2024.10.10
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第82回『今こそ“悪”についての話をしよう!〜超絶傑作映画「アメリカン・ビューティ」完全解説スペシャル!!』 1/2(全8記事)
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乙君氏(以下、乙君):やりますか、じゃあ。
山田玲司氏(以下、山田):やだ。
乙君:やだ?(笑)。
(一同笑)
乙君:スネた! 玲司さんスネた!(笑)。
山田:「俺がハルヒになる」とか言って(笑)。
乙君:オープニングやり直す?
山田:いや、いいでしょう。時間もったいないもんね。でも、「おもしろかった」って言ってくれるから(笑)。
久世孝臣氏(以下、久世):よかったですね。
山田:あんな!
乙君:はい。
山田:おもしろい話なんか、いくらだってあんだよ!
乙君:あれ!?
山田:決まってんじゃん! でもやっぱり、少しでもためになってほしいと思って、準備してんだべ!
久世:はっはっは(笑)。
乙君:おー!
山田:お前さあ……。まあ、それは3次会で、おもしろい話はな。しようよ。
久世:我々の、玲司さんがどういうリアクションをするか予想も、そのとき発表しますよ。
山田:そうなの?
久世:そうそう。今回ドッキリして、「玲司さん、第一声、何言うかな」とか予想したんですよ。
山田:原稿出しちゃったよ、もう。オズ、これ頼むね(笑)。
乙君:そう、この人全部出すなと思って。
山田:なにが?
久世:「持ってる球を全部出したな」と思って。
山田:あったからだよ。しかもさっきまで描いてたから。
乙君:ああ、そのマインドでそのまま?
山田:マインドで。そうそう。
乙君:お疲れ様です。
山田:同人誌っておもしろいよな。
乙君:おもしろいですか?
山田:だって、だれ出してもいいんだぞ? だれ出す?
乙君:え?
山田:お前めっちゃ絵うまかったら、だれ描く? 誰の絵でどんなマンガにする?
乙君:いや……それはまあ、有名な、やっぱり『わたるがぴゅん!』と(『ドカベン』の)明訓高校の対決とか。
バキ(『グラップラー刃牙』)で言うと、やっぱり猿渡先生のタフ(『高校鉄拳伝タフ』)の(宮沢)鬼龍対愚地独歩とか。そういう、夢の対決みたいなマンガ。
山田:だから、お前のだよ。
乙君:え?
山田:お前のだと、『わたるがぴゅん!』になっちゃうの?
乙君:野球マンガだったら野球マンガで、そういう感じの夢の対決はやってみたいですけどね。
山田:10ページだったら?
乙君:そんなこと言われても、俺描いたことないから10ページを(笑)。
山田:ふざけんなよ! 今10ページ描いてきたんだよ、俺。
久世:もう終わったんですか?
山田:もう終わった。
乙君:えー! はや!
久世:早い!
山田:お前らも描くんだぞ?
久世:僕はもう終わりました。
山田:(乙君に)終わった?
乙君:俺も、まあ。
山田:本当?
乙君:うん。頭の中では。
山田:ふざけんな(笑)。
久世:やってへんやん。
山田:やってへんやん!
乙君:いやあ、ということで同人誌、楽しみにしててください。
山田:同人誌ができましたよ。
乙君:あと、マンガ大賞応募してくれて入選して同人誌になった。載ると決定したんですけど、みんな原稿のサイズっていうか、違うんだよね? だから手描きとデジタルの出力だと、ぜんぜん色味も変わってくるし。
そのへんを、オズとうちの美術部で編集してもらうんですけど、その微調整とか書き直しがあったら、「今もう1回出してください」って言ってんのに、11人中3割しか編集がないんですよ。だから1日までなんで早く出してください(笑)。
久世:(笑)。事務連絡でした。
加藤オズワルド氏(以下、加藤):原稿は希望者だけなんですけど、一言コメント(があります)。
乙君:あ、一言コメントもあるんで、ジャンプとかの後ろに作者の一言コメントみたいなのあるじゃないですか。あれもちょっとやりたいな、みたいな。
(山田が)めっちゃ不機嫌(笑)。
山田:『アメリカン・ビューティ』に謝れよ!
(一同笑)
山田:ぜんぜんビューティじゃねえよ。本当に。
久世:サーセン。サム・メンデス(注:映画『アメリカン・ビューティ』の監督)さん、サーセン。
山田:サム・メンデスの問題じゃねえんだよ。
久世:(笑)。
山田:これはアラン・ポール(注:『アメリカン・ビューティ』の脚本家)の問題なんだよ。
久世:なるほど。
山田:やります。
久世:やりましょう。
乙君:ありがとうございます。
久世:楽しみだなあ。
山田:うん。
乙君:めちゃくちゃわくわくしてきたからね。
山田:嘘だろ、お前は絶対(笑)。
乙君:いや(笑)、ほんまに日比谷線があれ(遅延)したんですよ。
山田:あれしたんだろ?
久世:あれしたのは本当。
乙君:本当で、このまま行くとまじで間に合わないかもなってなって、逆に遅れて行って玲司さんが1人でどこまでやれるのかな? っていう。3年経って……。
山田:だからさあ、コンセプトがさ。
乙君:はい。
山田:ヤングサンデーは違うんだよ。1人でやるんじゃないんだよ。
久世:おっ。なんか温かい言葉が。
山田:わかってる? お前らいらないって言われたらいやだろ? ハルヒでまわしたいだろ?
(一同笑)
山田:お前の退屈を俺がなんとかするって番組だろ? これ。じゃないと、またお前どっか行っちゃうんだろ? バルセロナに行っちゃうんだろ、お前は(笑)。砂漠で月を見ちゃうんだろ? お前、すぐそういうこと言い出すじゃん。
乙君:なんでちょっと寅さんみたいな口調で(笑)。
久世:本当に怒ってんだよ、玲司さんは。
乙君:すみません、本当に。
久世:申し訳ございませんでした。
山田:いや、わかったんだよ。お前を喜ばせようとすると、みんなも喜んでくれるんだよ。
久世:あら。
乙君:ありがとうございます。
山田:だから、ここにいる人をよくスルーして「やたらと乙君に話すよね」って言われるんだけど、ここがオッケーだったら、こっち(視聴者)もオッケーなんだよ。っていうことがわかった。
乙君:わかんないですよ?
山田:いや、お前ぐらい頭の固いやつが、おもしろいって言ってたらだいたいオッケーだろ?
久世:まあ、そうかもしれない。
山田:文化圏がニコ生文化圏じゃないからな、お前な。
乙君:いやいや……。
山田:な? 和歌山ヤンキー文化圏。
乙君:いつまで和歌山引きずるんですか(笑)。
山田:卒業?
乙君:もう卒業してますよ。だいぶ前にね。
山田:いいんですか?
乙君:うん。俺もう、レペゼン湘南だから。
久世:過去は消せへんで。
山田:そういうノリがもう(笑)。
久世:なんやろね、和歌山っぽい、確かに。
(一同笑)
乙君:なにがやねん(笑)。
山田:90年代少年ジャンプか。ははは(笑)。
乙君:『アメリカン・ビューティ』やりましょうよ!
山田:やるやる。『アメリカン・ビューティ』。
乙君:はい。
山田:1999年の作品で。
久世:はじまりました。
乙君:20世紀最後。
山田:アカデミー賞で男優賞獲ったりとかして、大騒ぎになったんですけど。これ、なぜこの作品を今やるかと言うと、悪についての話でもあるんで。
乙君:はいはい。
山田:ちょうど、悪とは何かっていう展覧会やってるんで。「関連する作品で何かないかな」って思ったときに、俺自身のオールタイムベストのなかの常にベスト3に入ってるという強烈なやつです。
こういう作品、正直言うと、もしかしたら映画というコンテンツの作品で、俺が知り得るなかの最高傑作じゃないかと思う。
久世:まじか。
乙君:そこまで!?
山田:『ハイ・フィデリティ』が暫定トップになるのは、あれは俺の人生にあまりにカブさるから。
乙君:ああ、個人的な。
山田:その若い、半生の俺のために作られた映画ってあるじゃん。これは俺のための映画だな、みたいなのが『ハイ・フィデリティ』であり、『ドンファン』であり、『ウェイキング・ライフ』だったり、だよ。
乙君:『ファイト・クラブ』は?
山田:『ファイト・クラブ』も、もちろん入るけど5位ぐらいだよね。
乙君:ああ……。
山田:うん。作品の質の完成度って言ったら、本当にもうパーフェクトだね。だから何回見たかわかんない作品の1つ。ルーティンで毎週見てるような作品なんだよ、これ。
乙君:ええ!?
山田:CD聞くみたいに見てる。
乙君:何回も何回も?
久世:とりあえずかけちゃうって感じですか?
山田:うん。かけると戻れる。
乙君:戻れる?
山田:手塚作品と似てて。
久世:ええ、そこまで。
乙君:じゃあ、これは玲司さんの創作の、インスパイアされる原点みたいなことなんですか?
山田:どんだけ影響受けたかわかんない。
乙君:へえ。
(山田玲司、咳をしだす)
山田:ごめんごめん(笑)。
乙君:大丈夫ですか?(笑)。
山田:喉がちょっとやられてて。最近喋りすぎなんだよ。
乙君:はっはっは(笑)。
久世:マンガ家が抱える悩みじゃないですよね。
(一同笑)
山田:そう、そう!(笑)。
乙君:腱鞘炎が、とかかと思ったら。話し家じゃないですか。
山田:途中から手話になったり(笑)。
(一同笑)
山田:そうそう……。最初の脚本のアラン・ポールって人が最初に書いた脚本っていうのは、舞台のための脚本だったんだけど、何年間も煮詰めてあるところまでいって、これをドリームワークスのところに持ち込んだんだけど。
それをたまたま見たスピルバーグが、「絶対に離すな」と。
久世:へえー。
山田:「すごいのが見つかった」と。いきなり「うちで撮るしかない」って言って。誰が撮ったらいいかって言ったら「サム・メンデスだろう」って。サム・メンデスは職人監督なんだけど、けっこう繊細な人じゃない? やることが。
『レボリューショナリー・ロード』とかさ。最近だと『007 スペクター』とか、ああいう娯楽大作も撮ってるけどさ。
乙君:そうなんだ、同じ監督なんだ!
山田:うん。サム・メンデスが俺の1個上でね。その脚本書いたアランさんは10個上なんだけどさ。それがまた、いい感じでバランスよくかみ合ってるっていうか。あとこれ、町山(智浩)さんの評価で、あんまり高いの聞いたことがなくて。『アメリカン・ビューティ』を。
久世:ふーん。
乙君:町山さんは、そんなに評価低いってことですか?
山田:町山さん情報でしか聞いてない情報が1個あって。
乙君:はい。
山田:それが、この作品は別の作品に撮ってバラバラにできあがったものを、もう1回フィルムをバラバラにして編集し直してできあがった、奇跡のパッケージだっていうふうに言ってんだけど。俺は、彼の言った話以外でそれを聞いたことがない。
乙君:うそじゃないってこと?
山田:だから、本当はどうかわからないな、と思って。町山を信じるかどうかの話になっちゃうんで(笑)。
乙君:すごい評価高いですね。
山田:めっちゃめちゃ高い。本当に。
山田:だから、映画をなぜ見てるかって言うと、しょうもない映画ばっかりだから、俺は映画は9割つまらないと思うんですよ。だけど100本に1本、もしくは500本に1本ぐらいこういう奇跡と出会える。
こういう奇跡に出会えちゃった人間は、もう映画から離れられない。
久世:それはそうかもしれない。
乙君:なるほどね。
山田:俺にとってはこれを一発食らっちゃったせいで離れられなくなるくらいの、もう恐ろしい作品。
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