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This Diagram of Earth Is a Lie(全1記事)

地球内部を示したこの“イメージ図”は真実ではなかった

この記事のトップ画像のように、地球内部は複層式の構造であるとイメージしている人は多いのではないでしょうか。しかし、この図が事実とは異なるとしたら、真実の姿はどんなものなのでしょうか? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、地球内部の真の構造と、ある不思議な現象について解説しています。

地球の内部を示す図解は真実ではない

ステファン・チン氏:小学校で地球の内部構造を習った時には、ケーキのようにきれいな層をなした図解を見せられたことでしょう。薄い地殻、やや厚いマントル層、外核と内核が整然と並んだ、入れ子構造の球だったはずです。

みなさんのイメージを壊すのは申し訳ないのですが、実は、このような図は真実でありません。少なくとも、マントルはこのような姿をしてはいないのです。

地球のマントルは、実は均等できれいな層とは程遠い姿をしており、大陸がすっぽり収まるほどの、巨大なコブがたくさんあります。そして、このようなマントルの不規則性は、2千キロメートル以上離れた地表の事象に、大きな影響を及ぼしていることがわかってきました。

こういった調査は、ペンキの1ガロン缶ほどの大きさの地震計という機器で、地下の振動を計測して行われます。

地震計は、主に地震を測定するものだと思われていますが、他にも地下のさまざまな波動を測定することができます。さらに、うまく使えば、地震計データを活用して地球の内部構造を推定することが可能なのです。

大地震が発生した時には、震源地からエネルギーが地震波として放出されます。

地震波は、地中で全方向に進みますが、必ずしも直進はせず、常に同じスピードで進むとも限りません。岩盤の温度や密度により、進むスピードが変わるのです。例えば、岩盤が熱くドロドロに溶けていれば、地震波の速度は非常に低下し、冷却された高密度の岩盤であれば、地震波の速度は上昇します。

そこで、多数の観測点で、地震計で地震波の伝播時間差を測定すれば、地球内部の地層の密度や構成分を推定できます。これは、地震波トモグラフィと呼ばれる手法で、地球の内部構造を調べる主流となるものです。マントルが実は完全な球形ではないことも、地震波トモグラフィによる調査で判明しました。

マントルは、固形に近い岩石の分厚い層で、とてもおかしな形をしており、コブが多数突出してデコボコしています。とくに、他のエリアとは一線を画する形状なのが、太平洋の海底下のコブと、アフリカ・大西洋海底下にあるコブです。

この2つは、腕のように突出しており、1970年代終わり頃に発見されたもので、大陸を全部合わせたほど巨大です。地球の核とマントルを結ぶ境界上に位置し、そこから地表に向け何百キロメートルも上に伸びています。

地震波が通過する際に速度が非常に低下する超低速度領域にあるため、トモグラフィ画像で確認することができます。地震波は、コブ部を出ると再び速度を上げて進みます。

コブが不思議な現象を起こす理由

このような不思議な現象は、コブの構成成分によるものです。はっきりとしたことは判明してはいませんが、2017年に実施された調査によりますと、コブの構成成分は酸化鉄であるらしいことがわかりました。

マントルの豊富な鉄分を含む部分が、高圧高温下で海水と反応し、形成されたもののようです。海水は、構造プレートが沈下する際にマントルに混入します。予備調査によりますと、このような構成成分では、地震計では地震で計測されるようなデータが見られることがわかりました。

もちろん、構成成分以外にも調べるべきことはたくさんあります。科学者たちは、より大規模に、地球の構造との関係を調べようとしています。

未解明のことはまだたくさんありますが、現時点でわかっているのは、このようなコブがどうやら火山の中心部に関係があるらしいことです。構造プレートの境界上にない火山の中心部は、ホットスポットと呼ばれていますが、地球上のホットスポットのほぼすべては、こういったコブの上部に位置するらしいことがわかってきたのです。

ハワイ島は、太平洋のホットスポット上を覆っています。つまり、ハワイの活火山に溶岩を供給するプルームがあるのは、このコブが関連しているのかもしれません。もう一つの巨大なコブは、形成年代の古い、アフリカの火山群に関連性があります。この火山群は、膨大な量の溶岩を噴出して洪水玄武岩を形成しました。

上に挙げたような巨大なコブの他にも、アイスランドの火山帯に関連するもののような、より小規模なコブも存在します。

そもそも、これらのコブがどのように形成されたのかすら、まだよくわかっていません。原始地球の形成期の名残なのか、地表で形成されたものがマントルに沈み込んでできたものなのかも、よくわからないのです。仮に、沈み込んで形成されたものだとすれば、溶岩のランプにたらしたワックスのように、比重が軽くなり再び上昇する可能性もありえます。

その答えは、コブの構成成分により異なります。コブの構成成分が、何百万年もかけて上昇と下降を繰り返すのであれば、その動きが地球内部での熱の循環に影響を与えるでしょう。さらに、まだ仮の説ではありますが、過去にたびたび起こっていた地磁気の逆転の原因である可能性もあります。

でも、みなさんは心配することはありませんよ。マントルのコブの上昇による地磁気の逆転は、数百万年単位で発生します。ですから、みなさんがコンパスを買い替える必要はまだありません。

今後、地震波トモグラフィの改良が進み、より多くの科学者の調査に導入されれば、地球の内部構造の解明は、ますます進むことでしょう。新たな画像の一枚一枚が、マントルのコブやその成り立ち、そして何千キロメートルも離れた地表にどんな影響を与えるかを教えてくれるはずです。

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