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9 Amazing New Arachnid Species(全1記事)

バク転するクモからそっくりさんまで 近年見つかったアメージングなスパイダーたち

クモは知名度の高い虫の1つです。特徴的な外観と、独特な巣は、誰しも一度は見たことがあると思います。そんなクモは、年々新種が発見されています。しかも彼らは驚くべき生態をもつものばかりです。孔雀のように派手な見た目で求愛をするもの、暗い洞窟の中で生きるため目が退化してしまったもの、危険から逃れるためにバク転を身につけたものまで、まさに多種多様です。YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」。今回は、驚くべき新種のクモの世界を解説します。

驚くべき新種のクモたち

マイケル・アランダ氏:ザトウムシやサソリ、ダニなどクモ綱の動物は人気のある動物のグループとは言えません。ほとんどの人がそれらの動物を怖がったり、または単純に害虫として認識しています。

しかし、実は彼らは魅惑的で、世界中の生態系の重要な部分を担っており、過去5年間で多くの新種のクモ綱動物が公式に発見されました。

まずは、クモ綱分野の楽園の鳥と呼ばれる新種の孔雀グモから始めましょう。

たった数ミリメートルのこの小さなクモは、腹がワシミミズクのように見えることから、Maratus buboと呼ばれています。このクモは2016年5月に公式に発表された7つの新しい孔雀グモの一種であり、オーストラリア南西でクモ狩りをしていたユルゲン・オットーとデビッド・ノウルズによって2015年に発見されました。

明るい色をもったオスたちは、パートナーを見つけるために自分の色を見せびらかしたり、印象的な踊りをします。これは、次世代に遺伝子を残すために、自分がどれほど健康であるかを示していると言われています。

オットーと彼の同僚であるデビッド・ヒルは、数十にもわたる孔雀グモを発見して分類をしてきました。そして、ユルゲン・オットーは2015年にこの他に新種を発見しました。この種は、彼がキャンプ旅行の荷物を荷解きしていたときに見つけたクモです。

このクモは孔雀グモのように魅力的なダンスの才能は持っておらず、いないいないばあをするようにメスに求婚を行います。オスは中脚に大きくて毛がふさふさした足を2つ持っており、パートナーを見つける上でとても重要なものです。

見てください、彼はメスの視界に入らないように葉の裏側に隠れ、大きな中足の片方を突き出します。

多くの種のメスグモは、一般的にオスを攻撃したり、殺したり、食べたりします。オットーは、オスのクモが振っている脚に、メスグモが攻撃していることに気づきました。そのため、オスのクモがメスを疲れさせて服従させようとしていると思っていました。

しかし、最終的に男性はあきらめて急いで遠ざかったのです。さらなる研究により、それがメスの性格、またはメスが以前に交配したことがあるかどうかを調べるているのだとわかりました。ある特定のクモは一度だけしか交配をしないため、もし彼女が攻撃的であれば、もうパートナーを探していないということかもしれません。

しかし、オスの求愛行動をしばらくのあいだ容認している場合、オスはそれを子どもを作るための招待と認識します。

アクロバティックもいけるクモ

次のクモは、華麗な装飾は持ち合わせてはいませんが、フリックフラックやバック転のような独特な動きをするクモです。

一見、普通のクモのように動きますが、驚いた時にその衝撃がかすかな転倒に変わり、危険から離れてまっすぐに転がっていきます。前方または後方にも反転することができます。

しかし、通常の場合このクモは、前足を押し出して前転をするように砂上をかけまわったり、斜面でさえ転がって登ることができます。このように動くのはこのクモしか観測されておらず、人間のジョギングのスピードにさえ追いつくことがあります。

しかし、このようなエネルギーを多く必要とする移動は、緊急事態のためだけにとっておく必要があります。そうでなければ、このクモはいつも疲れ切った状態ですよね。

このクモは、2009年にモロッコのサハラ砂漠を訪れていたベルリンの生物学者であるインゴ・レヒェンベルクによって発見されました。レヒェンベルクはクモの転倒運動にとても感銘を受け、その動きを模倣し移動が困難な地形の砂上でも移動が可能なローリングロボットを作りました。

そして彼はフランクフルトにいるゼンケンベルク研究所の技術者でピーター・イェガーにこのクモを見せ、ピーターが2014年に正式にこの新種を公表して、発見者の名前を付けました。

クモの目はいくつ?

クモはいくつの目を持っていると思いますか?あなたは8つあると思うかもしれませんが、常にそうとは限りません。ラオスの洞窟でピーター・イェガーによって発見されたこのアシダカグモの新種は、目を全く持っていません。

もしあなたが真っ暗な世界で人生を過ごすのであれば、視覚は全く役に立たないので、匂いや触覚のような他の感覚にエネルギーを使う方が良いでしょう。したがって、地下深くの水中、または洞窟に住む動物は、進化の歴史のなかで視力を失うことは珍しいことではありません。

しかし、このクモの場合、盲目というだけではなく完全に目がないのです。レンズもなく、光を検出する色素もなく、恐ろしい牙の上には滑らかで特徴のない顔しかありません。

イェガーはラオスの洞窟で他にも新種のアシダカグモを見つけましたが、それらどの種も完全には目を排除していませんでした。そして、それらの種には完全に見える8つの目を持っているものから、あまり機能しない目の持ち主まで様々です。

このような似た環境に生息しているにも関わらず、なぜこれらのクモは異なる方法で世界を見ているのかを学ぶ必要があります。多くの人がスパイダーマンの起源の話を何度も繰り返しますが、科学者にとってはクモの起源のほうがはるかに神秘的なのです。

古代のクモは糸が吐けなかった?

しかし、2016年3月に公表されたフランスの原生蜘蛛の化石に関する新しい研究では、古代の物語を多く語っています。

実際に、研究者たちはギリシア神話にちなんでこの原虫の名前をつけていました。アラクネーは、染織業を営むイドモーンの娘であり、その傲慢さから女神アテナによってクモになってしまいました。

3億5千万年前のこの化石は驚くほどよい状態であったため、マンチェスター大学のラッセル・ガウッド博士率いる研究チームは、高解像度のスキャニング技術を使って詳細に再現された仮想化石を作り出しました。

それによって、彼らは現代のクモと比較することで研究をすることができます。一見、クモのように見えますが、現代のクモが持つ糸を生成する器官である吐糸管が見られません。

そこで研究者たちは、この原虫が糸を作るとてもシンプルな方法を持っていたと考えています。しかし、吐糸管がなければ、糸を単に吐き出すだけで複雑なクモの巣を作るのに十分ではなかったでしょう。そのため研究者たちは、それが現代のクモの直接の祖先ではなく、古代のいとこであると考えています。そして、吐糸管はクモの歴史が枝分かれした後の時代に現れたはずです。

オレゴン山脈の南西に位置する森林には、クリプトマスター・ビヒーモスと呼ばれる生き物が生息しています。

サスペンス映画にでてきそうですが、この小さなモンスターは実在する生き物です。しかし、正確にはクモではなく、一部の人々にあしながおじさんと呼ばれているザトウムシの一種です。1969年にはクリプトマスター・リヴァイアサンが発見され、その謎の行動や他のザトウムシと比べて大きな体をもっていることからその名前が付けられました。

今年1月までの何十年もの間、クリプトマスター・リヴァイアサンは一種だけの生物と考えられていましたが、実際はそうではありませんでした。サンディエゴ大学のチームは、オレゴン州南部の14の異なる地域から、77匹のクリプトマスマスター・リヴァイアサンを収集しました。

そして、厳密な身体部分の測定、生息地のマッピング、および遺伝子分析の結果から、クリプトマスター属が実際には2種であることを確認しました。そのため、研究者たちはこの姉妹種の名前を選ぶ必要があり、聖書のリヴァイアサンと一致するのにふさわしいものに決めました。

そう、ビヒーモスです。

クモの仲間、ダニもすごい

あなたの顔の上に生息しているものや、ベッドに生息しているものも含め、ダニはクモ綱の中でも最も小さく多様なグループのひとつです。

このオオカミオオハダニと呼ばれるウジ虫のようなダニ種は、オハイオ州立大学キャンパスの土壌でサミュエル・ボルトンによって発見され、2014年に公表されています。普通に見ると全くわかりませんが、電子顕微鏡で見るとまったく新しい種であることが明らかです。

酵母や細菌のような単細胞生物をエサとする体液だけの微生物です。ボルトンのチームはこのダニの複雑な口を研究し、その摂食習慣はハムスターとゴミ圧縮機を足して2で割ったようなものだということがわかりました。

そして彼らはダニが土の中を進む時に、口の近くにある特殊なカップ形の毛で、分子間力によって微生物を引き付けているという仮説をたてました。微生物たちはその口の上の小さなポーチに保管され、時が来たらピンサーをそのポーチに押し込み、保管された微生物の美味しいジュースをすべて放出するまで細胞を粉砕します。

ボルトンのチームは自分たちの理論を立証するオオカミオオハダニの捕食行動を観察できていませんが、このテクニックは貧しい土壌でも栄養価の高い微生物の群れをたくさん抽出することができると考えています。

新しいクモ綱の生物を発見するには、時には鼻の中も覗いてみる必要があります。研究者のトニー・ゴールドバーグ氏もそうでした。2012年にウガンダのキバレへの研究旅行の後、彼はウィスコンシン大学マディソン校の研究室に戻ったところで、右鼻孔に痛みを感じました。

そして彼はダニを発見したのです。

これら吸血ダニは皮膚につかまることでよく知られていますが、鼻のなかまでいるとは知られていません。そして、このダニのDNAは既知の種と一致していなかったので、新種であるということがわかりました。さらに理解を深めるために、彼のチームはより詳しく研究をする必要があります。

しかしこのダニは、異なる種類の研究の促進に役立つこととなりました。ゴールドバーグは、人間と動物の間で伝達される病気を研究しています。そして、ダニはとても厄介な病気を広げる可能性があるため、キバレのチンパンジーにもこのような鼻の傷があるかどうか調べたいと思っていました。

彼は顔面発達に関する独自の研究のため、同僚を呼び出し数百にもおよび若いチンパンジーの顔を撮影したところ、彼らの少なくとも2割には鼻孔の密航者たちが生存していました。鼻の中で迷子になって死んでしまうことも少なく、サル達の毛づくろいを避けるための生存戦略のようなものです。

クモ? それとも…

ブラジルは地球上で最も生物多様性の高い場所のひとつであり、新しい種を見つけるのには最適な場所です。そのため、リオデジャネイロとコペンハーゲンから来た2人の研究者たちは、ブラジルのホイップ・スパイダーの数が近隣の国に比べて不思議なほど少ないと感じ、彼らはこれが真実なのか、それとも研究上のギャップなのかを調べました。

ホイップ・スパイダーは、名前とその外観にもかかわらず、実際にはクモではありません。

彼らはほとんどのクモのように吐糸管や毒を持っておらず、昆虫や小さな脊椎動物の獲物を捕まえるために棘のような爪状の歩行器を使います。「ホイップ(鞭)」は、触覚感知器や化学センサーとして機能する前足のことで、彼らが生息する洞窟や森の地面を移動するのに便利です。

彼らは、ブラジルのホイップスパイダーが観測できる博物館をアマゾンから探し出し、Charinusと呼ばれる1つの種に焦点を当てました。標本の足、目、生殖器を丹念に測定した結果、彼らはブラジルに生息していた8種類にもおよぶ新種のクモを発見しました。

そして、ダム建設や森林伐採、鉱業によってホイップ・スパイダーの生息地が脅かされているため、これらの活動は地域の生物多様性を理解するのに役立ちます。時にはクモたちの悪い評判を聞くことがありますが、これらの新しいクモたちは地球上で彼ら自身のすばらしいストーリーを持っているのです。

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