2024.10.10
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What the CRISPR Embryo Editing Study Really Taught Us(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ここ数週間ほど、遺伝子編集技術であるCRISPR(クリスパー)を胚を修正するために用いた研究が注目を浴びています。
この研究はアメリカ人と韓国人の研究者によって進められ、8月2日に発刊されたNature誌に掲載されました。それ以降、みなさんも人の遺伝子工学によるデザイナーベビーが手に負えなくなるのではという心配の声を耳にしているかもしれませんね。
しかし、この研究の本当の発見はもう少し控えめなものです。ある病気の影響を小さくするための方法と、人間のゲノムが変化からどうやって自身を守るのかについての驚くべき発見なのです。
CRISPRは正式にはCRISPR/cas9として知られており、比較的新しい遺伝子工学です。これによって科学者たちは、生きた細胞の中のDNAを編集する力と柔軟性を得ることができます。大人へのがん治療から、蚊を媒体とした病気の伝染の改善まで、さまざまな実験が行われています。
このシステムは、cas9と呼ばれる酵素を使い、DNAに切れ目を入れるというものです。化学伝達手段として使われる細胞は、Cas9をRNA塩基配列とマッチするDNA塩基配列に導きます。それからcas9は、どちらのDNA鎖にも切れ目を入れます。これを二本鎖の切断と呼びます。その後にいくつかのことが起こって、細胞は緩んだDNA末端をできるだけ速く一緒にまとめます。
しかし、しばしば細胞はDNA鋳型をコピーすることで切れ目を修復しようとします。例えば、細胞が分裂する準備をしていて、DNAのコピーをいくつか作るときにそれが起こるでしょう。細胞は元のDNAを修復するために、コピーのコピーを作ることができます。
CRISPRにより、研究者たちはこの修復の間に、細胞に新たなDNA塩基配列を与えることができます。その方法を用いれば、遺伝子の別バージョンを加えるなど、なんでも好きなように変更することができるのです。
この研究で、研究者たちはMYBPC3と呼ばれる遺伝子を探していました。それは心臓の筋肉を細くしてしまう、肥大型心筋症という病気と関わりがあります。この病気は健康なアスリートがエクササイズ中に心臓を強く押しすぎた時などに起こり、突然の心不全を起こし、死に至ることもあります。
これにはさまざまな治療法がありますが、本当の意味での治癒はまだありません。もし細胞の2つのコピーのうちの1つが変異体であるならば、病気の影響を受けているでしょうし、子供に遺伝させてしまうこともあります。
研究者たちは、胚の遺伝子を修正するためにCRISPR cas9を使いたがっていました。そして、親から子供に病気が遺伝することを防げるかどうかを調べようとしていました。
実験のために、男性から変異体のMYBPC3遺伝子を持つ精子を、数人の健康な女性からは変異体遺伝子を持たない卵子をもらいました。そして、RNAガイドと一緒にcas9タンパク質と精子を一本鎖DNA結合鋳型を持つ卵子に直接注入しました。
彼らの目的は、いかなる変異遺伝子のコピーも切り刻み、代わりに健康な遺伝子で修正できるcas9を手に入れることです。
受精卵はとても健康なMYBPC3遺伝子を持つ胚を生み出しました。58回挑戦したうち42回で成功したので、70パーセントを超える確率となりました。
CRISPRを持たない制限下の実験において、それは五分五分の結果になるだろうとみなさんは思うでしょう。なぜなら、男性は変異遺伝子と普通の遺伝子を1つずつ持っていたので、彼の精子の半分が新しい遺伝子を運んだということになるからです。ということは、何もしないよりは多少効率的だったと言えるでしょう。
しかも、研究者たちは胚の中にCRISPRの影響を受けた細胞と受けていない細胞が混ざり合わないようにしていました。彼らは1つの受精卵以外は成功したものと思っていました。CRISPRと同時に精子を注入したからです。
研究者たちはDNA塩基配列に注目しており、予想していなかったものを見つけました。最終的な遺伝子産物に変化を与えず、しかし配列には現れるような方法で鋳型にマークをつけました。ですが、彼らがつけたマークは健康な2つの遺伝子を持つほとんどの胚細胞には現れませんでした。
そこで、彼らは受精卵がcas9による二本鎖の切断を修復した時、ほとんどの細胞は研究者たちが与えた鋳型を完全に無視したのだと気づきました。代わりに、細胞は精子から病気に侵されたもう一方を治すために、鋳型として卵細胞から遺伝子を使うのです。それがDNAの修復メカニズムです。研究者たちはまったく予想していませんでした。そして、それがとても大きな意味を持つのです。
まず、私たちの精子と卵細胞にはDNAの変化に対抗する方法があり、それ以外の細胞にはないということを示しています。研究者たちはこのことについては理解できました。なぜなら、こういった細胞の中のDNAは再生産をするもので、そのままの状態にしておくことは非常に重要だからです。
次に、この新しく発見された修復システムは、胚が私たちの与えようとする新しいDNAを拒否するかもしれないということです。ですから、片方の親の遺伝子が悪くて、もう片方が問題ないというMYBPC3のような問題を解決するために、研究者たちはCRISPRを使うことが可能かもしれません。
しかし、両方の親からの遺伝子が壊れていた場合、このメカニズムは、それを修復するために使われる新しいDNAを拒否するでしょう。
この研究の焦点は考えられているよりももっと謙虚なものです。時に、両親はMYBPC3や乳がんを引き起こすような変異BRCA遺伝子のように、危険な遺伝子を遺伝させるかもしれないことを知っています。それで、彼らは着床前遺伝子診断を受けた体外受精を試みるのです。
基本的に、これは医者が患者の受精卵が胚に成長する手助けをし、病気の遺伝子を検査して、健康な卵子だけを患者の子宮に戻すときに行われます。この新しい研究における技術は、医者がより高い確率で健康な胚を育てる助けとなり、体外受精の効率を上げるものになるでしょう。そして胚が少なくていいということは、両親にとってはいいことです。
国が違えば、この新しい技術を進歩させるのは難しいかもしれません。人間の胚を使う実験はアメリカでしか合法ではありません。なぜなら、個人から資金提供をされたからです。
遺伝子学的に、胚を人間に成長させることはまだまだ遠い道のりです。胚はたった3日間だけ培養液の中で育ち、4~8個の細胞のごく小さな塊でしかありませんでした。この研究で開発された技術を磨き、そして人間が理論的に使うのに絶対安全だと証明するためには、相当数の研究が必要です。
ですからヘッドラインが何を言おうとも、私たちはこの驚くべき研究に注目しています。私たちの身体がどのような働きをしているのかについて、私たちがまだまだ知らないということを教えてくれる研究でもあります。
そしてどんな結果であろうとも、デザイナーベイビーはもうたくさん、ということにはならないでしょうね。
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