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Does a Strong Immune System Make Colds Worse?(全1記事)

「免疫があるから風邪をひかない」はウソだった

風邪が蔓延するこの季節。「私は免疫力があるから大丈夫」と言って、風邪とは無縁であることを吹聴する人は少なからず存在します。果たして、免疫力は風邪予防の「特効薬」なのか? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、免疫に関する謎を紐解きます。

風邪と免疫力にまつわる話

オリビア・ゴードン氏:身の回りや職場に「自分は免疫が丈夫だから、風邪をひかない」と主張する人がよくいますよね。そんな自慢話は控えた方がよさそうな研究結果が出ています。実は、免疫反応が強い人の方が、風邪の症状はひどくなるのです。

風邪の症状は、実は風邪のウィルスが起こしているものではありません。身体がウィルスを排出しようとする働きなのです。一般的な風邪は、ライノウイルスと総称される系列のウィルスが原因です。ライノウィルスは、インフルエンザウィルスなどとは異なり、気道の細胞に損傷を与えたり、破壊することはありません。あったとしても、細胞がやや剥がれる程度です。

喉が痛んだり鼻が詰まったりといった風邪の症状は、実は体内の免疫システムが、ウィルスに反応して現れるものなのです。

ところで、風邪のウィルスに感染しても、すべての人に症状が現れるわけではありません。事実、ライノウィルスに感染しても、25パーセントの人にはまったく症状が出ません。これは、この人たちの免疫が、ライノウィルスに対して強くできているからでは無いのです。

2003年に実施された研究では、定期健診や呼吸器の感染症で病院を受診した、健康体の乳児が調べられました。すると、見た目は元気で定期健診を受けるためだけに受診した子どもでであっても、そのうち20パーセントはライノウィルスに感染しており、なおかつ症状が出ていないことがわかりました。

乳児にはまだ免疫が充分にできあがっておらず、風邪をはじめ、どんな病気に対してもまだ免疫はありません。

風邪の症状が現れる人の場合、その症状の激しさは、炎症を起こす物質に関連性があります。その一つがサイトカインです。サイトカインは、細胞間のコミュニケーションや相互作用に関連する免疫細胞から分泌される物質です。ウィルス感染により鼻の炎症を起こしている人では、インターロイキン-8(IL-8)という炎症性サイトカインの値が上昇します。

IL-8は、白血球を感染部位へ走化させる、つまり誘導する働きをします。するとその結果、鼻に痛みを覚えたり、詰まったり、鼻水が出たりといった、炎症反応が高まります。

風邪の症状が重い人の体内では、IL-8値が高いことが、複数の研究でわかっています。1998年に行われた一つの実験では、ボランティアの被験者が、点鼻薬を使って風邪のウィルスを接種されました。被験者は、接種後に鼻を生理食塩水で洗浄し、その水に感染力があるウィルスが含有されているか否かを、ラボで調べて感染が診断されました。

感染が確認されても風邪の症状が表れない人には、IL-8値の上昇もありませんでした。一方で、症状が現れた人のIL-8値は上昇しました。

さらに別の実験では、風邪の症状の激しさは、体内のウィルスの増殖量とは関連性がないことがわかりました。そしてなんと、ウィルスがいなくても、健康な被験者の鼻をIL-8を含有した液で洗浄するだけで、風邪の症状が現れたのです。

つまり、人体の免疫反応が大きければ、風邪の症状も重くなるといえます。これらの実験結果からすると、強力で活動的な免疫システムのある人は、風邪の症状が重くなるといえるでしょう。

みなさんが鼻をたらしてくしゃみを始め、ティッシュペーパーだらけの生活になったら、ご自身の免疫システムのせいなのです。でも、免疫を恨んではいけませんよ。

風邪程度であれば、免疫にはもう少し手加減してほしいところではありますが、裏を返せば、みなさんの免疫システムが侵入者に対しきちんと機能している証拠でもあります。単なる風邪ではなく、もっと恐ろしい病原菌も撃退してくれるに違いありません。

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