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Why Real Avalanches Aren't Like Cartoons(全1記事)

大きな音で雪崩は起きない? 雪山のメカニズムを解説

雪深い野山で大きな音を立ててしまい、雪崩が発生する――。誰しもがこんな場面を、アニメやドラマで目にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、科学的には、音が雪崩の原因ではないことをご存知でしょうか? 今回のYouTubeのサイエンス動画チャンネル「SciShow」では雪崩が発生するメカニズムについて詳らかにしています。

雪崩のメカニズムはどうなっているか

マイケル・アランダ氏:アニメで見ても、雪崩は恐ろしいものです。真新しい雪がつもった日、誰かが騒ぎ続けていると、雪が音をたてて山を滑り落ちて、何もかも飲み込んでしまいます。人々は雪をかき分けて雪から脱出し、2度と同じことは繰り返さないと肝に命じ、温かいホットチョコレートを飲みます。

しかし、実際の雪崩はそんなものではありません。本当の雪崩はもっと危険なものなのです。スキーをしている人が1人で雪崩を引き起こすことはあっても、誰かが大きな声を出したくらいでは雪崩は起きません。スキーが雪に与える圧力は、どんな大きな声での叫びよりもずっと大きいのですから。

アニメで描かれている雪崩で唯一正しいと言える点は、雪深い山で起きることでしょう。

最下部に積もっている雪との摩擦が意味を成さないくらいまで雪が重く降り積もると、ほんのわずかな一押しでも降り積もった雪は傾斜を滑り落ちてゆきます。

それが始まると、もう雪崩からは逃れられません。数百万キログラムの雪で構成されている大きな雪崩は唸りを上げて、時速150キロメートルもの速さで山から崩れ落ちてきます。

雪崩と言っても、その種類はさまざまです。「点発生雪崩」は、みなさんがイメージする通りの雪崩です。結合力が弱い部分的な雪が、しっかりと結合した雪の上を落ちる時に発生します。

結合した雪が数日留まっていると、その表面は「表面霜」と言われる固い霜の薄い層に覆われます。表面霜は、新たな雪と下層の密着した雪とは混ざりあわず、その姿のまま留めます。その結果として、表層の雪は弱く、下層の雪は密着して強くなります。2つの全く異なる層を生み出します。

2層の摩擦力は雪を転がしたり、スキーをしたりと言った小さな力にも対抗出来ないため、表層の雪を下に転がします。

表層の雪はとてもさらさらしているので、雪玉が転がり落ちるような感じではなく、まるで大きな雲になって落ちてきます。

「雲みたいだから大したことない」なんて思わないで下さいね。大量の雪なんですよ。

「粉雪雪崩」は、家屋の屋根を崩壊させたり、厚いセメントの壁さえも跡形なく消してしまったりする雪崩です。もし、あなたが雪崩を発生させた張本人のスキーヤーなら、あなたの命に別状はないでしょうが。

粉雪雪崩は、雪がパラつくような、比較的小さな衝撃によって発生しがちですが、山を下るその威力は凄まじいものがあります。

それから、「面発生表層雪崩」があります。90パーセントの割合で避けることが不可能とされている雪崩です。この雪崩も、2つの異なる雪の層によって引き起こされるものですが、この場合、雪崩の原因となるのは下層の方の雪なのです。下層の雪が弱く、表層の雪が密集して強い時に起こります。

この雪崩も小さな力によって表層の雪が下に向かって落ちてゆくのですが、滑りやすくなった地表の上すら滑り落ちていきます。

滑り落ちる層の雪は密集しているため、雪は雲のように分散はしません。スラブと言われる大きな雪のかたまりとなるのです。

スラブは固まった雪玉が1メートル以上にもなり、何百メートル四方もの広さをもったようなもので、行く手をさえぎるもの全てを破壊してしまいます。

 また、面発生表層雪崩は雪崩のきっかけとなった場所から離れたところでも生じます。雪のかたまりが新たなかたまりとくっつこうとする波及効果があるからです。面発生表層雪崩が粉雪雪崩と比べて危険なのはこうした理由からです。

例え、あなたが雪崩の発生源よりも離れたところにいて、スラブの上に立てていたとしても、ほどなく足下は崩れ落ちてしまいます。

これらの雪崩は、落石や挙動不審のスノーモービルといった些細なきっかけが元になって引き起こされます。なので、大きな音が雪崩のきっかけとなるのはあながち間違ってはなさそうに思えます。

大きな音が雪崩の原因ではない理由

音がお互いを押し合う圧力波ですので、十分な大きさの音が雪崩を引き起こす可能性について考えてみましょう。原理的にはそうと言えるでしょう。ダイナマイトから来る衝撃波は意図的に雪崩を引き起こすのに使われて来ました。そうすることで、スキーヤーが無意識に雪崩を引き起こすのを防いで来たのです。

しかし、昔の映画に見られるように、銃声や叫び声が雪崩を引き起こすのはあり得ないことです。大きな音があなたの耳をつんざいても、膨大な量の雪に与える影響は100分の1以下なのですから。

あなたが今までに体験した大音量を思い起こしてみて下さい。コンサート、飛行機、赤ちゃん、なんであれ。そして、その音による身体的影響がどれほどのものか思い浮かべて下さい。

耳の痛みがどれくらいか、というのではありませんよ。音によってあなたの身体がどれほど押し引きされたか、ということを、です。

コンサートで胸に感じるドラムの音を思い出してください。完全装備のスキーヤーがあなたのお腹の上で飛び跳ねるイメージと比べてみて下さい。スキーヤーの衝撃のほうが完全に勝っているでしょう。以上のことから、スキーヤーが雪崩を引き起こす原因になっても、大音量は原因ではありませんね。超音速機が遮音壁を破るさいに生じるソニックブームですら、静かなものなのです。

雪の層の組み合わせが上手くいっているからとは言え、転換点は少しづつずれていきますので、もしあなたが山の斜面にいるときに雪崩が心配なら、誰かにそのことを大声で伝えてください。間違っても、山で飛び跳ねたりはしないで下さいね。

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