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Springs, Bows, and Gears: Amazing Animal Jumpers(全1記事)

カンガルーやバッタの驚異のジャンプ力の秘密

オリンピック選手など、人間のなかにも高い身体能力を持った人はいますが、動物や昆虫のなかには、人間をはるかに上回るものもいます。今回のYouTube科学系チャンネル「SciShow」では、人間以外の生物たちのジャンプ力について、科学的に解説します。

カンガルーのジャンプ力

オリビア・ゴードン氏:すばらしい跳躍力を持つアスリートは、高跳びや幅跳びにおいて人間の限界を超えていきます。また、バスケットボールやバレーボールの選手たちは、強さと耐久性を兼ね備え、体を傾けてスラムダンクを決めたり、スパイクを打ち込んだりします。

しかし、耐久性、スピード、強度については、動物たちの方が数段上をいきます。体を弓や矢、歯車にように使い前へ、上へと向かうのです。

カンガルーのジャンプを知っていますよね? あれが彼らの能力です。袋に入った可愛いカンガルーの子供に加えて、奇妙なたくましい胸の筋肉もその一部です。彼らは走る代わりにジャンプします。そして食料や水の資源がある何百キロも離れた広いへき地を、何時間もジャンプし続けられるのです。

長い距離を旅することはとても大変です。しかもエネルギー補給をできる高価なプロテインバーやスポーツドリンクは持っていません。もし彼らが筋肉の力のみに頼っているのなら、疲れについてはお話する必要もありませんね。彼らはエネルギー十分なバネのように脚を使っているのです。

カンガルーは有袋類で、私たちのような哺乳類とは近い種類になります。私たちの脚は似たような繊維組織と構造を持っています。これは筋肉と骨を繋ぐ足首にある腱のようなものです。

しかしこの腱には注目すべき違いがあります。人間の腱は強いですが、やや張りがあります。しかし、カンガルーの腱はストレッチするようにできています。天然のホッピングにようなもので、腱はカンガルーが地に脚をつけた時にエネルギーを吸収し、次のジャンプに備えて飛び立つ時にそのエネルギーを放出します。

彼らの筋肉はジャンプに必要ですが、少なめの力でそれを行うのです。このホッピングシステムはかなり効率的です。走る時に、筋肉をたくさん使えば速くなれる人間とは違い、カンガルーの筋肉はすべてのジャンプ幅で同程度の作業をできるのです。

ジャンプの速さや距離を微調整するために踏み出す方向を変えればいいだけなのです。効率的というのはカンガルーが多くの耐久性を持っているということです。ただ次の食料を見つけるためだけに、オリンピックのスプリンターのペースで長い距離を移動していきます。

昆虫にもすばらしいジャンパーが

耐久性というよりも、イナゴは爆発的で速いスピードのジャンプ力を持っています。彼らは30ミリ秒で飛び立つことができます。瞬きの数倍の速さです。捕食者に見つかった場合、この能力のおかげで捕まりにくくなるのです。

カンガルーのように、彼らのジャンプもエネルギーの保存と放出によるものです。しかし、カンガルーの脚がバネのように働くのに対し、イナゴの脚は弓のような働きをします。弓は力を増幅させます。弓のつるを引くと、弓は上半身の筋肉からエネルギーを貯えます。そして、素早く矢を撃つために一瞬でそれを緩めるのです。

弓を引くだけで、筋肉は早くも強くもなりません。エネルギーを溜めて、送り出す道具なのです。この場合、イナゴの弓は膝にあり、半月プロセスと呼ばれる弓の形をした部分を指します。

まず最初に危険のサインを感じると、半月プロセスの中でイナゴはその大きな太ももの筋肉を絶えず引き締め、緊張を溜めておきます。自体が緊迫してくると、その緊張を緩和します。後脚の筋肉メカニズムを爆発させ、危険から猛烈な勢いで逃げ出します。

軽量で、高威力で長続きする弓とは、木と角のように、2つの異なる素材を合わせる混合の弓です。これがイナゴの膝に起こるのです。半月プロセスは硬い表皮とレジリンと呼ばれるタンパク質のゴムのような層からできています。レジリンはジャンプの後に跳ね返る部分です。イナゴのジャンプは膝をすり減らすことなく何度も何度もジャンプを繰り返します。そして生きるために跳躍するのです。

ウンカの幼虫は目立たない小さな生き物で、わずか数ミリの体長しかありません。でもそのなかのある種は、2013年に研究者たちが発見した生物学的な脅威を隠しています。

それが、後脚を繋ぐ実用的で、連結した歯車です。この機械的連結は動物では見られたことがありません。そしてそれがウンカの幼虫がハイスピードジャンプを制御する助けとなるのです。イナゴは膝から押し出し、まっすぐに蹴り出すのに対し、ウンカはお尻にある回転力によりジャンプします。

彼らの力は外側に回り、地面を素早く押し出します。カエルのようですが、それよりかなり小さなスケールの話です。もしウンカの後脚が同時に動いたなら、それがパワフルでバランスのあったジャンプになるのです。

しかし、片足のタイミングがほんの少しズレたとしたら、幼虫は横滑りしてどこかに着地することになるでしょう。例えば、敵の口の中、とかに。

ウンカにとってはジャンプするまでに2ミリ秒しかかからず、それはイナゴよりも速いのです。そのスピードでは、電気神経シグナルでさえ2本の脚をうまく動かすのは困難です。そこ問題を解決するために、ウンカの幼虫は物理的に後脚と繋がっているのです。

これは、連結する小さな歯の並びを持つ強い表皮から出来ている歯車のおかげです。この方法なら、わずか30マイクロミリ秒の間に片足が動けばもう片足も動きます。それぞれジャンプが生きるか、食事にされるかを分けるのです。

敵から後ずさりするよりも、この腿節の機能はウンカが危険から逃げる助けとなります。食事を見つけるための耐久テストでも、食べられないようにするための逃げ道であっても、ホップ、ステップ、ジャンプとともに動き続ける素晴らしい動物たちがいるのです。

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