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Should You Really 'Feed a Cold, Starve a Fever'?(全1記事)

「風邪には大食、熱には絶食」は正しいか? 風邪をひいたときの対処法を検証

人類はずっと以前から、長時間寒い場所にいると風邪をひきやすくなると考えてきました。そこから生まれた古い言い伝えが「風邪には大食、熱には絶食」です。今回のYouTubeのサイエンス動画チャンネル「SciShow」では、2,000年以上も前に登場した風邪の治療法の真偽を探りました。

「風邪には大食、熱には絶食」という古い言い伝え

ステファン・チン:「病気になった時、どうしたらいいか」と言うアドバイスは、数え切れないほどあります。あなたがもし祖父母に頼れる治療法を聞いたり、夜中の2時ころまで起きて「風邪の治療法」をGoogleでサーチしたりしていると、「風邪には大食、熱には絶食」という有名な言い伝えを見つけるかもしれません。

ベン・フランクリンがいかにも言いそうな言葉ですが、彼よりずっと昔から言われている言い伝えです。古い言い伝えなので、今では馬鹿にされるかもしれませんが、実はそんなに間違ってもいないのです。

その言い伝えが言われ始めたのがいつなのかはっきりわかりませんが、長きにわたり、人類は長時間寒い場所にいることと風邪の症状を結びつけてきました。二千年以上前に「薬の父」とも呼ばれたヒポクラテスが、物を食べると体温が上がることに気がつき、この治療法が自然と登場しました。

寒いと風邪をひくと思われていたので、余分に食物を摂ることにより温かくなる、という考え方は、理にかなっていたのです。そして、熱があれば体が温かすぎるので、食物摂取を少なくするということは理論的に筋が通っています。そこで、「風邪には大食、熱には絶食」ということわざが生まれ、何世紀にもわたり言われ続けてきたのです。

きっと、この治療法はシンプルでお金もかかりませんし、血を流すことやヒルを使ったり、医療自己負担金がかかることがなかったからでしょう。この言い伝えは、中世の医療書にも見られますし、19世紀にイギリスで熱や風邪が大流行した時にも治療法として用いられました。

病原菌と戦うためにも「風邪には大食」は誤りではない

この言い伝えは、ヨーロッパで流行っただけではありません。インドには、病気の時には絶食するようにという、似たような言い伝えがあります。しかし、このアイディアを実際に実験する人はずっといなかったようなのです。

1942年になり、「風邪には大食、熱には絶食」という考え方が、正式に問われることになりました。しかし、この論文の著者は新しい科学実験を試すことなく、「私の考えでは正しいと思います。」という結論で終わっています。彼の名誉のために一つ言うとすれば、当時の医師は、風邪の原因となる「ライノウイルス」についてまだ知りませんでした。

ライノウイルスとは、ほとんどの風邪の原因となる細菌で、1950年代に入ってようやく発見されました。現代と比べて、彼らは熱に関しても知らないことが多かったのです。そんなに知らないことがたくさんあったにもかかわらず、彼の結論は間違っていなかったのです。

「風邪には大食」と言うのは、ひどいアドバイスではありません。人間の体内にある他のすべての細胞と同様に、免疫細胞も生きるための燃料が必要で、言うまでもなく、病原菌と戦うにはエネルギーが必要です。研究によれば、病気の時には特にエネルギーが必要となりますので、そのために、より多くの食物摂取が必要となるというのは、直感であっても正しいのです。

具合が悪い時に食欲がなくなるのには理由がある?

それに、病気の時に食べることは、多くのエネルギーを摂取する以外にも益があるのです。2002年のある研究によれば、1200キロカロリーの液状の食物を摂取する前とした後で、被験者の血液を採取したところ、インターフェロン・ガンマの生産量が、食物を摂取することにより増えることがわかったのです。

インターフェロン・ガンマは、細胞性免疫と呼ばれる一種の免疫反応に刺激を与える細胞信号で、内部のウイルスなどの病原体に感染した細胞と戦うのに特に有効なのです。

さらに驚くべきことに、「熱には絶食」というのも悪いアドバイスではないようです。研究によればカロリー摂取量を減らしたり、絶食することは熱の原因となる感染症と戦う助けとなり、免疫システムの代わりとなるというのです。

人間は、とても具合が悪くなると食欲がなくなります。ある科学者たちによれば、食欲減退が有効かもしれないのです。細胞は、戦うのにカロリーが必要であるという考えがある反面、1997年の論文によれば、感染症にかかっている間に絶食すると、体がそれと戦う助けとなるというのです。

そして、2001年の研究によれば、被験者に食物の代わりに水を与えたところ、「インターロイキン−4」という異なる信号を多く出すことがわかったのです。これは、「体液性免疫」という異なる免疫反応を促す信号で、「体液性免疫」とはバクテリアなどの実際に原因がわかる病原体がある場合、有効な働きをします。

また、絶食をすると、体がストレスやバクテリアにより生じた毒素などに対して、抗体する力が増すことがわかっています。極論を言うと、「風邪には大食、熱には絶食」の考えに習い、食物の摂取量を増やすか減らすかどうかは、患者が何に感染しているかによって決まると言えるでしょう。

どんな病にかかったときも水分の摂取は必要

この事実は、2016年に実験マウスにより証明されています。研究者たちはこの実験により、ネズミはインフルエンザウイルスに感染した時、ウイルスと戦うためにより多くの食物を摂取することが有効であるとわかりました。しかし、より多くの食物を摂取すると、細菌感染が悪化することもわかりました。

ですから、「風邪には大食、熱には絶食」という考え方をするにあたり、「風邪」をウイルス感染、「熱」を細菌性感染症であるとするなら、少なくともネズミにとっては、この言い伝えは有効であると言えるのです。似たような研究が人間を対象に行われるべきですし、このパターンがあてはなるのかどうか確認するために、さまざまなウイルスや細菌で実験される必要があります。

それに、こんなことも気に留めるべきでしょう。インフルエンザウイルスの典型的な症状として高熱がありますが、風邪ウイルスに感染した時も、時には高熱が出るので、混乱が生じるかもしれません。「風邪には大食、風邪からくる場合に限り、熱には絶食」などと言っていたら、さらなる混乱を招くことになるでしょう。

それに、医者はどんな病にかかった患者に対しても、「脱水症状にならないように」と言うので、良いアドバイスを見つけるのはそんなに容易ではありません。ですから、「風邪には大食、風邪からくる場合に限り、熱には絶食、いずれにしてもたくさんの飲料を摂取せよ」というのが正解かもしれませんが、それでは言いにくいだけです。

残念なことに、人体は複雑なので、それを一言でカバーできるような単純なことわざは存在しないのかもしれません。しかし、食物をより多く摂取するか、より少なく摂取するかは、時により両方有効なので、完全なアドバイスではないにせよ、「風邪には大食、熱には絶食」という言い伝えがこんなに長い間生き残ってきたのかもしれませんね。

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