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We Built a 'Holodeck' for Animals!(全1記事)

動物はVRにどう反応するのか? ネズミやハエが「ホロデッキ」を試した結果

近年盛り上がりを見せるVRコンテンツですが、必ずしもエンターテインメント分野のみに活用されているわけではありません。映画『スタートレック』に登場したホロデッキのようなものを動物たちに体験させることによって、脳のしくみが研究されているのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、ネズミなどに没入型VRを体験させた研究結果と、医療分野における新たな発見の2本立てでお送りします。

没入型のVRを動物に試した結果…

ハンク・グリーン氏:もしあなたが「バーチャル・バケーション」をとりたいと思っているなら、もう少し待たなければなりません。あなたが「ハエ」だったり「アントマン」だったら、話は別ですが。

『Nature Methods』誌で発表された新しい研究によれば、研究者たちが、ちょうど『スタートレック』に出てくるのと同じような「ホロデッキ」(注:仮想現実を作り出すことができる架空の装置)の小型版を作ったと発表しました。それは「FreemoVR」と命名され、ネズミ、ゼブラフィッシュ、そしてハエ用となります。

他のVR技術とは異なり、このホロデッキは完全なる没入型ですので、それを身につけた動物は仮想現実の中を自由に動き回ることができるのです。

将来的に、科学者はこの技術が動物の行動、例えば人が決定を下したり、社会交流をしたりするときの背後にある脳のメカニズムを研究する助けになるのではないかと期待しています。

研究室で動物を研究するとき、その動物が異なる環境下でどのように反応するか、またはグループ内でどう相互作用するかといった可変的な状態をコントロールするのは難しくなります。

そこで仮想現実が助けになるのですが、多くの仮想現実の研究では、研究対象の動物をハーネスなどの器具で押さえ込み、その眼球や脳波のみを見てその反応がどうかを測ることになります。

そうなると、それは本当の自然な相互作用とは言えません。それに、脳も仮想現実装置をつけてランニングマシンの上を走るとき、それを実際の迷路を走り抜けているというふうには理解しません。それらは異なる感覚的経験だからです。

しかし今、科学者たちはハエやゼブラフィッシュ、そしてネズミが使える、手作りのホロデッキを作ったというのです。

これらの動物は人間の生物学的要素と似た部分があるので、よくモデルとして研究対象とされています。それに研究室で繁殖させるのも比較的簡単で、実験のために操るのも簡単です。

この研究では、その動物がホロデッキの環境を本物であると認識するかどうかを観察しました。つまり、彼らの行動が画面上で起こることに合わせて変化するかどうかを観察したのです。カメラが彼らの位置を追跡し、コンピュータがその動物の反応に応じて投影画をアップデートしました。

ハエの研究でのホロデッキは、部屋の壁に画像が投影されるかたちとなりました。そして研究者が仮想の柱を作り出して、ハエがそれを避けるかどうかを見ました。

ネズミの場合は、ネズミが高いところを嫌う傾向にあるので、ホロデッキを円形で可動式の道の上にセットし、床に画像を投影しました。

道の半分は床から上がっているように見え、もう半分はそれより低く見えるようにしました。そうすることによりネズミが低い方にとどまるかどうかを見たのです。

ゼブラフィッシュは通常グループで泳ぎます。それで研究者は特別なボウルを用意し、ビデオゲームのように、宇宙侵略者をたくさん投影しました。

スプライト描画はそのグループ内に一部場所が空けてあり、魚がそこに混ざるかどうかを見ました。また他のテストでは、ホログラムの魚をデザインし、本物の動物がそれと交流するかどうかを観察しました。

これらの実験は成功しました! ハエは投影された仮想の柱を避け、ほとんどのネズミは低く見える方の道に留まり、魚は仮想のリーダーについて泳ぎました。

科学者たちは今、納得のいくホロデッキを作ることができたと考えています。次のステップは、それを用いてこれらの動物たちの脳に関して何が学べるのか実験をすることです。つまり、これがすぐに人間サイズのホロデッキになるとは考えられませんが、それでも、ここまで完成させることができただけでもかなりすごいと言えます。

母乳に含まれる糖分がバクテリアを殺す?

そうしている間に、医薬の分野では、科学者たちが耐性菌の対応について研究を重ねています。なぜなら耐性菌は非常に早く突然変異したり進化したりするので、多くの菌は、私たちが殺菌に使用する抗生物質に抗体を持つようになってしまっているのです。

毎年推定2万3千人もの人たちが、薬が自分の病気に反応しなかったために命を落としているとされています。医師たちは処方する薬に注意するだけでなく、まだバクテリアが抗体を持っていない新たな化合物を見つけようとしています。その中には人間の母乳に含まれているものがあります。

我々はすでに、母乳の中にはたくさんの栄養とバクテリアと戦う炭水化物が含まれていることを知っていますが、今週発表されたバンダービルト大学の新たな研究によれば、母乳にはバクテリアを殺す糖分も含まれているというのです。

1回の予備実験では、研究者たちが5つの母乳のサンプルを分析しました。母乳の中の小さな糖分の混合物、オリゴ糖を取り出し、それをグループB連鎖状球菌と呼ばれる最近の中に入れました。

もし両親がバクテリアに感染していたなら、胎児は生まれてくる過程で感染する恐れがあり、それにより発熱したり、授乳に問題が生じたりすることがあるのです。しかし感染している両親から生まれた子供がみな病気になるわけではありません。そこで研究者は母乳の中に抗体が含まれているのではないかと考えたわけです。

そのサンプルに含まれる糖分の混合物は両親の血液型などの要素に応じて異なりましたが、その全てが有効だったのです。その中の1つのサンプルの糖分はグループB連鎖状球菌のコロニーをほとんど全滅させてしまったのです。

そのほかのものも、少なくともいくつかのバクテリアを殺すことができました。我々はこれが実際どのように使えるのかはまだわかっていませんが、オリゴ糖はバクテリアのDNAを妨害するのかもしれません。

それに研究チームはすでに2回目の研究に着手しています。今回の研究では24種類もの母乳のサンプルが用意され、その研究結果はさらに信ぴょう性があると言えるでしょう。バクテリアそれぞれを殺す以外に、いくつかの糖分はバイオフィルム、つまり粘着性のあるバクテリアのネットワークを保護する物質を分解することができるのです。

バクテリアはねっとりとした有機物により互いにくっついています。そして糖分を抗菌性のあるタンパク質である硫酸ポリミキシンBと合わせます。硫酸ポリミキシンは人間の唾液や母乳に含まれ、感染と戦うためにバクテリアの細胞膜に穴をあけることができるのです。

これに続く実験はまだ発表されていませんが、科学者たちはブループB連鎖状球菌以外のバクテリアで、院内感染を引き起こす菌を殺すことのできる糖分を発見したという報告がなされています。

ですから人間用のホロデッキはまだ開発されていないかもしれませんが、医療の面ではさらに良い治療が受けられるかもしれないということです。

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