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Salted Nukes: An Even More Dangerous Bomb(全1記事)

人類を滅亡させかねない”最恐”の核爆弾「Salted Nukes」の脅威

かつて広島の地を壊滅に追い込んだ原爆「リトルボーイ」など、核爆弾の脅威は現在でも議論の的となっています。人類滅亡のスイッチを入れかねない核爆弾ですが、もっとも恐ろしい爆弾はあるのでしょうか。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、最恐の「Salted Nukes」について推測します。

「Salted Nukes」の脅威

ステファン・チン氏:原子爆弾は人類が作り出した中でも最も恐ろしい爆弾です。都市を丸ごと消滅させ、一瞬で何千何万もの人々を殺戮します。そして多くの人々が、放射線の被爆に生涯苦しみます。

しかし人類は、原子爆弾を作り続け、水爆を生み出してしまったのです。さらに水爆は、人類にとって最も恐ろしい爆弾ではありません。その称号は世界に莫大な放射線をまき散らす、「Salted Nukes(塩漬けの核爆弾)」へ贈られるべきでしょう。

この爆弾は、実験や製造が、公式に確認されたり、公表されたことはありません。しかし、人類を滅亡させるには最適な兵器です。「Salted Nukes」は、通常の水爆に仕組みは似てはいますが、一つ余分な原料が加えられています。一風変わった料理に、さらに塩を加えるイメージです。

1950年、この爆弾を最初に構想したのは、そのわずか数年前に最初の原爆開発に関わった物理学者レオ・シラードでした。

シラードは、核爆弾は温存せず破壊してしまうべきだと唱え、その恐ろしさを世に知らしめるために、最悪のシナリオを想定しました。地球上のすべての生命を危機に晒す核兵器です。この爆弾は、通常であれば水爆の残りカスにすぎない中性子を利用し、膨大な放射線を作り出します。

当時開発されていた水爆は、熱核兵器とも言い、原爆を起爆装置として重水素を熱核反応させ、強大な爆発を起こします。この爆発により、融合反応しきれなかった大量の中性子が放出されます。

水爆は、史上最大の爆弾ですが、シラードは、その最初の爆弾が実験される前に、すでにこれを強化する手段を考えていました。水爆に原子を投入し爆発させれば、残留した中性子に衝突します。すると、原子の持つ中性子が増え放射性を帯びます。その後、爆風により放射性を帯びた原子が周囲や成層圏にまでまき散らされ、放射線を放出しながら崩壊します。

ここで加えられる原子が、「Salted Nukes」のいわゆる「塩」なのです。ほとんどの核爆弾は、爆発しながら放射性同位体を放出しますが、爆発そのものの必然的な副産物です。例えば、爆弾に使われているウラニウムのような不安定な原子からは、セシウムが放出されます。

ところがここで言う「塩」は、これとは少々勝手が違います。爆発における「塩」自体には何の役割もありません。放射線をまき散らして致死率を上げ、残留放射能を残し、爆発範囲を広げることが目的だからです。

これでは殺傷力の向上は認められません。さらに、崩壊が非常に迅速な放射性同位体が存在しますが、こういったものを「塩」として活用しても、崩壊し放射線を放射し尽くしてしまい、あまり拡散できません。そうなると、もはや殺傷力は期待できません。

すべてに危険を及ぼす「コバルト爆弾」

ところが、別のタイプの「塩」を用いれば、効果はずっと大きくなります。「Salted Nukes」は、シラードが最悪のシナリオとして発表した、コバルトを「塩」とした核兵器として、「コバルト爆弾」という名でも知られています。

中性子が一個多いコバルトの同位体「コバルト60」の半減期は、5年強です。つまり、サンプルのうち半分のコバルト60は、5年に1回、放射線を出しながら崩壊します。コバルトの量が多ければ、爆発地周辺で1世紀近くは人が住めなくなるのです。

それだけではありません。崩壊に非常に長時間がかかるため、「Salted Nukes」から放射された、放射性のコバルト60は、気流に乗って世界中に拡散されてしまうことを、シラードは指摘しています。

また、少量ではありますが、コバルト60は世界中の成層圏に、何十年も停滞します。一度成層圏にまで舞い上がってしまうと、取り除くすべがないためです。

さて、シラードのオリジナルの予想では、地球上のすべての生命に危険が及ぶ累積放射線量に達するには、コバルト爆弾は少量でこと足りるとしていましたが、今日の専門家たちは、これは少々極論ではないかと考えています。

現在の核兵器は、50年代に予測されていたものよりも、だいたいが小規模であり、地球全体に拡散させるには、膨大な量のコバルトが必要になります。さらに、恐らくは深海のバクテリアは被害を被りません。

「Salted Nukes」の保有国はないとされる

とはいえど、バレーボール大のコバルト爆弾が一つあれば、爆心地にいようがいまいが、爆発が昨日であろうが10年前であろうが間違いなく、極めて危険性が高いことには変わりありません。

この爆弾に聞き覚えがあるのなら、それは1960年公開の映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』の作中で、世界を滅ぼす兵器として取り上げられたためでしょう。

映画と異なる点は、地球上のいずれの国においても、「Salted Nukes」は公的には製造も実験もされていないことです。あくまで公にはという話ではありますが、近年の状況から見ても、検知されずに密かに核実験を行うことは、きわめて困難です。

核保有国であれば製造は不可能ではありませんが、公的には脅威として各国の共通認識を受けています。さらに、もっと効率の良い兵器はたくさんあります。

とはいえ、何年か前に、ロシアが開発を試みている情報が偶然明るみに出たと報道されたことがありました。アメリカに放射性の津波を送り込む計画です。

しかし、専門家により「単なるプロパガンダだ」と却下されました。完全に制御不能な規模の津波を発生させるには、現存する最大の爆弾の2倍の規模の巨大爆弾を海面下で起爆する必要があり、非現実的だからです。また、各国が「Salted Nukes」は保有していないと断言しています。

これには胸を撫でおろしたくなりますね。しかし、現実を見てください。現存する旧来の核兵器だけでも、十分な脅威なのですから。

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