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Why We Started Shooting Lasers Into People’s Eyeballs(全1記事)

レーシック手術が普及するまでの、視力矯正の物語

日常生活に支障をきたすレベルの視力の悪さは、非常にやっかいです。メガネをかけたりコンタクトレンズを入れたりして日々を過ごしますが、何も付けていない時に比べれば、煩わしさは圧倒的。そんな「その場しのぎの矯正」に嫌気をさした人が行うのが、レーシックを始めとするレーザー手術です。ですが、この手術が一般に普及するまでには、紆余曲折が存在したのをご存知でしたか? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、そんなレーザー手術の物語について解説します。

視力矯正手術が一般に普及するまでの歴史

マイケル・アランダ氏:目ってすごいですよね! 視力がある人は、ある特別な細胞に光を集中させ、目にしたものを像として結ぶという行為を、透明なゼリーの球2つに頼っているのですから。

もう一つ言えば、目はゼリーの球にしては、とても強いんですよね。たった1組で大体一生持つのですから。とはいえ、時として完璧に機能しない目だってあるので、最近では視力を修復するために、レーシックや白内障除去手術のようなレーザー手術をする人も大勢います。

実は、私もそのひとりなんですけどね。

もし、あなたが結構な数の人たちが眼球にレーザーを当てる手術に同意してサインしているという事実におののいているなら、まあ、わからなくもないです。でも、レーザー手術が今日のように一般的になり得たのには、その裏に隠された物語があるからなのですよ。

そもそも「目が悪い」って?

目が悪くなる時というのは、目の形に関係する何かが光の集中を妨げていることが多いものです。眼軸長が長すぎたり、短すぎたり、目の上の透明な部分である、角膜の曲がり具合に不具合が生じていたり、と言ったことが。これらのような状態だと、光は本来差さないところに集中してしまうのです。

それは近視や遠視もしくは乱視の原因となってしまうのです。そういった問題の多くはメガネがあれば解決出来るのですが、そうこうするうちに医師たちはもっと永続的な解決方法はないものかと模索し始めたのです。

一昔前の、視力矯正手術の問題点

レーザーが参戦した経緯はこうです。1970、80年代に遡ると、レーザーは劇的な進化を遂げ、科学というものの見方を覆したということがわかります。その時のとてつもない大きな発明はエキシマレーザーと言われているもので、元々、物理学や化学の研究に使われていたものです。

ですがやがて眼科医は「このレーザが完璧な視界を手に入れることに使える」と気付いたのです。この時代に近視の患者に外科的な改善処置として最も用いられていたのは、放射状角膜切開という技術でした。

この手術の現在の形を改良し、有名にしたのがソビエトの眼科医、スヴャトスラフ・フョードロフで、タイヤのスポークのように見える状態に角膜を切開するという方法でした。

平らな状態になった角膜は、光の集中点を元に戻し、近視を矯正するのです。この方法は実に多くの患者の助けとなったのです。しかし、そこには問題もありました。時間が経つにつれて角膜が平らになって来ると、近視ではなくなったとしても結局は遠視になってメガネが再び必要になってしまうのです。

それに、何とも傷つき易い組織に刃物を入れるというのは危険が付きものでしたし、外科医自身の技術がモノを言うところが多いにあったのです。

レーザー手術の仕組み

その点、エキシマレーザーはとてつもなく正確で、自由自在に操作できるのです。

その手術のやり方というのはこんな感じです。角膜表面を蓋状に削った後に持ち上げ、内部を露わにします。それからレーザーで角膜を気化させて望む形に完成させます。一通りのことが終わると蓋状の角膜表面を元に戻して落ち着かせます。それで、新しく、良くなった目が出来上がるのです。

今日ではそのやり方を用いた手術はレーシック手術として知られていて、何千、何百もの人たちがその恩恵を受けています。かつてのやり方と比べてみると、レーザーは一般化され易く、成果は安定しています。なので、どこの眼科医にとっても選択肢のひとつと成り得たのです。

しかし、これで終わりではありません。どんなに網膜の形を整えても、特にその下部にある水晶体が濁ってしまっていたら、かすみ目を解消することはできないのですから。歳を取って行くと、私たちの目のタンパク質は自然に固まり始め、水晶体を濁らす白内障を引き起こします。

それはいたって普通のことなのですが、見え方を悪くさせる原因となりますし、治療しないと見えなくなりすらします。かつて、科学者は白内障を先端が振動する小さな針で散らすことによって、目に水晶体が張り付いてしまうのを防いでいました。

しかし、あいにく絶えず続く差し引きの連続運動は早々と熱を生み出しますし、時に網膜を焼き尽くしてしまうという事態を引き起こしてしまうのです。外科医は細心の注意を払ってこの方法を実践しなければなりませんでしたし、現在においてもそれは同じです。

進歩を続ける科学技術とレーザー治療

時を同じくして、自らの目をレーシックのためにレーザーに委ねる人たちが現れ始めます。眼科医であり、発明家でもあったパトリシア・バス医師がエキシマレーザーを白内障治療に応用出来ないかと思い立ったからです。

レーザーから放射される光は高エネルギーで、組織を熱することなく気化させれますので、周辺組織を焼くという危険性無しに白内障部分を壊せるのではないか、とバス医師は考えたのです。

彼女は5年以上もの歳月をかけ「レーザーファコ・プローブ」という、水晶体の白内障部分を壊すのにとてつもなく安全で、効果的な装置を開発したのです。

この方法は、光ファイバーケーブルと極小の吸引器が埋め込まれた小さな針を目の際に向けて突き、エキシマレーザーを直接ケーブルから水晶体に流し、吸引器が吸い込む前に壊すという方法です。

最後に、耐久性のある透明なプラスティック製の人工水晶体を入れて終わりです。

1988年にバス医師が特許を取ることで、彼女は医療機器で特許を取った最初の黒人女性となりました。彼女の発明は、合併症の危険性を著しく下げたので、今や世界中で受け入れられています。

それ以来、科学技術は進歩し続けてきました。医師の中には、他の医師がエキシマレーザーの代わりにより小さなフェムト秒レーザーを使い始めている時に、超音波を用いて白内障を壊すというかつてのやり方を改善した者もいます。

依然として、白内障を壊すためにレーザーを使うという、最も広く知られている大まかな概念ありきで、科学技術は白内障を取り除くために世界中で使われています。

それらの発明以降、科学者は私たちの目を、明瞭で、健康的で、焦点の合うようにあらゆる試みを用いて切磋琢磨しています。その間、レーザーは医療における第一人者であり続けているのです。

毎年人々が大挙してレーザー施術を受けていることから、現代社会における目のレーザー治療は最も一般的で成功した手術だと言えるのではないでしょうか。

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