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Viroids: Possibly the Smallest Pathogens on Earth(全1記事)

ジャガイモがまるでショウガに? 不思議な病原体「ウイロイド」の正体

ジャガイモをまるでショウガのように様変わりさせてしまう病原体があります。ウイルスのように自分自身の分身を作ることができますが、その仕組みはウイルスよりはるかに簡単で、とても不思議なものでした。「ジャガイモやせいもウイロイド」と名付けられたその病原体は、今では現代の生命体のDNAやタンパク分子の生きた化石だと見られています。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、不思議な病原体ウイロイドについて解説します。

「ジャガイモやせいもウイロイド」とは?

マイケル・アランダ氏:植物学者テオドール・オットー・ディーナーが地球上でもっとも小さい病原体を発見しました。今まで科学者が見たことがないようなものでした。

それはウイルスのように自分自身の分身を作ることができましたが、その仕組みはウイルスよりはるかに簡単でした。外被タンパク質がなく、わずかなRNAのみで構成されています。

発見当時、科学者たちはこんなものが存在することすら信じられませんでしたが、ウイロイドという名の病原体はどうやら本物のようでした。実際、ジャガイモがウイロイドに感染し、サワークリームをトッピングする食べ物からは様変わりし、まるでショウガのようになってしまいました。

次第に研究者たちは地球上の生命の発端に手がかりが見つかるかもしれないということに気付きました。

植物病害で言えば、「ジャガイモやせいもウイロイド」は、1800年代中期のアイルランド・ジャガイモ飢饉と比較すると生きるか死ぬかという状況ではありませんでした。しかし、農家にとっては死活問題だったにもかかわらず誰も原因を究明することができなかったのでUSDA(米国農務省)が調べることになりました。

テオドール・ディーナーと同僚たちは、ジャガイモの病害がウイルスによって引き起こされているのではないかと突き止めました。サンプルを抽出した結果、今まで知られていたどんなウイルスよりも小さかったので、研究者たちを困惑させました。

テストの結果、発見されたウイルスは既存のウイルスと異なり、タンパク質のコードが存在せず、大量のRNAやリボ核酸がありました。我々が知っているいわゆる微粒子はタンパク質を作るためのテンプレートでした。

当時、どんな小さな病原体であっても、自分自身の分身を作るためには、ある特定数のDNAやRNAが必要になることに研究者たちは気付きました。少なくとも数千ヌクレオチドが必要になります。これは他の生命体と比べると少ないように思えるかもしれませんが、宿主細胞に乗り移って分身を作るには十分な量です。しかし、この厄介者のジャガイモはわずか10分の1で足りてしまいます。

ディーナー氏の謎多き病原体は、本物のウイルスに似ているものの、明らかに異なる点があったのでウイロイドと呼ぶことにしました。

現在、ウイロイドは一本鎖RNAだということがわかっています。

通常のRNAウィルスと異なり、RNAがタンパク質を形成するのではなく、ウイロイド自体が植物細胞の核や光合成が行われる葉緑体に入り込んだりします。すると、ウイロイドは、DNA配列を基盤とするRNAを結合させる宿主であるRNAポリメラーゼを使って分身を量産します。

ウイロイドの中には、ウィルスの複製過程を手助けするためにリボザイムになってRNAを切り落とすことができるものもあります。

現在、ジャガイモ以外の作物を標的にする多数のウイロイドが知られています。たとえば、アボカドに感染するウイロイド、リンゴさび果病を引き起こすウイロイド、そしてホップ矮化ウイロイドがあります。

いくつかのウイロイドはちょっとした表面的な損傷を引き起こすだけで済みましたが、ココナッツに感染するウイロイドをはじめ、その他のものは植物全体を死に至らしめることが多いです。

ただ、卑劣な厄介者もいます。さまざまなウイロイドがそれぞれの方法で植物の中に入り込んでしまいます。農家の人たちは汚染された農具、そして種や花粉のみならず、昆虫に対しても警戒しなければなりません。

感染した植物を食べると次なる感染植物が生まれていきますが、アブラムシは感染した植物を食べながら何百万ものウイロイドのコピーを吸い取ります。幸いなことに、ウイロイドは人間に感染しません。ウイロイドに酷似しているのはD型肝炎ですが、タンパク質形成のためのRNAコードであり、複製しない点で大きく異なります。

たとえウイロイドが感染したリンゴのように我々人間の皮膚に日焼け跡や傷痕をもたらす心配がないとは言え、研究するのは大事です。ウイロイドを研究することによって、我々人間を含めたあらゆる生命の始まりの真相を見ることができます。なぜなら、一部の科学者たちはウイロイドが現代の生命体のDNAやタンパク分子の生きた化石であると見ているからです。

RNAはちょっと変わった分子で、何世代にわたって情報を保存することができ、化学反応に触媒作用を及ぼすこともできます。この2つの作用は分子にとって非常に大事です。多くの生物学者は、地球上の生命体の始まりはRNAであって、進化によって遺伝子に関する情報を保存することができるDNA分子や、働きものの触媒であるタンパク質が誕生したというRNA界の仮説を信じています。

ウイロイドは非常に小さく、回旋状の複製なので一部の研究者にとっては優れたRNA研究の対象です。一部のウイロイドはリボザイム、つまり他の分子に触媒活性を持つRNA分子です。したがって、私やあなたを含めた地球上の生命体にはウイロイドが存在するということです。

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