2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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乙君氏(以下、乙君):あと、寒冷化説もさっきからコメントであるんですけど。「武田教授は敵なの?」っていう(笑)。
(一同笑)
山田玲司氏(以下、山田):俺、武田教授に関して言わしてもらいたいんだけど。
乙君:おっ! ついに玲司が口を開いた。
(一同笑)
乙君:今日はもう専門家3人が(笑)。
山田:あの人、ある地方の大学の先生なんだよ。それで、物理の研究とか、そういう化学とか、そういうことが専門家で、それであの人が気づいちゃったんだよ。
乙君:なにを?
山田:石油のどの成分を使って何ができるかっていうのを、あの人はよく知ってるわけだよ。
だから、「そんなもん、エコバッグ使ったって、あれは石油のすごく純度の高いところ使ってるから、やったって結果的に意味がねーんだ」みたいなことを、彼なりの分析で、今のエコっていうことがどれだけ意味がないのかっていう、その部分だけ取り出して、「あいつらは嘘つきだ」ってやった本『偽善エコロジー』が当たったんだよ。
乙君:はいはい。
山田:それは、「エコって言ってる人は、なんかいいことやってそうじゃん。だから、なんかイヤな感じじゃん」みたいな。
「あいつら、絶対嘘だ。気分いいからやってんだ」とか、「ボランティアってさ、結局さ、自分が気持ちいいからやってるだけでしょ」っていうような一群の人たちの心を鷲掴みにしたんだよ。
乙君:俺ですね。
(一同笑)
山田。そしたら、そういう気持ちがポップなんだよ。だから、地上波のさんまの番組にポーンって呼ばれるわけ。
乙君:はいはい。
山田。「ホンマでっか?」ってなるわけ。
乙君:なるほど、なるほど。
山田:そうすると、あれって、要するにある1人の物理学者のおじいちゃんが考えた、ぼやき漫才みたいなやつなんだよ。ここの問題だけを出して、「あいつら、みんな最悪だ」と言い切るっていう話芸だったんだよね。でも、実際に現場で1個1個の問題を解決しようとしてる人たちにとっては、とんでもなく迷惑なわけ。
乙君:ほうほうほう。
山田:だって、全体が大変なことなるから、いろんな努力をして少しでも減らそうとしてんのに、それはノイズだってあるに決まってるんだよ。この角度から見たら間違ってることもあるわけ。
乙君:はいはいはい。
山田:だけど、あの人を信じて……。もう1人、数人そういう人がいて(笑)。いましたね(笑)。その人たちが出したこういう新書を持って、枝廣さんたちを攻撃しにいくわけ。それが企業のおじさんたちなの。
だから、「温室効果ガスで減らさなきゃいけないのはわかってるけど、でも、あの先生はそんなのないって言ってますよ」と言って、その本を持って、それを根拠にエコ派みたいに言われるわけ、こっちは。攻撃されるっていうふうに言われたのが、ここ10年間、とくに長い流れで。
山田:そっちのプロパガンダがパワフルなんだよ。なぜならば、「いいことしてる風の奴ら、気に入らなくね?」っていう気持ちのほうが、世の中に大きいっていうか、パワフルだから。
乙君:感情に乗っかりやすいってことですか?
山田:感情に。だから、今こちらの人、ものすごく前向きなこと言ってると、「また嘘だろ、そんなの。氷河期に向かってんだよ。そっちのほうが……」って言いたくなる。
そして、そのほうがカッコいいっていう、風潮みたいなものがあったんだよね。そこで、この人たちはどうしたかっていうと、武田さんと一緒に本出してます。
乙君:え?
田中優氏(以下、田中):(江守氏と枝廣氏を指して)こっちね(笑)。
山田:この2人。なんなら、そういう懐疑論者と一緒に駅伝チームをつくったりして、役所の人たち。
江守正多氏(以下、江守):それは……(笑)。
山田:駅伝チームは環境関係の役人さんの人たちですよね。あと、産業界の人たちと一緒にビール飲んだりとか。要は、対立するんじゃなくて、一緒に対話をするっていう方向で行動してるっていうか。だから、武田さんとは仲いいんですよね? 実はね。
枝廣淳子氏(以下、枝廣):武田さんと、やっぱり朝生で戦わされたこともあるし、やっぱりその、例えば企業の人たちと話してても、さっき言った経営者が武田さんの本出してきて、「だけど、やる必要ないでしょ?」みたいな。とことん、武田さんと話をしてみよう。
どこが違ってるのかわからないと、「違う、違う」って言っててもしょうがないので。武田さんにお話して、企画持ちかけて、「じゃあ、いいです。やりましょう」って言って、何回ぐらいやったかな? で、ずっと3人と鼎談形式でやって。基本的に温暖化懐疑論……。
山田:本出してるんですね。
枝廣:そうですね。温暖化懐疑論って3種類あって、「温暖化してない」「温度上がってない」って言う人。
「温度は上がってるけど、それは人間の活動のせいじゃない」って言う人。例えば、太陽の黒点運動とか、火山の爆発とか「人間のせいじゃない」とか言ってます。
3番目は「人間のせいだけど、もうできることない」とか、「やる必要ない」とか。
江守:「温暖化しても、別にいいじゃないか」って。
枝廣:「いいじゃないか」って、そうだね。
山田:そうですね(笑)。
枝廣:温暖化しても、それは1つの進化っていうか。
江守:大したことはないし、いいことだってあるし。
枝廣:北海道でお米つくれるのいいじゃないかとか、例えばね。
山田:(笑)。
枝廣:武田さんと1個1個その話をして、結果として、「温暖化はしてる」「温度は上がってる」と、「それはデータ見ればわかります」と。武田さんは「それはそうですね」と。
「じゃあ、人間のせいですか?」って言ったら、「確かに他のいろんな影響もあるけど、人間の影響がなかったらこんなに温暖化してない」。だから、人間の活動で出すCO2が原因だっていうのは、武田さんが認めたんですね。
それに対して私たちは、「それが原因だったら、やっぱり減らして、少しでも温暖化止めるべきですよね?」って言ったら、武田さんはそこが意見が違って、「いや、なにもやんなくていいんだ」って言うんですよ。
「どうしたらいいんですか?」って言ったら、「なにもしなければ、そのうちすばらしい技術が開発されて問題解決する」。
乙君:あ、イノベーションに期待してるってことですか?
枝廣:うん……。
山田:だから、戦後民主主義的な科学と民主主義に期待してた世代なんだよ。
乙君:あー、『ドラえもん』的なやつですね。
山田:そう、全部『ドラえもん』なんですよ。
田中:『ドラえもん』(笑)。
山田:放っといたら、全部科学が解決してくれるっていうのを信じたんだよ、あの世代は。
枝廣:白馬の騎士幻想なんですけど。なので、温暖化してるし、人間のせいだしっていうところまでは、丁寧にデータ見ながら話して、「そうですね」と。
でも最後、なにかすべきかっていうところで、そこまでいくと価値観の違いで。その過程を全部記録して、本をつくって。池上彰さんがすごくその本を評価してくださって、「意見が違う人との対話の1つのお手本みたいな本ですね」。
枝廣:その時は武田先生は「温暖化してるし、人間のせいだ」って私たちとの鼎談では言ってたんだけど、次の日テレビに出たら、違うことをおっしゃってるので、……うん(笑)。
乙君:それ、収録は話より前だったんですか?
(一同笑)
山田:何がだよ! おまえ、武田派か!
(一同笑)
乙君:あの人、かわいいんですよ(笑)。
江守:だんだん思い出してきたんですけどね(笑)。
(一同笑)
乙君:ようやく酒が……(笑)。
山田:言って言って(笑)。
江守:武田さんは「温暖化しない」とか、「人間のせいじゃない」っていうふうに、基本的にいろんなところで書いてて。
お会いして話したのは、その時1回きりだったんですけど、その後はテレビでお会いして、僕がデータを見せて「こうだと思います」って言ったら、「いやいや、私はほとんど江守先生が正しいと思っています」って言い出したんですよ(笑)。
山田:おー、何それ(笑)。
江守:「えっ?」ってなって(笑)。
山田:何それ(笑)。
江守:「ほとんど正しいと思ってるけど、他の説もあるから、そういうのもちょっと紹介してるだけだ」って言うんです。
山田:あー。
江守:言って、なんかスコーンと肩すかしにあった。
だいたい今、アメリカのトランプ政権の閣僚とかも、トランプ大統領も、選挙の時には「温暖化はインチキで中国の陰謀だ」とか言ってたけど、大統領になって、実際、パリ協定云々って議論をし始めたら、「温暖化してることは認める」。
「人間活動の影響があることも認める」「だけど、それがどれぐらいの影響かはわからない」ぐらいな感じにトーンダウンしたので、基本的には、専門家がいないところではいくらでも言いたいことを言うってことが起きてて。
江守:あとはですね、これ、ずっと言ってなかったんだけど、今日ちょっと……。
山田:言って言って!
江守:(笑)。
山田:いい機会だから言って!
江守:すごい思い出したんですけど、最初の鼎談で話をする前に、最初ちょっと「いきなり会っても議論が深まらないかもしれないから、メールでやり取りしよう」って言ったんですよ。メールですごいやり取りしてたら、武田さんがすごい自由な気ままなことを書いてくるんで。
(一同笑)
江守:それに僕がいちいち引用を入れながらツッコんでいたら、武田さんが「もうこんなのイヤだ」っていうふうに言い出して。
山田:おじいちゃん、面倒くさくなっちゃった。
江守:「これは何だ? 武田いじめじゃないか。もう私はこんな企画は乗らん」というふうに言い出して。
(一同笑)
江守:「じゃあ、わかりました。もうメールでやったやつは全部なしでいいですから、1回会って話をしましょう」と言って、やったんです。
山田:あー、そうなんだあ。
江守:ただ武田さんが、環境問題って、すごいきれいごとのようにみんな話していたのを、いったんひっくり返したのっていうのは、すごくいい面もあったんじゃないかと思ってるんですよね。
山田:ほう。
江守:僕はその部分はわりとこう好きなんですけど。
山田:ロックだと。
江守:ロックだと、ええ。
山田:武田はロック(笑)。
江守:思うんですけど、ただそういうこともあったなと、いうことですね。
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