2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
9 of the Most Abundant Animals on Earth(全1記事)
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ある種の動物は、どこででも見ることができます。たとえば、ハトは1羽いれば、他に百羽はいるはずです。これに比べれば、世界にトラがわずか数万頭しかいないのは、なんだか気の毒な気がしますね。
このように、一定の種の動物が、大量に生息できるのは、どうしてなのでしょうか。
環境学者が言うところの「栄養構造」、もしくは食物連鎖とは、生物がそれぞれ別個の場でエネルギーを摂取し、一方で自らが食物となり他の生物へエネルギーを提供するさまを指します。
植物やある種の微生物は、日光を使って自ら栄養を産出します。これらの生物は小さな消費者により摂取され、さらに大きな捕食動物により捕食されます。こういった個々のグループは、別個の栄養段階に分けられ、より大きな消費者にまで行き渡るエネルギーは、そのうちのわずかな一部です。
言い換えれば、シャチのように、頂点に立つ捕食者が地球を席巻することは、難しいことなのです。大量に繁殖する生物は、栄養構造の底辺を占め、どこにでもある食物を摂取し、あらゆる場で生きています。時には人間をも巧みに利用します。
こういった生物の頭数を把握するには、あまりにも数が多すぎるため、科学者たちは推量を用いています。
さて9種の生物は、たいへん多く生息しています。ドバトはそこらじゅうにいるように見えますが、他の鳥類に比較すれば、実はたいした数ではありません。
コウヨウチョウは、世界でもっとも数の多い野生の鳥だと言えるかもしれません。
見た目はかわいらしく、赤いクチバシを持ち、精巧な巣を作るフィンチ類なのですが、農家にはたいへん恐れられています。アフリカ大陸全土においては、150億羽ものコウヨウチョウが生息するとみられています。
コウヨウチョウは、何百羽もの群れをなして渡りを行い、ねぐらにする木々を一夜で損傷することで知られています。
彼らがこれほどまでも大量に繁殖できた一因として、その食物が挙げられます。コウヨウチョウは、あらゆる種を餌にします。種がどれほど大量にあるかは、よくおわかりでしょう。人間が、農耕を始めて穀物を栽培するようになってから、これは特に顕著になりました。
コウヨウチョウは、穀物畑に疫病神のように群れをなし舞い降りては、1羽につき1日で12グラムもの種を食べてしまいます。コウヨウチョウが、農家にとってたいへんな害鳥とされているのは、なんら不思議ではありません。
食物が豊富にあれば、コウヨウチョウは1シーズンに倍数にまで増殖し、ますますその数を増やしています。コウヨウチョウは数が非常に多いため、栄養段階のバイオマスにおいて大きな割合を占め、自然界には彼らを食べる捕食動物や腐食動物がたくさん存在します。
さて、深海は人間には馴染みの薄い世界ですが、たいへん豊かな生命の宝庫です。地球上でもっとも数の多い脊椎動物は、恐らくみなさんが目にしたことのないヨコエソ科の魚類です。
ヨコエソ科に属するオニハダカ属は、何兆もしくは何千兆匹が生息すると考えられています。小さく生物発光性のある深海魚で、尖った毛状の歯を持っています。これらはさらに大きく強面の深海魚に捕食されます。しかし、深度5キロメートル近い深海に生息しているため、あまりその生態は知られていません。
しかし海は広く、地球の居住可能な生物圏の99%を占めています。つまりヨコエソ科の魚類が、ある一定の深度まで幅広く生息可能であるとすれば、相当数が生息していると考えることができます。
さて、もっとも生息数の多い両性類が何かを突き止めるのは、その大多数の生息範囲があまりにも広いため、困難です。しかし恐らくは、カエルがそうだと言えるでしょう。特に多いのが、アフリカツメガエルです。
アフリカツメガエルは、生命力の強い小さなカエルで、生きた昆虫から魚、生ゴミに至るまで、あるものすべてを食べることができます。さらに、どんな水でも生息可能であり、どんな気候や場所にも適応し繁殖することができます。原産地はアフリカですが、人間によって世界各地にもたらされました。
その理由は、妊娠判定テストにあります。
1940年代に研究者たちは、妊娠したヒトの尿をアフリカツメガエルのメスに注入すると、そのカエルはタマゴを生むことを発見しました。とても不思議な現象ですが便利であるため、アフリカツメガエルは各国の研究所で繁殖され、やがてはペットとして飼われるようになりました。
1960年前後、一定のホルモンを検出する、より画期的で簡易な妊娠判定テストが開発され、大量のアフリカツメガエルが捨てられました。アフリカツメガエルは今日でも、研究所で実験動物として使われていますが、野生化したものが、世界中の池に潜んでいるのです。
地球上でもっとも多い哺乳類は、70億超いる私たち人間です。人間は、通常の法則や生存戦略には縛られません。しかし昔ながらの栄養構造に属し、人間よりも多く生息する哺乳類がいます。
人間がネコを飼う原因となった、イエネズミです。イエネズミの数は、世界中の人間とほぼ同数という試算もあります。イエネズミは繁殖が早く、人間が保存する食品、特に穀類はすべて食べることが可能で、糊や石鹸までも食べてしまいます。
食物をもたらし穀類を栽培する人間が世界中に拡散すると、イエネズミがそれに便乗するのは簡単でした。人間が住むところであれば、イエネズミもまた生息できるからです。イエネズミは、建物の隅や割れ目に巣を作ることを好むため、人間は彼らに豊富な住処をも提供してやっているわけです。
イエネズミは害獣とされていますが、人間が「地球の頂点に立つ」過程において、その底辺部にうまく便乗した、抜け目ない動物なのです。
もっとも数の多い軟体動物、つまりタコやイカ、カタツムリやナメクジも含む貝類のことですが、候補として挙げられるのは、ヒメリンゴマイマイでしょう。
ヒメリンゴマイマイはヨーロッパ原産で、たくさんの小さな捕食者のエサとなりますが、南極大陸以外のすべての大陸に、人間によって持ち込まれました。植物を主食とし、どんな植物でも食べるため、たまたま持ち込まれることもありましたが、一方で、意図的に持ち込まれることもありました。人間が食べるためです。
エスカルゴ、と言われれば聞き覚えがあるでしょう?
しかし、ヒメリンゴマイマイの繁殖力は、人間の食欲を上回りました。湿気があって食べられる植物があるところにはどこでも住み着くため、害虫と見なされています。彼らが住める場所は、それこそどこにでもあります。
さて、数だけなら他のグループの生物を恥じ入らせるような、無脊椎動物の一門、節足動物を見ていきましょう。
地球上の昆虫のうち数において勝るのは、世界中に何千兆匹もいるアリです。さらに何千種もいるアリのうち、もっとも数が多いのはアルゼンチンアリです。
アルゼンチンアリは南米原産で、人間の船荷にヒッチハイクし南極大陸を除いたすべての大陸に持ち込まれました。アリは社会性のある動物であり、特にアルゼンチンアリは、繁殖担当の女王アリが1匹だけいるものと異なり、大量のメスが産卵するおかげで、コロニーを急速に巨大化させることに長けています。
コロニーによっては、地中海沿岸、西日本、米国カリフォルニア州などにおいて、何千何百キロにも渡り拡大しています。アルゼンチンアリは、あらゆるものを食料源として利用します。甘い蜜を分泌するアブラムシなど、他の昆虫を飼育することなどが知られています。
アルゼンチンアリは数の力でしぶとい上に、人間によって図らずも、世界中にもたらされてしまいました。
次にご紹介する生き物は、トビムシ目です。最近まで昆虫とされてきましたが、独自の分類が作られました。トビムシには6本の足があり、跳躍力のある器官を持ち、驚いた時に跳ねて逃げることから、その名がつけられました。
トビムシは、外部の口で物をかみ砕く昆虫とは異なり、内部の口部を用いて、菌のカケラから死んで腐敗した生き物まで、あらゆるものを食べます。
トビムシはたいていが小さく、研究者によれば、世界中の土で1平方メートルあたり膨大な数が生息していると考えられています。降雪地域も例外ではなく、黒い点のようなユキノミを見たことがある人もいるでしょう。
ユキノミは、たいていの節足動物よりも低い温度において生存が可能です。低温により細胞がダメージを受けにくい、天然の不凍たんぱく質を分泌するからです。このように、トビムシ目はどこででも生息が可能なため、生態系において重要な役割を果たし、小型の節足動物の捕食者にとって安定的な食糧源となっているのです。
甲殻類ではオキアミが、海における数の多い栄養構造の代表選手です。特に、500兆匹はいると推定されるナンキョクオキアミは、南洋の食物連鎖の全体を支えています。
小さなナンキョクオキアミが濃密に集まった大群は、長さが何キロにも及び、海水がオレンジ色に見えることもあります。
ナンキョクオキアミは植物プランクトンをエサにして、クジラやペンギン、アザラシや魚など、冷たい海に住むほとんどの動物のエサになります。
ナンキョクオキアミのバイオマスの推定は膨大なもので、何十億トンにも及び、地球上のすべての人間の総重量よりも重いとされています。人間1人あたりが、ナンキョクオキアミよりはるかに重いことから考えると、度肝を抜かれるような計算です。
しかし甲殻類の一種は、地球上のすべての生物の数を圧倒し、ひょっとしたら多細胞生物よりも多いかもしれません。
それはカイアシ類です。カイアシ類は、何の変哲もない動物プランクトンで、水中を漂う小さな生き物です。
世界でも大きな漁場が、このうちのカラヌス属の上に依存しています。カラヌス属はオキアミのように、大きな群れを作って生息し、植物プランクトンを食べては、食物連鎖の他の生物すべての栄養源として生きています。
カイアシ類は、見た目よりも抜け目がありません。海洋生物の多くが、周りの水中に漂っているものを何でも漉しとって食べるのに対し、カイアシ類は離れた場所にいる植物プランクトンを察知し、積極的に攻撃することができるのです。たくさんの生物のエサにはなりますが、捕食者から速やかに逃げることもできます。
さらにカイアシ類は、海流に乗って漂い無性生殖的に繁殖する、他の多くの小さな生物とは異なり、自分から相手に会って繁殖できる点でも長けています。定期的な繁殖能力は、進化する上での強みでもあり、変化や適応力でも勝っています。
人間が、カイアシ類やその他の数が多い生物から何事かを学べるとすれば、それは食物連鎖の底辺にいることは、それほど悪い話ではない、ということかもしれません。食物は豊富にあり、人間のようなより大型の生物を利用でき、世界中に拡散できるのですから。
私たちは、トラのような大型の捕食者が生存に長けていると思いがちですが、こういった小さな生命もまた同様であり、生態系において重要な役割を果たしているのです。
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