2024.10.10
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Color That Killed Napoleon: Scheele's Green(全1記事)
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カリン・ユエン氏:みなさん、こんにちは! Little Art Talksへようこそ。今日は聖パトリックの日ですね!(動画公開日は3月17日)。アイルランドの主要な守護聖人をおまつりするこの祝日は、教会へ行ったり、ごちそうを食べたりなど、さまざまな催しが行われることで知られています。
さらに、緑色の衣類を身につける習わしもあります。というわけで、今日は、視聴者からリクエストのあった、ナポレオンの命を奪ったという伝説のある、非常に美しい緑色についてお話ししようと思います。今回は、「シェーレグリーン」についてのお話です。
「シェーレグリーン」、またの名を「シュロスグリーン」とは、スウェーデンの化学者、1778年、カール・ヴィルヘルム・シェーレが発明したものです。黄緑色の顔料で、化学的には酸性亜ヒ酸銅とも呼ばれています。
今日では亜砒酸塩や砒素は毒物と知られています。毒性を持つだけでなく、発がん性もあります。毒性の強さと、硫化物その他の汚染化学物質が原因ですぐに退色することから、使用されなくなりますが、その毒性は、19世紀の時点ではわかっていませんでした。
この色素は、安価で生成が容易であったため、緑の染料として人気を博し、それまで利用されてきた緑の染料に代わって、調度品に幅広く使われました。
ウェリントン公爵との決戦で敗北を喫して後、ナポレオン・ボナパルトは、南太平洋の絶海の孤島、セント・ヘレナ島へ幽閉されました。
この間、ナポレオンは、彼がたいへん好んだという黄緑色で彩られた、きわめて豪奢な部屋で過ごしました。
ナポレオンの死因は、通常は胃がんのためとされていますが、砒素との接触は、胃がんのリスクを上げるとされています。ナポレオンの頭髪サンプルの分析でも、大量の砒素が検出されています。
さて、壁に用いられた染料が、どのように毒性を発生するのでしょうか。通説は2つあります。1つは、壁から剥離した細かな粒子が、空中に放出されるというものです。粒子は肺に吸収されます。
もう1つの説は、色素の生成物が、温まったり生体組織により代謝されたりといった化学的な工程を経ると、毒性の気体として放出される、というものです。つまり、壁紙が湿気を帯びたり、カビが生えたりすると、色素が代謝され、AsH3という毒性の強い砒素の気体として放出されてしまうのです。
セント・ヘレナ島は湿潤な気候であったため、壁にカビが発生したであろうことは、想像に難くありません。
さらに、ナポレオンは何時間もバスタブに浸かって過ごすことを好んだとされていますが、風呂場の壁紙の色は何色だったか、もうおわかりですね。すでに十分温暖湿潤な気候に、長時間のバスタイムが加われば、上記のような化学反応が起こるのに、理想的な環境が整ってしまうのです。
ナポレオンの遺体は、もともと安置されていた島から、後日、埋葬のためにフランスに送り返されました。19年が経過しても、腐敗がほとんど進んでいなかったことは有名ですが、おそらくこれは、身体の内外に付着した砒素のせいだと思われます。
つまり砒素は、人の死因にも、ミイラ化の原因にもなるわけで、一石二鳥ですね。こんな組み合わせについて、みなさんはどう思いますか?
さてみなさん、この動画はお楽しみいただけましたでしょうか。そしてデボンさん、このグリーンについて、話題提供をありがとうございます。みなさん、楽しい聖パトリックの日を、安全にお過ごしください。またお会いしましょう!
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