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北欧女子オーサが見つけた日本の不思議(全3記事)

北欧出身の女性漫画家・オーサさんが語った「日本の不思議」ベスト3

『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』刊行イベントで漫画家のオーサ・イェークストロム氏とその本の編集者・山崎旬氏がトークイベントを開催。司会をタレントの野口綾子氏がつとめました。去年のコミティアでは本が15冊しか売れなかったと語るオーサ氏が本を出版するまでに至る意外なストーリーについて語っています。また、彼女が日本にきて目にした不思議な文化の数々を紹介していきます。(コミティア「北欧女子オーサが見つけた日本の不思議」刊行イベントより)

日本に来てから身長が縮んだ!?

野口綾子氏(以下、野口):本日は『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』発売記念イベント「トークライブ&サイン会するだ!」inコミティア112にお越しいただき誠にありがとうございます。司会・進行を務めさせていただきます野口綾子です。どうぞよろしくお願いいします。

それでは早速お呼びいたしましょう。お待ちかねですよね。オーサ・イェークストロムさんです。皆さん、大きな拍手でお迎えください。オーサさん、今日はよろしくお願いします。

オーサ・イェークストロム氏(以下、オーサ):よろしくお願いいたします。

野口:本日は初の読者イベントということで、まずはたくさん集まっています皆さんにひと言、挨拶をお願いします。

オーサ:そうですね、皆さん、今日、このライブトークに参加させていただきまして誠にありがとうございます。本当にたくさんの方に来ていただきまして、とてもうれしいです。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

野口:よろしくお願いします。私ね、初めてお会いしたんですけど、もちろんかわいいですよね。なんか顔も小さいし、結構、小柄ですよね。身長って、何センチですか。

オーサ:163ですね。

野口:スウェーデンでは163センチというのは……?

オーサ:背が低いです。

野口:低いほう。

オーサ:実は、前は165だったんですけれども、縮んでしまいました(笑)。

野口:それは日本に来て縮んだんですか。

オーサ:かもしれませんね。わかりません。

野口:私も身長が低いほうなんですけど、なんでだろう。日本の食事って、背が縮むんですかね。今、私、ちょっと衝撃を受けています。

オーサ:不思議です。

野口:不思議ですね。そんな話を、また後でさせていただくということで、今日はオーサさんの担当編集でもあるKADOKAWAの山崎さんにも席に座っていただいています。よろしくお願いします。

スウェーデンで漫画を、日本でグラフィックデザインを学んだ

山崎旬氏(以下、山崎):よろしくお願いします。

野口:お願いします。それでは早速、私のほうからオーサさんのプロフィールをご紹介させていただきます。今、こちらにも映っておりますね。オーサ・イェークストロムさん、1983年生まれ、スウェーデンのご出身です。

13歳のときにテレビでアニメ『セーラームーン』を見たのをきっかけに、日本のアニメや漫画好きになりました。その後、高橋留美子の『犬夜叉』などを読んで、漫画家になることを決意されました。

2003年に初来日、残念ながら日本語を読めなかったので、漫画は買えませんでしたが、漫画用の画材を大量に購入したそうです。スウェーデンでは漫画『さよならセプテンバー』を全3巻、刊行するなど、イラストレーターや漫画家として活動なさっていました。

日本へは旅行で何度も訪れていましたが、2011年、とうとう東京へ移り住みます。グラフィックデザインの専門学校に通いながら、ブログでエッセー漫画の執筆をスタート。このブログがアメブロの総合ランキングで1位を記録するなど大きな注目を集め、今年3月に日本での初めての著書『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』を出版されました。

ちなみに好きな食べ物はラーメン、一番好きなアニメは『少女革命ウテナ』、一番好きな漫画は矢沢あい先生の『NANA』だそうです。今年の3月まで専門学校でグラフィックデザインを勉強されていたそうですが、なぜ漫画でなくてデザインを学んでいたんですか。

オーサ:なぜかと言いますと、いろいろと実はものすごい迷ったんですよ。グラフィックデザインに入学して半年がたったら、また留学生相談室に行きまして、先生、実はまだ迷っていますと。

ちょっと外国人にしかない問題なんですけれども、漫画家はフリーランスの仕事ですので、ビザはほとんど出ませんと言われて、じゃあ卒業しても帰国になってしまうのが悲しいなと思って。で、実はスウェーデンでも3年間、スウェーデンの漫画専門学校でも勉強していたので、2回同じ勉強をするのがちょっともったいないじゃないですか。

野口:確かにそうですね。

オーサ:でも、やっぱり漫画家は楽しそうでしたね。

野口:やっぱり自分で学校に行ってみて、漫画を学んでいる人を見ると、いいな、みたいな。

オーサ:はい。でも選択授業として、漫画に関する授業をとりましたので。

野口:そうなんですね、うまい具合に。

スウェーデンでいま人気なのは4コマ漫画

野口:スウェーデンで漫画を出版したり、イラストレーターとしてのキャリアがあって、それを捨ててじゃないですけど、いちから日本でやっていくというのが、すごいですよね。並々ならぬ決意があったんですか。

オーサ:そうですね。まず日本に来たときは、実は漫画を描くつもりじゃありませんでしたと言いますか、グラフィックデザインのところに就職して、週末とか、暇なときに漫画を描こうと思ったんですけれども。実はもう入学してしまったところで、グラフィックデザインって一番、残業が多い職種じゃないですか。

野口:そうなんですか。

オーサ:ああ、失敗ですねと思って。学生時代しかないからこそ、この間にたくさん漫画を描いて、ちょっとやってみようと。

野口:そうなんですね。スウェーデンではどんな漫画を描いていたんですか。

オーサ:少女漫画を描きました。

野口:少女漫画、いいですね。でも少女漫画を描いていたけど、日本ではこういったエッセー漫画を描いているじゃないですか。

オーサ:はい。

野口:なぜエッセー漫画を描こうと思ったんですか。

オーサ:実はおもしろいことに、スウェーデンで何が人気かと言いますと、4コマ漫画ですね、エッセー漫画。スピックコミックと呼ぶんですけれど、それが一番人気がありまして。

野口:そうなんですね。

オーサ:はい。でも、いつもそういう形式はつまらないなと漫画家として考えまして、それより、なんか日本の、とても自由なページレイアウトとかのほうがおもしろいと思ったんですけれども。日本に来て、4コマしかないからこそ何かおもしろいと思ったのと、あとは外国人として感じる景色のほうも、すごくおもしろいと思いまして。

野口:おもしろいです。もう本当に、日本人の目線だとわからないものが、やっぱり描かれているので、すごい興味深くて、読んでいてとてもおもしろかったです。

オーサ:ありがとうございます。

去年のコミティアでは本が15冊しか売れなかった

野口:さてオーサさん、実はこのコミティアというイベントは、オーサさんにとって思い入れのあるイベントなんですよね。

オーサ:はい、コミティアが大好きです。

野口:ここのコミティアに参加して編集部に持ち込んだことが、デビューのきっかけになったとお伺いしたんですけど。

オーサ:はい。

野口:今、そんな4コマ漫画が出ていますね。

オーサ:そうですね、いつでしたっけ。ちょうど1年前でしたね。去年5月のコミティアのときに、ちょっと前のブログからの4コマ漫画を雑誌として印刷しまして、それをここに、コミティアで宣伝しましたね。

販売していたときに、隣のテーブルの日本人の方と仲がよくなりまして、出張編集部のいろいろ出版社を紹介してくれました。で、KADOKAWAまで来ましたら「あっ、この作品、知っていますよ」と思いまして、海外で人気のありそうな作品も出されているじゃないですか。

例えば『日本人の知らない日本語』とか『ダーリンは外国人』など、いろいろありましたので、じゃあ、ここは機会があるかもしれないと思って、外国人が好きかもしれないなと思って申し込みをしてみました。

野口:なるほど、そうなんですね。去年、参加なさったと言っていましたが、それが初めてですか。

オーサ:初めてでした。

野口:じゃあその1年で、もう本を出版なさったということですよね。

オーサ:はい、そうですね。

野口:すごい、すごいですね。でも、もともとが、今、漫画にも描かれていますが、隣に座った日本人の男性の方が出張出版社のところに持ち込みできるよと教えてくれたことがきっかけですよね。

オーサ:はい、そうですね。でも比べたら、ものすごい差がありますよね。1年前のコミティアで冊子を15冊しか販売しませんでしたので、あまり人気がありませんでした。

野口:15冊しか売れなかったと。

オーサ:はい。

スウェーデンでは子どもの時しかじゃんけんをしない

野口:1年で、じゃあ生活もガラッと変わりましたか。

オーサ:変わりましたね、かなり変わりました。

野口:オーサさん、今日はかわいらしいロリータのファッションをなさっていますけど、コミティアに初めて参加したときは、どんな衣装を着ていたんですか。

オーサ:まあ、ほぼ一緒ぐらいだったんですけど。

野口:そうなんですか。

オーサ:ロリータポップな服でした。

野口:なんかメイドさんってお伺いしたんですけど。

オーサ:いや、メイドはないでしょう。コスプレグループのときだけ、メイドコスチュームを着たことがあります。

野口:そうなんですね。でもメイドコスも似合いそうですね。淡い色もいいですけど、ちょっと黒と白のおそろいチックな衣装も、個人的に着てほしいな、なんて思ったりもしますが。いろんなお話をお伺いしていますが、さて、ここからはですね、オーサさんがこれまでに感じた日本の不思議の中から、特に驚いたことをベスト3形式でご紹介していきたいと思います。オーサさん、それでは第3位から、ぜひ、お願いします。

オーサ:はい。

野口:日本の不思議の中の第3位。

オーサ:じゃあ、一番驚いたということでしたら、まずは「じゃんけんの文化」という4コマ漫画がありまして、実はスウェーデンもじゃんけんがありますが、子供のときしか、しないですね。

なので専門学校でも、間違いなく何か決めなくちゃいけないとき、先生にも「じゃあ、皆さん、じゃんけんで決めてください」とか言われまして、えー、なんか、そうなんですかと。

じゃんけんは便利ですけれども、困ったところは、日本人は多分ずっと、小学時代からずっとじゃんけんをしてきましたので、ものすごく上手ですね。

野口:じゃんけんに上手とか、あるんですね。

オーサ:上手ですよ。上手と言いますか、はやいですね。

日本人のじゃんけんはスピードがはやすぎる!?

野口:本にも描かれていますが、グー、チョキ、パーは一緒ですか。

オーサ:一緒です。

野口:言い方は。

オーサ:スティンアン、サス、フォーサと言います。でもスウェーデンだとだいたい1回しかやらないですし、2回ぐらい、やらなきゃいけない場合は、ゆっくり最初から再スタートしますね。

野口:「あいこでしょ」は、ないということですか。

オーサ:はい。でも日本にはずっと、何と言いますか、最初はグー、じゃんけんポン、あいこでしょ、しょ、しょ、しょ、しょ、しょ、とずっと続きますから。

野口:そうですね。

オーサ:私は無理です。いつも負けてしまいましたし、後出しをしているように見られてしまいましたし。

野口:今はもう慣れましたか。

オーサ:いいえ。

野口:でも結構、日本人じゃ、気が付かないですね。当たり前にじゃんけんをするので、こういう新しい気づき、本当にいいですよね。そして続いて第2位、ぜひお願いします。

スウェーデンで食事のときにしてはいけないこと

オーサ:第2位はお箸のマナーですけれども。何か初めて一緒に晩ご飯をしたときに「オーサ、これ、食べてみない?」とか言われましたら「はい、いただきます」とお箸で取ろうと思ったんですけれども。もう、すごい反応でした。

野口:確かに、これを日本人は箸渡しと言って、お葬式のときに家族が亡くなった方のお骨を、骨を移すときにお箸とお箸を使うので、不吉というか、いいことではないので、普通のときにはしないんですけどね。

オーサ:えー。

野口:そうか、スウェーデンにはないんですね。

オーサ:ないんですね。お箸はもちろん使わないですし、ナイフとフォークでしたら、ナイフは口の中に入れちゃ駄目ぐらいです。

野口:それ、日本も駄目です。切れちゃいますもの。

オーサ:けがになっちゃいますから。でも、失敗もいろいろなレベルがあるような気がしましたね。この失敗をしたときに、普通、何か失敗をするときに、日本人の友達は優しくて、説明してもらえます。それはちょっと……とか、それはやめたほうがいいとか。でも今回は本当に、カーッみたいな反応がありましたので、びっくりしました。

野口:スウェーデンでは、こういった、食べるときに絶対しちゃいけないことって、ありますか。

オーサ:食べるときに、ですか。

野口:マナーというか。

オーサ:マナー、うーん。

観客:ゲップをしない。

オーサ:そうですね、それは駄目ですよね。あとは、日本では何かラーメンとか、すすって食べますよね。それもスウェーデンだと、ちょっと。

野口:失礼というか、マナーが悪い。

オーサ:はい。

野口:初めて、さっき好きな食べ物はラーメンとプロフィールにありましたが、初めてラーメン屋さんに入ったときは、わあ、みんなマナー悪い、と思ったんですか。

オーサ:いいえ、何か漫画とかで見ましたし、あとアニメでそういうのを見ましたので、びっくりはしませんでした。でも自分はできません。

野口:うまく、すすれない。

オーサ:うまく、どんなに頑張っても何か、口の力が足りないみたいですから、すごい、体的には無理ですね。

野口:そうなんですね。じゃあ、レンゲに入れて。

オーサ:はい、静かに食べます。

野口:でも、そのほうが、かわいらしいオーサさんにはぴったりかもしれないです。

オーサ:いや、クラスメイトに笑われますね。オーサは静かですね。静かに食べますね、と。

野口:仲良くなってくるとね、ネタにもされちゃいますよね、きっとね。

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

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