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伝説のRPG「moon」のイラストレーターが九死に一生を得て感じたクリエイターの生き方(全9記事)

「調子こく時期は大事」「つながりは大切で、不義理はアカン」 振り返った時に後悔しない、クリエイター人生を歩む秘訣

ゲーム業界で仕事をしているデザイナー、プランナー、エンジニアなどのクリエイター向けに、キャリアデザインをテーマに実施するセミナーイベント「クリエイターヒストリア」。業界で成功を納めているクリエイターは、今までどのようなキャリアを歩んで行ったんだろう……? という、現在に至るまでの努力や道のり、人生の転機など、その歴史に迫っていきます。本記事では、これまで『スーパーマリオRPG』『moon』など、多くの名作に携わってきたキャラクターデザイナー&イラストレーター・倉島一幸氏がゲストに登場。クリエイターとしての人生観を語りました。 ※ゲームクリエイターズギルドの今後のイベント情報はこちら

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タイムマシンでさかのぼって、ある地点からやり直せるとしたら

宮田大介氏(以下、宮田):クリエイターのヒストリアをここまで振り返ってきたんですけれども、かなり時間を超過しまくって……。

倉島一幸氏(以下、倉島:そうですよね。ごめんなさい。

宮田:「聞きすぎてすみません」という感じなんですけれども。ここでいつもみなさんにお聞きしているところで、今までヒストリーをさかのぼってきたんですけど、もしタイムマシンでさかのぼって、ある地点からやり直せるとしたら、なんかやり直したい部分だったりとか、なんかありますかね? みたいな話は聞いていて。

倉島:クリエイターとかそういうのはまったく取っ払った話なんですけど、去年の年始に戻ったとして、どこかしらの市場、海外の市場とかに行って「こうもりからウイルスが出るぞ」ってことを忠告したいんですけど……。

宮田:(笑)。

倉島:例えば俺が1人でそこにさかのぼっていったとして、おおかみ少年じゃないですけど……。

宮田:そうですね。「何を言ってるんだ?」って……(笑)。

倉島:「日本語でこいつなんか言ってるわい」とかっていうのと、果たして、でも本当にその市場が原因なのかっていうのは、今はまだわからない。

宮田:そうですね。わからないですね。

倉島:だからねぇ、やめときます。

宮田:(笑)。タイムパトロールみたいな、『時空警察』みたいな話ですね。

「また同じことをやるのか?」って思うと、しんどい

倉島:そうですね。あともう1回同じことを、例えば『moon』の前とかに戻ってできるかというと、この魂のまま転生するの……。いや、転生じゃねぇや。さかのぼるのは嫌だ。まだスライムになったほうがいいですね。

宮田:(笑)。スライムに転生したほうがいい。そういう、なんかあるんですか。今の魂のままじゃ(嫌だ)いうのは。

倉島:なんかまた同じことをやるのか? って思うと、しんどいわっていうね。

宮田:そうですね。

倉島:違うことをやるとしたら、ラーメン屋になりますね。

宮田:(笑)。さかのぼったらクリエイターじゃなくてラーメン屋になってるっていう。

倉島:できるかどうかはわからないですけどね。

宮田:確かに、また同じ楽しいこともあるけれども、また同じことをやるってなかなかしんどいですよね。

倉島:そうですね。無理ですね。

宮田:この話、プレインタビューの時にお聞きした時は「僕は、輪廻転生はつらいと思って」みたいな話を。

倉島:そうですね。だから次に生まれ変わって、違う人生だとしても、それがずっと続いていくのを想像すると気が遠くなって、夜中眠れなくなったこととか多々ありますね。最近はぐっすり寝ますけど。

宮田:(笑)。若い時は。

倉島:若い時は。

宮田:輪廻転生で眠れなくなるみたいな。

倉島:もう無理ですね。怖くなっちゃって。

宮田:また、一生続くのかみたいな。

倉島:そう。だから記憶がスパッとなくなることも怖いし……。なんでこの話をしているのかわからない(笑)。

将来に期待するんじゃなくて「今を楽しもう」

宮田:この話、僕好きなんですよね(笑)。

倉島:宗教とかそういうのは関係ないですけど。

宮田:関係ないです。関係ないですけど、歴史としてずっと輪廻転生とかいろんな宗教で語られてる話ですもんね。

倉島:そうですね。気が遠くなりますよ。例えばどうですか。その……。

宮田:いやぁ、輪廻転生は……。でもそれこそインドの、昔からの仏教とかでも「輪廻転生からの解脱をするためにがんばりましょう」みたいなのが。詳しく調べてないし、教徒でもないんであれですけど、そういったのが教えですもんね。

たぶん人間みんな輪廻転生はつらいんじゃないですかね? 

倉島:ね。次はワカメとかそういうのがいいですよね。何も考えず、ただこうやって……。

宮田:そうですね。ただただゆらゆらと……。

倉島:漂っていれば。

宮田:生きていきたいですけど。また人間に生まれ変わるのが一番大変そうですね。もうつらいですね。

倉島:大変そうですね。やめましょう。

宮田:やめましょう。もう人間は今世で。なんで、今世で楽しいことをやりきりましょうという(笑)。

倉島:こんな話聞いてて、おもしろいんですか?(笑)。

(一同笑)

宮田:いや、やりたいことをやりきるっていうところは、逆に言えば、来世に期待するじゃなくて、今を生きろと(笑)。

倉島:今を生きろ。

宮田:これがもうちょっと短いスパンの話だと、将来に期待するんじゃなくて今を楽しもうと。

倉島:それが一番ですよね。

宮田:というところにつながるのかなと思いますという。ちょっと無理やりなまとめでいかせていただいて(笑)。

倉島:いや、その通りです。

「調子こく時期は大事」「不義理はアカンで」

宮田:じゃあ、最後。こういった話とかを聞きつつ、最終的に今聞いている方たちに、振り返った時に後悔しないと思えるクリエイター人生を歩む秘訣って何かございますか? という話ですね。

倉島:そうですね。やっぱり私が思うのは、人とのつながりも大事だし、その時その時に全集中するのも大事ですから。

なんだろう。まぁ燃焼して、こう……。もう本当に若い時って、ある程度は寝ないでも大丈夫ですからね。さっきも言いましたけど、この後死んじゃうかもしれないから、まぁ本当に今を全力で生きてみちゃどうでしょうかって、俺が言う話でもないですけど。

宮田:あとは前半戦で出てきた、若い時には調子に乗ることも大事みたいな。

倉島:そうなんですよ。年取ると結局、人の話を聞かないじいさんとかに、老害になるのは気をつけますけど。こうイケイケで、夜中にクラブ行ってとかっていうことは、もうできなくなりますんで。そして「どうして、お前たちこのセンスがわかんねぇんだ!」みたいなことを思ったりとかもしなくなりますからね。

宮田:(笑)。良くも悪くも、謙虚になっていくというところで。

倉島:こうべを垂れる稲穂のように生きていきましょう。

宮田:確かに。逆に言えば若い時にしか尖ったクリエイティブで「俺のやつが正しいんだ」っていうのはなかなかできないので。そういったパトスもあると大事。

倉島:突っ走ると。そうですね。

宮田:今につながるって感じですよね。最初からこうべ垂れてばっかりだとなかなかね。

倉島:そうですね。調子こく時期は大事ですよね。

宮田:ですよね。あとはまぁ、ずっと通してあったご縁・人とのつながりは、たぶん伝わる感じですよね。

倉島:うん。不義理はアカンで。

宮田:ありがたいメッセージが(笑)。

倉島:私もしてるかもしれないんで、あったらメールください。すいません。

宮田:(笑)。最後、「不義理はアカンで」という強いメッセージと共に、若い人たちのクリエイター人生を歩む秘訣に、後悔しない人生を歩む秘訣にしてもらえればいいのかなというふうに思います。

倉島:(手を合わせる)

内容もりだくさんだった「クリエイターヒストリア#5」

宮田:(笑)。そんなかたちで、今回のクリエイターヒストリア、すごくいろんな話、たぶん今まで以上にクリエイトのお話もあれば、ラーメンの話もあれば、輪廻転生の話もあればで、もりだくさんの内容だったのかなと思うので。倉島さん、今回はありがとうございました。

倉島:ありがとうございました。

宮田:クリエイターヒストリアのまとめとしては、クリエイターのヒストリーストーリーというのが、単発で「じゃあ何かヒットを出して終わり」というかたちじゃなくて、いろんな積み重ねの中でそれが作られていっているものなんですね、という話だと思っています。

なので、それこそ“有名クリエイター”みたいなかたちで名前が知られていくようになるのも、そういったストーリーの積み重ねが大事なので。みなさん「じゃあ自分はどうかな?」というところで、それぞれのストーリーを考えて積み重ねていくといいんじゃないかなと思っています。

繰り返しになっちゃいますけれども、ゲームクリエイターヒストリアの番組のまとめとしては、クリエイター人生とは自分で主体的にストーリーを作っていくものなので、先人さんの話を聞いて、自分が「じゃあどういうストーリーを歩んでいきたいのかな?」を一人ひとりちょっとした時に考えつつ、日々を過ごしていくと、自分なりの後悔しないクリエイターヒストリーがつなげられるんじゃないかなと思っております。というのをまとめとさせていただければと思います。

はい。そんな感じでクリエイターヒストリア#5、倉島さんの回でした。ありがとうございます。

倉島:失礼します。

(会場拍手)

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