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イベントサロンオンラインVol.2「”持続可能な音楽”」(全5記事)

オンラインライブは、テレビより圧倒的に“いい音”で実現可能 オーディエンスを満足させる、配信側の工夫とは?

新型コロナウイルスの蔓延を受け、たくさんの人が集まる「イベント」が次々に中止となっている、昨今。特に、CD販売+ライブ&物販でマネタイズする音楽業界への影響は甚大です。そこで「集まれない時代の”持続可能な音楽” とは。配信や投げ銭などLIVEの次を考える。」と題して、これまで数多くのイベント企画を手掛けてきたアフロマンス氏と音楽メディアSpincoaster代表の野島光平氏が「アフターコロナ・ウィズコロナ時代の音楽」について語る、本企画。こちらのパートでは、ライブ配信の技術的な話や音質へのこだわりについて紹介します。

ライブ配信は、テレビと「音」が圧倒的に違う

白勢竜彦氏(以下、白勢):ありがとうございます。ではさっそくではあるんですけども、この4人で話をしていけたらなと思います。実際、ライブの配信のメソッドみたいな話をしてますけども「技術的なところでどういうふうにしていたのかな?」といったところを、まずはお聞きしたいなと思っておりますが。

野島さんは自分たちで組んだというのもありますし、そもそもSpincoasterは音に対しての、ハイレゾのBARをしていたとかもあるので、いろいろとあると思うんですけど。そこらへんをお聞きしてもよろしいでしょうか?

野島光平氏(以下、野島):音に関しては、さっき外注ないって言ってたんですけど、ちゃんとプロの音響PAさんを入れてやってます。さすがにライブの環境というのは、アーティストの音をちゃんと届けるという意味でいうと自分たちでできないところではあるので。そこは出張していただいて、やってます。

なので、実際のライブと同じような音のバランスでやってるんですけど。ライブ配信の特徴……というか良いところって、テレビと音が圧倒的に違うところだと思うんですよね。

藤田祐司氏(以下、藤田):あ~。

野島:テレビの配信ってやっぱりボーカルが立ってて、演奏はかなり音も小さいですし、低音の満足度もぜんぜんテレビと違うと思うので。やっぱり、そこはWebでのライブ配信の良さなのかなと思ってて。ゆえに見ている視聴者の方も、スマホのスピーカーとかパソコンとかではなくて、できるだけヘッドホンとか良いスピーカーで、大きな音で聴いて欲しいなというのは個人的に思ってることですね。

白勢:DIYライブ配信メソッドとかにも書いてたんですが、機材の組み方、技術的なことを知りたいって方もいると思うので、できたら見ながら教えていただきたいです。

野島:一応(スライドを指して)こういう構成でやってて。Blackmagic Designというスイッチャーが、今はもう市場にぜんぜん出てなくてちょっと参考にならない可能性もあったりするんですけども。

こういう感じでスイッチャーにラインで音を入れて、あと映像はHDMIケーブルでそれぞれが持ってるデジカメや会社にあるデジカメにつないで。OBS Studioというパソコンの配信ソフトがあるんですけど、そこに集約して。それで、YouTubeのエンコーダ配信というものでYouTubeに流すみたいな構成でやっています。

音声に関してはラインでやると音の良さというか、クリアさというのはぜんぜん違ってくるので。エアー(マイク集音)だけだとちょっと厳しいなと。インスタとかだとみんなスマホのマイクでやってると思うんですけれども、ほかのプラットフォームだとラインでの配信もできるので。そういったところでやっぱりYouTubeとか、パソコンを経由した配信のほうが音は良いものになるんじゃないかなという気はしますね。

白勢:なるほど。ありがとうございます。

参加アーティストが、それぞれの自宅からライブを配信

白勢:じゃあ、アフロさんにも技術的な話を聞いてみたいなと。アフロさんはBLOCK.FESTIVALの話ですけど。たぶん「どこかに来ていただいて配信する」のとはちょっとまた別で。「各アーティストがお家から配信する」みたいな感じだったと思うんですけど。

それだとインターネット環境とかも、すごく重要になってくるとは思いますし。あと機材とかそこらへんのレベル感とかもたぶん違ったのかなと。どういうふうにやってたんですか?

アフロマンス氏(以下、アフロマンス):具体的に言うとiRigを使ってました。iRigを使ってiPhoneやiPadからWirecast Goを使って、Vimeoを経由して配信基地に送って切り替えて。それをLINE LIVEのサーバーに送って配信。

今回のライブのポイントは、各アーティストの自宅から配信するという部分で。しかも、(非常事態宣言下のため)それぞれの場所にこっちのスタッフは行ってないんですよ。なので簡単なマニュアルと機材を用意して、遠隔のやりとりで配信までやるという。

白勢:アーティストさん自身が全部やってたんですか?

アフロマンス:アーティストさん自身、もしくはマネージャーさんがやった感じですね。

藤田:そのあたりって結構スムーズにインストールできたんですか? アーティストの方たち結構、大変だったんじゃないですか?

アフロマンス:それぞれリハはやってて。土曜日本番のときに水・木・金くらいでそれぞれのアーティストをつないで、やっぱりそのときにはいろんなところでトラブルはあるんですよね。やってみてネット回線が耐えられないとか。だったらそれ用にポケットWi-Fiを持ってってとか。

藤田:なるほど。

アフロマンス:すごい細かいこと言うと、iRigってiPhoneにつなげるんですけど、そのときに充電できないんですよ。アーティストのiPhoneとかiPadが充電がなくて、途中で切れちゃったりとかがリハでわかって。

さらにiRigの拡張の機材って、iRigにコンセントをつなげられるやつがあるんですよね。前日に都内のいろんな楽器屋さんに連絡して、調達して。それを☆Takuさんがアーティストのところに届けに行ったりとか。そういう感じでしたね。

藤田:「リハはどういうふうにやってたのか気になります」ってメッセージが入ってますね。

アフロマンス:もちろん僕ではなくテクニカルに詳しい専門の方が入ってくれていて。その人が今回のケースを考えてマニュアルや構成図みたいなのを作ってくれました。すごく簡単にアーティストの人に「この1、2、3、4をやってください」みたいな資料を送って、セッティングしてもらうって感じですね。

藤田:いかにシンプルにして、複雑じゃないかたちに設計して伝えていくかってことですよね。

アフロマンス:なかなか大変でしたね。あとリモートで配信するの場合だと、今のZOOMみたいに双方向で話せないんですね。

白勢:あ~なるほどなるほど。

アフロマンス:「そろそろいきまーす!」とかが言えない。ご覧になってたらわかるかもしれないですけど、タモさん的な位置で☆TakuさんがMCをして、アーティストとつないで会話みたいなのがあったじゃないですか。あれはあれでface timeを使って。

藤田:そこは別のツールを使ってやってたってことなんですね。

アフロマンス:そうです。一応テクニカル的なポイントを言うと、アーティストが対面しなくても配信できるというやり方と、あとは音質の話でちゃんとステレオで送るってこと。ネットの配信サービスもいろんなものがあると思うんですけど、会話用とかだとモノラルなんですよね。

藤田:なるほどね。

アフロマンス:なんでWirecast Goを使っているかというと、ちゃんとステレオで送れるから。高品質で送るということ。

藤田:そのあたりで、音のクオリティをちゃんと保ってということなんですね。

アフロマンス:そうです。やっぱりできる限り、良い音で届けたいというのがすごくあって。

できるだけ「いいネット環境」で聞いて欲しい

白勢:それで気になってるのが、みなさんは「ステレオです」「LINEです」とかで努力してると思うんですけど。聞く側が変なひどいイヤホンだったりとかだと、結局あまり意味がなくなってしまうのかなぁと思うんですけど(笑)。

そういう意味だと、たぶん今日来てる方は音楽が好きな人たちだと思うんですけど。聞く側の努力で、例えばポータブルアンプの話とか、なにか「これがあったほうがいいんじゃないの」とかはあったりするんですか?

藤田:おすすめの楽しみ方みたいなね。

白勢:そうそう、楽しみ方のおすすめ。機材とかね。

アフロマンス:おっしゃるとおりで、たぶんSpincoasterさんのほうが詳しいと思うので、にわかな話を先にすると……。

白勢:先に言っておこうということで(笑)。

アフロマンス:まずそもそも聞く側のネットの環境にだいぶ左右されますよね。データの通信が遅くなっちゃうとかもあるので。できるだけ「いいネット環境で聞いて欲しい」って話は大前提。

あと、この間はLINE LIVEでの配信だったんですけど、Bluetoothスピーカーとかにつなげるとけっこういい音質でした。普通に楽しめる。もちろんライブハウスで聴いてる音とかは、そもそものスピーカーのスペックがぜんぜん違うんですけど。部屋で普通にiTunesとか音源で聴いて楽しむというくらいは、担保できる感じですね。

あとちょっとおもしろいなと思ったのが、ZOOMしながらフェスを聴くとか、LINEでビデオチャットしながら聴くという人がちょこちょこいて。

藤田:あ~。それは個別に各々でやってるということですか?

白勢:さっきのFaceTimeで別でつないでいる、みたいな感じですよね?

アフロマンス:そうそう。実はね、僕もなんとなくそうしたいなと思って。パソコンとiPhoneとかで、どっちかでライブを中継しながら、もう1個のほうで音をミュートしながらZOOMしてみんなで楽しむ。

音はライブ配信の音なんだけど、みんなが画面越しに楽しんで揺れたり踊ったり、笑顔になってるのも見られるみたいな。それが、実際にフェスに行ったときの体験にちょっと近くて。

藤田:それはおもしろいですよね。

アフロマンス:これからそういう楽しみ方が増えるかな、と思ってます。

楽しみ方は人それぞれ

藤田:ニューヨークにPeatixの庄司さんっているんですけど、彼からの話をいろいろ聞いてると、向こうだとクラウドパーティーみたいなのが流行っていて。ZOOMでドレスを着飾ってとか、コスチュームを着てみんなで参加して、踊りながら楽しみ。

MCの人も「You、どんなコンセプトなのか言っちゃおうか!」みたいに、参加者に話を振っちゃうようなこともやってたりするので。音の部分と映像の部分をいろいろ組み合わせて楽しむみたいなのは、今後しばらく増えてきそうですよね。

アフロマンス:そうですね。ストーリーとかでタグ付けされて見たんですけど、部屋の中に芝生引いたりとか。フェスのアウトドアグッズ出してきて、チェアに座りながら楽しんでる人とかいましたね。

藤田:あとライティングで部屋をカラフルにしながら見たりとかしてる人も、いたみたいですね。

白勢:なるほど、なるほど。

藤田:楽しみ方いろいろですね。

白勢:野島さん、どうでしょうか?

野島:音というと、さっきも言ったんですけど。スマホ、パソコンのスピーカーではなくヘッドホン、イヤホン。それ使うだけでもぜんぜん違うと思うので。最低限そういったデバイスで聞いて欲しいなっ、ていうのはありますね。

あと楽しみ方……何だろうな。さっきの「みんなでフェス見る」とかもありますし。もうちょっとそういうデバイスが出てきて……デバイスというかサービス。みんなで楽しむサービスが出てくるといいなとは思っています。

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