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デジモノステーション滝田編集長と考える、家電・ガジェットのオンラインとリアルの両接点での「顧客体験価値」の考え方・つくり方(全4記事)

オンラインイベントは、リアルと同じやり方では成功しない 『デジモノステーション』編集長が語る、顧客体験価値のつくり方

新型コロナウイルスの蔓延を受け、既に多くの会社が新製品発表会をオンラインに切り替えている、昨今。そこには「従来の記者発表会の単純なオンライン化」とは異なる視点が必要となり、その巧拙が商戦の設計において重要なポイントとなると考えられます。では、オンラインならではの顧客体験・オフライン(リアル)ならではの顧客体験、それぞれの特性を生かした最適な顧客体験価値の設計と、先行販売などを含めた「指名買いの構図」をどのように作り出すべきなのでしょうか。そこで今回は、家電・ガジェットなどを長年見続けてきた『dsデジモノステーション』滝田編集長と、株式会社マクアケ共同創業者で取締役の木内氏が登壇し「顧客体験価値の考え方・つくり方」について語ったイベントの模様をお届けします。

デジモノステーション編集長 滝田氏×マクアケ取締役 木内氏

矢内加奈子氏(以下、矢内):みなさんこんばんは。19時になりましたのでイベントを始めていければと思います。どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

矢内:では、本日司会進行を務めます、マクアケの広報担当の矢内と申します。本日は「デジモノステーションの滝田編集長と考える、家電・ガジェットのオンラインとリアルの両接点での「顧客体験価値」の考え方・つくり方」ということで、滝田編集長を交えていろいろと聞いていければと思っています。

はい。では、簡単に自己紹介いただければと思います。まず電子雑誌『デジモノステーション』編集長の滝田さんです。一言、よろしくお願いします。

滝田勝紀氏(以下、滝田):はい。デジモノステーションというデジタル媒体の編集長をしています、滝田と申します。よろしくお願いします。

あとは、家電のインフルエンサーとかそういったところでもいろいろ活動させてもらっています。今日はなんか「誰だ、おまえ?」みたいな感じかもしれないんですけど……。

矢内:(笑)。

滝田:まあ、ちょっとでも聞いてもらえたら助かります。

矢内:滝田さんは楽天市場のSNS「ROOM」のフォロワーが40万人以上もいらっしゃるという。

滝田:ああ、そうですね。今はそれぐらいいますけれども……。まあ、どうなんでしょうね? 

矢内:(笑)。

滝田:40万人がどういうものかというのは、正直わからないですけど。

矢内:鋭い意見、よろしくお願いします。

滝田:こちらこそ。

矢内:では続いて、マクアケから共同創業者・取締役の木内文昭です。

木内文昭氏(以下、木内):木内です。よろしくお願いします。(イベントが)早くも4回目を迎えまして、滝田さんとの打ち合わせがめちゃめちゃおもしろくてですね。ぜひいろいろと紐解いていければなと。一緒に考えていければなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

滝田:(笑)。お願いします。

矢内:はい。今日は打ち合わせの時点からすでに盛り上がっていまして、1時間の枠に収まるか? というかたちなので、私のほうで手際よく進行できればと思います。

オンライン・オフライン、それぞれの価値

矢内:では、さっそくですが、1つ目のテーマからお話をしていければと思っています。

「オンラインとオフライン、それぞれの体験価値について」というところを最初にまとめられればと思っています。

ではまず、木内さん。説明いただけますか? 

木内:はい。今回、滝田さんにお越しいただいて、イベントをやろうという発端なんですけれども。やはり今こういう環境下にあって、オフライン・リアルの場が主だったものが、オンライン・オフライン両方が主になっている。

そうすると、オフライン・リアルでやっていた場をただオンライン化するだけだと、体験価値としては毀損されてしまうので。やっぱりオンラインに合った価値、オフラインに合った価値というのを考えて、分けていくということが大事なんじゃないかと。

年末商戦とかに向けて、今は各社さんがいろいろ考えているところだと思うんですけど。それを整理しながら、どういうふうに考えていくべきなのかをお話しできたらなと思います。

(スライドを指して)横軸に“オフライン(リアル)”と“オンライン(WEB)”。そして縦軸に商品を買うユーザーの視点。あとは滝田さんはメディアの方なので、メディアの視点を4象限で整理してみますと、まず左上のユーザーのリアル、オフラインの接点でいうと、やはり店舗等に訪問して、偶然の出会いがあったり、商品を手に取ったり店員さんにお話を聞いたりということが、まあできると。

一方、その右側。Web上はすぐになんでも見られますので、非常にたくさんの情報から、限られた画面というスペースの中で選ぶと。

そして、自宅などの環境下はけっこういろんな誘惑もあったりするものですから、簡単に画面を閉じるみたいなこともできる。

そんな環境で、メーカーとしてはどう見せるかというのを考えていかなければいけない。そういう前提があるのかなと思っています。

一方、メディアの視点でいうと。オフライン・リアルでの展示会に行きますと、ある程度の人が会場に来て、その時間は時間や場所が拘束されているので、けっこう真剣に話を聞いてくれるという前提があるという思うんですけれども。オンラインの場合だと、今日もそうなんですけど、どんな視聴態度で聞いていただいているかというのがわからない中、集中して聞いてくださっているのかわからない中で、説明会等を考えていかないといけない。

こんなふうに整理をして、これは簡単な整理なんですけれどもこういった前提条件を置きながら、どうメーカーとして伝えていくべきか? なんていうのを考えていかなければいけないんじゃないかなと、思っています。

そもそも「オンラインとオフラインの違い」って?

矢内:まさに今日、集中して聞いていただけるコンテンツにできるように、がんばれればと思うんですけれども。滝田さん。こちらの図を見ていただき、いかがでしょう? これを見ていただいたうえで、オンライン化がうまい企業だったりとか。

滝田:そうですね。正直まだまだ……。今日、また300人以上コロナウイルスに感染された方がいて。オンラインの重要性というのが、高まってはいるんですけれども。やっぱりどうしても緊急性が強いというか、突然そういう状況になっちゃって。

完璧にうまくやっているなというところは、自分の中でもまだまだわからないというのが正直なところです。

さっき木内さんがおっしゃったように、オンラインとオフラインの違いというのがそもそも何か? を伝えるにあたって、そこに、スタート地点に行くことすらできていないところが多いのかなって。

要はオンラインだとやっぱり人との接点、例えば目と耳。これぐらいしかもうオンラインじゃないわけじゃないですか。

リアルな空間だと、当然そこに人がお互いいて。だから喋るのも当然できますし、何かに触ったりできる。そこで空気感を感じられるというか、その情報量が全然違うわけですよ。

それもまずわからないで、要は同じやり方をしていると。これはもう「絶対にうまくいかない」ということだけはわかっていて。今はそうなってからまだ時がそんなに経っていないので「この企業は抜群にうまいよね」というところがあったら、逆に自分が知りたいぐらい。

矢内:なるほど。

滝田:というのが、なんとなく思っているところですかね。

オンラインへの移行がうまくいった事例

矢内:では、木内さんに質問です。Makuakeのプロジェクトで、今までリアルだったところがオンライン化にうまく移行している事例について伺えますか? 

木内:そうですね。元々、Makuakeって応援購入で「ユーザーは先にお金をお支払いして後で製品が届く。かつそれをオンラインのみでやる」という、制約条件の中でやってきたわけなんですけれども。今、(全部で)1万件以上プロジェクトがある中で、いろんなおもしろい工夫があったんじゃないかなと思っています。

次のスライドにあるのかな? 最近のお気に入りは、この“百年タコを茹で続けた職人たちが贈る「時を超える茹でだこ」”というプロジェクトなんですけど。タコ400gで6500円するんですね。

矢内:高いですかね? うん。

木内:スーパーに並んでたら、絶対高いんですよね。

滝田:絶対高いです。

木内:なんですけど、こうやって「100年タコを茹で続けた職人のタコってどんなんだ?」みたいな。見ているうちに「これは食べないといけないんじゃないか?」みたいな感じになってきて。

こないだ茹でて家族と食べたんですけど、そこで「自分で茹でたタコとどっちがおいしいかな?」とか。もうそこで、エンターテイメントとして成立していて。6500円がまったく高くないんですね。

これは「タコを売っているんだけれども、タコだけを売っているんじゃないな」と。その体験を売っているんだなと。そういうふうに引き込まれるストーリーとセットで、ただポッと買うだけじゃなくて、そういった体験を売るというのは1つわかりやすい例としてあるんじゃないかなと思っています。

スルーされるのが、1番つらい

滝田:今まさに「体験を売る」って、本当にすごく重要で。元々、オフラインでもそれは重要だったんですよ。そしてオンラインになってもその重要度は変わらないんですけれども、その体験の売り方が完全に変わっているんですね。

オフラインでそれがうまかったのは、やっぱりバルミューダさんとか。メッセージ性が強かったりとか。それこそ「高級トースター」と言って、2万円以上のものを売り出して。本来だと「売れるわけない」と。

矢内:そうですよねぇ。

滝田:でも、それを「感動のトースター」とか、そういうわかりやすいネーミングと、あとはリアル店舗でのいわゆるタッチポイントをちゃんと作って。試食して、おいしいから買うという。

そこの仕組みというのは、本当に上手だったと思うんですよ。

矢内:なるほど。

滝田:だけど、今の現状でその試食イベントができますか? というと、当然できないわけじゃないですか。だから、そこはやっぱりやり方を変えなきゃいけない。だけどその体験価値というものをちゃんと伝えるとか、それはすごく重要で。

自分が思っているのは、それが好きとか嫌いとかはっきり……。なんていうんでしょう。感情的に入り込めるようなものが、たぶん大事だと思うんですよ。

木内:うん。

矢内:なるほど。

滝田:1番きついのが、実は”どっちでもない”。

矢内:無関心ということですね。

滝田:スルーされること。ファンでもなければアンチでもないというような、そういうものはたぶん1番つらいと思いますし。

それはもうリアルでもそうですけど、体験価値みたいなものを売り出す以前の問題みたいになっちゃっているので。

矢内:まさにですね。タコも万人を取りにいっているわけではないですからね。

木内:そうですね。Makuakeをずっとやっていて思うんですけれども、やっぱりユーザーがお財布を開く瞬間というのが、ロジカルに考えてお財布を開いているわけではまったくないなと思っていまして。感情的に買っているなと思うんです。その感情をどう動かすか? でいくと、次の「強い好き」がある場合は、当然その反対の感情もあると思います。

やっぱりこれって万人向けじゃなくて、とりあえず熱狂的に好きみたいな、そういう好きをいかに届けるかみたいな視点もすごく大事だなと思いますね。

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