2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山田:まあそういうことですよ。それにちょっと通じるかもしれないですけけど、「せ」というのはこれちょっと。
山田:生理的なことを考えてる。我々は人間なので、「気持ち悪りぃ」とかいう生理的な気分で間違いがわかるときがあるわけ。
久世:間違いがわかる?
山田:これ井上が言ってたんだけど、「このネームは絶対間違ってないんだよ」というネームができるとすんじゃん。だけど、「なんか理屈では合ってるはずなんだけど、なんか気持ちわりぃな」という生理的な。
どうしてこれがわかるかというと、「このキャラクター、普通こんなこと言わねーよ」みたいのが入ってくるんだよ。あるんだよ。流れを優先するために。
そうすると、「最初に設定して、こんなことを言って、こんなことを目的にして、こんなことが好きなやつだったはずなのに、なんでこいつここでなにもしないんだ?」とか、「普通こいつだけ逃げてるよな。だって卑怯なんだもん」とか、そういうやつが見つかるの。それは生理的に判明する。
久世:へえ。
山田:もう1つ、クラシックな少女漫画でけっこう多い視線の誘導なんだけど、視線の誘導ってやっぱり生理的に気持ちいいようになってほしんだよ。
例えば、ここに男の影がある。女の人がここで「あっ」ってなってるとすんじゃん。
それで、この人が振り向いたとするじゃん。その時にこういう描き方する場合、ここで超イケメンみたいな、「キランッ」みたいな。変な絵ですけど、超イケメン出ました。
山田:くらたまの絵みたいだね(笑)。
久世:(笑)。
山田:ってなったんだけど、これこのあと、こうなっている場合、こういう絵が一緒になってる。これ女の子、これ男の子、これ男の子の絵。
視線誘導がこうきて、この人がこれに気がついて「〇〇君だ!」ってなってここ見てる。
このあと、こう来て、こういう人ですよというのがわかる。
それで2人がどういう関係になって、今の場所にいるのかというのがこれでわかるという、この連続の流れ。だから、本当はおかしいんだよ。こいつの横にこのでかい顔があるのおかしいの。
しみちゃん:なるほど(笑)。
山田:もしくは、こういうパターンでいっぱい気持ちいい流れみたいのできる。例えば、すごいセクシーな女の子がいたとして、バーンって。
山田:見たことあるでしょ、よく。
久世:ありますね。
山田:バーンと抜きになってて
久世:3段抜きでね。
山田:それでこの後ろにコマがこうやってあると。この流れとしては、これを見て、これの感想をまずここにいるやつが「わっ」とか言って。
これ完全に生理的なやつなのよ。例えばここになにかあったら邪魔だから、校舎とかあったりとか。
久世:ああ、なるほど。
山田:そう。これを邪魔しないように絵を入れるみたいな。そういう視線誘導。こういうふうな方向で持っていく。
久世:じゃあ、自分の欲望に忠実であってもいい瞬間があるってことですか? 考え抜いたら。
山田:見てできあがったネームがどうも見づらい場合があったら、これ生理的に「うーん、もうちょっと気持ちよくならねーかな?」みたいなっていう流れを作るっていうのが、これ自分で判断する。生理的に。そういうネームみたいな。
久世:へえ、それおもしろい。サービスでサービスで考えて、思考錯誤もして、寸止めも考えて、それでも気持ち悪かったら生理的な問題だから、この理論を放棄して、欲望を優先させて「バーン、ここは描くんだ!」ってやっちゃっていいってことですよね。
山田:そうそう。アクション漫画なんか見てると、本当にこれで描いてる人いっぱいいるんだよ。
しみちゃん:ああ。
久世:生理的な体の流れだけでね。
山田:とにかくもう「ゴムゴムのー……」ってここで溜めておいて、見開きで「ボーン!」でしょ。読んでて気持ちいいわけだよ。
久世:めくる快感もありますしね。ある意味。
山田:そうそう。そのあと飛んでいく人がこういう、上あたり。ここでパーンチですね。
久世:ちょっと投げやりなんですね(笑)。
山田:それで、ここで「おめーいいやつだな」(笑)。
しみちゃん:終わり(笑)。
久世:「この生理的なものの気持ち悪さ、気持ちよさがわかるようになるまでかなり時間がかかりませんか?」というのもコメントで来てたんですけけど、それはやっぱりもう日々の訓練、訓練しかないですか?
山田:いやもうとにかく、自分がかわいいから。
久世:ですよね。守ろうとしますよね。
山田:これ、ないことにしようとするのよ。
久世:「これ気持ち悪くない。だって俺が描いたんだもん。おもしろい。話合ってるし」って。
山田:違う。もう1個の生理的な問題があって。寝たいんですよ。
久世:(笑)。
山田:だから、読んでる人の生理的な気持ちよりも、「もう寝たい」って自分の生理的な感情に負けた場合、これは違うかたちで違う問題になりますから。「オメーが寝るのはどうでもいいんだよ!」。
久世:あ、「さ」が出てきた! 「さ」の人が出てきた(笑)。
山田:そうです。そうなんですよ。サービス産業なんだよ。漫画は。
久世:「ふざけるな! バーン」って。
山田:そう。「なんでこんだけ売れてきたんだよ?」って話は、このへんが全部あるわけ。もうどうしようもないんだよ。
そんで、はいはい、もうこれ誰でもわかりますけど、「そ」と言えばもうこれですよ。イマジンですよ。
久世:おっ、想像。来ましたね。
山田:そう。イマジン。
久世:すごいな。本当に快楽の原則に従っているというか、なんというか。
山田:そうそう。これね、ついつい忘れがちなのが、流れができちゃうじゃん。できて「もういいかな」と思うんだけど、やっぱり「うーん、もうちょっと別のパターンだったら……」と考えて。
久世:うわー。
山田:「ここに来てる女性が1人だけど、3人だったらどうだろう?」とか、もしくは「実は男だったらどうだろう?」とか、いろんなパターン考えてイメージしてみるんだよ。これも思考錯誤の1個なんだけど。
というのと、キャラの気持ちに入り込んで。例えば女性がいたとすんじゃん。この女性がイケメンに会ったシーンだとするじゃん。そしたら「こいつも気持ちどうなのかな?」というところにもう1回入ってみるという。
序盤に妄想して流れ作るじゃん。そのあと作業してるうちに離れるんだよ。神の視点になっちゃうから。だから、もう1回入ってみる、想像してみる。
山田:あと、これめちゃめちゃ大事で、サービスにつながる話ですけど、読んでいるときの読者の気持ちをイメージするんだよ。1ページ目めくった。扉ありました。扉、「ちょっといい感じじゃん」という。「ちょっとこのアオリを見たくなるじゃん」みたいのがちゃんとあったとする。
そして次、最初のページ、たぶん読者はこれを見る。「見たときにどう思うか?」みたいなことを想像して。「ここで説明が4ページあるな、これやばいかも」みたいな。「俺、振られるかも」「俺、グダグダとつまんないこと俺しゃべってるかも」みたいな、そういうのを想像するんだよ。それは読者が今、このページを読んでいる時にどういう気持ちになって読んでいるかなという。
ここで大事なのは、読者も想像力を使いながら漫画を読んでるんだよ。実は。これをバカにしがちなんだけど、バカにできないんだよ。読者の気持ち、想像力みたいな。
久世:なんか想像……最後「さしすせそ」で想像するのって、また最初に戻るような、もう最終チェックって感じしますよね。その世界にもう一度入り直すという。
山田:最後できあがったときに、これネームね、「漫画になったときに、みんなどんな気持ちになるのかな?」というやつを想像するわけ。
久世:最初はもう世界のことを、外部との接触を絶って、スマホなんてバーンって投げつけて、「うるせーよ。なにがお笑い芸人だ。バーン!」ってやってて、その世界のことだけ考えて、さしすせってやって、生理的ものをクリアしたら、最後は「お客さんだったらどうかな?」みたいな。
山田:そうそう。
久世:違う見方でもう1回見るということですよね。
山田:そうそう。やんごとなき人々、貴族の方も読むし、プロの漫画家も読むし、ヤンキーも読むし、お子様も読むしみたいな、いろんな人が読むのが漫画なんだよ。「そういう人たちみんなにこれは伝わるんだろうか?」というのを考えられるかどうかというのが、これがなかなか大事なところなんですよ。
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