2024.10.10
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Why We Hallucinate While Falling Asleep(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ゲームを長時間プレイして、ようやくコントローラーを置いて眠りそうになった時に、眼前にゲームの画像が現れてチカチカした、なんていうことはありませんか。
僕には個人的によくありました。長時間テトリスをやってから大学の論文を書いていたら、パソコンのスクリーンの文字が下に落ちていかないので、変だなと思ったのです。「なんでずっと動かないんだろう?」。きっと僕はその時、とても疲れていたんでしょうね。
このような幻覚は、ジグソーパズルやリンゴ狩りなど、ゲーム以外の場合にも起こり、目覚めている状態と眠っている状態の中間にある、不思議な領域「ヒプナゴギア」にある時に見られます。この状態下では、数々の不思議なことが起こります。
ぴくぴくと引きつることもありますし、「頭内爆発音症候群」と呼ばれる症状が現れることがあります。ご心配なく。脳みそが飛び散ることはありません。しかし不思議な現象であることは確かです。多くは解明されていませんが、研究途上にあり、LSDでトリップしたように、意識が別の状態にある時に起こるとされています。
ヒプナゴギアが続くのは、起きている状態から眠りの状態に移行する、わずか10分程度です。寝入りばな、などと呼ばれることもあります。眠りに落ちる直前のウトウトとした時に、幻覚を見るのです。落下したり、飛んだり、浮かんだりしているように感じたり、短い言葉や音を聞いたり、形や色の定まらない物や、人の姿を見ることもあります。
夢を見ることに似ていますが、少々違います。夢を見るのはほとんどが急速眼球運動(Rapid Eye Movemnt)、つまりREM睡眠の時で、目を閉じている間で一番、脳が活発に活動している期間です。通常、夢は非常に鮮明です。例えば、気球に乗って宇宙に行き、サー・パトリック・ヒューズ・スチュワート(イギリスの俳優)の声をしたピエロに会ったりというように、行動や物語の一部となります。
しかしヒプナゴギアでは、実験的なアートギャラリーで上映される映画の断片を見ているような状態です。サルバドール・ダリが、インスピレーションを得るために、昼寝を中断して得たヒプナゴギアの映像を、アートに取り入れていたのは、有名な話です。
全てが当てはまるわけではありませんが、こういった映像は、テトリスのゲームのように、起きている時の日常や、繰り返しやっていたことが元になっています。そのため、この幻覚症状は「テトリス効果」とも呼ばれているのです。
このような幻覚が見える理由はわかっていません。症状が起きる人が限られている上、ナルコレプシーという強い眠気を伴う障害から来ている可能性もあるためです。
この症状のある人の脳は、通常よりも眠りの状態に入るまでの時間が長くかかるせいだという説を唱える者もいます。眠りに落ちる際には、脳が発信する電波つまり脳波の速度が、徐々に低下します。目が覚めていてリラックスしている時によく出る、ほどほどに速度のあるアルファ波から、入眠初期の速度低下したシータ波へ移行し、さらに深い眠りの低速のデルタ波へと以降します。
しかし、速度の低下は同時に起こるものではありません。脳波を測定すると、脳にブレーキがかかるのは、後部分より前半分の方が早いことがわかります。つまり視覚やバランス感覚を司る部位が、比較的長く活動していることになります。
ヒプナゴギアにおける幻覚が、視覚的なものであったり、落下のような奇妙な感覚であることが、これで説明がつくかもしれません。狭間の状態で前頭皮質が眠りかけているため、普段行っている判断がうまくできないのです。
眠りかけのこの状態において、シンバルの音や銃声のような大きな破裂音が聞こえたり、閃光が見えたりと、恐ろしい思いをすることがあります。これは「頭内爆発音症候群」というものです。痛みは伴いませんが、恐怖で眠りかけの状態から目が覚めてしまいます。
「頭内爆発音症候群」がヒプナゴギアの幻覚の一種なのか、別の症状なのかは判明していません。これを睡眠障害の一種と捉え、小さな発作もしくは脳内での突発的な電気活動が原因ではないかと推測する神経科学者もいます。幸いにも、これが脳腫瘍のような深刻な問題に起因するものではないと判明すると、ほとんどの人には、この症状は起きなくなります。
ヒプナゴギアにおけるもう1つの症状に、入眠の際の痙攣、つまりジャーキングが挙げられます。名前から受ける印象とは異なり、これは最先端の流行のダンスではありません。不随意の筋肉の痙攣です。
痙攣はもともと単なる筋肉の収縮で、しゃっくりのようなものであり、ほとんどの場合はまったく異常ではありません。神経科学者にもジャーキングの原因はわかっていませんが、体が睡眠へと移行する方法が原因で起こる場合があります。
起きている時には、脳幹内にある脳幹網様体賦活系という部位から、たくさんの信号を得ています。
しかし眠る際には、脳深部のひと塊の細胞が、この信号を遮断して眠りへと誘導します。
このような仕組みにより、巧みに眠りが誘発されるのですが、隙間なく遮断できるわけではありません。つまりジャーキングとは、このプロセスで起きる故障なのです。
このような痙攣は、ヒプナゴギアの幻覚ともある程度関連している可能性があり、目が覚めてしまうこともありますが、ほとんどの場合は無自覚です。
はっきり目覚めているわけでもなく、眠っているでもないという、この状態は、なんとも不思議なものですが、通常であればやり過ごされるものなのです。これは多分、良いことだと言えます。
なにしろ、みんながダリのようなシュールレアリストになりたいわけではありませんから、毎晩このような経験をするとしたらたいへんですよね。
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