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What Happens to My Wool Sweater in the Washer?(全1記事)

セーターを洗濯すると縮む科学的な理由

ウール(羊毛)でできたニットやセーターは、普通に洗濯機で洗濯をすると縮んでしまいます。そのため、汚れた場合は手洗いをしたり、ドライクリーニングをしたり、ひと手間かける必要がありますよね。では、そもそもなぜウールは洗濯によって縮むのでしょうか? 科学的には、2つの理由が存在します。1つは、ウールの主成分がタンパク質であること。もう1つは、ウールの表面がキューティクルによって覆われていることです。今回のYouTube科学系チャンネル「SciShow」では、ウールでできたニットやセーターの科学について解説します。

ウールが縮む理由は2つ

ハンク・グリーン氏:こんな失敗をしたことはありませんか? ふだん着ているセーターが若干匂ってきたので洗濯機に放り込みました。

洗濯が終わると、セーターは縮んでいたり、ほつれて穴が空いていたり……。もしかしたら縮んで穴が空いてる両方のパターンかもしれません。

なぜこんなことが起こるのでしょうか?

答えはすすぎが始まるまでの工程にあります。ウール製品を洗濯機に放り込むべきでない2つの理由は、どちらもウールの特性と関係があります。

1つ目は、化学繊維や植物繊維であるポリエステルやコットンとは違い、ウールは羊の毛からできているため、主成分はタンパク質であることに理由があります。これが問題になります。

今でこそ、洗剤に石鹸を使う家庭はありませんが、洗剤の主成分にもある酵素が含まれています。酵素は化学反応を起こす生体分子のことで、洗濯機に投入された洗剤に含まれている酵素は、ほかの生体分子を分解するはたらきを持っています。

アミラーゼはデンプンを分解し、リパーゼは脂質を分解し、プロテアーゼは……タンパク質を分解します。

プロテアーゼは服に食べこぼしをした時に威力を発揮しますが、残念ながらケチャップのタンパク質とウールのタンパク質を区別できません。

その結果、洗濯機から取り出したセーターを着てみると大きな穴ができてしまって捨てるしかない事態になるんですね。

これは絹のようなほかのタンパク質でできた服も同じですよ。

2つ目の理由であるウールの構造はもう少し複雑です。ウールは、キューティクルというザラザラした表面をしており、互いに重なり合っています。

羊はこのザラザラが気にならないどころか、毛をまとわりつかせておくことができますが、繊維に加工すると話が変わってきます。

洗濯機で水と一緒にかき回すと、繊維それぞれが面ファスナーのように絡み合ってしまい、元に戻せなくなります。

つまり、繊維そのものが縮むのではなく、それぞれ独立していた繊維がひとまとまりになってしまい、周りの生地を引っ張った結果として縮むわけです。

このやり方を使えばフェルト生地を作ることができますが、お気入りのセーターでやるのはオススメしません。

どうしてもウールを洗濯機で洗わなければいけない時は、冷たい水とウールに対応した洗剤を使って激しく回さないようにしましょう。一番いいのは、やっぱりドライクリーニングに出すことですね。

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