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Terpenes: The Most Common Language in the World(全1記事)

地球上で最も使われる言語は“匂い”? 動植物たちのコミュニケーション方法

地球上には、中国語よりも人気があり、英語よりも広く普及している言語があることをご存知でしょうか? 「テルペン」と呼ばれるその言語は、口に出されるわけでもなく、見えるわけでもありません。それは“匂い”によるコミュニケーションとして使われるのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、動物のフェロモンや植物たちのコミュニケーションに使われる「テルペン」について解説します。

中国語や英語よりも普及する言語とは

オリビア・ゴードン氏:たぶん、それを名前で聞いたことはないと思いますが、地球上には中国語よりも人気があり、英語よりも広く普及しており、解説的なダンスよりも普遍的な言語があります。

それは話されてもおらず、見られるものでもありません。それは匂いがするのです。

私は「テルペン」のことを言っています。多目的な化学物質の類で、種の中ではもちろん、種を超えても通信することができます。テルペンは、空腹な微生物の盗み聞きから、決して考えることのない生き物の主要なやり取りの会話まで、あらゆる手段において使われています。

すべての分子が持つ役割は、テルペンが情報通信のために正しい構造をとることだと考えられています。それらは5つの炭素原子を持つイソプレンと呼ばれる有機分子の複数のサブユニットで構成されています。

これらのサブユニットは、一列に並べるか、環を形成するか、またはその両方を行うことができ、3種類を超える既知化合物の多様な種類を作り出します。それは広範囲に及び、テルペンは、ビタミン、ホルモン、または免疫系の一部のような、多くの異なる生物学的機能を持つことができます。

それらはまた、植物の香りの一般的な根源にもなっています。もしかしたら、テルペンがさまざまな種類の大麻に異なる香りを与える化学物質だということを聞いたことがあるかもしれません。そしてテルペンはペパーミントやモミの木のようなものの香りにもなるのです。

これらの匂いが強い理由の1つは、テルペンには揮発性があり、テルペンが蒸発しやすいことです。蒸発しやすいことは通信に非常に便利です。テルペンは遠距離を移動し、他のものによって検出されます。

いくつかのテルペンは同じ種の中でコミュニケーションするために使用されます。その場合、私たちはそれらをフェロモンと呼んでいます。1つの例はアンドロステノールです。これは雄のブタによって放出され、近くの雌豚に交尾にできる状態になるようにと伝えます。

定義上、フェロモンは同じ種の中で交信するためにのみ使用されます。しかし、テルペンは非常に多様であるため、いくつかは完全に異なる王国の間で情報を送信するためにも使用できます。生命のある王国という意味で、指輪物語に出てくるようなローハンやゴンドールのことではありません。

テルペンは、種が互いに通信するために使用する唯一の分子物質ではありませんが、最も一般的なものです。例えば、甘い香りの花がたくさんあると、テルペンを使って受粉してくれる昆虫を寄せ付けます。しかし植物はテルペンを使って動物を遠ざけることもできます。

猫が大好きなキャットニップに含まれる化合物みたいに? 実際は、それは昆虫を撃退するテルペンです。

匂いで会話も可能?

植物はテルペンを化学物質として用い、助けを求めることさえできます。毛虫が間違った葉を選んでいれば、その毛虫を捕食する捕食生物や寄生虫を引き付けるテルペンを植物が放出するので、毛虫が食べられてしまうかもしれません。タバコの植物がタバコイモムシの唾液に反応して、カメムシの類の虫を寄せ付けるような信号を放出するような例があります。

テルペン信号はSOSの「助けて!」という意味合いよりは、「自分自身を守りなさい!」という意味合いが強いでしょう。例えば、同じエリアにある植物が他の植物に草食動物が通過していく場合のための防御を強化するように伝達するケースです。リマ豆の葉は、クモダニに食べられているときにこのような防御を取ります。しかも、まだクモダニが植物に付着していなくても防御信号を出せるのです。

しかし、他のコミュニケーション形式と同様に、メッセージが傍受される可能性があります。例えば、いくつかの種類の原生生物は、異なる細菌の間に送られたテルペンを盗聴することによって、真っ暗な迷路のような場所でも細菌を捕食することができます。検出された特定の化学物質に基づいて、原生生物はテルペン送達者の種を同定することができるのです。

原生動物がバクテリアを食べる種であれば、バクテリアにとっては、自分に一直接につながる道を示すことになります。

私が今までに言及したすべての例は、一方的な方向の会話のみでした。別の生き物は彼らが得た情報に基づいて行動するかもしれませんが、本当に返事を返すわけではありません。しかし、研究者は、テルペンを使った会話のやりとりの方が多いと捉えています。

例えば、2017年4月の『Scientific Reports(サイエンティフィック・リポート)』誌に掲載された論文では、特定の細菌が特定のバクテリアの種類の近くでテルペンを放出すると、バクテリアは芳香剤に反応して移動するだけでなく、細菌に対して自身のテルペンを放出して返事をするのです。

これらのテルペンの1つは、我々が研究した他のテルペンの全てと比較しても、非常に珍しい構造を有するソドリフェンという名前で知られています。基本的に、押しつぶされた2つの環状構造を有し、環上のすべての炭素原子はそれにくっ付く別の炭素原子を有しています。

バクテリアがどのように、あるいはなぜソドリフェンを作るのかまだ完全にはわかっていないので、これらのバクテリアが真菌に何を伝えようとしているかを正確に知るためには、より多くの研究が必要になります。

しかし、種の間のコミュニケーションに一般的でない化合物が使用されているテルペンのこの言葉を解読することは、他の場合と同様、主要な研究分野です。

ほとんどの生物は、1つまたは2つだけでなく、複雑なテルペンの混合物を生成します。これは、幅広い語彙とより複雑な会話を可能にします。ですから、もしも科学者が異なる分子の信号が他の種にどう届くのかを明らかにすれば、私たちはテルペンを使って独自の命令を出すことができるでしょう。

これは、現在使用されている農薬や肥料に代わるものとして、特に農業にとって大きな可能性を秘めています。より多くの研究によって、最終的に飢餓状態の害虫や菌類や細菌の感染から作物を保護し、作物の生育や健康状態を改善するためにテルペンを使用することができるでしょう。これらのテルペンによって、生産する植物や微生物を遺伝子組み換えすることさえ可能かもしれません。

だから、家で面倒をみている植物と座って会話はできませんが、「あとで匂いを嗅ぐからね」と言うことができるでしょう。

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