
2025.03.28
AIにUIデザインの大半を任せる時代が来たら──先駆者が語る、人間ならではの「コミュニケーション」の価値
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小林琢磨氏(以下、小林):というわけで、残り時間があっという間であと5分になりました。最後にQ&Aコーナーに移っていきたいと思います。
さっそくですが、質問が来ております。まず1つ目、けんすうさんへの質問です。
「この00:00Studioで作業中の配信をする時は、商業作品の場合は編集さんの許可が必要でしょうか?」という質問が来ております。
けんすう氏(以下、けんすう):そうですね。許可が必要です。その辺の契約周りはやらなきゃなと思って、急ピッチでいろいろ進めてます。
小林:あぁ、なるほど、今はベータ版というかたちですね。
けんすう:そうですね。まだ正式リリースじゃないんです。
けんすう:でも、今やってらっしゃる方は編集さんの許可を取って、「まぁプロモになるならいいんじゃないですか」みたいな感じの人が多いですね。
かっぴー氏(以下、かっぴー):でも、出版社によっては本当にだめなことが多いので。連載作家なら聞かないとだめですよね。
小林:そうですね。独立系の方はまったく問題ないと思いますけど、商業誌で活躍されている方は、まず一度編集さんに相談することを必ずやっていただけるといいかなと思います。
小林:続きまして、これはかっぴーさんへの質問です。「『左ききのエレン』の名セリフはどうやって考えつくのでしょうか。セリフ力の鍛え方などありますか」と来てます。
かっぴー:セリフ全般に関してなんですけど、僕はセリフを考える時ってけっこう変な考え方をしていて。
まず『どうぶつの森』みたいな感じで、頭の中にキャラクターを置いとくんです。いろんなキャラクターが頭の中に住んでいる。
そして、それぞれステータスがあるんですね。朝倉光一とかだったら空回りがちだけど努力するとか。でも才能はそんなになくてみたいな。そんな感じで、いろんなキャラクターが、頭の中にいる感じなんですよ。
そして、自分の分身だったりもするので、頭の中でなんかことあるごとになんか会話することがあって。例えば、「あー、なんかちょっと体調微妙だから、たいしたもんできないな」とか思っているとすると、頭の中の神谷雄介が、「いや、クソみたいな日にいいもんを作るのがプロだ」って言ったりする。
だからその、自分の頭の中でキャラクター同士が、なんかああでもないこうでもないって言ってるっていうのが日常なんですよ。
小林:『HUNTER×HUNTER』の冨樫(義博)先生もそれを言ってました。
かっぴー:うそ、そうなんだ!
けんすう:へぇ〜!!!
小林:『幽遊白書』を描かれている時に、「どうやってストーリーを作ってるのか」っていう質問に対して、「頭の中で○○くんと××さんがいて」。「そこが話しているのを、自分が描いているだけ」って言ってました。
けんすう:へぇー、おもしろい!
かっぴー:たぶんいろんなタイプの漫画家さんがいる中で、そういう系統がいるのはあります。やっぱり僕はそっちタイプで。だから、頭の中にキャラクターがいて、会話を始めるから、その会話をメモるんですよね。
そのメモを、いつ出すかはストーリー次第。
小林:原作者でありプロデューサーと言うか。脚本家でもあるみたいな感じなんですね。脚本家というか演出家か。
かっぴー:演出家というか、まぁそういう発想法でやってて。たぶん聞きたいところは、言葉選びとか語感とかをどうしているかというところですよね。
かっぴー:まぁでも、同じことを言うでも、言い方や口調やちょっとしたニュアンスで、ぜんぜん違う印象に受け取れたりするじゃないですか。
だから、1個言いたいことをまず決める。例えば「クソみたい日に、いいもんを作るのがプロだ」という言葉があるんですけど。
(左ききのエレン 名セリフ総選手権結果発表より引用)
かっぴー:これはよく「名セリフだ」って評価していただけることが多いんですけども。このセリフはもともと、「すごい体調が悪い日にいいものを作れたらいいよねぇ」みたいな頭の中の会話だった。
言いたいことは、最初はそんなもんだったってこと。
小林:なるほどね。なるほど。
かっぴー:要するに、言いたいことは同じなのよ。でも、それをどう言ったら一番グッとくるかを調整はしてる。そのおかげで、記憶に残ってくれているのかなと思いますね。
小林:なるほど〜、素敵な回答ありがとうございます!
じゃあ、最後の質問にしたいと思います。これはお二人に対する質問ですね。
「知名度がない作家の場合、自分の作品を知ってもらうためにはどんな方法がいいでしょうか?」という。
かっぴーさんは漫画家目線で。けんすうさんは経営者目線で、伺えたらと思います。
かっぴー:うーん、これ本当むずいっすよねぇ。「なんでかっぴーさんはうまくいったんですか?」ってよくインタビューで聞かれるんですけど、本当に運なんですよ。マジで。これは謙遜でもなんでもなく、運がえげつなくて。本当にラッキーマンだと思うんですけど。
だからどうしたらいいのかな。僕の場合は、無名からちょい有名ぐらいの間がなかったんですよね。最初に描いた漫画がたまたまバズって、たまたま広がって。それも今とテイストが違うギャグ漫画だったし。
小林:そうですね。『フェイスブックポリス』。
かっぴー:『フェイスブックポリス』がバズって、僕の場合はチャンスを逃さなかった。
ギャグ漫画で、急にみんなの前に飛び出したから、「お、なんだなんだ?」ってみんな見るじゃないですか。みんな見てる間に、急に「えー、それでは真面目な話聞いてください」みたいな感じで。
小林:あ、でも、それはあった。周りも言ってた。「いや、かっぴーって、ギャグ漫画家じゃなかったっけ?」って。
かっぴー:今なら絶対どさくさに紛れて見てくれると思った。だからちょっとあれに近いよね。バズったから宣伝させてくださいって。最近よくある。
小林:Twitterでよくあるやつですね。
かっぴー:ギャグ漫画がバズったから、真面目な話も聞いてくださいみたいな感じで。それがたまたまちゃんとシフトできただけ。だから、どうしたらいいですか? に対する回答が難しいんだけれど……。
でも、今となってはただバズればいいというもんじゃないと思う。俺、1個すげーなと思ったのが、あるミュージックビデオがバズったんだけど、そのきっかけがDMだったのよね。
音楽系の有名な人に、TwitterでDMで送って、「これ、本当にお願いします。見てください!」と言ってDMで送った。ちょっとスパムっぽいから、相当考えてやらないといけないけど、俺はありだと思うんだよな。この人が見てくれて、この人に刺さったらいいってやつあるじゃん。
だから、ちょっとやり方は考えないといけないけど、迷惑のかからないやり方を本当に考えて、慎重にやるんであれば、DMを開放してる人に何かを送るというのは、1個なくはない気がするんだよな。
ただ、ちょっと迷惑行為になる可能性があるから推奨はできないんだけど。俺むやみにバスを狙うより、ぜんぜん確度が高い気がすんだよな。
小林:そういう意味で言うと、けんすうさんにはけっこうそういう連絡が来るんじゃないんですか?
けんすう:めちゃくちゃ来ます。そしてこの質問はすごく多くて。やっぱり最初の1周がきついんですよね。注目されるようになると、雪だるま式に上がっていけるので。それだけに、最初の1周はけっこう考えないといけないと思っています。
やり方としてはやっぱり、上手にあやかるみたいなのをありますよね。例えばなんかTwitter上で著名な人が「こういうのおもしろいよね」とか話しているところを、「それ漫画にしました」みたいにすると、その人が紹介してくれるかもしれない。
かっぴー:おぉー、それはちょっとおもしろいね。ただちょっと難しいのが、バズれば仕事になるわけじゃないという。
けんすう:まさにそう。
かっぴー:1ツイート20~30万とかのPRは来るかもしれないけど、それはもう一瞬で終わるんで。そっちにハマっちゃいけないと思います。
けんすう:そうですね。まさに最初の1周ですよね。
かっぴー:だから、そうだよね。「どうもー! 名前だけでも覚えていってください!」の時はありだと思う。
けんすう:そうですね。最初の1周はトリッキーなやり方ででも認知を上げて、認知が上った時に本当に自分が勝負をしたいもので勝負するみたいな。1回認知が上がって実績があると、真面目に見てもらえるので。
あぁ、でも本当にそれはあるかもしれない。そこに成功すればって感じですね。
かっぴー:だから僕が本当にやってよかったなと思うのは、最初PR案件でけっこう生活を支えた時があったんですけど、途中で僕は、PR漫画を止める宣言をnoteでして。
かっぴー:あれで、「これからは本気で作家をやるから見てください」という宣言にもなった。
なので、本当にそのフェーズにある人は、DMをくれれば相談に乗るので、よかったらいつでもという感じです。
小林:はい。というわけで、時間がやってきてしまいました。この熱いお言葉で締めさせていただきたいと思います。今日はありがとうございました!
かっぴー、けんすう:ありがとうございました!
(一同拍手)
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