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Mutant Mosquitoes in Florida(全1記事)

寿命は400年以上!? もっとも長寿な脊椎動物は、意外なあの動物

あなたは脊椎動物の中で最も長生きする種を知っていますか? クジラではありません。実は、サメなんです。北極海に生息するニシオンデンザメ(西穏田鮫)は、400年以上も生きつづけることができます。生殖活動ができるようになるまで150年程度かかるなど、その生態は私たちの想像を超えています。そして彼らの長寿の秘密が判明すれば、もしかしたら我々人類がより長い寿命を獲得することができるようになるかもしれません。YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」。今回は、脊椎動物最長の寿命を誇るニシオンデンザメの生態と、イギリスのバイオテクノロジー起業が生み出した、「蚊を殺す蚊」にまつわる最新の研究を解説します。

寿命400年以上のサメ

人が何世紀も生きられるとすれば、どのようなことが起こるでしょうか。思春期の悩みが、ひいひいひいおばあさんくらいの年齢まで不要であるとしたら? 実は、ある生き物の一生が、まさにそうなのです。

今週(注:動画投稿日は2016年8月12日)刊行の『サイエンス』誌では、地球上でもっとも寿命が長い脊椎動物はニシオンデンザメであると報告されています。なんと、272年以上も生きるというのです。

この発見は記録の更新だけでなく、人間の寿命の研究が進むことにつながります。

ニシオンデンザメは、北極海に生息しており、多くの謎に包まれています。その生態は不明な点が多く、成長過程や、繁殖方法すらわかっていません。

そこで2010年から2013年にかけて、コペンハーゲン大学の研究者が中心となった研究チームが、28匹の雌のサメの目の水晶体を収集しました。

水晶体は、ニシオンデンザメの寿命を判定するのに役立ちます。水晶体には、ニシオンデンザメが生命として発生するごく初期から層を形成する、胎生核というたんぱく質があるからです。

サメの年齢は、放射性炭素年代測定法と数理モデルに基づき推定が行われました。すると、これらのサメは長寿、たいへんな長寿であることがわかったのです。

さて、これまでの哺乳類の世界最長寿は、北極海に生息する別の種族、ホッキョククジラの推定211歳だとされてきました。しかし今回、2匹のニシオンデンザメが、その記録を塗り替えました。なんと、それぞれ335歳と392歳であることが判明したからです。長生きできてよかったですね。

かれらの寿命を調べる理由

ところで、なぜこれらのサメの寿命を調べる必要があるのでしょうか。まず種の保護が理由として挙げられます。ニシオンデンザメは、長く生きるだけでなく、ごくゆっくりと成長します。性的成熟期に達するのは、なんと156歳前後だとされています。僕本人もオクテではありましたが、幸いにもこれ程までではありませんでしたね。

このように、ニシオンデンザメは繁殖可能になるまでに、ヒトの寿命の倍の年月を必要とし、成熟に時間がかかることが判明したため、研究者たちは漁業関係者に、このサメを誤って水揚げしてしまわないよう呼びかけています。

また、ニシオンデンザメの遺伝子には、ヒトの寿命を延ばす秘密が隠されているかもしれません。研究者たちが、ホッキョククジラが他の哺乳類とは異なる遺伝子を持つかを調べたところ、DNA修復の過程におけるDNA複製についてや、加齢やガンなどの病に関連が考えられる突然変異などについて、非常に気になる手掛かりが見つかりました。

実は、遺伝子がなぜこういった細胞を生かしておくのか、どのような小さな突然変異が大きな変化に繋がるのかは、まだわかっていないのです。つまり、ニシオンデンザメのゲノムを解明すれば、ヒトの寿命について、何かがわかるかもしれません。誰だって死にたくはありませんからね。

蚊を殺す蚊を発明

しかし僕にとって、あまり長生きしてほしくない生物があります。蚊です。

先週、アメリカ食品医薬品局は、フロリダ州のラクーンキーにおいて、遺伝子組換を行った蚊を、試験的に放つことを許可しました。この試みにより、蚊が減少するかもしれません。

さて、みなさんは遺伝子組換を行った蚊と聞くと、突然変異を起こした、赤い蛍光色の危険な蚊を想像することでしょう。実際、赤みを帯びた蛍光色ではありますが、この蚊は人間の利となるものです。

この蚊は、OXITEC社が、病原の媒体となるネッタイシマカの個体数減少を目的として開発したものです。ネッタイシマカは、ジカウィルスをはじめ、デング熱やチクングニア熱を発症させるウィルスを運ぶ、媒介動物です。

蚊を放つことにより、蚊が媒介する病気を撃退するというのは、どういうことなのでしょうか。OXITEC社が放出を計画している蚊は、次の世代の幼虫が成熟できないように手を加えたもので、人工的に設計されたDNAをゲノムに注入したネッタイシマカのオスです。このDNAはOX513という組換遺伝子を持ち、この遺伝子を持つ蚊には2つの形質が表れます。

1つは、赤い蛍光色のたんぱく質マーカーで、これは、開発中に組換遺伝子を持つ幼虫を判別するためのものです。

もう1つの形質は、一種類のたんぱく質を過剰生成するものです。これにより他種のたんぱく質を生成するDNAの働きを抑え、蚊は死に至ります。

通常であれば、これら遺伝子のうちの1つでも持っていれば、蚊は2日で死に至ります。しかしテトラサイクリンを投与すれば、蚊は死にません。そこで研究者たちは、研究中はテトラサイクリンを投与して遺伝子組換された蚊を生かしておき、その後に放出します。

これらの遺伝子は、放出された親世代と次世代の蚊の双方に対し、時限爆弾のような働きをします。次世代は、誕生して2日以内に死滅するのです。

結果として、ネッタイシマカの総個体数が減少することになります。OXITEC社は、ブラジル、ケイマン諸島、パナマ、マレーシアで遺伝子組換した蚊を放出しました。その結果、個体数を90%減少させることに成功したのです。

アメリカ食品医薬品局による承認は、長い行程の第一歩にすぎません。OXITEC社が放出を実現するには、フロリダ州当局と現地の自治体との交渉を行う必要があります。しかし、蚊がニシオンデンザメより長生きしないのであれば、僕は満足です。

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