分、3m以内に近づけないぐらいの苦手さ。
北条:そうですか。だから今の奥様も、結構ナチュラル系の。アースミュージック&エコロジーとか着てます?(笑)。
平林:いや、全く着てないと思いますね。「なんだ、あの宮崎あおいのポスターは」とか言ってます。どっちかっていうと。
北条:それも駄目ですか。どういう奥様なんですか。
平林:よくわからないんですけど、僕も。まだちょっと正体がつかめないんですけど。
北条:そうか。ご結婚されて浅いから。
平林:いや、5年(笑)。嫁の話は置いといて。嫁を例に出しちゃうと、余計こんがらがるので。なんかやっぱり、すごい女性的な感じの人が苦手ですね。
北条:口紅とかメイクとか巻き髪とか。
平林:どっちかっていうと、男に交じって遊んでて違和感ないタイプとかのほうが、安心するというか怖くないみたいな。非常に非モテ的な思考なんですけど、要するに、怖い女性と怖くない女性がいるわけです。これ多分、僕みたいな男、結構いると思うんですけどね。
北条:このお客様の中にですか。そうですかね。
平林:いや、男には結構いると思います。今井はそうじゃないと思うんで、ちょっと今井の話を聞きたいと思うんですけども。
今井:でも、それはすごいわかります。僕もやっぱり、高校のときとか、特にそうでしたけど。理系男子クラスだったんですけど。学年内のヒエラルキーが一番低いんですよ。
平林:低い。煙草の吸殻が見つかったとかガラス割れたって言ったら、絶対そのクラスのせいになるんだよ、証拠なくても。僕はH組だったんですけど。AからHまであって、一番ヒエラルキーが低い。半分が運動部で、その中で野球部と陸上部が半分で、もう半分が文系男子。僕、智弁学園っていう野球が強い学校で。
北条:そうなんですか。
平林:そういうやつと一緒のクラスなんですね。だから、お菓子の空き袋とか床に散らばってるような。簡単に言うと、エリア的にガラの悪いエリアみたいな扱いをされる。あそこの区は、みたいな。
今井:僕はどっちかっていうと、オタクがいるエリアみたいな扱いをされる。理系だったこともあって。だから、『桐島、部活やめるってよ』っていう映画があるんですけど、僕、1人で新宿のバルト9かなんかで観たんですけど、終わったあと、結構立ち尽くしちゃって。だから帰り、僕はその場で、高校当時聞いてた曲のプレイリストつくって、それ聴きながら帰りました。
北条:ちょっと痛いですね(笑)。
平林:どういう気持ちになったの、結局。
今井:めっちゃわかるわと思って。
北条:スクールカーストが、ですか。
今井:そう。イケてる女子って、いけてない男子のことを人間扱いしないんですよ。僕、されないほうだったんで。軽く闇をさらすと、フレンドじゃないんですけど、当時僕のことすごい虐げてた。
北条:虐げてた(笑)。
今井:そうそう、僕はそう思ってるんですけど。その高校の同級生の女の子のFacebookを見かけると、たまに出てくるでしょ? 友達ですかって。見に行って、「あ、絶対俺のほうが人生楽しいわ」って思って(笑)。
北条:ちょっと「逆転したぞ」っていう感じでしょうか(笑)。
平林:それ、よくないから直したほうがいいよ(笑)。だって僕、高校の同級生の女の子とか今めっちゃフレンドだよ。やっぱ克服しようよ。そのほうがいい、絶対。生きやすくなる。でも気持ちはすごくわかる。僕、高校のときは綾波レイが最高の女性だと思ってたから。
北条:非実在少女ですよね。ただその感じはすごくわかりますよ。私の初恋がナウシカの……、ナウシカじゃなかった。
今井:アシタカですか?
北条:『もののけ姫』のアシタカですね。アシタカって非実在ですよね。アシタカと、江戸川乱歩に出てくる小林少年っていうのがいるんですけど……。
平林:少年探偵団の?
北条:はい、小林少年が好きで、小林少年のリアルなイラスト、絵をずっと描いてて。
平林:少年探偵団の副団長、平林少年なんですよ。
北条:あ、そうですよね。でも、小林少年のほうがなんとなくいいんですよね。
平林:小林少年のほうがいっぱい出てきますしね。活躍しますからね。
北条:聡明なんですよ。平林君、結構おとりになっちゃったり、捕まえられちゃったり……。
平林:そうそう、割と都合のいいポジションですよね。使い勝手のいい。
北条:そうなんです。ちょっとおっちょこちょいな。小林少年がいつも明智探偵の……あ、すいません。それはまた別の会にしましょうか(笑)。
平林:そうしましょう(笑)。
北条:結構二次元の、小林少年とか、アシタカですとか、中性的な男性を好きになってしまう自分のメンタルの中には、おそらく男性への恐怖があったと思うんですよ。それでキャバ嬢の社会学にもちょっとうるさいほど書いてしまったんですけれども、男性への嫌悪感というのは、男性に媚びる女性への嫌悪感に結びついてしまうんですよね。
高校時代もそうだったんですけれども、私はもう本当に真面目タイプでしたので、男女交際も本当にお寒いかぎりだったので。それで、男性が怖いんですよ、怖くなってしまって。田舎なので皆さん初体験も早いような……。そういう女性達って見た目も女らしくしていて、お化粧もしていて。あと第二次性徴が早くくるような女性が周りにいて。女性として成熟するからこそ異性と交際する権利があるというような風潮を内面化してしまったんですよね。
平林:僕なんかからすると逆にそういう女性が怖いんですよね。
北条:そうですね。同じメンタルかなと思います。
平林:僕、早生まれなんですよ。誕生日が3月11日なんですけど。やっぱり女の子のほうが成長が早くて先に大人になっていくんで、今から見ると「なんでそんなことで」って思うんだけど、やっぱり背もちっちゃかったんで、同級生の女の子っていうのがもう全然違う存在に見えてたから。
北条:なるほど。
今井:出版業界、早生まれ絶対多いと思います。
北条:そうですか。
平林:かな?
今井:と思いますよ。Jリーガーって4~5月うまれがめっちゃ多いんですよ。やっぱり運動上、成功体験を積みやすいんですよね、同じ運動神経でも。
北条:でもね、Jリーガーで活躍できるのは20代までとか言われて……。
今井:そうですね……。
北条:引退が……すいません。
平林:なんかそれ女性アイドルに対する男のあれみたい(笑)。
今井:北条さんって何月ですか。
北条:12月です。
今井:ああ、やっぱり遅めです。
北条:遅めですね。でも第二次性徴が、まだきてないんで迷ってるんですよね(笑)。まだ待ってるんですけどなかなかこないので、こういうような女性の美の欲望というところにやっぱり……。
北条:豊胸の相談に行ったこともあります。ただ、痛みがすごいということで……。ちょうど学生時代に中村うさぎさんの整形本とか、当時、ユニークフェイスという顔にあざのある方のNPOをされていた石井政之さんという方がいらして、その方の本なんかも読んだりして。
タイトルは『肉体不平等』というんですね。彼はもう見た目があざがあるということで、すれ違う人から全員ぎょっとされると。そういう肉体を持った自分が、この見た目依存社会を生きるというのはどういうことかというのをまとめた本があって。
彼とまた中村うさぎさんという美魔女を追及する女性が対談するという企画もあってですね、非常に面白かったんですけれども。それを学生時代に読みまして、肉体によって思考がまったく変わるんだなと感じました。持っている肉体によって思考が変わる。
例えば自分は胸が小さいですとか、背が低い、足が太いとかいろいろなコンプレックスによって、アイデンティティそのものが規定されてしまうような。唯脳論じゃなくて、唯身体論みたいなところがあってですね。
そういう問題意識がずっとあったので、美容整形にも……。美容整形によって顔が変われば思考も変わるかもしれないじゃないですか。そういうところで美容整形のプラスの面はそこかなと思うんですよ。実際にゲイの方で非常に自分にコンプレックスがあって、もう醜形恐怖のような方がいて。でもちょっとプチ整形しただけで精神状態がすごくよくなったというような例もあって。その方にとって、整形は幸福への道だったわけですよね。
平林:読んで思ったのが、男にとってはこれ、髪の毛だなと。
北条:髪の問題ですか?
平林:今、すごいいい薬が出てきてて、完全に抜けちゃう前から飲めば相当防止できる、というか相当生えてくる。リアップの10倍ぐらいのやつなんですけど。
北条:リアップは医薬品じゃないですもんね。
平林:いや、医薬品のものもあるんですよ。リアップは医薬品かな? カロヤンアポジカとかも医薬品じゃなかったっけ? なので今、相当髪の毛は守れるんですよ。髪の毛は守れます!
北条:希望のあるお話ですね。
平林:いや、いい話です。だから植えなくても抜ける前にやればかなり守れるので。あと、女性もそういうことをよく言ったりしてると思うんですけど、「結婚するまでもてば、まあ……」みたいな。髪の毛がね。
北条:ああ、結婚してからはどうなろうと。
平林:「結婚式のときに禿げ散らかしてなければ、いいんじゃないか」みたいな言い方をすることも結構あると思うんですけど(笑)。でも、どっちかって言うと「ずっとフサフサのほうがいい」と女性も思うんじゃないかなと思うんですけど。
平林:ただ、それは毎日ずっと薬を飲むだけで、そこまでのものすごいお金もかけずに、月2~3千円くらいで、男性についてはある程度維持ができるという状態になってきたんで。でも男性はね、そこまでびびってないというか、この本に出てくるような……。
北条:老化への恐怖とか?
平林:そうそう、その人達ほどはないっていうか、半分は禿げるしなみたいな。そういうみんなで禿げれば怖くない的な感じがやっぱりあるんですよね。
北条:女性の中にもそういう女性は本当に多いと思いますし、いろんな方のお話を聞いて、私は別に整形はしないし、このしわが私の生きた証という、そういう考えのほうが健全だというのが世間的には多数派の意見かと思うんですよ。けれども、この前も美魔女のコンテストがありまして、とても40代には見えないような方がいて、絶対プチ整形してると思うんですけど。
平林:いや、してると思いますよね。
北条:そうですよね。プチ整形や美容点滴とかいろいろやれば、見た目の年齢ってマイナス15歳まではいけるらしいんですよ。
平林:すごい見た目が若いお医者さんの本、売れたじゃないですか。講談社のプラスアルファ新書かな? 南雲さん。あの人もやってるんじゃないかと、僕思って見てたんですけどね(笑)。
北条:まあ、だいたいやっていらっしゃる。
平林:あの人、やってるんじゃないかと思わない?
今井:やってるかわかんないですけど、あの写真に補正はかかってるなと思いました。
平林:ああ、まあね。
今井:まあ、ご本人にお会いしたことないんでわかんないってところもありますね。
北条:結構、整形した人は整形した人がわかるので、おそらく男性が整形わからないっていうのは、したこともカウンセリングを受けたこともないからだと思うんですよね。
平林:要は、したらどう変わるかってことを考えたことがないんですね。
北条:そうですね。例えば私はこの本の中でも書いたんですけれども、学生時代にうさぎさんがボトックスを頬に打って……ほうれい線かな? ほうれい線を消したという記述があったときに、その次の日に私もボトックスを打ちに行ったんですよ。その時、京都にいたんですけれども。
今井:消す腺があったんですか。
北条:いや、カウンセリングを受けると、私の場合は頬がちょっと丸かったので、そこの筋肉をボトックス注射で死滅させるんですね。そうすると、筋肉が萎縮するということは、筋肉の分だけ顔がシュッとするという。ただ、その効果も半年ぐらいで。
今井:戻っちゃうんですか。
平林:筋肉が復活するんですね。
北条:そうなんです。ただ、打ち続けているとだんだん筋肉も再生力が弱くなって。
平林:それ、めちゃめちゃ体を痛めつけているってことですよね。
北条:そうですね。筋肉から下。ただ、原始人の場合は、噛む力が必要かもしれないですけど、現代人にとっていらない筋肉だったりするので。
平林:でも、そこに体の再生能力をつぎ込むわけじゃないですか。
北条:そうですね。
平林:それは何だろう。無害って言えるんですかね?
北条:今のところ、そのボトックスの量をお医者さんのほうで、学会で調整して。入れすぎるとやっぱりちょっと噛めなくなってしまうので。ということで、ボトックスを体験したんですよ。当時の克明に写真に記録したりして、覚えているんですけれども。
歯ぎしりなんかをすると、やっぱり筋肉が鍛えられてしまって、ちょっとプクッとしていたのが、注射を打ったときは、冷やすので、麻酔しなくてもあんまり痛くないんですよね。それを打って3か月ぐらい経つと、ちょっとシュッとして、お肉が顎のほうに溜まるんです。
ですから、ボトックスをもうちょっと高齢の女性がやると、私は当時、学生だったので、たるまなかったんですけれども、40代ぐらいからは、たるみになるので、ボトックスではない別の手術でまた頬のラインを引き上げることも必要になってくる。どんどんメンテナンスが、加齢とともに必要になってくるというお話です。
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