2024.10.10
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How Kodak Discovered Radioactive Rain(全1記事)
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これは「トリニティ実験」と呼ばれ、「マンハッタン計画」(注:第二次世界大戦中、ナチス・ドイツなどの一部枢軸国の原子爆弾開発に焦ったアメリカ、イギリス、カナダが原子爆弾開発・製造のために、科学者、技術者を総動員した計画)の一部でした。第2次世界大戦のための核技術が発展することになります。
しかし予期せぬこともありました。例えば、核爆弾の実験で放出された放射性の粒子が、思いもよらぬ場所へ飛散しました。1,600キロ離れたインディアナの雨水に混じっていたのです。
国立がん研究センターが報告書を公開し始める1990年代になるまで、この事実をほとんど誰も知りませんでした。しかし唯一、フィルムを取り扱うコダック社の一部の人間は知っていました。
コダックの顧客である病院が、撮影不可となったX線フィルム(注:レントゲン写真などに使用する)をコダック社に返却したことからすべては始まります。そのフィルムは撮影前にすでに使用不可になっていました。患者を診断しようとすると役に立ちませんね。
コダック社は、その原因は放射線物質のラジウムが原因だと推測しました。なぜならラジウムがパッケージに侵入した場合、X線フィルムを露出させるきっかけとなる可能性があります。その頃、ラジウムは一般的な放射性物質だったため、原因として推測されやすいものでした。
当時、人々は放射性物質に手を加えることがどれほど悪いことか、そんなに理解していませんでした。そのため、ラジウムはさまざまなものに使われていました、1960年代まで時計のツヤ出しに使われていたラジウム塗料などが代表例です。
コダック社は汚染を抑えるため、すでに予防策をとっていましたが、念のため、ジュリアン・H・ウェッブという会社所属の研究員が調査しました。そして彼は、放射能はパッケージ内のから出ているのではなく、パッケージそのものに入っていることを発見しました。その放射能の種類はラジウムや、自然界にある他の物質と一致すらしませんでした。彼は胸騒ぎを覚えたようでしょう。
放射能は不適切な種類の粒子から構成されていました。ラジウムは主にα線を放射します。2つの中性子と、2つの陽子の集合体です。一方、パッケージからの放射能はほとんどβ線で、それは単一の電子からなっています。
放射能の半減期も不適当なものでした。半減期とは、放射性同位体の半分が他のものに崩壊するのにどのくらいかかるかの尺度です。かかる時間はミリ秒から何千年までさまざまであり、一つひとつの元素の同位体ごとに異なります。
ウェッブが計測した放射能は、一般的な1600年というラジウムの半減期ではありませんでした。パッケージの中の半減期はおよそ31日間で少し異なっています。つまりパッケージの中のものが何であれ、間違いなくラジウムではないのです。
ウェッブは自分の測定値を他の放射能の情報源を比較することで、通常より1つ中性子を多く持つ「セリウム141」というセリウムの同位体と最終的に結びつけました。
それから彼はインディアナのある紙工場の8月の操業時間に特定して調べました。工場内の原料は屋内で保管されており、一切の放射能源からは隔離されているため、ウェッブはそれは問題になり得ないと当初は考えていました。
しかし、工場が川のすぐ隣にあること、豪雨が降ったあとに汚染がひどくなることに気づきました。放射性粒子は雨水に含まれていて、川に堆積していました。ニューメキシコのトリニティ実験と関連があると突き止めました。
実は、4年後の1949年に「Physical Review」という雑誌で発表するまで、その発見を彼は公表しませんでした。そのため、調査を実験と関連づけるまでどのくらい時間を要したか明らかになっていないのです。
しかし彼はその雨が放射性であること、フィルムの問題がトリニティ実験のわずか数週間後に始まったことを認識すると、その2つを結びつけることにそれほど時間はかからなかったと考えられます。
そして私たちは彼が正しかったことを知っています。核爆弾が爆発したとき、膨大な数の粒子を空気中にまき散らし、その多くがセリウム141のような放射性のものでした。
風に乗って運ばれるのに十分小さく軽い放射性物質です。水蒸気と結合し、雲に巻き込まれます。雨が降ると放射性粒子が降り注ぎ、傘では防げません。
空気中から降り注ぐため、この種の放射能は放射性降下物と呼ばれ、第2次世界大戦中の広島で発生したものと同じです。雨水とともに降り注ぐ煤のため、これを「黒い雨」と呼ぶ人もいました。
ウェッブが彼の発見を数年間公にせず、なぜか誰も不思議に思いませんでした。それでも、ウェッブが実験に問題があることを発見した最初の市民であることに変わりはありません。一般的なコダック社のイメージからは想像もつかないことです。
もちろん私たちは放射能がどれほど危険なのが理解していなかったため、人々が核爆弾は本当に重要だと考えていたため、彼の論文は試験を遅らせるのにあまり役割を果たしませんでした。
数年後の1951年に、アメリカ政府はネバダでさらなる核実験を行いました。そして3,200キロ以上離れたニューヨークで、コダック社の事務所内の放射線量計測器が、猛吹雪の後放射性降下物を検出しました。恐ろしいことです。
そして不運にも、その後の嵐は悪影響となりました。国立がん研究センターは、その試験で発生する放射性降下物は、何万人もの肺がんや甲状腺がんの原因となった可能性があると推定しました。セリウム141などが、爆弾から放出された他の放射性粒子に含まれていました。
ありがたいことに、アメリカ合衆国は1960年代以降、このような地上での核実験を行っていません。そのため最近では、通常の雨だけ注意する必要があります。
しかし、これらの核実験は重要な注意喚起です。私たちは新しい種類の科学を探求しているため、私たちができる限りその影響を理解し、真摯に受け止めることが大切です。
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