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『サブカル戦国時代突入!?〜けもフレからうつヌケまで!2017アニメ・漫画事件簿総点検!!』山田玲司のニコ論壇時評 1/2(全7記事)

今年の漫画界が激震 山田玲司氏が語った『こぐまのケーキ屋さん』の衝撃

ニコニコ生放送の人気番組「山田玲司のヤングサンデー」。今回は12月16日放送の「『サブカル戦国時代突入!?〜けもフレからうつヌケまで!2017アニメ・漫画事件簿総点検!!』山田玲司のニコ論壇時評 1/2 」の内容を書き起こしでお届けします。(※本記事掲載後、田中圭一先生より『うつヌケ』は編集者との共作であり、山田玲司氏の見解は事実誤認という指摘がありました。山田玲司氏はその旨を真摯に受け止め、田中圭一先生に直接謝罪し了解を得ました。さらには2018年2月7日の田中圭一先生をゲストに迎えての放送にて、山田玲司氏は『うつヌケ』に関する見解の訂正とこの件の推移を含め、改めてご本人に直接謝罪されるそうです。以上の経緯をふまえて、編集部では本記事冒頭部分の一部削除対応をとらせていただきました。)

今年の漫画界のハイライト

(編集部注:田中圭一氏の『うつヌケ』制作の経緯について、山田玲司氏の事実誤認があったため、削除対応を取らせていただきました。)

『こぐまのケーキ屋さん』たちが起こした変革

山田玲司氏(以下、山田):(今年の漫画界のハイライトは)これとあともう1つです。『こぐま』かわいいよねって言ってましたけど、こぐま事変です。これはTwitterで4コマ漫画の『こぐまのケーキ屋さん』というのがアップされて、ほんの数時間で何万ビューってなったの。知ってる?

こぐまのケーキ屋さん (ゲッサン少年サンデーコミックス)

乙君氏(以下、乙君):それは知らないですけど。

山田:とにかくすっげー早さだったの。

乙君:なんかそうらしいですね。

山田:あっという間に書籍化、アニメ化までいって。おそらく1ヶ月かかってないうちに最短ルートで成功してしまった事例というか。この2つはけっこうやばいことですね。

乙君:そうなんですか?

山田:なにがやばいと言うと、さっきの互助会システム(注:「週刊少年ジャンプ」などで、大きな売り上げがある漫画のおかげで新人作家たちが連載できるシステム)が崩壊しますね。

乙君:あ~。玲司さんが10パーセントの印税もらって、それをやれるのは先代からのチャンスをもらってるし、自分は後輩にという場を守り続けるためのシステムだったものが。

山田:さよなら出版社、さよなら編集者なんだよ。さよなら取り次ぎ、さよなら印刷所なわけだよ。どんだけの産業がここで消えるか。これで。

乙君:はい。

漫画界の徒弟制度が崩壊した

山田:ただ問題はそこのふるいにかけられていた者たち。要するに、この世界の片隅にいた漫画家たちに一斉に平等なチャンスが与えられた。という意味では非常に民主化されたといういい意味でのいい変革が起こったなという。

乙君:確かに。

山田:そしてそれに結果が出てしまったので、まあONEがいたんだけどね。流れに加速がついたというのが1つ大きな変化だったなっていうね。これは旧制度の雑誌・コミックス互助会制度というものの崩壊なんだけど、ここに徒弟制度が含まれるんですよ。

乙君:え?

山田:漫画家がいるとアシスタントがいて、ずっと付きっ切りで一緒にいる。それで先生の描き方や哲学、漫画家の生き方みたいなものを学んで出て行く場所があったんだよ。これによってなくなりますね。

それでもアシスタント使う人はいるかもしれないけど、同時にデジタル化があまりにも進んでしまって外注になっちゃった。

『インベスターZ』なんていう漫画だと、もはや背景は外注でやってるから、今までみたいに「ここ描いて」みたいなやつで、そのついでに「漫画っていうのはな」みたいなことはなくなってしまうので、これは非常に漫画文化が枯れる可能性がある。

インベスターZ(1)

あとはネット一発、拡散一発、バズるかバズらないかで決まる世界というのは非常に危険です。キャッチーであればいい。だからエンタの神様化するという。

乙君:はいはい。

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):あ~なるほど。

乙君:一発屋がボンボン、ボンボン。

山田:「残念!」とか、ああいう感じになるわけ(笑)。そういう漫画はたまに出てくるんだけど、これが後の実力派になってずっと漫画家を続けるという事例はあんまりないので。

漫画家が抱えるリスクが大きくなっていく

山田:1番悲しいのは出版社がリスクを抱えて、例えば『キングダム』とか序盤はそんなに売れなかったらしいね。それを待てたっていう。誰かが支えて大長編漫画を火がつくまで待つことがもうできなくなる。

キングダム 46 (ヤングジャンプコミックス)

そうなると、リスクを抱えて自腹でタダで漫画をアップし続ける人間が、お金が入らないけど、ずっと続けて本格的な長編漫画を描く。これはものすげえ体力試されるね。これはけっこう大変だなぁと思うね。

今後はそういったマイナス部分を補う、どこが金を出すか問題がやっぱりでっかいなというのはあるなという感じですね。

乙君:なるほどね~。

山田:この間、Twitter小説というのをやってる人がいて。『ニンジャスレイヤー』ですよ。ダイハードテイルズっていう2人組のサラリーマンがやってた小説があるの。ラノベみたいなやつが。

これがTwitterの連投で小説書いてるんだよ。だからあるときいきなりTwitterのタイムライン上で小説が始まる(笑)。ダーっと。これで買うか買わないか、サイトに誘導して単行本を買うところまで、noteで販売してみたいなさ。

これが大ヒットしましてね。この2人は会社員辞めたらしいです(笑)。そういう流れも1個あって、とうとうそういう時代になっちゃったかなっていう感じですね。以上です。

「よくわからない」ヒット作が淘汰されてしまう

乙君:『シン・ゴジラ』のは?

山田:あ、そうそう。これはさっき言ったやつ。シンゴジ危機っていうのはまさに1番でかくて、変なのがなくなるぞっていう。

乙君:はいはい。

山田:バズらないけどすごいやつっていうのが現れた場合、人知れず消えていく。「かわいい~」みたいなやつはいきやすいでしょ? 

だけど、なんだかわかんないけどごく少数だけが魅力あるみたいな感じ。例えば『ゲゲゲの鬼太郎』とか最初は売れなかったとか言うじゃん。『宇宙戦艦ヤマト』は打ち切られてるじゃん。『ガンダム』もそうじゃん。最初はみんなわかんないんだよ。

最初はみんなわかんないときに、いなくなってしまう。それを支える体力が大手出版社にあったんだけど、いよいよそれなしの時代に突入というのが実際のところですね。そんな感じなんですよ。今年は。

乙君:なるほどね~。ありがとうございました。漫画業界はレボリューショナルな、転換点だったと。

山田:武将で言うと何だっけ?

乙君:その話いる?(笑)。

山田:いらない、いらない(笑)。

乙君:まあまあそんな感じですね。

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