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A New Male Birth Control? (全1記事)

男性の新たな避妊薬「ベイサルジェル」は実用可能か?

避妊といえば、どんな方法が思い浮かびますか? 男性の場合であれば、コンドームか、精管切除と言われる、外科医が睾丸から精子を送り出す精管を塞ぐ手術くらいしか選択はありません。安全性の研究がいくらかされてきたとはいえ、男性の避妊薬は、研究所から商品として世に出たものはいまだないのです。しかし今週の「Basic and Clinical Andrology」誌の記事によると、ある科学者のグループが「ベイサルジェル」と呼ばれる、比較的新しい男性用避妊薬に関して、いくつかの進展が見られたと発表したのです。今回のYouTube科学系チャンネル「SciShow」では、新たな避妊薬になるかもしれない「ベイサルジェル」について紹介します。

男性避妊薬で新たな発見

ハンク・グリーン氏:もし私があなたに、「避妊薬」を思い描いてくださいと言ったら、頭に浮かぶのはなんですか? ピルでしょうか? パッチでしょうか? 避妊リングでしょうか? もしかしたらインプラントですか?

しかしこれらはすべて、生物学上の女性に対してのオプションです。生物学上の男性は、コンドームか、精管切除と言われる、外科医が睾丸から精子を送り出す精管を塞ぐ手術くらいしか選択はありません。

安全性の研究がいくらかされてきたとはいえ、男性の避妊薬は、研究所から商品として世に出たものはいまだありません。しかし今週の「Basic and Clinical Andrology」誌の記事によると、ある科学者のグループが「ベイサルジェル」と呼ばれる、比較的新しい男性用避妊薬に関して、いくつかの進展が見られたと発表したのです。

「ベイサルジェル」とは粘りのあるポリマージェルで、精管にそれを注入すると、精子をブロックするため、出て行って精液と混ざることがなくなります。

精液はまだ作られますから、性交時はそれまでと通常通りになります。しかし、精子がありませんから、受精もありませんし、もちろん妊娠もありません。それにこの方法は元に戻せる避妊薬としてデザインされていますから、理論上、科学者はジェルを分解し、2回目に重炭酸ナトリウム液を注入することによりジェルを洗い流し出すことができるというわけです。

重炭酸ナトリウム、つまりただの重曹でいいのです! この方法を人間で試す前に、科学者はその安全と効力を、ネズミやウサギなど、たくさん交尾をすることで知られる動物で実験しました。その研究の中で、「ベイサルジェル」をカリフォルニア州国立霊長類リサーチセンターにいる、16匹の大人の雄のアカゲザルに注入しました。

彼らは施術の後も健康体で、通常の猿の生活に戻って行きました。メスと同じ部屋に入れられたら、妊娠可能なメスと交わり、交尾をしていました。なかには続けて雌猿と丸々2年も住み続けたにもかかわらず、赤ちゃんが生まれることはありませんでした!

このような100パーセントの成功率があるものの、「ベイサルジェル」が安全に人間に用いられるようになるには、まだまだ時間がかかります。16匹の猿は大規模な研究のなかで十分とはいえませんし、副作用もまだ若干あるからです。

1匹の猿の手術中、一方にジェルが注入されていなかったため、研究者はその猿に一部精管切除をする羽目になってしまいました。ほかにも精子肉芽腫、つまり、精管の外に精子の瘤ができて痛みを引き起こすようになってしまった例もありました。しかし研究者たちはすでに集めてあったほかのアカゲザルのデータにも目を止めました。

それによれば、精子肉芽腫は「ベイサルジェル」を注入された猿より、精管切除された猿のほうによく見られることがわかりました。それにこの研究では「ベイサルジェル」を洗い流すところまではしていないため、霊長類にとってこれがどれほど元に戻すことができるのかはまだわかっていません。ですから「ベイサルジェル」が避妊薬のオプションとして世界に広まるまでにはさらに山のような課題があるのですが、前途有望なスタートを切ったと言えるでしょう。

ヒドラの「再生」

動物の交尾は興味深く、すべての種がさまざまな方法で繁殖しますが、動物に見られる、さらに奇妙なことがなにかご存知ですか?

「再生」です。ヒドラという、淡水に住む柔らかい筒状の動物がいます。彼らは神話上の海にいる蛇やマーベルコミックの敵キャラなどではありません。彼らは再生を非常に得意とします。

もし彼らをとても小さく、形がなくなるほど、ただの組織の塊にまで細かく切り刻んだとしても、たった2日で、触手、口、そして粘着力のある小さな足に至るまで、完全に再生することができるのです。

このスーパーパワーはたくさんの疑問を抱かせます。例えば、ただの組織の塊がどのようにして、どれくらいまでどこに再生すればいいのかを知っていて、奇妙なフランケンシュタインのように、余分な触手や3つの頭を作り出すことなく再生できるのか、という点です。

イスラエル工科大学の研究者たちは今週「Cell Press」誌にある論文を発表しました。そのなかで組織の物質的構造が再生するのにいかに重要であるかが述べられています。ヒドラは細い、平行なアクトミオシン繊維が、まるで私たちの筋肉組織のように体全体に走っています。それらの繊維を収縮することにより、動きまわることができるのですが、実はこれらの繊維の列が、すぐに切り刻まれた組織を再生するのに非常に重要なのです。

ヒドラは非常に単純な構造をしています。体の軸に沿って、頭が1つと足が1つ付いているだけです。

再生もかなり単純な始まり方をします。組織の塊がねじれて1つの回転楕円体という球体になります。

球体の中にあるアクトミオシン繊維の列が構造をレイアウトし、それが新たなヒドラの体全体に受け継がれます。ですから研究者たちはどのように異なる組織の塊が回転楕円体を作り出すのか、そしてそれが再生にどのような影響を与えるのかについて研究したかったのです。

なぜならこれは急激に悪化することがあるからです。四角い細胞組織の塊はとてもよく折りたたまれています。なぜならアクトミオシン繊維は安定して整列していて、外側の角は柔軟性があり、繊維のリードに倣うことができます。その反面、ヒドラをスライスすると切れ目のないリング状ですから、上手に折りたたまれることはなく、形成された回転楕円体にはアクトミオシンが多様に整列したさまざまな部位があります。

ですから、再生されたヒドラはもっと変形していて、通常体の軸がいくつもあります。口が2つあったり足が2つあったりするのです。

オープンリング状にするとさらに悪くなります。その余分なカット部分がアクトミオシンが整列するのを難しくさせるのです。

しかし興味深い点がこれです。研究者たちがそれらのリング状の破片に細いプラチナのワイヤーを通すと、正確に、しかも早く生成される傾向になることがわかったのです。もしかしたら、それかアクトミオシン繊維のガイドとなったからかもしれません。

この新しい研究は、化学的信号だけが成長と発達と関係があるだけでないという案を支持するものとなります。なぜなら身体的力は多くの面で細胞に影響を与えるからです。

ヒドラの再生はちょっと過剰であるかもしれませんが、人間が傷を癒したり、胎児が成長するのと似ています。ですからこのような柔らかい小さな筒状生物から私たちが自分たちについて学べることはたくさんあるのです。

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