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第55回「アートは僕らをシアワセにするのか!?〜秋葉原よりヤンサン美術部展スペシャル!!」(全7記事)

『宇宙戦艦ヤマト』は壮大な受精の物語? 山田玲司が語る、アニメや映画のフロイト的見方

ニコニコ生放送の人気番組「山田玲司のヤングサンデー」。今回は11月2日放送の第55回「アートは僕らをシアワセにするのか!?〜秋葉原よりヤンサン美術部展スペシャル!!」の内容を書き起こしでお届けします。

前回に引き続きエロス回

乙君氏(以下、乙君):今日は、ヤンサン美術部展が「エロス」がテーマなので、前回もやったんですけどもエロス回を。玲司さんちょっと言い残したことがあるということで。

山田玲司氏(以下、山田):大好評でね。

乙君:大好評でしたね。

山田:大井(昌和)先生のフォローがすばらしかったんです。ただの、おふざけ。

スタッフ:ごめんなさい。

山田:聞こえてる?

スタッフ:先生のマイクがよくわからないんで、しみちゃんのマイクと変えさせてください。

山田:え、マジで。え、じゃあなに、聞こえてない。聞こえていた? ちょっと待ってね。挙動不審のおじさんになってない? 大丈夫だった?

久世孝臣氏(以下、久世):動きだけ派手という。

乙君:(コメントにて)「え、聞こえてるよ」って言ってるよ。

山田:あ、聞こえてる。聞こえてはいるの。あ、でも張らないとだめみたいな感じだったのね。

乙君:今日ここではじめて生放送なんで、いろいろトラブルあるかもしれないですけども、それもまた1つ生放送ということで許しておくんなまし。

山田:そうなのよ。それで、大井さんすばらしかったなあなんつって、で、師走の翁って誰だろうね、なんつって。

乙君:師走の翁さん。

山田:師走の翁さんっていう漫画家を俺が知らなかったのはちょっと申し訳ないなと思ってチェックしましたよ。すごい作家ですね。

乙君:あ、そうなんだ。

山田:日本の文化底知れねえっていう。いや、本当に。

乙君:なんか久世がもう、師走の翁さんヘビーユーザーだった。

久世:中学時代からめちゃくちゃ好きで。読みまくってたから。

山田:そうなんですか。

久世:はい。発売日に雑誌で買ってましたね。『阿吽』っていう雑誌なんですけど。

山田:それはいいお客さんですね。

乙君:みんなヘビーユーザーだよたぶん。俺も俺もって。

山田:みんな知ってんの。みんな知ってんだ。すげーな。なんか仕掛けがすごかった。びっくりした。ちゃんと作ってるっていうの。

乙君:あ、『シャイニング娘。』ね。

山田:『シャイニング娘。』やばかった。

乙君:読んだの。

山田:『シャイニング娘。』、読みましたよ。やっぱ何事も、経験なんで。勉強してないなと思って。

『シャイニング娘。』の設定がすごい

乙君:どうでした。

山田:いや、なんかね、うまいよね。

乙君:絵が。

山田:違うんだよ。設定がうまい。

なんとか娘のメンバーは、それが1人ずつエッチな目に遭うんだけど、実はほかのメンバーが望んだエッチなことだったりするみたいな。そういう仕掛けがあったりする。それをだから悪魔と交渉してっつって。だから、「自分がこういうエッチなことしたいな」って思ってるメンバーがいるじゃん。そしたら違うメンバーにその事件が起こっちゃう。

乙君:女の子の願望なんだ。それは。

山田:最初に女発ってのはすごいんだよ。設定として。だから、「なんてことするの」って怒りたくても、隣にいたメンバーが望んでたことなの。で、「なんであなたがそれを経験するの。私じゃなくって」みたいな感じの。

乙君:そうなるんだ。

山田:そういう設定なんだよ。

乙君:ほおー。

山田:なんて言うのかな。それを生み出してからのスタートなんで、ちょっとクリエイティブステージが違うっていうか。あの世界って、一緒くたにされがちじゃん。だからそこで、大井さんが言ってたのか。

乙君:そのエロ本とかエロ漫画にそういうその。

山田:ジャンルものでくくられちゃうようなものでなく、そこになにかしらもちゃんと入れてきているなにかがあって。ステージが違うんだっていう。

乙君:物語とか人間の。

山田:そうそう。なんかポルノのいらないドラマ部分が入ってくるみたいな感じするじゃん。

乙君:ストーリーがやたら長い。

山田:それは早送りでいいですみたいな、そういうんじゃなくて。ちゃんと物語を設定として。

乙君:その設定があるからよりエロくなる。

山田:しかもそれでもくどくない。だって画面の9割方が絡みだもんね。

乙君:ただのエロ本じゃない。

山田:ただのエロ本の中にこう入れてくるわけ。その説明を。どうですか。

久世:今のは合ってますよ。

山田:合ってますか。

久世:そうそう。だからそのエロがあって物語があることでよりエロの奥底まで届くんですよ。僕も。

乙君:はー。お前の。

久世:俺のね。届けてくれた。

最終的にほのぼのしてくる

山田:キャラクターに対する愛情があるんで、なんか嫌な気分にならない。だからルサンチマンが入ってないんだよ。だから、「女にモテない、俺大好きだけど、俺のこと愛してくんない、死ねばいい」みたいな、そういうややこしいのが相当入ってくる作品が多いんだけど、まったくないんで。

なんて言うのかな。最終的にすげーほのぼのしてくる。最終的な落としどころがほのぼのしてるの。

乙君:え!? ほのぼのしてるの?

山田:酒池肉林のあとに。

乙君:賢者タイムみたいな?

山田:そんな感じで終わる。そんなことをする人いたんだなと思って。

久世:大団円になりますよね。

山田:大団円ですね。

久世:シェイクスピアかなと思うくらいの。

乙君:それって強引じゃないんだ。

久世:強引じゃないよ。

山田:もちろんそれは強引ですが、あなたの大好きな『蒼天航路』のほうが強引ですよ。

(一同笑)

山田:呂布のほうが強引ですよ。

乙君:呂布は強引ですよ。強引というものが人の形をしてるんです。

山田:みんなついてこなくなっちゃうよ。

乙君:そうなんだ。それで、それだけですか。

『宇宙戦艦ヤマト』は壮大な受精の物語

山田:1個だけ言い忘れてたんだけど。どうでもいいことなんですけど。松本零士先生の話をしているときに、1個忘れてて。

あのときアルカディア号っていうのが、「かなまら祭り」だと。それがそのマゾーンという花の形した円盤舞台にに突入していくと。大量の花の形したなにかに向かって、かなまら状のものが旅するのが男ぞみたいな。というのが、松本零士のキャプテンハーロックの物語。ですから女王の名前がラフレシアですからね。腐臭を漂わせる巨大な花の名前がついてますからね。

乙君:そんなに流暢に言われても。

山田:そう。あれ知ってた? つぼみなんてキャベツみたいなやつだよ。

乙君:ラフレシアの咲く前ってこと。

山田:ラフレシアは花だけだからね。だから、その目に寄生して人の植物の栄養分を吸い上げながら、ただ花を咲かせるという恐ろしい。巨大な。それがラフレシアという花なの。

乙君:最高じゃん。

山田:それが女ボスキャラなってるっていうさ。だけど、ここで言っておかなきゃまずいなと思ったんだけど、ヤマトのことはちょっと、ヤマトはプロデューサーがかんでたから、どっちの作品じゃないってもめてる作品だけど。ヤマトにおける松本零士的なものってものすごくあって、やっぱりなんといっても波動砲でしょう。だから、波動砲を発射するのに時間かけ過ぎだべって。

乙君:えっ、そうだっけ?

山田:充電80パーセントから始まって、みんなゴーグルとかして、「たいそうなことしますよ」みたいな。「ガンガンガンガン、イっちゃうかも」みたいなやつですよ。しかも、イスカンダルもスターシアに向かって突入する。かなまら祭りです。ご存知の。

乙君:なにかに突入するの全部そのネタ。

山田:謎の薄着を着たロシア美女が待ってるんだよ。「コスモプレミアム取りに来て」っていって。

乙君:はいはい。

山田:「なんか他の人いない」みたいな感じになってるのよ。

山田:イスカンダルはほとんどシュールレアリズムなんだよ。だから、イスカンダルってほとんど卵子です。すさまじいイメージ。そこに攻撃してくる、なぜかナチスによく似た……。

乙君:ああ、なんだっけ。

山田:デスラー総統ですよ。

乙君:デスラー総統いるよ。

山田:ガミラス星っていうところから。だから、あれは要するに精子を攻撃する細菌とかいろいろあるわけじゃん。それを超えてきて淘汰するんです。要するに、延々とこの長い長い受精への物語をSFにしてしまってるんですよ。

久世:マジかよ。

山田:大変ですよ、それ。

乙君:諸説あると思うんで。

山田:松本という人は大変だよって思ったんですが。

乙君:思ったんですが?

『シン・ゴジラ』もかなまら祭り

山田:そういえば今年話題の『シン・ゴジラ』。やっぱりこうパーッと行く前のタメを思い出しませんか?

乙君:まあ思い出すけどね。

山田:あれはかなまら祭りでしょう。

久世:かなまら多いな。

山田:海の中から出てきて、だんだんでかくなっていく。

久世:痛い痛い。海綿体ね。

山田:だんだんプシューっていいながらだんだん大きくなるんですよ、久世さん。それで、なんか武蔵小金井だっけ、どこだっけ。

久世:蒲田でしょ。

山田:違う、蒲田から上がって最終的にダーッて行く場所あったじゃん。武蔵小杉だっけ。だから武蔵小で「バーン」ですよ。

久世:「武蔵小でバーンですよ」?

山田:そこまで我慢してたの。同時に我慢して音響つけて。……なんかみんなごめんね。

乙君:そう、そんな感じ。

久世:絶賛発病中ですね。

乙君:絶賛発情中ね。

山田:いや違う、俺の中のフロイトが「俺を忘れるな」と。「お前、同じ20世紀で成し遂げた俺の偉業を忘れるなよ」ってフロイトが言ってくるんだよ、ジグムント・フロイトが。その目で映画とかを観ると。「なるほどこれもかなまら、これもかなまら」ってなってくるわけよ。

久世:とにかくスペース男根祭りだと。

山田:スペース男根祭り。だからそれは、ユングさんもちょっといい加減にしてくださいよみたいな。

乙君:そんなこと言い出すと、もうかめはめ波とか全部メタファーになっちゃう。前に飛び出すの全部。

山田:気づいたね。明鳥山の話したべ。だからあれ子供エッチからスタートしてそっちに行くわけよ。大人になっちゃうわけ、だんだん。

乙君:ああ、そういうことなの。じゃかめはめ波打てるようになった瞬間に悟空は大人になったんだ。だから精通したってこと。

山田:そうなんです。そうそう、見せてない部分もあるじゃないですか。それを逆にメタファーで派手にこうバーンと。だからもう男と男のぶつかり……。

久世:チチはかめはめ波で妊娠したってことですか。

山田:その通りです。

久世:ご解答ありがとうございます。

山田:すみませんまた適当なこと言って。

久世:謎が解けたわ。

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