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Pairs「2018年男女の恋愛はこうなる!」(全4記事)

ゆとり世代はなぜ恋愛をしないのか? 世代・トレンド評論家が語る若者の恋愛観

2018年2月1日、国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」を提供する株式会社エウレカの事業説明会が開催されました。第1部ではアジア市場へ展開する同社のビジョンが語られ、第2部には、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が登壇。「2018年男女の恋愛はこうなる!」と題して、「Pairs」が国内で広く利用されるようになった背景や、世代間の恋愛観の違いを読み解きます。

世代・トレンド評論家の牛窪氏が登壇

司会者:みなさまお待たせいたしました。世代・トレンド評論家の牛窪恵さんをお招きし、近年の若者の恋愛・結婚観の傾向やオンラインデーティング市場の広がりと可能性についてご講演いただきます。

またそのあとにはPairsをきっかけに入籍をされたカップルにもご登壇いただき、牛窪さんとともにパネルディスカッションを行ってまいります。

それでは牛窪恵さんをご紹介いたします。インフィニティ代表取締役である牛窪さんは、マーケティングライター、トレンド評論家として財務省財政制度審議会委員や内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーターなど官庁関係の要職も多数ご歴任されております。

2005年にはおひとりさまマーケットが、2009年には草食系男子が、それぞれ新語・流行語大賞に最終ノミネートされています。現在は日本経済新聞、日経ビジネス、婦人公論などで多くの連載も抱えております。

それでは牛窪さん、どうぞよろしくお願いいたします。

牛窪恵氏(以下、牛窪):よろしくお願いいたします。失礼いたします。みなさま今日はお足元が悪い中、私雨女でございまして申し訳ございません(笑)。多数お集まりいただきましてありがとうございます。

私、マーケティング会社インフィニティの代表で世代・トレンド評論家の牛窪と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

みなさまに最初にちょっとお断りが2つございます。まず1つ、写真撮影なんですけれども、私が今から話す内容は肖像権画像が多数入っておりますので、その部分だけは撮影はご容赦いただければと思います。

ただあったほうが実際にわかりやすいかなと思って、ちょっと入れてあります。グラフのページとかはまったく構いませんので。

そちらと、もう1つお詫びとして、私しゃべるのが非常に早いんですね(笑)。今日は25分しかお時間がございませんで、かなり早口になるところがあるかなと思いますが、最後に5分ご質問のお時間を設けたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

ではさっそく始めたいと思います。私の紹介はもう今いただきましたのでだいたいおわかりかと思います。企業とマーケティング活動をしながら本も書いています。

今ご紹介いただいた、おひとりさまとか草食系男子というキーワードは、いろんな方々に多数のインタビュー調査を行いまして、その中で出てくる言葉です。

近著は『おひとりウーマン消費』ということで、今40代も50代も女性の4人に1人は独身なんですね。そういう時代になってきまして、国としては「国難だ」とかひどいことを言ってますけれども(笑)。

若者と親世代の恋愛観には大きな違いがある

まず結婚しないのはなぜか? 今日の1つのテーマですが、実はなかなか恋愛にも至らないというのが昨今の時代背景でして。それを打破すべくいろんなサービスという中で、Pairsさんのサービスもその1つに位置付けられるかと思います。

弊社はマーケティング調査の中でも主に定性調査というインタビュー調査を行いますが、最近はそういう中でも、AIやIoTによって、インターネットのビッグデータというものが出てくるようになりました。

もちろん人と生でお会いして声を聞くことは大事なんですが、これだけではやはり数に限りがあります。また今日のマッチングサービスもそうですが、AIとかIoTというのが時代の流れとして出てきています。

実はマーケティングも然りなんですね。いろんなマッチングや条件の中から、ある程度AI・IoTの助けを借りて、この2つを合わせて兆しを読むというのが昨今のマーケティングスタンスになってきています。

私自身、生の声を聞くと申し上げたんですが、5年ほど前から、40代・50代くらいの親御さんたちの「なぜうちの子は恋愛をしないんだろうか?」という声が非常に多く聞かれるようになりました。

「そもそも男友達・女友達はいるようなのに、あんまり恋愛とかデートとかいう話を聞かない」とか。あるいは「一緒にどこか行ってるみたいなんだけれども、別に付き合っているわけではないらしい。僕らのころはそうじゃなかったのにな」というような親御さんたちの声ですね。

実際にお子さんたちというのは、主に今ゆとり世代と言われる20代の人たち。ゆとり教育を受けたゆとり世代と言われる人たちなんですけれども。今日お越しのみなさんは、ちょっと上のアラサーくらいですね。そのへんは実は私は草食系世代とか呼んでる方々なんですが。

こういう若者たちは、親御さんたち40代50代の方々とだいぶ価値観とか恋愛に対する考え方とか、そういうものが違うぞというところをふだんから感じていました。

デジタルネイティブは世界共通で恋愛にガツガツしない

じゃあ実際、数字でどうなのかというところなんですが。今20~34歳の男性・恋人なしというのは、20年間で1.7倍に増えました。これを見ていただいて。これは、国立社会保障・人口問題研究所という国の第三者機関の調査ですね。

まず、恋人がいない男性の割合です。1987年、つまり親御さんたちがバブルの時代、青春を謳歌していたころというのは、恋人がいない方は20~24歳で約4割、25~29歳で約3割というかたちだったんです。これが今は、ご覧ください。このくらいの数字まで伸びてきていると。これは一体なぜなのか? 

実は、女子はさらに顕著な数で(恋人が)いない人たちが増えているんですね。これは当然結婚しない人たちが増えたことで数の割合が増えている部分もあるんですが、それよりはむしろ別の原因があります。これはあとでお話しします。

とくに親御さんたちはこの価値観でいるわけですね。そう考えると、「なんでうちの子だけ?」と思うんですが、‟だけ”どころか、20代~24歳は恋人がいない方々のほうが多いとか、同じくらいいないのが25~29(歳)だったりという状況になってきています。

その世代の違いというのは何なんだろう? ということで、私たちはよく世代論ということを言います。世代論というのはもともとアジアでかなり顕著に出ていて、ただアメリカもインターネット社会になって、ミレニアル世代というのがゆとり世代と同じような意味合いで使われるようになりました。

いわゆるデジタルネイティヴと言われる、物心ついたときからインターネットとかそういうものが当たり前に身の回りにあった人たち。基本的に世界共通の部分として、恋愛にガツガツしない、あまり深い人付き合いを好まないというところがあります。

親御さんたちはバブル世代と言われる方が多いですね。今54~59歳、新人類と呼ばれた人たち。30年前くらいに若者を評して「あいつらなに考えてるかわかんないな。新人類だな」と言われた人たちです。

よくマスコミが例に挙げるのが、とんねるずの石橋貴明さんとか松田聖子さんとか。あるいは亡くなられた川島なお美さんもそうでした。いかにもバブルという感じでしたね。

今はブルゾンちえみさんとかがふざけてバブルというのをやってますけれども。基本的には非常に若いころからあまり大人に対して敬意を払わないとか、ずいぶん失礼な物言いを平気でするなって言われていた人たちです。ソフトバンク(福岡ソフトバンクホークス)の工藤公康監督とかもここですね。

40~50代のバブル世代は恋愛至上主義

その下の48~53(歳)が真性バブル世代。私もここに入るんですが、この人たちがいわゆる恋愛トレンディードラマ世代です。あとで出てきます。

団塊ジュニアが42~47(歳)。この人たちからはいわゆる学校教育で男女平等教育というのを受けています。このあたりから恋愛観が変わってきました。さらにここから不況に入ってきますから。

この下の人たちというのは、実はあまり恋愛にいいイメージだけを持っているわけではないという、非常に賢い世代になってきます。上がバカだということではないんですけれども(笑)。基本的にこのあたりから大きく線が引かれてきます。

先ほどゆとり世代と言った方を広く捉えると、今の22~31歳がゆとり教育を受けたゆとり世代、別名、世の中を悟りきったさとり世代なんていうふうにも呼ばれています。

バブル世代、主に40、50代ですね。恋愛至上主義の恋愛カップル文化というものが青春時代に世の中を覆っていました。まずいろんなトレンディードラマ、とくに『男女7人夏物語・秋物語』という、さんまさんのドラマですけれども。

実は社会学的にはここで初めて、日本のドラマの中で結婚を前提とせずに男女がエッチをするというシーンが登場すると言われています。そこから『101回目のプロポーズ』とかご存知の方もいらっしゃると思います。『東京ラブストーリー』とかあるんですが。

『ロングバケーション』、これは1996年だったと思います。これが画期的だったのは、恋愛をしていない男女が同棲をする。山口智子さんは、結婚婚約まで決まっていながらフラれて、キムタクが住んでいるマンションというかアパートに転がり込んでくるというところから始まります。これがいわゆる恋愛を前提としない同棲を描いた、初めてのドラマだと言われています。

ただ、いずれにしても最終的にはみんなウエディングドレスが出てきたり、プロポーズして終わるっていう。まあ『101回目のプロポーズ』はそうじゃないんですけれども。こういうことが、いわゆる結婚というものが結婚生活ではなくて、ハッピーエンドで結婚する結婚式で終わるというニュアンスですね。

そのために、男性は恋愛を目的にかっこいい車に乗って女の子にモテようとか、女性たちもピンヒールを履いてボディコンを着ていい男性をつかまえようとか、そういうニュアンスがありました。

恋愛はコスパが悪い、婚活よりも楽しいことがある

じゃあ、今どきの「うちの子、恋愛しないのよね」って言われてる若者たち、今日お越しのみなさんの世代は主にどういう感じか? コスパということをよく言います。

私も『恋愛しない若者たち』という本を書いたときに多くの若者を取材しましたが、よく出てきたのはまず「リアルデートっていうのはコスパに合わない」「婚活とかそういうものってお金がかかる」「時間がかかる」「そのわりにはマッチング率が悪い」というようなことですね。

「恋愛って、最初からガツガツいくのってなんかネタっぽい」とかですね。言葉として、いわゆるお父さんお母さんが抱いていた恋愛のイメージというのはちょっと暑苦しいなというニュアンスですね。

そしてこれもよく言います。「婚活に行くくらいなら、別にほかに楽しいことがいくらでもあります」。確かに彼らの時代は、SNS、スマートフォン、ゲーム、ソーシャルネットワークゲーム、いろんなものがあります。

親御さんの世代、私たちの世代は携帯もありませんでした。インターネットもほとんどない時代ですから。極端に言えば、大学とか社会人になりたてのころってデートくらいしかあまりやることがないというか、楽しいイベントがなかった。このあたりも昔と大きく変わった部分です。

先ほどの世代のところ、見にくいんですけれどもお話します。よく言われるこの表というのは、私どもとか伊藤忠ファッションシステムさんとか、博報堂総研(博報堂生活総合研究所)さんも同じような表で説明されますね。

先ほど言いました50代半ばから後半、新人類の親御さんの青春時代。『なんとなく、クリスタル』、まるきん まるび、カフェバー、DCブランド、お嬢様ブーム。『オールナイトフジ』なんていう番組が始まりました。いわゆる若者、大学生くらいがいろんな文化を作っていました。

真性バブル世代。私の世代ですね。3高、アッシー、メッシー、ミツグくん、ワンレン。ボディコン、インポートブランド、海外旅行、リゾート&グルメと。いかに日本が浮かれていた時代かが、これをご覧になってみてよくおわかりいただけると思うんですけれども。

基本的には『ねるとん紅鯨団』というとんねるずさんの番組ですね。毎週土曜日の夜にやってました。男の子たちが気に入った女の子たちに付き合ってくださいということで「お願いします!」と言って、女の子が「ごめんなさい」と言ったり「どうぞ」と言ったりする。ほかにも、大阪のほうでも『ラブアタック!』とかありましたし、こういう番組が流行っていた。つまりカップルというものにみなさん憧れが強かった時代です。

不況や災害で「自分らしさ」「身の丈の暮らし」志向へ

ところが、不況期に青春時代が入ってきたのが団塊ジュニア。ここで初めて就職氷河期というのがやってきます。カード破産、複合不況、同情するなら金をくれ、フレンチカジュアル、イタ飯、無印良品。

だんだんみなさん等身大の、「自分らしく生きたい」とか「別に勝ち組・負け組とかそういうことじゃないな」という、いわゆる地に足の着いた考え方を若者もするようになってきました。

そこからアラサー、草食系世代。さらにこの下はゆとり世代があるんですが、日本はこのあとちょっとミニバブルがありましたけれども、リーマンショックもありました。震災もありました。いろんな中でやはりどんどん現実的に賢くなっていったという流れになります。

今の40代前半から半ばの人たち、団塊ジュニアが男女平等世代。ここからがいわゆるワリカン文化です。男たるもの奢らなきゃいけないとか、自分がデートをセッティングしなきゃいけないというよりは、友達カップルでデートのときもピンヒールなんか履くよりは自分らしくシンプルにいたい。

女の子もアウトドアというものにどんどん傾倒していきます。車も見た目がかっこいいとかいうものよりも使い勝手がいいものを好むようになります。

90年代後半からいわゆる母娘消費。お嬢さんたちは「彼氏もお金出してくれないし。じゃあ、ママと一緒にいろんなとこ行ったほうがなにかとお得だしな」という感覚になっていきました。

このあとの草食系世代が今30代半ばから前半くらいですね。この人たちは、いわゆるおうち世代、ノンストレス世代とも言われます。99年に癒しという言葉が初めて流行語になりました。バブルが崩壊しまして、そのあとみなさんそんなにガツガツいくよりも、自分らしく自分の生活を、身の丈の暮らしをしようというニュアンスになってきました。

ここから、地元好きの若者が多いと言われています。あんまり都心に憧れを持たない。この1つのきっかけになったのは、実はイオンさんのような郊外型のショッピングセンターが自分の近所にもできて、わざわざ東京とか大阪まで行かなくていいやという価値観になっていったというのもあるんですが。

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