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Evolution & The Science of Popular Music(全1記事)

音楽の進化のカギを握るのは“ラップ” 生物学の研究手法により判明

年末は紅白歌合戦やレコード大賞など、音楽番組も目白押しでした。それだけ巷にはさまざまな音楽があふれているということでもありますが、実は人気の音楽はここ50年で大きな“進化”を遂げていたようです。音楽と生物学の専門家を含めたイギリスの調査グループが、進化生物学の技法を使って、1960年から2010年までのビルボードのヒットチャートのトップ100に入る曲を分析しています。進化生物学の原理を使って、長年の音楽の進化をできるだけ明確に科学的に数値化しようという試みです。その結果、音楽の進化のカギを握るのは「ラップ」だということが判明しました。YouTubeの人気科学系チャンネル「SciShow」より、一風変わった音楽史研究の詳しい調査結果を紹介します。

音楽史を進化生物学で紐解く

マイケル・アランダ氏:初めてMP3プレイヤーが発売された時のことを覚えていますか? あの頃は1,000近い曲を入れられるなんて、不可能に思えましたよね。

もちろん世の中は、たくさんの曲であふれています。先日発表された研究では、人気の音楽はここ50年で変化というか、ダーウィンも納得するくらいの進化を遂げたようです。

通常は進化生物学者向けの技法を使って、音楽と生物学の専門家を含めたイギリスの調査グループが、1960年から2010年までのビルボードのヒットチャートのトップ100に入る曲を分析しました。

進化生物学の原理を使って、長年の音楽の進化をできるだけ明確に科学的に数値化しようという試みです。

理論は、生命と同じように文化も進化するので、生命体の進化を分析するのと同じように、文化の発展を分析することが可能だということです。ただ、動物などの生物の代わりに、流行の音楽を解明していくわけです。

そして、種族の代わりに、ロックやテクノ、ディスコやジャズといった具合に、さまざまなジャンルの音楽を研究します。各曲ごとの要素を研究することで、まるで生命体の種族が残す進化の特徴を解明するように、曲の進化の関連性を探ろうというものです。

メジャーコードの曲は、カントリーやクラシックロックまたは、ラブソング。不協和音を含むような曲は、ジャズやブルースといったように、研究者たちは、この進化の追求のために17万曲もの歌を分析し、特徴別に分類するところから始めました。

これらをまるで、化石記録のように扱うことで、チームは突発的な多様性や、コード構成などの固有の音色の急変の兆候などを探し始めました。

データの中で1964年、1983年、1991年に大きな変化が起こっていることがわかりました。研究者たちは、これら年代が音楽の進化に深く関わっているといいます。

音楽の進化に多大な影響を与えるのはラップ

たとえば1964年はロックやソウルの全盛期で、ドゥーワップは廃れていきました。そして、1983年は新しい波が来てハードロックが出現しました。

しかし、もっとも急変したのは、1991年のロックと引きかえに、ラップが人気になってきた年です。

基本的に研究者たちによれば、これらのジャンルはアーティストとリスナーがなんらかの特徴に偏ることで、一種の人工淘汰によって進化してきたというのです。

多くの人がその特徴を受け入れれば、その曲はいずれ人気のある曲になります。生物学者であれば、「もっとも素晴らしい進化を遂げた」と言うかもしれないここでの立役者は、ラップなのです。

研究者によれば、ラップはこれから先の流行音楽がどんなサウンドになるかに、多大な影響があるということです。

ラップの大きな特徴はエネルギッシュな言葉、コード構成がないことなどで、より多くの曲がトップ100のチャート入りをしています。そしてラップは、多くのアーティストが、同じラップの中でも独自のバージョンを創り上げて、多様性に拍車をかけることにも成功しました。

研究チームは、この研究方法を使って、たとえば流行音楽における競争についてなど、ほかの研究も進めていくつもりです。

でも、今のところは、ヘッドフォンで音楽を聴くときは、音楽の生存競争が繰り広げられているのだと想像してみてください。

夢遊病と夜驚症の遺伝の関係

もう1つ別の研究で、夢遊病と夜驚症の遺伝の関係が明らかになりました。

夢遊病は、眠っている間に座ったり、歩き回ったり、運転したりすることを言います。患者は周りでなにが起こっているのか気付いておらず、起きた時にはそのことを覚えていません。

夜驚症は、悪夢を見る以上に、寝ている間に恐怖を感じて、叫んだり、泣いたり、暴れ回ります。通常は子供に多く見られる症状ですが、大人になっても続くことがあります。

カナダの睡眠研究家が12年にわたって2,000人余りの子供の両親に、どんな睡眠習慣があるのかを聞き、それを研究しました。子供の両親が夢遊病にかかったことがあると、子供にも夢遊病になる可能性が高いということがわかりました。

夢遊病にかかったことのない両親から生まれた子供が、夢遊病になる可能性は22.5パーセントで、両親のどちらかに夢遊病の経歴があると、子供の夢遊病の確率は約3倍高くなります。もし、父親と母親の両方が夢遊病を経験していると、子供の夢遊病の可能性は約7倍も高くなります。

また、夜驚症の子供の親は、夢遊病を持っていた傾向にありました。そして、これらの両親を持つ子供は共通して、5歳以上になっても症状が出る可能性が高かったのです。

両方の症状は、神経の作用に起因していて、熟睡の状態から浅い眠りに移行するときにわずかに現れます。

夢遊病と夜驚症の両方の睡眠障害が、同じ遺伝子に影響されているというのもうなずけます。

もう1つ、子孫に残せる素敵な財産というわけです。

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