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犬山紙子×夏生さえり 「恋愛・仕事・出産。女ってちょっと忙しい」(全8記事)

「あえてディナーではなくランチに誘う」 夏生さえり×犬山紙子が語った恋愛観

子どもを産むことについて3年間悩んで考え続けた本音を綴った『私、子ども欲しいかもしれない。』の著者・犬山紙子氏と、WEBマガジン「アマノ食堂」の人気連載をまとめた食と恋のエッセイ集『口説き文句は決めている』の著者・夏生さえり氏。双方の新著発刊を記念して、2017年10月6日にトークイベントが行われました。「食」と「恋愛」の相関関係とはなにかを語ります。

犬山紙子&さえりが対談

夏生さえり氏(以下、さえり):こんばんは。夏生さえりです。

犬山紙子氏(以下、犬山):こんばんは。犬山紙子です。今日はTwitterのハッシュタグを用意したんですよ。「#犬山とさえり」。そこで質問とか感想とか、随時書いてもらえたらうれしいなと思っていて。

さえり:いつもこういう話をすると「下向いて携帯触りながらお話を聞いたら失礼かな」みたいに、真面目に思ってくださる方いるんですけど、今日はそういうのはOKです。写真も撮っていいんですよね。

犬山:はい。大丈夫です。

さえり:写真も撮って大丈夫なんですけど、半目の写真だけはやめてもらえますか(笑)。

(会場笑)

さえり:顎伸びてるとかそういうのはやめてもらえたらなと思ってて(笑)。

犬山:ちゃんとかわいく撮れてるやつで。

さえり:かわいく撮れてるかのチェックだけはちゃんとしてくださいね。

犬山:私たちも後でチェックして、点数をつけます(笑)。

(会場笑)

さえり:あはは(笑)。

犬山:しない。そんなことしないですけどね(笑)。

さえり:あはは(笑)。点数つけるんですね(笑)。

犬山:最悪ですね、そんなの(笑)。

さえり:いや、でもほら、イベント行ったら「こんな顔なんだ……」とか思われたら嫌ですからね。

犬山:でも、まずイベントで一番興味あるの顔ですよね。

さえり:え~(笑)。

犬山:「あの人どんな顔してんだろー?」みたいな。私もさえりさんってどんな顔してるんだろうがやっぱ……。

さえり:そう。今日初めてお会いしたんですよ。

犬山:そうなんですよ。初めてお会いして。

さえり:ですね。ちょっと自己紹介とかしたほうがいいんですかね。どっちがどっちだとか思ってる人もいるかもしれない。

(会場笑)

犬山:そうですね。絶対わかってるとは思いますけど(笑)。犬山のほうでございます。

まずは2人が上梓した本を紹介

犬山:『私、子ども欲しいかもしれない』という本を先日出しまして、今日はその本のトークイベントになります。よろしくお願いします。

私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の〝どうしよう〟をとことん考えてみました

さえり:先ほど、「なつき」さえりと紹介されましたが、「(夏生)なつお」さえりと申します。

犬山:あはは(笑)。

さえり:『口説き文句は決めている』っていう本を出させていただいて、これの発売記念イベントということで、今日は犬山さんに声をかけさせていただきました。

口説き文句は決めている

犬山:ありがとうございます!

さえり:今日はよろしくお願いします。

犬山:お願いいたします!

(会場拍手)

さえり:立ち見の方とかいらっしゃって……ちょっとぎゅうぎゅうな感じですけどね。

犬山:いやー、さえりさんの集客力すごいですねー。

さえり:いや……だとうれしいですね。

犬山:はい。

さえり:うれしいです。

犬山:じゃあちょっと本について少しお話をできればと思うんですけど、こちら『口説き文句は決めている』は、どのような経緯で書かれたんですか?

さえり:はい。経緯は『アマノ食堂』というところで連載をしていたんですね。『ティファニーで朝食を食べられなかった私たち』というタイトルの連載をずっとしていて。

それがある日突然、お声がけいただいて「本にしないか」みたいな話がきたんですね。1年以上続けてきた連載だったんですけど、それは無事本になりまして。

犬山:おおー!すばらしいー!

さえり:はい。アマノ食堂さんが最初は食と恋にまつわる連載お願いしますということで。でも私、食にぜんぜん詳しくないんですよ。

犬山:本の最初のほうに書かれてましたね。

さえり:そうなんです。ぜんぜん詳しくないんですよね。いっつも同じ、あんまりおいしくないラーメン屋さんに行って……。

犬山:なんでおいしくないとこ行くんすか。

さえり:わかんないんですけどね。

犬山:あはは(笑)。

さえり:ありません? そういうの。なんかいっつも行って、微妙だなーと思うんだけど、やっぱ行きたくなるラーメン屋さん。

犬山:え、なんないなんない(笑)。

さえり:えー。なんないですか? 

犬山:まずかったら、なんないですよ。

さえり:犬山さんは、グルメですか? 

犬山:いや、そんなことないです。家でペヤングとか食ってます。

(会場笑)

さえり:あはは(笑)。

犬山:でもペヤングはうまいから食ってるんです、私は。

さえり:なるほどなるほど。「なんか微妙だなー」とも思うんですけど。

犬山:その微妙さも好きなんですかね。

さえり:そうなんですよね。

好きな食べ物のお話が続きます

さえり:すごいまずいラーメン屋さんのことを覚えておいて、しばらく経って行ってみて、やっぱりまずいっていう安心感を得るとか。

犬山:(会場に向かって)みなさんでそのへん共感できる方、いらっしゃいますか? ……いない!

(会場笑)

さえり:あはは(笑)。人ってたぶん嫌なことを忘れるんだと思うんですよ。まずかったけど、「なにがまずかったんだっけなー」っていう好奇心に負けて行って、一口食べて「わ、まずっ」って思うんですよね。その後、「あ、これこれーこのまずさー」っていう安心感っていうんですかね。

(会場笑)

犬山:たぶん、そっち系の方なんですね、さえりさんは。

さえり:あはは(笑)。

犬山:なんか人となりが……見えてくる。

さえり:なので、あんまり食は詳しくないんです。よくネットにあるような、どこのお店が美味しいとか、こういう雰囲気があってすごい良かったとか。

この店はデートで使うと良い、みたいなことにけっこう詳しい方がいらっしゃいますけど、私はぜんぜん詳しくないので。

もう本当に、「理想の食事のシチュエーションとかで良いですよ」みたいな感じでお話をいただいて、朝ご飯に目玉焼きを食べたいっていうのを一番最初に連載で書いたんですけど。

「そういう話で良いよ」ということだったので、なんとか続けていられる。

犬山:すごい身近ですよね。

さえり:はい。そうですね。

犬山:(本を見ながら)プリン、オムライス、紅茶……。

さえり:あはは(笑)。食のレパートリーが子どもっぽいですよね。

犬山:でも、みんなが「あー!」ってなれる身近な食事ですよね。

さえり:そうですね。なんかコンフィとかいわれたら、「ちょっとなに?」ていう人もいますもんね。

犬山:コンフィ(笑)。

さえり:コンフィとか、パテとかね。

妄想と現実を織り交ぜた文体

犬山:基本、その中に妄想があるんですよね。

さえり:基本的には、そうですね。妄想と現実をちょっと織り交ぜながら。自分でもちょっと境目がわかんなくなる感じで書いてますね。

犬山:この中で一番自分の中でお気に入りのエピソードとかあります?

さえり:え!? 難しい! まぁ、タイトルにもなってる『口説き文句は決めている』っていうのは、けっこう気に入ってるエピソードなんですよ。

読んでくださった方と読んでない方がいると思うんですけど、電車にのっていたら友達ができたことがあるんですよ。

犬山:ナンパ!?

さえり:ちょっと入りが怪しいんですけど。電車で。話しかけられたおじさん2人と仲良くなって、そこで別に恋愛ごとではまったくないんですけど、そこで「これはいい」っていうセリフを言われて。

それをもとにして書いたんですけど、その話はけっこう気に入っていて。ただ、個人的には、誘惑に負けてラーメン屋さんに入る話も気に入っていますね。

本当はお惣菜を彼と買って帰ってたんだけど、帰り道にラーメン屋さんを見つけたら「めっちゃ入りたいねー」ってなって誘惑に負けて入っちゃう話と、あと「振られた後に食べたいもの」っていう話も。

犬山:ありました、ありました。

さえり:若いうちに、振られたかったっていう希望がありまして。

犬山:振られたかった! っていうね!

さえり:そうなんですよ。これは決して、誰にも振られたことありません。百戦錬磨です。みたいな話ではなくって、付き合ってた男性に振られるとかはあるんですけど、脈のない人に告白して玉砕みたいなやつがやりたかったんですよね。やりました? 

犬山:私は……。あった気がする。

さえり:あ! 素晴らしい。

犬山:脳が記憶を消去してますが。

さえり:あはは(笑)。

犬山:えー、でも、やっぱ「いける!」って思わないと……。

さえり:そうなんです。もう「いける!」って思わないと一歩踏み出せないタイプで。

さえりさんは「けっこう気になったらガンガンメール」

犬山:でも、自分から告白とかは?

さえり:あります、あります。

犬山:えー!

さえり:それはぜんぜんありますよ。私はけっこう気になったらガンガンメールとかしちゃうほうなんで。

犬山:いくんだ。

さえり:いきます、いきます。ガンガンガンガン……。

犬山:どんな誘い方するんですか(笑)?

さえり:けっこうストレートに、「もうちょっとお話したかったんで、今度ランチとかどうですか?」みたいな、怪しい……。

犬山:あ! ランチ(笑)。

さえり:そう、そう、そう(笑)。

犬山:ねー! 私もう最近逆に、ディナーより「ランチ行こう」って言ってくる人のほうがいやらしいと思ってるんですよ、もう(笑)。

(会場笑)

さえり:そうなんですよ(笑)。私も最近気づいてきましたね。

犬山:もう、テクニカルですよ。

さえり:そう。ランチって言えばなんか怪しくないかな、と思って、わざと「ランチ行きませんか」とか言ったりするんですけど。

犬山:そんなの、さえりさんに言われたらもう。

さえり:誘ったりするんですけど、それでぜんぜん私に興味なさそうだと思ったら、なんか私も興味なくなっちゃうんですよ。

犬山:あ! 幸せな……。

さえり:そうなんですよね。ハッピーな感じな作りになってまして。

犬山:それ幸せじゃないですか?

さえり:そう。叶わないのにすごい好きってなったことがないんですよ。

犬山:いいなーそれ! それ、神が送りし才能ですよね。

さえり:あはは(笑)。

犬山:みんなそうだったらね、そんな……。

さえり:ハッピーですよね。私もそう思います。

「自分が好きかどうか」は本当の恋?

さえり:ただ、でもやっぱそういうふうに相手がどう思っているかに関係なく好きになっちゃうほうが純粋な感じはするじゃないですか。打算的でもないし。

犬山:うんうん。

さえり:自分が好きかどうか。これ、本当の恋って感じするじゃないですか。あれ? しません?

犬山:まあまあ、そうですよね。

さえり:そうですよね。だから、そういうふうに好きになった人に告白したかったなって。とくに学生のときとかにすればよかったかなと思って。

やっぱ大人になって叶わない恋して、告白して、玉砕して、次の日会社行くとかつらいじゃないですか。

犬山:いや、やりましょうよ、それ。

さえり:あはは(笑)。

犬山:大人になってからも、“おつ”ですよ、それは。っていうかキツすぎるものでもありますが。

さえり:いや、やりたいですけどね。ちょっと才能がなかったかなって思います。27年間生きてきて。

犬山:才能(笑)。振られる才能というやつですか?

さえり:そうです、そうです。今までやってきてないので、それはやりたかったなっていう願望があって。

学生の頃にもし告白してたら、振られた後にクレープ食べたいなっていう話を書いてますね。

犬山:(笑)。いや、もうね。本当に身近な食事の内容で。

さえり:そうそう。女友達と一緒にクレープ食べて、しみじみと自分の失恋を感じたりとかしたかったなあと思って。それ気に入ってます。

失恋したらステーキ定食

犬山:でも、失恋はされたことあるんですよね?

さえり:付き合ってた人に振られるとか、そういうのはありますよ。

犬山:けっこうしんどくなかったですか?

さえり:しんどいですよね。本にちょっと書いてるんですけど、私振られたときはステーキ定食食べる系の女なんだなって初めて知りました。

食べ物が喉とおんなくなるタイプじゃなくって、ファミレスで。

犬山:ファミレスでステーキ定食ですか?

さえり:違う……なんか、三種グリルみたいなやつあるじゃないですか。

犬山:ある、ある。

さえり:あれ頼んで、めちゃめちゃ食べながら友達と電話してましたけどね。

犬山:あはは(笑)。

さえり:もう「それでさー」とか「こういうふうに言われてー」とか、そういう感じでしたね、私は。それも振られて初めてわかった発見だったんですが。まあ、そのへんが連載の中では気に入ってるお話で。今回一応書き下ろしが4点かな。

犬山:書き下ろしはこの本でしか読めない。

さえり:そうです、そうです。昔の大好きだった人がチャイティーを飲んでたっていう話。

犬山:私ね、それ、すげーキたんですよ。

さえり:あはは(笑)。

犬山:わかるんですよ。嗅ぎ取りますよね。その「これ元カノの影響?」みたいな。

さえり:そう、そう、そう。なんか食べ物って文化、歴史だなと思っていて。

男が飲むチャイティーは元カノの影響を感じる

さえり:だって男の人がチャイティー頼むんですよ? 元カノの影響だとしか思えない。

犬山:あはは(笑)。

さえり:チャイティーって……って思うじゃないですか。

犬山:もちろん男性でも自分で好きになった方もいると思うんですけど。

さえり:中にはいると思うんですけど。

犬山:その彼の人となりなど総合して考えると、なんかにおっちゃったりして……。

さえり:そう、そう、そう。チャイティー? みたいな。なんかそれ、女のにおいすごいすると思って、実際聞いてみたら本当にそうだったんですよ。

昔付き合ってた人がチャイティー飲んでて、おいしかったから飲んでるみたいなこと言うんですよ。

犬山:ね。言わなくていいのにね。でもね、その前に聞かなくていいんですよね。

(会場笑)

さえり:たしかに(笑)。

犬山:いや、我々が悪いんですよ、これはね。

さえり:わかります。でも聞いちゃうんですよね。

犬山:これはね、聞いちゃう。で、勝手に嫉妬してね。

さえり:そう、そう。そうなんですね。チャイティーが飲めなくて、でも代わりにアールグレイっていうのを教え込んだっていう話があるんですよね。

犬山:あはは(笑)。塗り替えるんだね。私色に塗り替えるみたいなね。

さえり:塗り替えて教え込む話は、けっこう書き下ろしの中では気に入ってますね。

犬山:私もこれ、すごいなんか共感して、私も昔付き合ってた人の家に行ったら、ル・クルーゼの食器があるんですよ。料理好きでもないし、これ、ぜってー女じゃん! と思って。

(会場笑)

さえり:あはは(笑)。わかる。

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